俳優ケビン・スペーシーとBBC
基本的に英国は、ずーっと「中国=人権侵害の国」というスタンスでやってきた。チベットの状況のひどさ(確かにひどい)も延々とドキュメントをテレビで放映してきた。そこで新聞もその論調となる。しかし、ややさめた報道もあり、BBCニュースサイトでは「抗議やボイコットが起きるのは今回が初めてではない」という話を紹介している。
ややひねた私は、「どうしてリレーをやるのか?」と思う。スポーツの祭典だったら、スポーツだけに力を注げばいいのにな、と。それに、オリンピックが大競技を開催できるほどの大国、大都市のみが主催できるのも気になる。アテネの精神に戻ろうなんてことは言わないけれど、ずいぶんと政治ショー化してしまったなあと思ってしまう。(逆に、あえて規模をどんどん縮小していく・・・なんて、どうだろう?あり得ないだろうがー。)
最近、私が「良くぞ言ってくれた」と思ったトピックは、米俳優ケビン・スペーシー(「ユージュアル・サスペクツ」)とBBCだ。スペーシーはロンドンの「オールドビック」という劇場を所有してもいる。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/entertainment/7318812.stm

最終的にナンシー役の女優が決まるまで、13週間かかる。すると、BBCという公共放送が、13週間かけて、ある商業ミュージカルのプロモーションをしていることになりはしないだろうか?
これをスペーシーは指摘した。私も常々そう思っていたので(というのも、これがシリーズの確か3回目で、同様のオーディションで、既に2つのミュージカルの主演俳優を決定していた)、やっぱり、と思ってしまった。
結局、スペーシーが本当に言いたかったのは、自分自身が劇場を持っているので、ミュージカルだけでなく、芝居・ドラマの俳優もオーディションし、これをテレビで見せることがあってもいいのではないか、ということだったらしい。
それでも、BBCが公共放送としての一線を越えたのではないか、という批判は大いに一理あるように聞こえた。特に、前回2回のミュージカルは、作曲家アンドリュー・ロイド・ウエーバーが作ったものだった。そして、ロイド・ウエーバーは、審査員の一人として、オーデションの査定や、候補者たちのレッスンを監修もしていたようだった。
もし商業ミュージカルをトピックに使うとしても、どうして同じ作曲家の作品を(ただし、「オリバー」は違う人のようだ)何度も使うのか?チケット販売から得た利益はBBCに戻すべきではないか?と私は思っていた。
BBCの答えは、「一つの作品というよりも、ミュージカルをかける劇場全体を祝う番組」なので、一線を越えたことにはならないというような説明だ。ここでも私はいやだなと思う。BBCはほとんどの場合、どんな批判があっても、奇妙な理由を挙げながら、自分の最初の立場を頑として変えない。
BBCのアウトプットが公共放送としての役割からはずれていないかどうかをチェックする、BBCの経営委員会にでもきちっと検証してもらいたいものだ。
それでも、ガーディアンの「メディア・トーク」という音声コンテンツで誰かが言っていたけれど、「BBCにとっては、非常に視聴率の高い番組なので、おいそれとは手放せない」・・・。