小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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カテゴリ:日本関連( 106 )

 しばらくブログの更新が滞っていましたが、少し前から、日本に一時帰国中です。

 東京近辺におりますが、東北(盛岡、秋田、青森、仙台)にも出かける機会がありました。家族の用事などでバタバタし、あっという間に日が過ぎております。

 私の田舎は十和田湖(秋田・青森にまたがる)に近いのですが、久しぶりに見た湖水の静けさと美しさにしばし、呆然としました。学校の遠足などで何度も行ったことがあるのですが、年を取って、戻ってきて、改めてこれほど美しい自然があったことを驚きの思いで学びました。車に乗ると、発荷峠めがけて、坂道を下ってゆくようなことになります。ぐるり、ぐるりと山を降りていって、最後の下り坂で、突然、湖水が下に見えてきます。土地の人も、「何度見ても、ぐっとくる」そうで、私もそうでした。

 今回はまる2年ぶりの帰国で、前もそうでしたが、やはり、浦島太郎状態です。日本のテレビや人の働き振り、電車の動き方、いろいろな価値観に触れて、「??」と思いながらも、自分がいかにいろいろなことを知らないかを思い知るばかり。たとえ生まれ育った国であっても、言葉は十分理解できても、日本はある意味では自分にとっては外国になってしまったのかなあと思ったり。

 今回の帰国の大きな目的の1つは、秋田にある父のお骨を東京に持って帰ることでした。秋田の家には、父が残したたくさんの本やスクラップブック、雑誌、レコードなどが、ほこりにまみれて残っていました。私の父は高校の国語の教師でしたが、趣味で戯曲を書いていたので、いろいろなものが置いてあります。ほこりを払い、雑巾で拭き、じゅうたんに残る虫の死骸を掃除機で吸い、日差しで本が傷まないよう、毛布や布で本やレコードをおおってから、東京に帰ってきました。何とかお金を貯めて、本を収容するケースを買って、じっくり分類したり、読んでみたい・・・新たな夢ができました。

 
by polimediauk | 2011-10-22 22:45 | 日本関連
 月刊誌「世界」10月号は、9.11テロから10年を特集のテーマとして選び、様々な記事を出している。

 この中の1つに、翻訳家・リサーチャーで米国に住む宮前ゆかりさんが、フェニックス空港で「パットダウン」と呼ばれる全身検査(「性器も含め身体全体を過剰に触る」のだという)の利用を拒否したことがきっかけで、性的暴行罪という不当な嫌疑をかけられ、逮捕されたエピソードをつづっている(「権利章典の崩壊 -私はなぜ逮捕されたのか」)。この体験を通じて、宮前さんは米国運輸保安局(TSA)の過剰なパットダウンによって、体につけた医療機器を取り上げられたり、手術の傷を手荒く触られたり、性的いたずらをされたりなど、様々な被害や精神的トラウマを乗客にもたらしていることを知ったという。

 詳細は記事をご覧になっていただきたいが、「冤罪の責任を追及し名誉を回復するため」に、宮前さんは法的コストを捻出せざるを得なくなった。

弁護基金サイト www.facebook.com/YukariDefense
関連サイトhttp://causewayllc.com/yukaridefense.html

 宮前さんは最近出た、「ウィキリークスの時代」(グレッグ・ミッチェル著、岩波書店)の訳者でもある。

***

 ガーディアンの土曜日版についてくる雑誌「ガーディアン・ウイークエンド」(9月10日号)に、ジョナサン・ワッツによる「福島 6ヶ月 まだ終わっていない」という長い記事が載っていた。

Fukushima disaster: it's not over yet
http://www.guardian.co.uk/world/2011/sep/09/fukushima-japan-nuclear-disaster-aftermath?INTCMP=SRCH

 ワッツはガーディアンの元東京支局長で、今は中国特派員だ。福島の被災地を訪れ、人の気持ちのありようを探った記事だ。長いがあっという間に読める記事で、確かなもの・ことが消えてしまった3.11大震災の後で、それぞれの人が自分で危険度レベルを測定したり、場合によって福島を出て行ったりする様子を描く。

 この記事で大きく表れてくるのが、おそらく日本全体でも共有される、政府や自治体そして大企業(東京電力)への強い不信感と将来に対する不安感だ。「誰も本当のことを言ってくれない」あるいは「どれが本当のことなのか、分からない・判断できない」状態の中で、母親、働き手、若者たち一人ひとりが、大きな不安感を抱きながら、生きている。

