小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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自分の番組の宣伝はアリか?


「ニュース」?


BBCの夜のニュース解説番組「ニュース・ナイト」の中で、難民申請者用一時宿泊施設の内情暴露のクリップが、放映された。

この宿泊施設の管理は、内務省に依頼された民間の会社がやっている。そこで働く人々が、いかに人種差別主義の傾向があり、まるでモノにあたるかのように申請主義者たちを扱っているか、隠しカメラで撮ったものだ。この職権乱用の結果、15人の職員が停職措置になった、という。

内務省関係者の生のインタビューはなかったが、該当の民間会社のトップ、及び政治家やコメンテーターの分析があり、非常に見ごたえのあるものだった。

その後で、キャスターのジェレミー・パックスマン氏が、「これはxxx曜日の特別番組の一部です」と言ったので、実は、別番組の宣伝・紹介だったことに、改めて気づいた。他の多くの視聴者同様、その「xxx曜日」に、見ようと思って、テレビのスイッチを切った。

就寝前にラジオをつけると、程なくして定時のニュースに。第一報が、この「難民申請者用施設での職権乱用のスクープ」だった。

確かに、調査報道の結果、人が停職処分になっているほどだから、「ニュース」ともいえる。しかし、どうも、BBCが自社番組を宣伝しているという、非常によくあるパターンにも見えてくる。

番組の宣伝そのものが悪い、とは思わない。「お知らせ」がなかったら、せっかくいい番組を作っても、たまたまその時にチャンネルを合わせた人でないと、見ることができない。

しかし、「お知らせ」を、どうして定時のニュースのスロットに、「ニュース」として入れるのか?「ニュース」と「宣伝」とを一緒くたにしては、まずいのではないか?ーーこれが、BBCに対する、イギリスでの批判の1つだ。

BBCの、イギリスの放送業界の中での位置は、大きい。BBC自身で利益を生み出す必要が、基本的にはないので、安定した収入もある。

そんな、「業界の巨人」であるBBCが、自社製作の番組の調査報道で分かった結果を、「ニュース」として出していいのだろうか?

・・メディアがメディア自身のために存在するのでは?と思わせるのがイギリスだ。BBCも、受信料支払い者のためでなく、BBC自身のために存在しているのではないか?そんな懸念を持つのは、私だけではない。
by polimediauk | 2005-03-02 10:28 | 放送業界