小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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「消費者が受け取りたいような方法で、ニュースを配信するにはどうするか」

 メディア王と呼ばれるルパート・マードック氏が4月13日、アメリカの新聞業界団体American Society of Newspaper Editorsで講演を行った。マードック氏はタイムズ、サンなど英紙の所有者であり、衛星放送のスカイテレビ、アメリカのフォックス・ニュースなども傘下に置いている。

 マードック氏は新聞・メディアの将来に関してどう見ているのだろうか?

 おもしろいと思ったのは、新聞業界では(ここでは米国を指すが、米国に限らないと見て良いだろう)記者や編集担当者が何がニュースかを決めてそれを読者に提供するというパターンがあるが、ネットに慣れた若者たちは、自分たちで何が重要なニュースであるかを判断したい、つまりニュースの管理を自分たち自身で行いたいと思っている、とする分析だ。他のこれまでの報道でも同様の点が指摘されているが、マードック氏がこれに気づいている点に新鮮な感銘を覚えた。というのも、これは、ある意味では、既存の新聞の報道体制、ニュースの提供の仕方を根本から否定する、あるいは覆すような事態が起きている・起きつつあることを認識している、ということを意味すると思ったからだ。ブログの存在にも言及しているが、ニュースを紙の媒体からでなくネットから得る若者が増える現状に対して、かなり強い危機感を持っているようだ。

 以下は、英文の中からの一部抜粋。(オリジナル英文スピーチ原稿
http://media.guardian.co.uk/city/story/0,7497,1459456,00.html)

 「米カーネギー・コーポレーションの調査によれば、現在、ニュース産業の中で劇的な革命が起きている。ニュース報道の将来の方向を、テクノロジーに長けた若者たちが変えている。若者たちは伝統的な方法でニュースにアクセスしていない。

 18歳から34歳の消費者の多くが、伝統的ニュース媒体からではなく、ネットからニュースを得ている。新聞に対する態度も驚くほど変わっている。たった9%が新聞に書かれてあることは信頼に足るとしており、8%が役に立つ、4%がおもしろいと答えている。

 若者たちは朝刊から最新の情報を得ようとはしない。神様のような存在が、何が重要かを自分たちに教えてくれることを必要としていない。新聞にゴスペルの役目を果たして欲しいとは思っていない。代わりに、自分たちが必要なときにだけ情報を得たいと思っている。自分がアクセスするメディアの管理を自分たちでしたいと思っている。メディアにコントロールされたくないと思っている。

 こうした変化に対し、我々(既存メディア)の反応は遅かった。新聞の発行部数が段々減っていくのを黙ってみていた。

 「消える新聞」The Vanishing Newspaperという本を書いたフィリップ・マイヤー氏 Philip Meyerによれば、最後の紙の新聞が出るのは2040年の4月だと予測している。

 こうした事態が続いたのは、理由があった。まず、新聞は印刷機の誕生からラジオ放送の開始まで、何世紀もの間、実質的には情報を独占するメディアとして存在してきた。第2に、テレビが出現後の読者数の減少は、人口増によって隠されてしまった。第3に、1990年代から発行部数自体は減少の一歩をたどったのにも関わらず、利益は伸びていた。

 しかし、もはやこのような時代は終わった。読者は、スピードのあるサーチ・エンジン、ターゲット化された広告や編集内容にアクセスできる。毎年、少なくとも40億ドルがこうしたプロセスをさらに前進させるための開発費として使われている。

 5-6年前と比べて状況は変わっている。ジャーナリズムを改善させ、我々のリーチを拡大する機会にもなり得る。

 テレビはニュースを見る1つの方法であり、新聞の一部になることはない。しかし、ネットは違う。この部屋にいる人が代表する新聞の中で、独自のウエブサイトを持たないものはないだろう。しかし、読者に奉仕し、ビジネスを強くし、読者が自分たちにとって重要だと思うニュースを提供できているかどうかといった面から、新聞各紙が自社のウエブサイトを最大限に活用していると言えるだろうか?

 若い人が新聞を読まなくなっているからと言って、ニュースがいらないといっているわけではない。たくさんニュースを欲しがっているが、もっと早く、違うタイプのニュースを違う方法で入手したいと思っているのだ。

 新聞業界には経験、ブランド力、リソースがあり、私たちはどうやってニュースを報道するかを知っている。そんな新聞業界が新しいタイプの消費者に到達する際のパートナーになるのがインターネットだ。

 消費者が受け取りたいような方法でニュースを配信するにはどうするか?これまで、私たちは自分たちの(報道機関としての)競争力を使ってニュース配信を行ってきたが、これからは偏見から頭を解放し、新しい消費者に自分たちもなったつもりで考える必要がある。

 あるニュースの報道のされ方、調査の仕方などに関して新聞記者や編集者と議論するための場所として、読者にウエブサイトを紹介するべきだ。同時に、ブログによって、私達が毎日提供する報道を補強する実験を始める。こうした方法にはもちろん危険もある。正確さや信頼度の基準をいかに維持するか、だ。

 (新聞と言う)製品に対する私たち自身の考えを変革しなければならない。不幸なことに、私達編集者や記者達は読者から離れてしまった。非常に頻繁に、私たちは、「どんなニュースがあるか?」というが、「だれかこのニュースを欲しい人はいるか?」という観点から考えない。

 (アメリカの)記者や編集者達は読者が馬鹿だと思っている。どんなビジネスでも、自分達の商品を買ってくれる消費者に対するこうした考え方は健康的ではない。新聞業界は毎日私達(新聞)のところに戻ってくる人々に依存するビジネスであり、この点(読者を馬鹿にしない、読者の立場にたって考える)を何とかしないと破滅的な事態になる。