「静かに朽ちてゆく」状態の福島の状況を見て、ワッツは「放射能汚染については一年前よりは恐れていないが、日本については、もっと心配している」と最後に書いている。
by polimediauk | 2011-09-12 17:25 | 日本関連
 
 
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 知人から教えてもらったのですが、原発で働いた人たちが、その後、様々な健康被害に苦しんでいること、何故危険な原発作業員になったかなどを、カメラマン樋口健二さんが丹念に追った25分間の動画があります。

 「隠された被爆労働 -日本の原発労働者」という題で、1995年に英チャンネル4で放映されたとのことです。

http://video.google.com/videoplay?docid=4411946789896689299#


 この件にご関心のある方は、是非、ご覧ください。

 1995年時点から、2011年の現在までに、作業員が働く状況は大きく変わっているのでしょうか?(もし分かっている方は教えてください。)「もうすっかり、状況は変わっているよ」という声が届くことを期待しています。
by polimediauk | 2011-06-06 02:40 | 日本関連
 うっかりして、元記事のリンクを入れるのを忘れました!

 Japan tsunami: Fukushima Fifty, the first interview
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/asia/japan/8408863/Japan-tsunami-Fukushima-Fifty-the-first-interview.html

 間違いほか、ご指摘くださると幸いです。

 ****

 サンデー・テレグラフで、「福島50」(フクシマ・フィフティー)と名づけられた、福島原発事故の作業に当たる人々(約50人といわれていたことから「フィフティー」と呼ばれた)への取材記事が載っている。顔写真つきで、はっきりと声が出ている。

 福島で取材をしたのはアンドリュー・ギリガンとロバート・メンディック記者である。これまで、顔が見えないと言われた作業員たちは、「狭く、暗い空間で作業をすることの恐怖、家族への思い、それでも作業を続けていくという意志」を語ってくれたという。

 顔写真が出ているのは、電気技師の田村アキラさんと、チームのリーダーの一人鈴木ノブヒデさんである(名前は漢字が不明なので、ここではカタカナ表記)。作業員たちへの取材は、原発から2-3キロの距離の海岸沿いに浮かんだ、カイオウ丸船上での休憩中に行われた。

 カイオウ丸の乗組員によると、作業員たちは「非常に静か」で、食事中もほとんど会話はい。ビールを勧められると、断ったという。

 福島原発第3号のメルトダウンで、東京消防庁の消防救助機動部隊を率いたのが福留カズヒコさん。作業中、あたりは「真っ暗でした」と語る。「真夜中で、見えるのは自分たちの頭につけたトーチのみ。原子炉からは煙と蒸気が立ち上っていました。全てが失敗してしまったので、海水を入れて冷却するために(政府は)私たちを呼んだんです」。

「私たちは国家公務員じゃないんです。東京都の職員ですから。でも、政府はほかに手立てがなかった。最後の手段だったんでしょう」。

 救助作業の指示が出たのが午後11時。福留さんは自宅にいた。「簡潔な指示で、チームを集めて、福島に行くように、と。それで電話は終わりでした」「妻の方を見て、『福島に行くよ』と言ったら、妻はショックを受けていましたが、落ち着いた表情を見せて、『気をつけて』と言ってくれました」

 福島に行く指令を断るということは福留さんの頭には浮かばなかったという。「作業員たちは大きな懸念を抱えていました。たいていの作業を私たちは練習して来ましたが、これは経験したことがない敵なのです」

 午前2時に現場に到着し、チームは二班に分かれた。消防車の1つは、海水を汲み上げるため、できうる限り海面に近い場所に行った。2台目の消防車は、放水をするために、原子炉から6メートル以内の場所に置かれ、3台目はその途中に置かれた。
 
「すべてが瓦礫におおわれて、私たちが想像していた状況よりも悪い状況でした。」
 
「コンクリートの塊があちこちにあって、マンホールのカバーは吹き飛ばされていました。道も通れないようになっていました」。海水を汲み上げることができる場所に消防車を置くことができず、真夜中の真っ暗な中を、作業員たちはホースを持って800メートル近くを走り、海面にホースを入れたという。

 放射能が危険なレベルに達したときに、いつでも退避できるよう、車を待機させていたが、この作業の間、放射能は原子炉から流れ出ていた、とギリガン記者は書く。

 お互いに声をかけながらーー呼吸マスクをつけていたので、叫び声になりながらーーもっとホースを引いてくれ、あと少しだぞ、といいながら作業を続けた。水がホースに流れ出すと、作業員たちは、歓喜のこぶしを宙にあげたという。

