小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


by polimediauk

ウエブに書いて文学賞の松浦さん

「親指Pの修業時代」を書いた作家、松浦理恵子さんをその昔、著者インタビューということで取材させてもらったことがあったが、最近、読売文学賞を受賞されたことを知った。作品は「犬身」。

http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20080204bk03.htm?from=yoltop

何と、会員制ウエブサイトに書いた小説で、ウエブだから思い切りかけた、文芸誌の場合、「読者は業界中心で、堅苦しい感じがある」と語っている。

ウェブ小説がこの賞を受けるのは史上初めてだそうである。

小説家自身が文芸誌に「堅苦しい感じ」を持っていることが、私にとっては新鮮な発見だった。

私の知人で、ウエブ(ブログ)でずっとコラムを書いている人がいる。英大手新聞が提供するサイトの寄稿者の1人だ。読むと、本当に紙の新聞のコラムニストが書くようなことを書いている。雑誌(紙)にも時々コラムを書いているようだ。彼がこのブログを始めた時は、2年ほど前だったと思うが、紙=主流、ウエブ=しゃれ+遊び的感じに周りも(自分自身も?)受け取っているようだったが、今やすっかりウエブ=主になった。もう紙に書きたいとは思っていないのでないか、という感じがする。すっかり状況が変わったな、と思っている。

ここ2-3日で、表現行為としてのブログは終わった、つまらなくなったのではないか、という日本語のサイト、オンライン・コラムを複数見つけた。

紙に書いているコラムニストでブロガーを馬鹿にする人が英国でも少し(たまたま、女性コラムニスト2人が思い浮かぶ)いるが、表現行為として、しっかりと英国では根を下ろした感じがする。主流になった感じがする。
by polimediauk | 2008-02-05 05:18 | ネット業界