 オンラインの世界での成功は紙媒体でも大きな成功につながると思う。組織を簡素化し、より敏速になり、原稿を書き編集する方法を変え、読者の声にもっと耳を傾けることだ。

 新聞業界は真のデジタル・ネイティブ(生粋のデジタル人間)にはなれないかもしれない。しかし、デジタル文化、考え方に同化することはできるし、そうしなければならない。画期的な、1世代に一度の機会だ。成功すれば、新聞業界は改変できるし、これまでにないほど健康になれる。

――

 マードック氏のスピーチと直接関係は全くないのだが、毎日新聞に「ネット時代のジャーナリズムとは何か」という記事が4月26日付で出ている。読んでいて、暗い気持ちになった。どことなく、ネット以外の既存メディアに関しての安泰感が漂っているように思えた。これでいいのだろうか。現在は良くても、これからどうなるのだろう。

 将来の予測は正確にはできないが、「紙媒体の新聞は消えない」と信じている考え方の一方で、「2040年にはなくなってしまうかもしれない」とする見かたがある。毎日新聞の記事は前者の考えの方に属する。

 個人的には、1つの想像力のオプションとして、後者の可能性も頭の片隅に入れるのが自然のような気がしてならない。

 新聞の将来に関して、危機感を感じるのか、まだまだ安泰と思うのか?意見は分かれるのだろうが。

http://www.mainichi-msn.co.jp/it/net/news/20050426org00m300090000c.html

 
毎日新聞: 理想の実現、まだ先か

 堀江貴文ライブドア社長とフジ・サンケイグループが和解したことにより、「ネット時代のジャーナリズム」はあいまいな結末に終わった。しかし、堀江社長の挑発的ともいえる言動により、この問題にメディア関係者を中心として大きな関心を呼んだのも事実だ。
 MSN毎日インタラクティブは特集「ネット時代のジャーナリズムとは何か」を設置し、メディアへの造詣が深い11人の論客に語ってもらった。さらに、毎日新聞の記者がこの問題を取り上げた原稿も収録した。立場が異なる論客たちが共通して抱いていたのは、現在のジャーナリズム、マスメディアのあり方への強い危機感と、市民参加型への道を開くネットを活用したジャーナリズムへの期待だった。
 取材を通じて、既存のマスメディアの補完的立場であるべき、ネットジャーナリズムは萌芽が出始めているもののまだまだ育つには時間がかかりそうだと感じた。ライブドアのパブリック・ジャーナリスト(PJ)を始め、市民参加型のネットメディアが出始めているが、メディア批判を受けてもまだ新聞を購読し、テレビを視聴する人の方が圧倒的に多い。これはネットメディアの弱点と、既存メディアの長所双方が理由として考えられる。
 ネットメディアの弱点は(1)経験(2)信頼(3)コスト面で既存メディアの領域まで至っていないことに集約されるだろう。現在、主要ポータルサイトはニュースを新聞社など既存メディアからの提供に頼っている。これはコストを掛けて自前でニュースを書くよりは、購入したほうが安上がりであるし、質的にも既存メディアに至らないということである。
 原寿雄・元共同通信編集主幹の「調査報道はプロでないとできない。日常ニュースも今でも多くの人が大メディアのニュースで見ているが、信用、確実性があるからだ」との分析は正鵠を射ている。既存メディアより深い分析をしているブログ、サイトも存在するが、数多くのサイトのなかで、非常に優れているということを多くの人に認識させるだけの信頼性は得ていない。
 既存メディア、なかんずく新聞の長所は、新聞社が判断したニュース価値に応じて情報が整理されており、見やすくなっている点、どこでも簡単によめ、記録として保存できる点が上げられる。さらに、数千年に及ぶ歴史を持つ紙になれてしまった人間にとり、モニター画面はまだ追いつかない。
将来、ネットが読者数でも影響力でも新聞を追い越す時代が来るかもしれない。ただ、それにはネットメディアを育てることを既存メディアも読者もしなければならないだろうし、ネットに追い抜かれたとしても新聞が無くなることは当面ないだろう。ネットと新聞が補完関係であると同時に、お互いに育みあう関係である。新聞とネットどちらか片方でなく、両方を見て、それぞれの長所と短所を理解する必要があろう。それが現段階のネット時代のジャーナリズムに対する正しい接し方であると信じている。【柴沼 均】

――

 同様の連載で、4月25日に、「良質のジャーナリズム 桂敬一の視点」というのが出ているが、非常に現実に即した見方が紹介されていると思う。
by polimediauk | 2005-04-30 00:14 | 新聞業界

党首のインタビュー

今見て、後でもじっくり見る

 c0016826_312180.jpg英総選挙の投票日が5月5日に迫り、選挙戦たけなわだ。

 昨年のアメリカの大統領選挙ではインターネットの存在がかなり大きかったようだが、米国のように候補者が草の根の支持を広げるためにネットを使う、という方法よりも、英国では既存のメディアが議論の場を提供する、といったやり方が目立つ。

 例えばBBBCの存在が大きい。BBCは約27億ポンドの運営費を主に受信料から得ているが、こうした巨額の費用が、ある意味では自動的に入ってくるという環境を活用し、デジタル放送、デジタル配信にかなり力を入れている。

 選挙戦でもこれが生かされていて、例えば先週は3大党首がそれぞれ30分間、名物キャスターのジェレミー・パックスマン氏にインタビューされたが、これは午後7時半から放映された。その場で番組を見ても良いが、もし時間的に見れなかったら、あるいはじっくりもう一度見たければ、BBCオンラインのサイトから、インタビューのビデオを見ればよい。http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/vote_2005/frontpage/4473417.stm

 今日(28日)も、また別の番組があるが、これは「クエスチョン・タイム」という番組の特別版だ。視聴者が100名ほどホールにあつまり、いくつかの質問を政治家などの数人のパネリストに聞く。どんな質問がでるかはあらかじめ分かっているものの、答えは千差万別で、質問者以外の視聴者も挙手して関連事項を質問できる。

