小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


by polimediauk

海外駐在員と現地採用者の違いは?


誰も表立って言わなかったこと


「ネットは新聞を殺すのかブログ」の27日付に、いささかショッキングなことが書かれている。
http://kusanone.exblog.jp/tb/1692415

知っている人は知っていたが、あえて誰も書かなかったことを、実体験をからめて記したものだ。ちょっと「暴露」めいているが、実際に、この件に関して個人的にも怒りを感じていたのだろう。

ライブドアの堀江社長への様々な批判に対する、1つの答え、という文脈で書かれたものだ。

「日本的経営のよさ」の薄っぺらさ
 米国の日系企業には2種類の「日本人」が存在する。本社からの「駐在員」と、「現地採用者」の2種類だ。「駐在員」と「現地採用者」の給与は、本当にケタが違うことがある。たとえ業務内容がそれほど変わらなくてもだ。わたしが米国に住んでいたころは、「駐在員」の多くは郊外の閑静な住宅地の中の大きな邸宅に住み、「現地採用者」の多くは小さなアパートに住んでいた。「現地採用者」という言葉には差別的な響きさえあった。
 知り合いに、某大手新聞社の現地事務所の責任者がいた。その事務所は取材拠点ではなく、営業拠点だった。彼の仕事は、新聞の拡販と配達だった。彼は「現地採用者」だった。
 その地域の日本人コミュニティーで親睦を目的としたゴルフサークルが発足した。入会資格は、日系企業の社員であるということだけ。ゴルフ好きの彼は早速、入会した。他のメンバーは銀行や商社などの支店長クラスだったが、話上手な彼はそのサークルの中で結構人気者だったという。
 ところがある日、彼がトラックで新聞を配達していたら、ゴルフサークルの仲間である銀行の支店長とばったり出会った。彼はいつものようにニッコリと笑いかけたのだが、支店長の顔はひきつったままだった。支店長はついに何も言わず、立ち去ったという。
 その後、ゴルフ場で支店長と会っても支店長は彼を無視し続けた。その支店長だけではない。ほかの「駐在員」たちも彼を無視するようになった。そして次のゴルフサークルの総会では緊急決議が行われ、会則が変更になった。入会条件が、「日本の本社からの駐在員」に書き換えられたのだった。これは彼から聞いた本当の話である。
 互いに礼儀正しく、敵対的買収などしないのが「日本的経営のよさ」だといわれる。しかしその「日本的なよさ」は異質な物、仲間と認めない者に対してはまったく適用されないことがある。わたしは今までの人生で何度もそれを目にしてきた。なぜならわたし自身もまた、帰国する41歳までは米国法人に入社した「現地採用者」だったからだ。
 メディアやエスタブリッシュメントがホリエモンバッシングを続ける中でも、ホリエモンを支持し続ける人の多くは、そうした「日本的経営のよさ」の薄っぺらさを見透かしているのかもしれない。


 〔以上、ネットは新聞を殺すかブログより)

 〔追記)私自身は海外勤務として特派されたことも、「現地採用」されたこともないが、日本の会社の「契約社員」として働いたことがある。また、イギリスに住んでこの話をほうふつとさせるエピソードにもたびたび出くわした。
by polimediauk | 2005-02-27 18:34 | 新聞業界