 呼吸マスクを除くと、作業員たちが身に着けていたのはオレンジ色のボイラー・スーツだった。26時間の作業後、休憩所に連れて行かれ、検査を受けた。衣類は放射能を浴びていたので、押収された。身体を洗い、放射線照射をテストされた。「完全にクリアになったわけではないが、大丈夫ということで、解放された」と福留さん。「自分は大丈夫だと思う。衣類は汚染されたけど、自分の身体は大丈夫だと思う」。

 「電気が戻ってよかったと思う。あれほど暗い中で作業をするのは大変だったから」と田村アキラさんが言う。「作業をしたケーブルの一部はとても高い場所にあった。こちらが思うほどには作業はうまく行かなかったので、心配だ」。

 多くの作業員は、簡素な、白い使い捨て用のオーバーオールを着ていた。放射性物資が直接肌につかないよう遮断できても、ほとんどの放射能の被爆を予防はできないという。

 作業員は2つのバッジを身に着ける。放射能が危険なレベルに達したときに、知らせてくれるバッジである。「最悪の場所に長時間いないようにしたいと思う。常時いるのでなかったら、大丈夫と言われた」とある男性が話す。(ギリガン記者が作業員に取材をした日、別の作業員チームの二人が被爆した報道が出た。)

 原子炉を冷却化する作業の中で、田村さんを含む作業員は、当初、発電所の床で寝ていたという。「シフト制になっておらず、私たちは24時間体制で働いています」「また明日は原発に戻ります」「1時間作業をして2時間休むというやり方をしてきました」「最初は10人の作業員でしたが、今は30人に増えたので、休みを取って食事を取ることができます」

 チームのリーダー、鈴木ノブヒデさんが言う。「私たちは非常に神経質になっています。緊張感が漂っています。でも、作業を続けなければいけません。肩に大きな責任を感じます。世界中が見ているし、みんなが応援してくれています。私たちが孤立していないと感じています」。

 外の世界へのメッセージはと聞かれ、鈴木さんは「今考えられるのは作業を続けていくことです。毎日、戦っています。応援してください」。

 32歳のある男性作業員が言う。「とっても怖いです。いつも恐怖におびえています」「でも、これは重要だし、やらなければならないことーこれが私を動かしています」。

 記者が取材した作業員たちは、事故発生から家族に会っていない。「妻と両親にできれば会いたい」と田村さん。「メールで連絡を取っています。とても心配しているようです」。

 「電話で一度話したきりです」と鈴木さん。「子供は応援するといってくれましたが、妻とは話してません。妻は動揺が強すぎて、話せなかったのです」。

 こうした勇気ある作業員たちの家のほとんどが原発事故による避難地域にあるため、大部分の作業員たちには、戻る家がないのだとギリガン記者は記している。






 
by polimediauk | 2011-03-27 20:54 | 日本関連
 昨日に続き、東洋経済オンラインにもう1つのインタビュー記事が出ている。

東日本大震災を試練に日本は自信を取り戻す――英メディアが見た大震災下の日本http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/7b78588dd49be0ae5802692dd4fe2e26/

 今回は、英「エコノミスト」誌、アジア担当エディターのドミニク・ジーグラー氏のインタビューである。同氏はコラム「BANYAN」を毎週執筆。1994年から2000年、中国特派員、05年から09年、東京支局長を含め、過去18年間、アジア地域の報道を担当している。
 
 取材時のこぼれ話だが、もっとも盛り上がった話題の1つはメディア批判。それと、日本に「静かな革命が起きている」という話も印象的だった。

 ジーグラー氏は、ジーンズにセーターの楽な姿で受付に姿を表し、まず日本語であいさつ。非常に気さくな雰囲気を持つ人で、これだったらどこに行っても、その土地の情景の一つになるのだろうなあと思わせた。

 私は前にもエコノミストの人に、「何故雑誌が売れているのか」「質の高い記事が出せる理由は何か」を聞いてきた。今回も、ジーグラー氏に聞いてみると、まず、「質の高いジャーナリストがいるから」という私が挙げた理由に同意しながらも、同氏は、もっと大きな理由として「取材する相手の質が高いから」を挙げた。内部事情をよく知る人、政府や組織の上部にいる人への取材に加え、経営職などにいない、普通の市民、さまざまな職業で働く人などと、広く「会話をしているから」だそうだ。

 「取材相手の質が高いから、質の高い情報をとることができ、質の高い情報を発信できる」-これは、まさに、言われてみるとそうだなあと思った。ここでエコノミスト好調の秘密が、また1つ分かったように思えた。

 そして、質の高さのほかの理由として、エコノミストが報道機関として独立している点を挙げた。「エコノミストの所有者が編集部にああしろ、こうしろということはない」。所有者からは独立している理事会が間に入ることによって、エコノミストには独立した編集権が与えられている。

 「私たちは自分たちが信じる文脈を報道している。外部からの制約はない」

 では、日本のメディアはどう見えるのだろう?