 特別版では、また3大党首がそれぞれ出演する。今回は、数人のパネリストでなく、30分毎に時間を区切って、一人の党首対160人の視聴者という構図になる。党首側は逃げも隠れもできない。

 一旦番組が始まると、http://news.bbc.co.uk/のメイン頁からQuestion Timeのビデオの頁に入ることができるので、見ている途中で、自分のコメントを送ることもできる。

 BBCに限らず、英国のニュース番組では、番組の途中で、何らかのコメントをメールしたりすることが頻繁に行われている。ニュースに限らず、ショッピングができるような番組もある。

 また、今回のクエスチョン・タイムはウエブサイトで、後でじっくり見ることもできる。

 もちろん英国の視聴者のみに限らず、誰でも、ネットにアクセスできる人ならば、そのやりとりを好きな時間に見れる。

 双方向の放送やオン・デマンド放送は選挙戦の期間のみならず、テレビ番組でどんどん使われている。

 日本でも、おそらくそうなっていることだろう。

 放送とネットサービスの境目が、刻一刻と狭まっていくようだ。(もう境目などないのかもしれない。)
by polimediauk | 2005-04-29 03:16 | 政治とメディア

英総選挙とメディア


サン:「労働党は必ず勝つ」「欧州憲法は絶対否決」

 大衆紙「サン」の政治報道部長トレバ・カバナー氏が、4月13日、ロンドンの外国プレス協会に来た。サンが総選挙で労働党支持を宣言する、丁度一週間前だった。

サンはメディア王ルパート・マードック氏が所有し、マードック氏は1997年からブレア首相寄り。従ってサンもブレア・労働党寄りだったが、20日、改めて労働党支持を明言した。

サンは三面に裸同然の女性の写真が掲載されたり、ゴシップ記事などが満載の大衆紙(タブロイド紙)。昨年5月の欧州連合(EU)拡大で、新規加盟国から移民が押し寄せる、英国はエイズ患者でいっぱいになる、などその時々に論争をかもしだすようなトピックに関する扇情的記事を掲載することでも有名。

一方では、確定していなかった総選挙の日を他紙に先駆けて報道したり、2004年にはイラク大量破壊兵器をめぐる政府の情報操作疑惑を調査したハットン調査委員会の内容をリークなど、第一級の特ダネ報道も多い。ブレア政権内部がわざとネタをサンに流したのではないか?と思われる報道だ。もちろん、サン側もブレア政権側も否定し、真相は分かっていないのだが。

以下は、外国プレス協会での一問一答からの抜粋。

―(次回も労働党政権になったとして)ブレア氏はどれくらい首相の座にいると思うか。

カバナー:今朝の会見では、ブレア氏は「選挙の結果による」と答えている。

―労働党が勝つと思うか?

カバナー:現在のところ、疑いなく労働党が勝つと思う。世論調査では保守党の人気が高くなっているというが。これほど選挙前から結果が分かっている選挙も珍しいのではないか。

しかし、過半数の差は激減するだろう。私は、労働党が70-80議席失うと思う。若い人の投票率が低そうだ。18歳から25歳では、絶対に投票すると言う人は、23パーセントと聞いている。高齢の投票者は保守党に投票する確率がある。従って、高齢者以外の投票者が実際に投票すること、つまり投票率が高いかどうかで労働党がどれだけ議席を伸ばせるかが決まる。

―労働党内はブレア支持で固まっていると思うか?

カバナー:イラク戦争に反対した議員がいるし、守旧派も多い。様々な声がある。中には保守党政権になってもそれでもいい、と言う人さえいる。保守党がもし勝ったとしても僅差だろうし、そうすると、政権党になってからの政権運営が苦しくなる。結果的に実行できた政策は少なくなるだろうし、また総選挙をしないといけなくなる。

保守党側では、労働党との議席数の差を縮めることが目標だ。

―欧州はどんな争点になっているか?

カバナー:ブレア氏は、EU憲法に関する国民投票を、例えフランスが否決しても起来年やる、と言っている(注:23日現在では、国民投票をしない可能性もでている)。これはおもしろいと思う。もし英国民が否決したら、ブレアは真の欧州人として退陣するだろう。名誉ある退陣のきっかけになる。

―ユーロに関しては?
カバナー:ユーロに関しての国民投票はないだろう。私はイギリスはユーロに永遠に入らないと思う。英国がユーロ圏に入るかどうかを話しているうちに、ユーロ経済圏の方が破綻するかもしれない。

―サンは総選挙線ではブレア支持になるのか?

カバナー:国際的には、イラク戦争ではブレア氏を支持してきた。総選挙で労働党か保守党か、どちらを支持するかに関しては決めていない状態だ。(注:この発言の1週間後にブレア支持を発表。)

―労働党政権をどのように評価しているか?

カバナー:ブラウン蔵相ととブレア首相は堅実な経済政策を実行してきたと思う。英中央銀行を政府から独立させたというのは、勇気ある決断だった。

しかし、国民健康保健サービスのNHSの改革はのろく、お金も無駄に使われたと思う。教育も、数年前にくらべて質の高い教育が提供されているだろうか?運輸や福祉政策などは、もっと大胆にもっとうまくできたと思う。評価は分かれている。

―サンは「小さな政府」(保守党のサッチャー元首相が提唱)を支持するのか?

カバナー:サンと所有者(マードック氏)は、小さな政府、低い税金を支持する。こうした点ににサンが関心を示していることを不思議に思うかもしれないが、サンの発行部数は350万。1000万人の読者がいる。この中で高額所得者から平均所得者までの割合が大きい。サンは、政治を真剣に考える人々が読者となっているし、政治に特に関心のない読者でも、例えば移民問題とか特定のトピックに関して高い関心を持っている。今回の選挙戦の行方に、サンの読者は大きな役割を果たすと思う。

実際、多くの政党のトップに属する人々が、サンに電話をし、自分たちを支持して欲しいという。


―どの政党を支持するかを、どうやって決定するのか?

