小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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「論座」が休刊

 東京は連日30度。すでに去ったと思った夏の真っ只中にまた来てしまった感じだ。

 日本に来て、しゃれた表紙(9月号は赤、10月号はグレー)の「論座」(定期購読中)を手にした。10月号?と思っていたら、休刊になったそうだ。実に残念である。(定期購読した分は払い戻しがあるのかどうか?)

 非常に自由な感じがあって、作り手自身が何かしら楽しんでいる雰囲気が出ていた(泉谷しげるのインタビューが印象に残っている)。「フォーリンアフェアーズ」の翻訳も日本と英米圏と間の論考の溝を埋める役割を果たしていたと思う。書評も長くて面白かった。これほど楽しさ、自由さが満ち溢れていた雑誌が休刊になるとは。他の月刊総合誌「中央公論」が赤字に苦しみ、抜本的見直しが検討されている、と「選択」9月号に出ていた。雑誌の冬の時代か。

 10月号でコラムニストの小田嶋隆さんが、「雑誌の場合、文字の組み方や飾り罫の使い方から立ちのぼってくる何かが、誌面の雰囲気のみならず、雑誌自体の文化的な立ち位置を決定しているみたいなところがある。これは、紙の媒体にしかない特徴だ」。

 紙媒体にしかないのかどうかは別としても、「論座」の場合、本当に独特な何かがあり、これが消えたことを繰り返しになるが残念に思う。

 で、話は日本の総合誌の話になるのだが、論座9月号に林香さん(東京大学大学院情報学准教授)がコラムの中で、「業界用語で言う総合月刊誌」が「女性をまったく取り込めないでいる商品のよう」であることを指摘している。林さんによれば、中央公論の読者の93%が男性で、論座は主要記事27本のうち、女性が書いたのは3本のみだった。逆に、論座自身が9月号で女性誌を分析している。日本の女性誌を見ていると、「女性は大変だなあ」といつも思ってしまう。女性誌の言うことをまともに受けとるほうがおかしいと言わざるを得ないのだろうが、完璧に化粧をし、周囲から浮かないように細心の注意を払い、「かわいい+セクシーな女」であり、かつ料理も上手・・・を要求されている感じがする。

 論座の編集後記(10月号)を読んでいると、「まだどこかでお会いしましょう」という表現をしていた人が複数いた。これからも編集職につくだろうから、そういうことなのか、それとももうすでに朝日新聞関連で次の職が約束されているのだろうか?読者はいったいどこへ行けばいいのかと思ってしまう。(・・・などと考える自分は本当に少数派だったのだろうか?休刊になってしまったのだから。)
by polimediauk | 2008-09-09 22:22 | 日本関連