 「日本での経験から言うと、大手報道機関のほとんどが、自分たちが知っていることあるいは考えていることを報道しない印象を持った。大手報道機関が制約を受けるのは、特に政治エスタブリッシュメントとの関係があるからだ。報道機関の所有者と権力者側との馴れ合い関係があるからだ。不健全な関係であり、時にはプロとしてのレベルに達しない報道になってしまう」。政治エスタブリッシュメントは政治家、政治界で働く人のみならず、政治家に近い学者なども入るだろう。

 エコノミストのスタッフは、今、世界中で80人ほどだという。日本では政府の記者会見などに出席できているのかと聞くと、

 「できるが、かつては難しかった。記者クラブ体制の問題の1つは、クラブに所属する記者と管轄省庁との関係が親密になってしまう点だ」「外部の人を入れない排他的なクラブのメンバーにはなりなくない。この非常に緊密なクラブ体制の外で仕事をしたい」。

 この後で、日本で起きている「静かな革命」、つまりは、民主党政権の発足を国民が選択したこと、インターネットメディアの勃興・成長、若者層が様々な意見を出すようになってきたことなどの話になり、最後は、「メディアは変わっていると思うか」という質問になった。これは東洋経済のネットの記事にも出ているのだが、日本のメディアは「あまりにも政治エスタブリッシュメントに対して、慇懃・ていねい過ぎる」という話になる。

 ジーグラー氏は、日本の大手報道機関が、政治エスタブリッシュメントに非常に丁寧すぎて、本当の問題を国民のために報道しないことを指摘する。「これは日本のメディアの大きな弱点だ」。

 面白いのは、同氏は東京支局長だったころ、同じ質問を何度もされたという。日本のメディアを論評して欲しい、と。答えはいつも同じだったという。「テレビ局にも何度も同じ質問を受けた。しかし、私が今のように答えると、インタビューの後、私のコメントは一度として、放映されることはなかった」という。―取材をしているときのトピックにあわなかったので放映されなかったかもしれないが、お互いに、沈黙してしまった瞬間だった。

 











 
by polimediauk | 2011-03-23 21:49 | 日本関連
 日本は国外でどう見られているか?

 これは本来はあまり気にするべきことではないだろう。新聞は、何か事件があったとき、国外の見方を紹介する記事を良く作るけれど、これはあくまで「参考」であって、その見方は当たっているかも知れなし、当たっていないかもしれない。ステレオタイプかもしれない。

 それでも、もし英国での今回の日本の地震と津波発生の報道を紹介するとすれば、大体共通しているのが:

*非常に報道が詳しいー地理的な説明、何故地震や津波が起きたのか、何故原発が日本にとって大事なのかを、ありとあらゆるコメンテーターや情報を使って英国民に説明している。テレビのニュースは時間を目一杯とり、新聞もたくさん紙面を使っている
*主眼になっているのは、これほど大きな自然災害であったことへの驚き、犠牲者への大きな同情、原発の事故の可能性でどれだけ被害が出るかへの高い関心など。サン紙は、1面に、大きな写真に、一言、「黙示録」とつけた。
*報道のトーンとしては、日本に対する敬意がいろいろな箇所ににじみ出ている。「地震がたくさん発生する国日本で、今回これほどの地震と津波が起きた」「地震に対しては準備万端だったろうけど、津波は防げなかったーでも仕方ないだろう」「地震対策はすごいはずだが」「私たち英国人のアドバイスなどは、あまり参考にならないだろうが(日本には相当な知識と技術があるのだから)」-という表現をよく聞いた。「敬意」というのは、もしかしたら、やや「劣等感」あるいは「気後れ感」もあるかもしれない。何せ、ちょっとしたことで電車が止まり、交通状態が麻痺してしまったり、郵便が届かなくなるのが英国だから。2012年のロンドンオリンピックも、まともに交通機関が動くと信じている人は少ない。必ず何か失策が起きそうである。

 地震発生二日目に犠牲者が数百人規模で出ていることが分かったので、明日以降の新聞はまた別のトーンになると思うが、とりあえず、発生の夜に作った、本日付の各紙は6ページほどの特集がザラだった。