カバナー:(サンの所有者)マードック氏が3,4-年前にこういった。「どの政党を支持するかに関して、タイムズとサンデータイムズは編集長が決める。サンの場合は、編集長と話し合う」。・・・これ以上言うのは止めたい。

―マードック氏とはどれくらいの間隔で話すのか?

カバナー:頻繁に話すが、毎日ではない。

―マーッドク氏はサンの編集に大きな関心を持っているようだが。

カバナー:非常に高い関心を持っている。

―サンが特定の政党に対する支持を打ち出すと、選挙戦ではどんな効果が?

カバナー: 様々な学問的研究があるが、定説はない。ある人は選挙民の支持率を2%上げることができるとするが、全く影響ないという人もいる。

 私に言えるのは、読者の嗜好と逆行するような支持はできないということだ。(1992年、メージャー党首率いる保守党が勝利したときに)「サンが勝った」という見出しをつけたのは、本当はサンが勝ったわけではなくて、人々の常識の判断の結果だったのだと思う。1997年、例えサンが保守党を支持していたとしても、それでも労働党は過半数で勝っていたと思う。

2001年の総選挙では、ブレア首相は大きな失敗をしておらず、過半数で勝つことが分かっていた。

―保守党はどこまで迫れるか?

カバナー:保守党の最大の問題は、政策が労働党の政策と明確に違うほどになっていない。それほど大きな差がない点だ。

選挙戦での戦いを見ると、ブレア政権は、かなり冷酷無比だ。ブレアの親しみやすい笑顔の背後にある。保守党はまだそこまでいっていない。かなり紳士的なキャンペーンを行っているようだ。攻撃されても文句を言わない。

―ブラウン蔵相が首相になる可能性をどう見るか?

カバナー:事態は非常に速いスピードで進んでいる。多くの労働党党員がブラウン側にいる。ブレア氏は、新政権が出来たらブラウン氏は蔵相になるだろう発言したが、これは今回の選挙でどれくらい議席がとれるかによると思う。

―ブレア氏とはどれくらい親しいのか?ガーディアン紙のアラン・ラスブリジャー編集長は、これまで5回直接会ったことがあるそうだが。

カバナー:ブレア首相は一度も私をチェッカーズ(首相の別邸)に招待したことはない。しかし、サンの編集スタッフと言うことで言えば、私たちはブレア氏、ブラウン氏、他の閣僚にしょっちゅう会っている。一度、サンのエグゼキュティブチームの14人をブレア氏や他の閣僚とのランチに招いたことがある。夜はシャドーキャビネットのメンバーらと出かけたりする。新聞業界の人間が政治家と会うのは特別なことではない。ブレア氏もガーディアン紙やインデペンデント紙に出かけている。双方向だ。

―何回会った事があるのか?

カバナー:どれくらいの期間で数を数えるかだが、一対一ではあまり多くあったことがない。通常は、選挙の後やイベントの後で、インタビューをする時が典型的ケースだ。他の時でアクセスがあるのは、ランチがあるとき。首相が海外出張をするときは、国内にいるときよりも会う機会が増える。同じ飛行機にのっているし、一対一か少人数で質問ができる。

 ブレア氏がそれほどアクセスしやすい政治家だとは思わない。特別な場合を除いては会うための努力をしていない、ブレア氏は首相であり多忙だという単純な理由からだ。また、政治家と親しくなると、最終的にはその政治家を好きになり、好意的な記事を書く。

 政治記者としては、ある種のデタッチメントが必要だと思う。ブレア氏や政治家はジャーナリストたちがいい事を書いてくれるように誘惑する。

―自分自身が支持する政党はどこか?

カバナー:特別にはない。

―退職の計画は?

カバナー:ない。

―読者層を説明して欲しい。

 カバナー:約1000万の読者がいるので、広範囲な層になる。勤勉で、英国の中心となっているような人々。週に48時間働き、家族の面倒を見て、責任感がある。若い層や女性も読む。読者は比較的若い。他の新聞は読者は高齢者が多い。職業はトラック運転手から学者まで様々だ。

ー英国民は欧州憲法を可決するだろうか?

カバナー:可能性は全く無いと思う。国民が既に心を決めてしまっているからだ。例えフランスでは可決されても、だ。

 英国がもしユーロに参加していたら、現在のような長期的好景気が達成できたかどうか?失業率は3-4%で、ドイツでは12%だ。これを、憲法でどっちにしようかと迷っている国民に提示すれば、ノーになると思う。

―ブラウン氏はよい首相になれると思うか?

カバナー:蔵相の仕事は、税金や予算に関して数ヶ月かけて決定することだった。そして一度決めたら、方針を変えない。しかし、首相となると、いろんなボールを一度にまわしていかないといけない。ブラウン氏はこういうことが不得手なようだ。リサーチをして、考えて、発表する・・ということがあっている。首相となると、複数のことを即座に決定していかないといけない。

 ブレア氏はこの点では群を抜いている。電話口であることを話していて、すぐに次の話ができる。
by polimediauk | 2005-04-25 00:27 | 政治とメディア
BBCによると・・・

 BBCオンラインのウエブサイト上に、日中の Rival giants (ライバルの巨人たち)というコーナーが出来ている。飛んでみると、歴史、経済、文化などの面から2国間を説明してある。こうした特集コーナーを作るのはBBCオンラインでは珍しいことではない。

 例えば歴史(History)の部分を開くと、以下の表現がある。写真もついている。以下の歴史の説明が日本側から見て正しいものなのかどうか、あるいは中国側から見たらどうなのか?BBCには「公正な、バランスの取れた報道をする」義務があるが、少なくともBBCはこう見ていることが分かる。

http://news.bbc.co.uk/1/shared/spl/hi/asia_pac/05/china_japan/html/introduction.stm

