小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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インディペンデントの編集長、交代へ 

 発行部数が下がり続けるインディペンデント紙の次期編集長に、昨年末日曜紙オブザーバーの編集長を辞任した、ロジャー・オルトン氏が就任する見込みだ。ガーディアンのウエブで10日、報道された。

 サイモン・ケルナー現編集長はいなくなるわけではない。平日版のインディペンデントと日曜紙の「インディペンデント・オン・サンデー」の両方を見る、統括編集長のようなことになる。上に一つ上がったことになる。でも、編集には関わらない。マーケティングとか対外事業とかに集中するので、第一線からははずれた感じがする。

 ケルナー編集長は、現在のインディペンデントを作った重要人物でもある。というのも、彼の発案で小型タブロイド化が実現したからだ。この発案当時(2003年)、部数が急速に伸び、タイムズもすぐにこれを追った。1年半ほどして、ガーディアンも縦に細長いベルリナー判にした。他の新聞も続々と小型化して、一種の流行となった。ケルナー編集長は数々の新聞関連の賞も受賞した。

 しかし、現在までに部数がまた落ち込んでいて(20万部ぐらい)、ガーディアンは「いつ編集長交代になるか?」を何度か書いてきた。ガーディアンだけ読んでいると、ずい分インディペンデントを憎んでいるというか、嫌いなんだなあと思ったりする。(インディペンデントが1986年に創刊した時、読者を沢山取られてしまったのだから、仕方ないのか?)

 ケルナー氏は、インディペントの現在のフロントページ、つまりまるでポスターを思わせるような、でかい写真やイメージを使い、それに気の利いたタイトルをつける、というパターンを作ったといわれる。よく「ビュー・ペーパー」(ビューとは意見のこと)とも呼ばれる。新聞は様々な意見をバランスよく出さないといけないが、事実よりも意見を出す、というのがスタンスだ。こういう編集方針を、ガーディアンのラスブリジャー編集長はひどく嫌っており、幾度となく批判してきた。(インディペンデントの発行元は、ケルナー氏の功績を考えて、首を切ることはできなかったんだろうな、と想像する。あくまでも想像だが。)

 一方のオルトン氏。彼はオブザーバー紙の発行部数をどんどん上げた人物だ。英国の高級紙はどこも前月比数%程度、部数が減少して悩んでいる。ところが、オブザーバーは4-5%増加させてきた。偉業といわざるを得ない。

 ガーディアンからすれば、ラスブリジャー編集長と編集方針があわずにオブザーバーを辞めたと噂された(オブザーバーはガーディアンの日曜版のような位置づけになる)オルトン氏を取られた、という感じだろうか(本人はガーディアンと争いがあったことを全面否定)。

 インディペンデントの起死回生があるのかどうか、非常に楽しみになってきた。少し前にインディペンデントはウエブサイトを新しくしたが、音楽ストアを入れて、特徴を出している。常に新手はあるものだ・・・。

 ガーディアンのインタビューに早速応じたオルトン氏は、「右でも左でもなく、『欠かせない』新聞にしたい」と語っている。インディペンデントは「ラジカル・レフト」がケルナー編集長のスタンスだった。

 既にああしよう、こうしようといろいろ策を練っているようだ。正式には6月から仕事を開始する予定だが、これはまだはっきりしていない。9月、インディペンデントは全頁カラーになるとのことで、この時、オルトン新編集長の下で紙面デザインが一気に変わる可能性もある。

http://www.guardian.co.uk/media/2008/apr/10/independentnewsmedia.theindependent
by polimediauk | 2008-04-11 05:04 | 新聞業界