 フィナンシャル・タイムズは、希望的観測の論考が多い。神戸の地震(1995年)と比較して、当局が着々と救済策に力を入れていることを誉め、「日本はこれをきっと乗り越える」という結末など。例えば社説の見出しは「日本は自然災害を吸収する」である。

 論説面の記事の一つが、日本在住のピーター・タスカ氏の論考、「日本は回復力が豊かな国」(Japan is rich in resilience)。自分の体験を書き、後半が日本を励ますような記事。

 やや拾ってみると
http://www.ft.com/cms/s/0/c8576f88-4c19-11e0-82df-00144feab49a.html#axzz1GQWq4amq

 「表面的には、日本はひどい状況だ。管首相は低下する世論調査の数字や金融スキャンダルの餌食になる、幾人もの首相の一人だ」「経済はG7の中でももっとも大きく打撃を受けている」「東証トピックスは1985年レベルで止まっている」

 「日本の隠された資産は、国民からだけでなく、十分に高く評価されていない」、例えば「2007年夏から円は対ユーロ、ポンド、ドルなどで急激に上昇している。それでも、上場企業は来年には利益のピークに至るだろう。これは現状では、本当にすごい業績だし、1990年代以降、日本の経営がいかに大きく変わったかの証拠でもある」

 「日本では急速に高齢化が進んでいるが、これが良いか悪いかは別として、大量の移民労働者に対し、門戸を開いていない」「その代わり、日本の勤労者は長い年月を働きつづける。労働市場の20%以上が65歳以上なのだ。欧州では5%以下だ」

 「80代の人でも警備員やレストランで働いている。しかも意気揚々としている。年金だけにたよるのは昔から軽蔑されている」「日本は電化製品ではトップの座にはないかもしれないが、リアリズムでは世界の先駆者だ」

 「若者たちは、無関心や政治への関与をしないことを高齢者たちから批判されているが、神戸大地震の副産物の1つはボランティアが広まったことだ」「100万人がボランティアに従事している」「(当時は)日本のやくざでさえも、生存者たちに無料で食べ物を配った」「互いに助け合うネットワークが自然にできた」

 「危機や自然災害は前向きの変化を引き起こすかもしれない」「ニーチェがいったように、あなたを殺さないものは、あなたを強くするのだ」「この災害は日本を殺さない。日本は心理的により強くなるかもしれないー地震の処理がうまくいけば」

 「なまずに石を戻してくれる神がいるとは誰も思っていない(注:前の文章に、なまずと地震の話がある)」「自分たちでやらないとだめなのだ」

 「日本に対して楽観的になる最大の理由は、厳しい20年間をかいくぐった、社会資産(=ソーシャル・キャピタル)があるからだ」。

 *最後のソーシャル・キャピタルは、人的資源、助け合うネットワーク、80代になっても嬉々として働く人々のことを指していると思われる。

***

 日を追うごとに暗いニュースになるだろうし、海外のニュースを読んでいる気持ちの余裕はなくなるだろうけれど、とりあえず、紹介してみた。
by polimediauk | 2011-03-13 07:37 | 日本関連
 前回、BBCのQI問題について書いたが、「私なら笑って、無視する」という表題や内容に、疑問や怒り(場合によっては)を感じた方が結構、いらっしゃるかもしれない。

 ある意味ではシンプルなことを、いかにそれがシンプルで、他愛ないことであったかを説明するために、汗をかいてしまうーそんな状況に私たちはいると思う。

 どれほど、「このクリップに関しては、大きく抗議するほどのことではないよ」「私はそう思うよ」と言っても、「被爆・原爆をコメディー番組のトピックにしたこと自体がいやだ」という感情は消えないだろうし、「第一、君(=小林)の判断力はちょっとおかしいんじゃないか」と、思う人も結構いらっしゃると思う。

 そこで英語ブログ「アワ・マン・イン・アビコ」の話になる。日本に住む英国人男性が書いたものであるようだ〔最後にアドレスをつけている〕。

 このブログの優れたところは、これが「英国人が」書いた部分(英国人――英国国籍保持者――のみが、今回のクリップの意味が分かる、と自動的に考えるのは、これはこれで必ずしも正しくはないが、まあそれは脇において)というよりも、もちろん、「英国人=英国のユーモアやもろもろが分かる」という部分は重要なのだが、それ以上におもしろいのが、この書き手が、自分の妻(=日本人)の母親、つまり義理の親に,事態を説明する、という部分である。