第3段落目より (和訳)
「中国の都市南京の崩壊は、日中関係の中でも最も有害なエピソードの中の1つを開始させることになった。日本兵たちは殺人、レイプ、窃盗などの狂乱を開始した。この結果約30万人が殺され、2万人の女性がレイプされたと推計されている。中国人の女性たちは、日本の兵隊たちのために性の奴隷となることを強要された何万人ものアジアの女性たちの一部となった。」

「日本政府は、また、中国における化学及び生物兵器の開発のスポンサーとなり、こうした武器を戦争捕虜や民間人に実験として用いた。日本の中国支配に対する武装反乱は第2次世界大戦中続いた。最終的に敗北するまで、退去する日本軍は少なくとも70万の化学兵器を中国に散らかしていった」。 

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写真のキャプションは「およそ25万から30万の中国人が南京虐殺で殺害された」。場所の指定などはない。
(「虐殺massacre」という言葉が使われている。」)
by polimediauk | 2005-04-25 00:23 | 日本関連

英総選挙とメディア


「サン」が労働党支持を宣言

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(サンの煙 BBCオンラインより)

20日、3百数十万部近くの発行部数を誇る大衆紙の「サン」が、英総選挙で与党・労働党を支持することを宣言した。サン自身は、「読者数は1千万人」と公言している(どうやって計算したのかは不明)。総選挙の投票日は5月5日となっている。

支持宣言を出したやり方が凝っていた。

サンのロンドン本社ビルの屋根から出ている煙突から、赤い煙を出したのだ。丁度一日前の19日、ローマのシスティナ聖堂屋上の煙突から親法王決定の白い煙を出した光景のパロディーだった。

サンはタイムズ紙とともにメディア王ルパート・マードック氏が所有している。マードック氏はブレア政権支持だが、最近、サンは野党保守党が打ち出している政策を支持するような記事を出しており、どうなるのかと憶測が飛んでいた。

英国の全国紙はそれぞれ大まかな支持政党がある場合が多い。資金を特定の政党からもらっているのではなくて、編集上、その政党よりの記事を出してゆく。露骨な場合もあれば、時には支持政党の批判記事を織り交ぜたりなどし、一見どの政党を支持しているのかわからない場合もある。新聞各紙は中立であることを要求されないので、こうしたことができるようだ。読者も、どの新聞がどの政党を支持しているかを承知して、読む。

大衆紙(タブロイドとも呼ばれる)の中では、サンが保守党支持、ライバル紙デイリー・ミラー(発行部数約180万部)が労働党支持という流れが続いてきたが、1997年、マードック氏がブレア支持を決定。

その前の総選挙(1992年)で労働党は政権取得を狙い、かなり力を入れた選挙戦を展開。メディアの予測も労働党が勝つだろうとしていたが、現実には保守党が勝利。1997年の総選挙では、マードック氏がブレア支持を決め、サンは労働党支持宣言をした。サンの支持が効いたのかどうか、専門家の間で異論がないわけではないが、サンの支持があったからこそ勝てた、というのがサン自身の説明だった。

1997年からの労働党政権時代、及びそれ以前の保守党政権時代も入れると、サンは、長年、常に「選挙で勝つ側」に立っていることになる。サンが今回労働党支持を宣言したことで、総選挙後も労働党政権が続くだろうという予測に真実味が増している。また、どの政党も一議席でも数を伸ばしたいとしのぎを削っている中、300万部以上の発行部数を持つ新聞が支持をするという宣言は、労働党からすれば心強い。

サンの政治報道部長トレバー・カバナー氏がサン紙面上で語ったところによると、サンが労働党支持を決めたのは労働党の経済政策が機能しているためだという。 しかし、「全ての分野において満足しているわけではなく、移民政策などがめちゃくちゃで、院内感染に関しても何の手立てもされていない」と批判したが、「もしここで保守党支持をしていたら、読者の声を反映していないことになると思う」と続けた。

総選挙は主に労働党と保守党、第2野党の自由民主党との戦いとなっている。22日の時点では、世論調査では労働党が僅差でやや有利。しかし、最終的には労働党政権となることが予測されている。(続く)
by polimediauk | 2005-04-24 05:36 | 政治とメディア

日中 個人の見解

 「疑問あり」さん、それからコメントを残してくださった皆様、ありがとうございました。それぞれに貴重な意見で、考えさせられました。

 私自身、日中関係に関してはまだまだ勉強中の身ですが、「一体どこまでが本当なのか、誰が真実を言っているのか、本当は何が起きたのか?」――?手探り状態で考えながら生きています。

 日本にいた時は反日感情といわれても、私にとっては文字情報から得た知識だけでしたが、イギリスに来て、実際に戦争時の体験から、あるいはその後の学校教育による及びテレビなどを通じて戦争映画を見たという体験から、日本に対して実際にそういう感情を持つ人々と話をする機会ができることになりました。

 私自身の現在の見方は、残虐行為があった、というものです。BBCなど英国メディアではさらに「相当ひどいことをした」というのが通説、一般認識になっているようで、南京事件にしても、「事件」ではなくて「虐殺」であり「レイプ」ということです。以前に紹介させていただいたような写真は、「事実」として、BBCばかりでなく新聞各紙などでも出ることがあります。英語圏のメディアと言うことで、BBCや英新聞各紙、そのオンライン版などを通じて、様々な日本に関する情報が、「事実」及び「事実らしいもの」として、世界中の様々な人の目に触れる、耳に、目に届く・・といった現状があります。

 果たして、こうした「事実」「事実とされているもの」が本当に事実なのか、真実なのか?

