小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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「クーリエ・ジャポン」があれば

 「クーリエ・ジャポン」10月号には、「米国メディア戦争」と題して、マードックのウオール・ストリート・ジャーナル紙買収の分析記事(翻訳)が載っている。米「アトランティック・マンスリー」の記事がオリジナルだ。米国側から見るとこうなのかなあと参考になる。「FT記者が分析する英・米のジャーナリズムはこう違う」という記事も。米国のジャーナリストたちは自らを弁護士や銀行員と同じく世間的に「立派な職業」に従事していると考えている・・・そうである。英国では、「ジャーナリストは自らをアウトサイダーだと規定している場合が多い」。

 例のロシア・グルジア・オセチアの話もたくさん載っており、その一つはFTの記事で、グルジア・サーカシビリ大統領の評価をクエティン・ピール記者が書いている。元記事の日付が出ていないが、「遅すぎた革命家、サーカシビリの野望」という題がつく。大統領の行動が性急過ぎたのでは?という視点。ロシア、グルジアの紙面、ウクライナとのリンクなど、読み応えのある構成になっている。(「コーカサス国際関係の十字路」集英社新書、書店ですぐ見つかりました。)

 「クーリエ・ジャポン」の本物誌面を手に取ったのは初めてだったが、これは非常におもしろいなと思った。(元記事のアドレスや日付が一切ないのは、翻訳として加工しているせいなのか?)世界のメディアといっても、主に英・米・欧+アジアで、アラブ系の定期メディアは特には入っていないようだったけれど、英米とは言え、日本で紹介されていない記事でおもしろいものがたくさんあるようだから、これはこれでいいのだろう。

 日本特集で「A・キャンベル」という人が書いた村上春樹の記事を思わず最初に読んだが、英国にいる人なら誰でも知っている「あの」キャンベル氏が村上春樹のファンだったとは(それにレズビアンに恋した男の物語「スプートニクの恋人」が好きだったとは)、(大)驚愕だった。で、細かい話だが、英国に住む皆様、キャンベルとは「アリステア・キャンベル」(=スピン・ドクター、元国防省顧問ケリーさんを間接的に殺したかもしれない人、イラクの大量破壊兵器の脅威を誇張させた張本人)なのですよ。で、キャンベル氏は「英国の著名政治家」となっていた・・・・。目次と記事の見出しで。いつ彼は政治家になったのだろう?これはもしかしたら、もしかしたら、間違いではなかろうか?

 それでも、次も読みたいと思わせる雑誌だった。

 
by polimediauk | 2008-09-11 20:21 | 日本関連