 その母親は読売新聞やテレビを見てニュース情報を得ている。

 そんな彼女に、いかに分かりやすく、的をついた返事をするか、そして、ここが肝心だが、「家族の一員として正直に、誠実に答える」必要に迫られる。

 ・・・まあ、やや深読みかもしれないが、非常におもしろい状況ができたわけである。

 こうして、この男性はーーすこしフィクションが入っているのかもしれないけれどもーー義母に、説明しだすー。

 私も、もし自分の日本の家族に聞かれたら、どうするかなと考える。うそはつけない。正直にかつ、わかりやすくなければならない。私の答えは「アワ・マン・イン・アビコ」のようなことになるだろうーー家族は「ふーん・・・」(でもなんだかよく分からないなあという反応)になるかもしれないが。

 メモ魔さんが読みやすく翻訳してくれている。良かったら、ご参照願いたい。
【ブログ翻訳】「私は如何にして心配するのを止めてQIを愛するようになったか」(Our Man in Abiko)
http://nofrills.seesaa.net/article/182228183.html

***補足〔長い!)

 他の方のブログやツイッターでもうご存知かもしれないが、英国でQIは人気番組の1つだけれど、あえて見ない人もたくさんいる。見るに値しない(十分なギャグがない、司会者が嫌い、下品など)と思ってチャンネルを合わせない人がたくさんいると思う。なので、「誰もがこの番組を愛し、ジョークに笑っている」わけではない。〔また、今、問題にしていることとは直接関係ないかもしれないが、私個人が見ることはほとんどない。理由は、著名人・知識人の司会者と彼にお世辞を言わざるを得ない周りのコメディアン・出演者たちとのくっつき具合が見苦しいから。家人はよく見ているようなので、男性には受けるのかなと思う。あくまで個人的嗜好の問題かもしれないが。)

 それと、被爆・原爆をジョークのトピックとして使うこと自体に、不快感を感じる、悪趣味と感じる人も、過半数ではないかもしれないが、結構いると思う。調査したわけではないので数字は分からないけど。家人ーー戦後生まれ、初老、日本居住経験10年以上ーの例を出せば、「QIの原爆を扱ったクリップ」と聞いただけで、「見たくない」と言ったーーただ、後で、日本軍による戦中の捕虜の「残酷な記事」を新聞で見つけ、私に持ってきた。また、知人の英国人たちと話していて、原爆の話になると、「本当にひどいことでしたね」とよく分かっている人が結構いる。英国人全体の話ではもちろんないが、「少人数でも、分かっている人は分かっている」し、日本に対する敬意は漠然とだがあるように思うー国の話をするとすれば、だが。(きりがないので、とりあえず、終。)
 


 
by polimediauk | 2011-01-24 19:39 | 日本関連
 少し前に、ツイッターで、「QI」という番組の英国での評判を聞かれ、「?」と思っていたら、翌日、その意味がわかった。日本の新聞が一斉にこの番組について、書いていたのだ。

 ブログサイトBLOGOSでも、盛り上がっていた。皆さんも、もうすでにご覧になったことと思う。

BBCの二重被爆者嘲笑問題に対する反響について
http://news.livedoor.com/article/detail/5289579/
質の悪いエゲレスジョークとか笑い飛ばしてれば良いんだよ
http://news.livedoor.com/article/detail/5289342/
英BBCお笑い番組に激怒する日経社説
http://news.livedoor.com/article/detail/5288149/

 私はこの間、主にツイッターでいろいろ書いたり、考えたりしていたのだが、あっという間にこの番組の「問題」クリップの和訳が行われ、驚いてしまう。

BBC「QI」の出演者たちは実際に何を言っているのか? これが「被爆を嘲笑」?http://blog.goo.ne.jp/mithrandir9/e/5d8249376ac2592288a873dcbf11e412

 また、詳しい解説は、これまでに何度かご紹介させていただいている、メモ魔さんの

ポターズ・バー鉄道事故、the wrong kind of snow, そして「二重被爆者」――バラエティ・クイズ番組QIで何が語られ何が笑われていたか

http://nofrills.seesaa.net/article/182037095.html

 さらに、BBCとガーディアン記事もある
BBC apologises for Japanese atomic bomb jokes on QI quiz show
http://www.guardian.co.uk/media/2011/jan/23/bbc-apology-atomic-bomb-jokes

BBC apologises for Japanese atomic bomb jokes on QI
http://www.bbc.co.uk/news/entertainment-arts-12260577