 常に、反対の立場を取る見方、そのまた反対の反対の立場など、様々な視点を知っておくことが重要かと思います。
 
 「南京事件『証拠写真』を検証する」の本そのものにも疑問が呈されていることを「疑問あり」さんが指摘してくださいました。

 この点も含め、一人一人が判断してゆくしかないと思っています。

 南京事件の解釈、報道のされ方は、欧州のホロコストの話(ホロコストはなかったとする人など)、米国の日本人強制収用キャンプの話などを思い起こさせます。あったという人、否定する人、規模が大きかったと言う人、小さかったと言う人・・・。

 最終的には、日中が友好的関係になるには、どうしたらいいだろうかと思います。

 学校では、学期の最後に「時間が無い」ということで、近代史はばたばたと教えられたような記憶があります。中国ではそのようなことがないのかもしれません。

 究極的には、実際に知り合った中国人の友人たちから「反日感」をどうやってとりのぞけるか?そのために日本は、日本人の自分はどうしたらいいだろうか?と考える毎日です。
by polimediauk | 2005-04-23 18:10 | 日本関連

英総選挙と政治報道

「どうせ投票しても無駄」?

 政治家とジャーナリストの丁々発止のインタビューのやりとりがイギリスで広まっていったのは、1960年代のBBCのジャーナリスト、ロビン・デイ氏からと言われている。

 しかし、政治家を目の前にしたジャーナリスト側が、「どうしてこのばか者が私に嘘をついているんだろう?」という前提でインタビューを行うという政治報道のスタイルが、国民の政治に対する無関心やシニシズムを招き、ひいてはこうした国民が、「どうせ投票しても無駄」となって、最終的には民主主義の危機を招いているのではないか?――そんな思いを抱く人々も存在している。

 「犠牲者」となった政治家たちの一部がそう感じているのと、一般視聴者やジャーナリストたち自身がそう思うようにもなった。

 イギリスの前回の総選挙は2001年だったが、投票率は59%。日本からすると決して低い数字とは思えないが、これまでは70%ほどだったので、大きな下落として受け止められた。

 今年3月にはBBCの会長と経営委員長が上院の委員会(BBCの2007年から10年間の活動計画に関する政府案を議論している)に呼ばれ、こうした報道スタイルが果たして政治不信に結びついているのか?と聞かれている。マーク・トンプソン会長は取材する側とされる側が対立関係を保ちながらインタビューが進むと言うスタイルは「うまくいっていると思う」と答えている。バランスが崩れれば否定的、無礼さにつながるが、「バランスは大体とれていると思う」。

 こうしたスタイルの典型的な例がBBCのラジオのニュース番組「TODAY」のジョン・ハンフリーズ氏とBBCのテレビのニュース解説番組「ニューズナイト」のジェレミー・パックスマン氏だ。

 具体例としては紹介しきれないほどあるが、一例として、ハンフリーズ氏は昨年6月、閣僚のヘイゼル・ブリアーズ氏へのインタビューで、相手に答える時間を殆ど与えず発言をさえぎってばかりだったので、「弱いものいじめをしている」と批判された。

 パックスマン氏の方は保健大臣ジョン・リード氏を、最近「攻撃する犬」と呼んでいる。

 パックスマン氏のネガティブ・インタビューが顕著に出た例として、18日の夜の野党自由民主党のチャールズ・ケネディー氏のインタビューがある。(BBCオンラインのサイトでは、インタビューのビデオが見れるようになっている。)http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/vote_2005/frontpage/4457519.stm

 30分間の単独インタビューだったが、殆どの質問がネガティブなトーンだ。自由民主党がイラク戦争に反対していたという事実を選挙戦に生かしていない点を批判するのはいいとしても、「リーダーとしてひきつけるものがあなたに無いんじゃないですか?」、「あなたの個人的な失敗のせいで(政党が)こうなっているわけですよね」など、答えを聞く前から完全にネガティブだ。典型的な、「この政治家は馬鹿で、嘘を言っている」という姿勢で、相手に向かうパターンだ。

 翌日のガーディアンでは、ケネディー氏が「今にも泣きそうだった」と論評。「しかし、ケネディー氏には悪いが、おもしろかった」とも。

 取材するジャーナリスト側が、懐疑心を持って政治家や権力を持つ人々質問をする、というのは正当な方法にしても、これが過度になったとき、本当に人々の政治に対する無関心などに結びつくのだろうか?

 政治評論家、視聴者、選挙民、ジャーナリストたちの意見は二手に分かれる。1つは「政治的無関心、アパシー、シニシズムに結びつく」というもの。フィナンシャルタイムズの雑誌FTマガジンの編集長ジョン・ロイド氏もその一人。「メディアが政治に何をしているのか」What the Media are Doing to Our Politics という本を昨年出版しているが、これもそういう主旨に沿っている。もう1つは、「政治家だって本心を言わないで、国民の側をだまそうとしているのだから、お互い様だ」という意見だ。

 BBCのウエブに寄せられた意見も大体2者を代弁している。

 私の個人的体験では、イギリスにいて、メディア関係、政治関係には全くかかわりの無い人たちと何らかのきっかけで話をするときーそれは友人だったり、親戚だったり、あるいは取材を通じて知り合った人だったり、あるいはテレビでインタビューされている市民だったりするがーハンフリーズ氏やパックスマン氏そっくりの言い方で、政治や政治家のことに言及する人が結構多いことに衝撃を受ける。

 つまり、「あいつら(政治家)、嘘ばっかり言っているよね」「どうせあんなこと言っても、うそだろ」、「全く信用ならないんだから」・・・。分析の仕方や文句が、いかにもハンフリーズ氏やパックスマン氏の政治・政治家に対する態度をほうふつとさせる。これでいいのだろうか、と不安になる。真実を照らし出すはずのジャーナリズムが、逆に人々の目を曇らせることになっているのではないか。政治家を馬鹿にするせりふ、「どうせxxしても、無駄だ」という言葉がイギリス人の口から漏れる度に、どきっとしてしまう。
by polimediauk | 2005-04-21 07:31 | 政治とメディア

