小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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移民 雑感

 (移民に関してはみなさんからたくさんコメントをいただきました。漠然とですが、自分の身に引き寄せて考えていることは以下です。)

―どこまで融合するか?

 英国で、「移民問題」を考える時、よく「融合」と言われる。「インタグレション」と。いったいどこまで「融合したら」、ちゃんと融合したことになるのだろう、と疑問になる。友達になったら?一緒に遊んだら?働いたら?ボーイフレンド・ガールフレンド、つまりはベッドをともにしたら?それとも夫婦になったら?あるいは政治参加したら?住居でも、自分の人種同士で固まって住まないで、他の人種と混ざって住めば「よし」なのかどうか?

 答えはないのだけれど、実は、英政府側が移民の融合という時、実際にはパキスタンなり、インドからの移民相手に言っているときがあるようだ。例えば結婚相手を自国から呼んで、英国に住まわせる、と。パキスタンあるいはインド出身者のコミュニティーができて、近所同士に住んで、お店ができて、中には英国に何十年住んでも、英語を全く知らずに生活する移民が一部で存在する。この「英語が全く話せない人」はやはり、「融合していない」とみなされるようだ。

 といって、「現地の言葉を話せない」ことだけが、「融合していない」証拠には必ずしもならない。人種同士、出身国同士で固まって住むのも十分に融合していない証拠ともされるが、それでも、例えば韓国人同士で住む地域もロンドンにはあるが、これはそれほど問題視されない。中国人コミュニティーもそれほど問題にされないようだ。同じ出身国同士で固まって住むのは、英国人がフランスやスペインに行ったときにそうしているのだから、移民たちだけを責めるわけにもいかないだろう。

 すると、「融合」の問題が出るとき、どうも批判の対象はインド亜大陸の出身者(パキスタン、インド、バングラデシュ)、特に中でもムスリムのパキスタン系であるような気がするのだ。

―英国に住む日本人の「勘違い」

 コメントを下さった方から、「日本人がアングロサクソンの英国人になったかのようなつもりでいる」ことに「違和感を感じた」という指摘があった。実際には英国人と結婚して子供を産んだとしても「決してアングロサクソンの英国人にはなれない」のに、である。つまり、多くの日本人は欧米社会で「勘違い」して生きている、と。

 これは深いなあと思ったが、大雑把に考えて英国(特にイングランド)の大多数がアングロサクソン系白人であると仮に考えた場合、この英国のマジョリティーの人の言語、話し方、マナー、いろいろな物事のやり方をまねるというか、これに乗っかって生活するのは避けられない。アメリカナイズという言葉があるが、さまざまな意味でアングロナイズ(和風英語??)化した生活にならざるを得ない。

 そして、英国に住みだすとすぐ、「英国人」または「白人アングロサクソン系の英国人」と狭くくくってみても、さまざまな人がいることが分かってくる。誰とつきあうかによってその人の英国観・英国人観が変わって来る。

 「(英国に住む)日本人の白人化」という表現を他の人からも聞いたことがあり、この言葉を最初に聞いたとき、ドッキリしたものだ。

 ・・・というわけで結論がない雑感になるのだけれど、個人のことを書いておくと、私の近所には日本人コミュニティーがなく、なんとなくポツネンと生きている。日本人の多いところに住むという手もあったが、引っ越した当時はそういう可能性を考える余裕がなく、さらに引っ越すにも巨額の資金が必要になるのでそのままになっている。食事や周囲の人の顔ぶれなどを見ると、アングロサクソン現象に囲まれて生きていると言えるだろう。(といって、日本人同士の近隣に住むことは決して悪いことだとは思っていない。むしろ、助かるだろう、お互いに。)

 しかし、これは年齢のせいもあるだろうが、日本人としてというか、日本で培われたいろいろな文化、生活習慣で絶対にゆずれない部分があって、これは一生そのままか、変わるには時間がかかりそうだ。自分がアングロサクソンの一員になったと思うことは少なく、異国にいると、ますます日本を意識しているー知識は日々少なくなっていても。私は国籍を変えていないが、国籍を変えれば英国の歴史を背負うことになる。未だその勇気はない。
by polimediauk | 2008-05-09 07:40 | 英国事情