BBC1がライブ放送を近く開始、 「インディー」の1面は「時々退屈」
山盛りのニュースがある中で、「ええ!」と驚いたのが、BBCが、ストリーム放送でBBC1という主力チャンネルの全番組を見れるように、年内にもする、というトピックだった。地上波では既に民放最大手ITVが主力のITV1をはじめ、デジタルのITV2、3、4などをストリーム放送(ライブ放送)を昨年夏から実行している。BBCはこれまでニュース24というデジタルのチャンネルをライブ放送(通常の放送時と同時)しているが、地上波では初めてで、テレビがなくてもPCで主力チャンネルが放送と同時に見れるのはすごい。
http://www.telegraph.co.uk/news/2076905/BBC1-to-go-live-on-internet%2C-licence-still-needed.html
それと、バージンメディアという有料放送のチャンネルの1つに、BBCアイプレイヤー(過去の番組を見れるソフト)が入った。アイプレイヤーを使って見逃した番組を見るのに、これまではPCで見るのが普通だったが、テレビの画面で見れるならこしたことはない。オンデマンドがますます使いやすくなった。
先のテレグラフの記事によれば、PCでBBC1の全番組が見れるようになるけれども、「それでも受信料はもらう」BBC、と付け足すことを忘れない。テレビ受信機のない家というのはほとんどないかもしれないが、理論的にはPCだけでBBCを見ることも可能で、テレビ受信機のある家からテレビ・ライセンス料を取って、これを収入のメインにしているBBCの場合、やはりライセンス料を取る理論付けが難しくなった。PCを持っているからといってライセンス料を取る、というわけにはいかないであろうしー。
いずれにしろ、BBCはどんどん、「テレビ受信機で見るのがテレビ番組、テレビ受信機で番組を流すのがテレビ」という形を崩しつつある。周囲の状況(ライバルのITVやスカイ、ネットの動画配信市場)がどんどん発達するので、自己変革をせざるをえないのだろう。本当に、2012年のアナログ通信停止後、どんな形の放送局になっているのか、想像をやや絶する感じがある。
もう1つ、おどろいたのが、インディペンデントの編集長サイモン・ケルナー氏の、「インディーの表紙は時々つまらないときもある」という発言。
http://www.guardian.co.uk/media/2008/jun/05/theindependent.pressandpublishing
インディーは新聞として中立的な立場を守るというのではなく、意見を前面に押し出すということで、「ビュー・ペーパー」と言われている。特にそのスタンスをはっきりと表すのが1面だ。しかし、今度新しく編集長(オブザーバー紙の元編集長ロジャー・オルトン)が来て、9月には前面カラーにし、紙面改革が始まる。編集方針も変わるのだろうな、と思わせるインタビューが掲載されていた。どんなおもしろい新聞に生まれ変わるのだろう?
「過去2,3年のインディーと現在のインディーは随分違う。これから2-3年後のインディーもかなり変わっていると思う」というくだりもある。
英国のメディア界はとにかく、変化がめまぐるしい。
タイムズも、そういえば、今週から紙面刷新をしたのである。ほとんど前面カラーとなり、毎日つく特集小冊子(フィーチャー)がもっとカラーが多く、写真も大きくなった。フィーチャー版は「雑誌」風を目指すという。ニュース面を見ると、確かにカラーは目を引くが、「一体どうして変えたんだろう?」みたいな感じもする。各紙面のトップの見出しも随分小さくなった・・・。しかし、変えざるを得なかったんだろうな、ほかも変わるから。もう一回ぐらい変わるかもしれないな、と思わせる、近いうちに。今のところはあまり決め手のない(全面カラー化以外は)ように見えるからだ。