「どうしてこのばか者が私に嘘をついているんだろう?」

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(BBCのニュース・プリゼンターのジェレミー・パックスマン氏、左、と、ブレア首相 BBCオンラインより)

 イギリスでは5月5日が総選挙の投票日となり、選挙戦たけなわ・・ということになっている。何故「・・ということになっている」という奥歯にもののはさまった言い方になるかというと、新聞各紙、テレビ局などは、特集面・番組を組んだり、レポーターを全国の選挙区に飛ばしたり、党首インタビューを放映したりと、一見ものすごく盛り上がっているように見えるのだが、それほど「生きるか死ぬか」の争点があるか?というと、そうでもないのである。

 今のところ経済は好調で、政権党の労働党も政策的には野党保守党に近いものになっている、というのが定説で、国民がある意味では安心していると言うか、「別に自分が投票に行かなくてもいいか」と思う人が増えている。いわゆる、浮動票、無党派の人々が増えていると見られている。

 また、イギリスの外の(アメリカあるいは欧州)論客からすると、各政党のマニフェストの内容はほとんど国内問題ばかりで、国際的な視野が入ったものがほとんどないので、物足りないと感じると言う。例えばイラク戦争、欧州連合、イギリスの国際的な位置をどうしたいのか?などが十分に表に出ていない。わざと出していない、あるいは避けている部分もあるのかもしれない。

 政治とメディアと言う観点から見ると、前から言われていたことだが、実は民主主義に関わる(少々大げさだが)大きな問題が起きている。

 それは、政治家をインタビューするときのスタイルだ。

 テレビやラジオのキャスターたちは政治家たちにかなり厳しく質問を浴びせる。相手の言うことを最後まで聞かず、どんどん質問を続けていく。(この傾向はアメリカの方が強いと聞いたが)。一瞬の隙も与えず矢継ぎ早に質問が飛ぶので、答える政治家はかなりタフでないといけない。これだけなら、1つのジャーナリズムのスタイルとして、権力のチェック機能を果たすことにもなり、良いことだろう。

 しかし、政治家たちが問題だと感じているのは、一部のキャスター、プリゼンターたちのシニカルな態度だ。政治家に限らず、たくさんお給料をもらったビジネス・エグゼキュティブなどにも、こういうシニカルな態度が適用される。

 シニカルな態度とは、ジャーナリストの方で、政治家あるいは権力のある人をインタビューするときに、「どうしてこのばか者(政治家などのこと)が私に嘘をついているんだろう?」という態度でのぞむことだ。

 つまり、最初から、相手・政治家が、「不誠実な人」「何かを隠している人」とみなし、最初から偏見を持った頭で相手と接するのである。

 こうしたやり方そのものは、イギリスでは1つのテクニックとして、ある程度認められていると思う。しかし、行き過ぎが問題となる。

 その例としてよく引き合いに出されるのが、BBCの朝のニュース番組「TODAY」のプリゼンター、ジョン・ハンフリーズ氏と、BBCの夜のニュース解説番組「ニューズナイト」のジェレミー・パックスマン氏だ。

 例えばこの2人が、最初から疑いの眼で政治家に接し、「疑い深い視聴者を代表して、聞きたいことを聞いている」という方針でインタビューを行うとき、時として、これが過度になり後味の悪いことがある。いや、後味が悪いばかりか、視聴者がこれにかなり影響を受けており、結果的に、「やっぱり、政治家は嘘ばっかりついてるんだよ」と思う人もかなりいるのである。

 これまでにも、様々な政治家あるいは政治家に近いジャーナリストたちは、こうしたインタビュー形式が、政治に対する国民の不信感、無関心を増大させていると指摘してきた。

 最近は、チャンネル4というテレビ局のプリゼンターの一人で、自分自身も丁々発止のインタビューをするジョン・スノー氏が、このインタビュー形式の批判を始め、新たに話題になってきた。 (続く)


 (BBCでは、こうした政治報道のスタイルの是非に関して、ネットを通じて意見を求めていた。若干の内容の紹介は次回。)

http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/vote_2005/have_your_say/4456971.stm
by polimediauk | 2005-04-20 08:20 | 政治とメディア

日中 世界の人の声


意見は様々

 BBCオンラインでは、日中関係に関する意見の募集をしている。寄せられた意見は、オンラインのエディターが選んでウエブサイトに載せて行く。名前、メールアドレス、住んでいる都市あるいは国を入れるようになっている。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/talking_point/4436425.stm

 かなりたくさんの意見が掲載されているが、以下はその一部。プリントアウトしてみると、現在(18日午前)、A4の用紙で40頁ほどになる。内容は、どちらかに偏っているというよりは、ほとんど全ての論点を網羅しているように見える。(日本は過去の過ちを認めるべき、日本と中国がアジア地区でのライバルになっている、日本人の多くは悔恨の念を持っている、「日本は過去の過ちを認めるべき」と言う人は、自分たちの国はどうなのか?アメリカやイギリスは?中国もチベット、天安門などで抑圧行為をしているではないか、早く抗議が収まって欲しい、日中が協力して欲しい、など。)バランスがとれているのは、おそらく、投書が日本、中国のみならず、ドイツ、イギリス、アメリカなど当事国以外から来ているせいもあるだろう。オンラインのエディターの方でも、異なる視点を紹介することに心を砕いているようだ。「意見のバランスを反映するようにしている」と書かれてある。結果的に、今回の日中関係を様々な角度から見る場合の論点を与えてくれるものとなっている。

 若干の抜粋の紹介。

 「日本は過去に立ち向かう必要があると思う。まず中国で起きたことを謝罪するべき。いつも否定を続けて、状況を悪化させている、例えば靖国神社への参拝をやめないし、琉球諸島の件で中国政府を怒らせている。一方の中国も完全に無実とは言えず、多分、すぐに非難を浴びせすぎる。毛沢東の時代に餓死した数百万の人はどうなったの?チベットでの残虐行為は?天安門広場は?あれほど多くの人が日本に対してあれほど厳しく抗議するために集まるなんて、私は疑いの目を持ってみている。中国政府が何らかの形で関与していたのでは?」(香港、以前は東京在住のケイト)

