グーグルの感想+英インディペンデントが全面カラーに
グーグルはこれからどうなっていくのだろう?
たまたまなのか、週刊ダイヤモンドも別の意味からの「グーグル特集」をしていた。こちらの方は中小企業がいかにネット広告を利用してビジネスを急成長させるかに焦点が置かれ、実際の米企業グーグルを分析したものではなかったが。
グーグルに関しては山のように本が出ており、定番は佐々木俊尚氏の「グーグルGoogle」(文春新書)だろうか。
私のひっかかりは「一企業が世界中の情報を一堂に集めよう・管理しようとしているところ」や「自分のネット上のコミュニケーションに即した広告が出る時の違和感」だ(誰か人間が見ているわけでなく、ロボットがそうしているのだと説明されても、不快感が残ってしまう)。さらにひっかかるのは、このような私の違和感が、単なる古い考えなのかどうか分からない点だ。そのうち、「そんなことにこだわるほうがおかしい」となるのかどうか。グーグルの技術力に関して十分に説明を受け、これを十分に納得したら、つまりは「教育」されたら、こだわりや違和感はなくなるのだろうか?
特集紙面を見ると、欧州各国でのグーグルの人気はダントツだ。しかし、プライバシーに対する懸念、違和感が、欧州で大きなグーグル離れを起こす可能性を、私は真っ向から否定できない。特に第2のグーグルがもし出てきた時には。これはあくまで大胆な予測である。エンジニア関係の方は一笑に付すかもしれない。「グーグルを追い抜ける企業はいない」と。しかし、欧州にある、漠然とした反米(あるいはねたみ、見下ろした態度、実体はないかもしれないのに感じる優越感)感情にも似た、反グーグル感情が大きなうねりとなって、シェアを低下させる、ということは起きないのだろうか?長く生きて見届けるしかないが。
さて、英高級紙の1つインディペンデントが全面カラー化した。ガーディアン、タイムズ、テレグラフはすでにこれを実行している。これで4大高級紙すべてが全面カラー化された。カラー紙面は、慣れてしまうと珍しくなくなるが、それでも最初の頃はインパクトがある。どの新聞も台所事情は苦しく、慢性的な発行部数の下落に悩むが、一つの新聞がある(高い)スタンダードを作ると、他の新聞もこれを追わざるを得なくなる。今日本にいるので、インディペンデントの新紙面を実際に手に取ることができない。紙の質のせいなのか印刷のせいなのか、紙面には少し暗い感じがあったが、今は「あかるーく」なったのかどうか、見ものだ。業界の先陣を切って、小型タブロイド判を導入したインディペンデントにすれば、遅い動きでもあった。
現在の発行部数は約23万部でこれは前年比で4%の減。他紙と部数を比較すれば、テレグラフは80-90万部、タイムズのは60万部、ガーディアンは30数万部となり、インディペンデンは最小だ。全面カラー化直前にはそれまで80ペンス(約160円)だった一部当たりの価格を一挙に25%上げて、1ポンド(200円)とした。読者からは不満が相次いだと言う。いくらなんでも上昇率が急すぎる感じだが、インディペンデント側は「将来に備えている」(編集長のロバート・オルトマン氏、ガーディアンの取材で)。
インディペンデントの全面カラー化は、元オブザーバー紙(日曜紙)の敏腕編集長だったオルトマン氏の、新編集長としての「お手並み拝見」という側面もあった。英新聞業界の暴露本「フラット・アース・ニュース」を読んでいたら、氏のエピソードが出ていた。その昔、オブザーバーの編集長となったばかりのオルトマン氏は、デービッド・ミリバンド(現外相)に、「今度はどんな新聞にするつもりか」?と聞かれたという。ミリバンド氏は「どんな政治スタンスになるか」を知りたかったのだが、オルトマン氏はセックスとスキャンダルと答えたようだ。すでに「ポスター紙面」と言われた、鋭いメッセージ性を持ったポスターのような1面構成をやめているが、今回の紙面刷新でも、娯楽性を強めたという批評がガーディアン紙に載っていた。特に手厳しい批判をしてきた評論家ロイ・グリンスレード氏は今回も厳しい。
http://www.guardian.co.uk/media/greenslade/2008/sep/24/2
上記アドレスから飛ぶイブニングスタンダードの氏のコラムでは、インディペンデントのジャーナリズムの質を問題にしている。「あまり読みたいと思う記事がない」という部分があり、これは私も知人などからよく聞く。売りの「ポスター紙面」を失ったインディペンデントの新しい売りは何になるのだろう?