 ・・・と、ここまで多くの方があらゆることを議論して下ったので、私としては特に付け加えることはないのだけれどもーーもし良かったら、@ginkokobayashiで過去ツイートをご覧くださいーー、せっかく、通常英国のメディアを常に見ていること、在英の日本人であること、また、小林恭子という一人の人間として、どう見るか?ということを書いておいてもいいかも、と思った〔書いてみたら、長くなったことをお許しください)。
 
 QIはコメディークイズ番組で、問題のクリップはほんの3分ほど。そこで私が思ったのは


①自分は、笑ってしまった。
②被爆者や原爆を「嘲笑」しているどころか(一部の日本のメディアではそういわれていた)、「日本ってすごいね(鉄道がきちんと動く)」「被爆者の山口さん、命は助かって、良かったね」というメッセージが伝わってくる、むしろ日本に関してポジティブなクリップだと思った
③ある番組に関して、不満・苦情がある時、大使館(政府、国家権力)を通じてやるのはどうかな、と。もちろん、個人として何をしようと自由だけど、今回の場合、そんなハナシじゃないでしょ、と。
④日本の評判とか、名誉とか、いろんなものが侮辱されたとか、傷ついたとかと、日本人(のある人)が思って、集団として、大使館とか政府を通じて相手国に抗議するとき、気をつけたいのは、全く逆効果になる可能性があることを留意すべきではないか、と思った。
⑤BBC=英国、怒っている私たち=日本国、だから「日本の大使館へ」というのは、やや短絡過ぎないか、とも。BBC=英国じゃない。
〔以下は、すごく重要だと思うので、色を変えます。)

⑥上の話とはまったくの無関係な問題として、「もし」、被爆・原爆問題を外国のコメディー番組で、「どんな形にせよ」(つまり誉める以外は、ということだけど)取り上げること、これ自体が「けしからん」と思っているとしたら、これは1つの考え方だけど、これを相手(=自分ではない人物、自分とは違う価値観を持つ人物)に認めてもらうには、相当の覚悟が要るよ、と。
⑦現実的には、⑥は不可能だと思う。世界中の「懸念」を考慮に入れて、全部カバーして番組が作れるわけがない。
⑧もし被爆・原爆問題に関してのみ、ここで語るとすれば、被爆・原爆に関して、「特にひどい行為であった」と考える国は、世界中全部ではない、ということーこれが現実。
⑨⑧の一つの理由は、相手側の「知識が少ない」「無知」だから、では必ずしもなく、相手側が、つまりここでは例えば英国側が、「原爆投下の犠牲者」としてこちらが発言をしたり、相手に譲歩を求めたりすれば、「じゃあ、戦時中の日本軍による捕虜の取り扱いはどうなのか」と考える人も結構いるから。つまり、歴史や戦争の解釈はその国によってずいぶん違うのであるー当たり前のことを言って、すみませんがー。自分の痛み(=原爆のひどさ)が、他者にストレートに「分かってもらえない」(いくら知識を得てもらっても、感情的に認めないことも含め)場合も、世界ではある、ことを知ったほうがいいような気がしたーもう知っている人はたくさんいると思うが、あえてー。
 

 ・・・で、結局、どうしたらいいのか、今回の件は?

 先のガーディアンの記事でも紹介されていた、「アワ・マン・イン・アビコ」ブログが言うことと、私の結論は似てくる。(以下のブログは英語だが、そのうち誰かが訳してくれると思う。)
http://ourmaninabiko.blogspot.com/

 そして、上のコラムと「質の悪いエゲレスジョークとか笑い飛ばしてれば良いんだよ」と同じ考え。

 つまり、「ガハハ」と笑って(笑いたければー)、あるいは「フン、バーカ!」と思って、さっさと前に進むことである。

 このジョークで気をもんで、抗議していたら、体がいくつあっても、たまらないーそれが英国である。(といって、「英国ジョークを分かりなさい」とあなたに強要しているのではありません。)

 まじで、英国のもろもろのことを自分の目と頭を使って判断して、今回は「気にしなくてもいいレベル」と私が判断している、ということなのです。(あくまでも私の見方です。)

 最後に:このジョークの意味合いは、文章だけ読んでもぴんと来ないかもしれない。また、意味が細かく分かっても、それでもぴんと来なかったり、不愉快に思う人もいるかもしれない。でも、もしあなたが「被爆・原爆をコメディー番組のトピックに選んだこと」自体を問題視ししているのでなければ、ほんとーに、ほんとーに、このクリップはたいしたことではないのことなので、意味がぴんと来なくても、無視して、次に進むことが幸せへの近道だと思う。
by polimediauk | 2011-01-24 09:06 | 日本関連