 「これは表現の自由がおかしくなったということだけじゃないか。日本で教科書の検定が行われるのは事実が正確かどうかを基本にしているのであって、偏見があってそうしているのではない。ほとんどの日本人は、ドイツ人の大部分と同様に、第2次世界大戦で起きたことに対する責任を感じている。一握りの日本の極右の人々が日中関係を不愉快なものにしているのは、恥だと思う」(ダリル・ルカウント、ドイツ)

 「私たち中国人が世界に向けて私たちが考えていることを話すと、あなたたちは私たちが政府に操作されているという。沈黙すれば、人権が守られていない、と言う」(リュー・ウエイ、中国)

 「教科書の問題は副次的問題で、本当は、中国と日本がアジア地域での経済成長、権力、影響の面で戦っているのだと思う。中国は第3の国連常任理事国が隣国であってほしくないし、日本も中国もガス田からのエネルギーを必要としている。ライバルの戦いが早く収まって欲しいと思う。コントロールが効かないほどにならないといいと思う」(コリン・バーネル、イギリス)

 「私自身の国であるアメリカがドレスデンを爆撃したことの間違いや、広島と長崎を原子爆弾で破壊したことを認め、謝罪していないのに、日本人に対して大戦前後に中国でしたことを認めるよう言うことができるだろうか?」(デビッド・ホッジス、アメリカ)

 「中国の理性的な学生の一人として、2国間の最近の緊張関係をとても心配している。たとえどんな論争があろうとも、この地域に平和を維持し中日関係を正常化するための正当な方法を探すべきだ。もちろん、これを行うには、歴史を直視し、過去の間違いを受け止めることが必要だ」(ダニー・メン、中国)

 「私は日本人だ。日本が戦争中にどんなことをしたのかは学校でならった(もちろん、悪いことだった)。また、日本の首相たちがこれまでに日本の戦争中の行いに関して謝罪してきたし、これからもそうするだろうことを知っている。大手の新聞は過去の行いに関して機会があるごとに記事を掲載してきたし、日本人が忘れることはないと思う。私が疑問に思うのは、日本の戦時の行いに関して日本を批判する人々の中で、何人が問題となった教科書を読んだことがあるのか、また中国や韓国の教科書のことをどれだけ知っているのだろう?どんな学校の教科書も、ある程度は、子供たちに愛国主義を奨励するために書かれている。私の言っていることは正しいだろうか?アメリカやイギリスの教科書で、ジョージ・ワシントンがどう説明されているか、見てみるといい」(サンシロー、東京)

 「何故日本はドイツがしたようにできなかったのだろう?日本が最近したことは、傷口に塩をすりこむようなことだった」(デニス・リー、香港)

 「日本と中国はともに悪い。両国ともに大きな規模の残虐行為をおかした、そして今はなんとも思っていない」(マーク、イギリス)

 「日本は、歴史を捻じ曲げることに何の呵責もないのに、国連常任理事国になりたいなんて、驚くばかりだ。日本人がどう考えるか、理解できない。ソウルや北京での大規模なデモが、いかに日本がアジアで人気がないかを示している」(ホング、トロント)

 「学校の先生やマスコミ報道を通じて、中国が思うよりははるかに、私たちは悲劇について学んできた。大部分の日本人は後悔の念で一杯だという事実を強調したい」(イトウ・タカシ、東京)
by polimediauk | 2005-04-18 18:14 | 日本関連

続く日中のトピック


ビジネスウイークとBBCオンライン

 このブログで日中関係のことばかりを書くつもりはなかったのだが、現在のところ、次から次へといろんな反応がメディアで継続して報道されている。

 欧州版ビジネスウイークの4月25日号では、二つある社説の1つが日中関係だ。Defusing Sino-Japanese Tension 「日中の緊張関係の緩和」。ポイントは、最近の日中の緊張関係を作り出したのは日本である、として、教科書採択の件と小泉首相の靖国神社参拝をあげている点だ。

 「日本は、戦時中の行為に立ち向かう」べきで、それをすることにより、過去の「傷を癒す」ところまでやるべきだ、と提言。最後の文章は、「日中関係をスムーズなものにするのは、二国のアジア地域及び経済上のライバル心を考えると難しいことかもしれない。しかし、60年前に終わった戦争から悪感情を取り除く機が熟した」としている。事態の打開には、日本が行動を起こすしかない、という論調だ。言外に、「日本が悪いことをしたのだから・・・」という意味合いを感じる。

 BBCはどう報じていたのか?BBCはイギリス最大の公共放送であり、フェアに、バランスよくニュースを報道することが義務付けられている。

 BBCオンライン(ウエブサイト)では、これまでの日中間の歴史をまとめ、何故緊張関係が生じているのかを分かりやすく説明している。

 南京事件を説明した部分では、写真がいくつか掲載されている。以下はBBCオンラインからの写真だが、日本人が見た場合にいささかショックなのではないか?国際語の英語を通じて、こういうイメージが世界に流れ続けている。日本では、一連の日中関係の報道の中で、こうした写真は使われただろうか?下についているキャプションはオンラインのキャプションの訳である。

 最初の写真は、タイムズでも前に使われていたが、下が切られている。衝撃が大きすぎると思ったのだろうか。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/asia-pacific/223038.stm

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「犠牲者中には生き埋めにされたものもいる」


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「数千人の死体が溝の中に埋められた」

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「日本兵はほとんど慈悲の心を見せなかった」

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「日本軍は南京に勝ち誇って入ってきた」
by polimediauk | 2005-04-18 09:02 | 日本関連