小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


by polimediauk

BBCがiTuneで番組販売

 BBCの商業部門、BBCワールドワイド社が、アップルのiTuneを通じて番組を有料販売することになった。英各紙が報じている。英国のオンラインの動画市場にとっては大きな動きと言えるそうだ。

 BBCはアイプレイヤーと言う無料ソフトをコンピューターにダウンロードすれば、英国内に住んでいる人であれば、過去の番組(最近のものも含む)が(全部ではないが)見れる。BBCは受信料で成り立っているので、無料で見せることになるが、それではBBC側にはお金が入ってこない。

 BBCの受信料収入は、2012年度まで(13年の春分まで)決定されているけれど、伸び率が低く、インフレ率を入れると実質ゼロかマイナス成長になる可能性もあるほどだ。また、今年度以降、受信料収入の全額を、今まで80年そうしてきたように、BBCだけで使えるのか、あるいは他のテレビ局(例えば公共放送のチャンネル4)とシェアするのか、まだ分からない。すると、「ほんの数年後には収入が全く未知の世界」に入ることになる。

 そこでBBCは、何とか、受信料収入以外の収入を増やすことに躍起だ。

 BBCの番組をiTuneで見た・買った場合、どれぐらいの料金がかかるのかは、間もなく発表されるようだ。通常、アップルでは1・89ポンド(約400-500円ほど)チャージしている。これは、米国での1・99ドル(約200円)と比較すると、倍である。英国は何でも物価が高いので、それを加味したのかどうか分からないが、ユーザーからすれば不当な額であろう。経費がそれだけかかっている、ということだろうか?

 アイプレイヤーは去年のクリスマス時に、新たにデビューし(前は試験版という説明だった)、一体何人がソフトをダウンロードしたのかは分からないが、再デビューから2週間で、350万本の番組がダウンロードされた、あるいはストリーム視聴されたそうである。
by polimediauk | 2008-02-19 19:36 | 放送業界