 みなさん、「ブクログのパブー」:みんなで本を作ろうというサービスをご存知だろうか?


http://p.booklog.jp/


 会員になると(登録無料)、コンテンツさえ作れば、これを無料で電子書籍化してくれて、販売の道も作ってくれるサービスである。

 日本はなんと話が早いのだろう!驚いてしまう。つまり、米国ではアマゾンがやっているという話は聞いていたが、日本でもアイパッドの話あたりから、一斉に動き出した感じがする。どこもかしこも、電子書籍の話で持ちきりである。

 いとも簡単に本(電子書籍)ができてしまう。これはブームになるだろうか?例えばブログとかツイッターみたいに?今のところ、このサービスでできた本の値段は結構安いが、こんな価格でいいのかしら?という感じ。

 無料で出している人も結構いる。例えば(例の)佐々木さんは原稿(ただし文書としては初出)を無料で出している。こういう形で①知的情報が集まってくる効果と、②誰でも本にできてしまうと、その中でもランキングがついてゆくのでしょうね。ブログやツイッターでも人気者がいるように。読者が少なくても、例え仲間内だけで売れてゆくとしても、買った人が勝ちある情報だと思えばいいのだろう。なんだか面白そうである。

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c0016826_3293255.jpg お知らせです。月曜発売の週刊「東洋経済」で、メディア特集をやっているそうです。中に、私も英国の様子(タイムズ対ガーディアン、及びエコノミスト)を書いています。もしよかったら、どこかでご覧ください。書ききれなかった部分を後日、ご報告させてください。
by polimediauk | 2010-06-25 03:19 | 日本関連
 ツイッターで元気の出るつぶやきを発信しているジャーナリストの神田敏晶さん @knnkanda (著書「Twitter革命」など)が、ある番組への出演をスポンサー(東京電力)からの依頼でキャンセルされていたことが分かった。そして、なんとその理由は、神田さんが6年前に書いたブログ(らしい)のである。

 この経緯を神田さん自身がブログで書いている。

 6年も前のブログでニッポン放送?東京電力?からドタキャンをくらう話。
http://knn.typepad.com/knn/

 ブログによると、年末に番組出演依頼を受け、これを承諾。今月11日、出演のために出かける直前、放送局から電話をもらい、キャンセルの件を聞いて驚愕する。放送局担当者は、キャンセルの件を留守電に残していたと説明する。その断り方自体がすでに悪い感じだが、後にメールを受けたところ、「スポンサーの東京電力さんから、過去の発言のチェックが入りまして今回のゲストは見合わせてほしいという要望がありました」といわれる。

 過去の発言とは6年前の自分のブログの中での、劣化ウラン弾に関する部分だったらしい。

 神田さんのブログで、次の箇所にほろっと来た。

―こんなブログのエントリを書くことによって、従来のマスメディアからはクライアント保護の立場から、ボクを使ってもらえなくなることも覚悟しなければならない。(中略)幸い、ボクには失うものなど何もない。そして、ジャーナリストである。常に、自分の信じる真実を公表していきたい。―

 それにしても・・・こんなことが起きるなんて、まったく驚きである。日本はなんとすごいのだろう。英国でもこういうことは起きているのだろうか?もし英国でこういう類の話が表ざたになったら、新聞の1面で大きく批判されるだろう。報道・表現の自由を侵すことになる。第一、「6年前の」「個人のブログ」での、しかもブログ内の記事を読めば分かるが、東京電力を名指しで批判しているわけでもないのに、こんなことになったのである。スポンサーの力が、なんと強いのだろう。(なんだか、報道の自由がないと悪名高き別の国の話のようだ・・・どの国かはご想像にお任せします。)

 これは東電だけの話ではないだろう。「東電なるもの」の尻の穴の小ささ(失礼!)+官僚主義的発想+スポンサーとしての振る舞い(何をしてもよい)というのは、一種のパターンではないのだろうか?

 というのは、日本で会社に勤めていたころ、多かれ少なかれ、こういう体験をした。つまり、「東電なるもの」的振る舞いは常に蔓延していた。

日本の新聞やテレビが、この一件を大きく扱って(批判して)ほしいものだ。

 追加:以下の記事の担当者が東電に取材したところ、一切キャンセルしてほしいというリクエストを出していないことがわかりました(のようです)。するといったい誰が嘘をついたのか?ニッポン放送担当者?何だか錯綜してきたようです。(付け加えると、こういうことはよくありそうですーつらいですね。)

http://getnews.jp/archives/44291
by polimediauk | 2010-01-11 22:50 | 日本関連