小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

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カテゴリ:日本関連( 101 )

もう、「上から」は通用しない

 日本新聞協会が出している月刊誌「新聞研究」の1月号が、「ネットと新聞と」いう特集をしている。

 ネット上で内容が公開されていないので、若干抜粋の上ここで紹介してみたい。

 現在の日本の新聞業界の懸念は、若者の新聞離れとインターネットの新聞購読数への影響だ。

 日本経済新聞社、日経デジタルコア事務局代表部幹事の坪田知己さんという方が「柔軟な発想でビジネス再構築を」という題名の記事を特集の中で書いている。

 坪田さんは慶応大学でも教えており、自分自身もウエブログを読んだり(書いたりも?)しているようだ。理論だけでなく、実体験からにじみ出た原稿は、やっぱりそうか、とうなずける部分が多いものだった。

 「大学生と日常的に接していて、驚くのは、新聞の購読者数が非常に少ないことだ。彼らは、『ニュースはネットで知るし、必要な情報はネットやテレビ、友人とのメール交換などで充足している』という。新聞を購読しない理由が『お金がもったいない』が大多数だ。学生の支出として、携帯電話は必須で、次にインターネットの利用料を払うと、新聞への支出の余裕はないというのが本音だ。」

 沖縄出身のバンド「モンゴル800」が口コミやメール交換で人気が出たという例を挙げ、「・・・専門化・多様化した情報ニーズに対して、新聞は応えられていない。取材源が行政、警察、企業、有名人なので、『型にはまった』情報しか伝えられていない」。

 どきっとするような指摘だ。確かに、行政から出た情報を追う傾向があるからだ。

 ブログなどが人気になっている例を挙げ、「つまり、社会の構成が1つの権威の下に不特定多数がぶら下がるピラミッド構造から、顔が見える関係、メールをやりとりする関係の特定中数の複合という関係に変わりつつあるのではないか」。

 「情報伝達の構造も、報道機関の記者が取材して、紋切り型の記事を書いて伝えることよろも、現場の人々の肉声や、書き込みを見るほうが真実味があるし、体温が感じられる」。

 「・・・残念なのは、ネットに親しんでいる人々から見て、新聞社は大変時代遅れに見えていることだ。リンクについての制限や、見出しについて著作権を主張して訴訟を起こすとかは、ユーザー側から見て『ネットとの付き合い方に慣れていない』という印象を与えている」。

 これも、うなずける発言だ。

 結論として、「『未来永劫、新聞社が守るべきものは何か』と問われたら、私は、『ジャーナリズム』という以外にない」。

 「インターネットがブロードバンド化して、ネット上は映像の時代になるという人がいる。私はそうは思わない。映像は情緒的だが、文字は論理的で、冷静に物事を考えるには、文字は絶対的に有利だ」。

 「・・文字系ジャーナリズムという大きな資産を持っている新聞社が、それを生かして100年後にも生き残る道を考えるべき時期に来ている」。

 坪田さんは、「文字は残る」としているが、「紙jは残る、とは言っていない。ネット上で、あるいは電子の紙(?)などで読むことを想定しているのだろうか?

 通常、日本の新聞関係者は「紙は残る」といいたがる。それを言わなかった坪田さん。英ガーディアン紙の編集長が、「ネットで勝負」といっていたのを思い出させる。
 

 世界の中で、ネットを使った新聞で一番進んでいるのはどこだろう?

 それは、(知る人ぞ知る)オーマイニュースに代表される韓国だと言われている。

 (次回、「新聞研究」1月号のネットと新聞特集から、韓国の記事を抜粋紹介します。)


by polimediauk | 2005-01-10 08:10 | 日本関連