小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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 現在書店にある雑誌「日経Associe」に、CNNインターナショナル社長のクリス・クレイマー社長のインタビューが掲載されている。氏は、1996年にCNNに入社以前、25年間、BBCで記者、編集デスク、ニュース収集責任者として勤務した。

 最後の質問が、ブログをやる人とジャーナリストに関してのコメントだった。

―アソシエ読者にはブログを持っている人が多いのですが、発信手段を持つ私たちはジャーナリストでしょうか?

クレイマー社長:技術の進化で誰でもがニュースを収集できます。ただ、すべての人がジャーナリストになれるわけではありません。

ジャーナリストはあるニュースについて、それがいかに重要で視聴者と関連が深いかを、偏りなく、明瞭に伝えることが一番の仕事です。それができる人はアマチュアでもジャーナリストですし、プロでも傲慢で視点が独りよがりではジャーナリストとして失格でしょう。

ですから番組も、目先の視聴率を最優先する構成では信頼を失います。我々の考え方はシンプルです。「質の高い=良いジャーナリズムは、良いビジネスにつながる」。

by polimediauk | 2005-09-30 07:27 | ネット業界

今年中には靖国を参拝するのですか?小泉: そういったことは、言わないでおいたほうがいいと思う。これは、中国側も理解してくれている。


 alfayoko2005さんにご指摘いただいた件で、28日付タイムズに小泉首相のインタビューが載っている。一部、読売新聞に翻訳されていた。靖国神社への参拝の件で、「今年中に」といいう箇所があると、今(午後10時ごろ)、朝日ニュースターというケーブル(だと思う)の番組でいっている。コメンテーターが、「これは本当かどうか分からない。イギリスの新聞でしょう?意味を取り違ったのでは?」という。

 外国の新聞だから、相手(日本人)の言うことの意味を取り違えている・・・こういう発想もなかなかすごい(馬鹿にしている?)が、まずは何を言ったのか、インタビューを書き取ったものを、タイムズのウエブで掲載しているので、興味のある方は見ていただきたいがhttp://www.timesonline.co.uk/article/0,,3-1801759,00.html、以下に訳してもみた。

 言葉だけ追うと、「今年中に行く」ということは明記は、ない。しかし・・・判断は一人一人にゆだねたい。

 その前に、読売新聞の記事から。

衆院解散・自民大勝、首相「歴史的」を強調…英紙に

 「参院で法案が否決され、衆院が解散になったことは今までもなかったし、当分ないだろう。歴史的解散だったのではないか」

 小泉首相は28日付の英タイムズ紙(電子版)掲載のインタビューで、参院で郵政民営化関連法案が否決され、衆院解散に踏みきったことの歴史的意義を強調した。

 首相は、衆院選で自民党が大勝したことにも、「参院がかなり意見を変えてきており、歴史的であるかもしれない。衆院選で、郵政民営化という政界の奇跡が起きそうな状況だ」と語った。

 年内に靖国神社を参拝するかどうかについては、「中国の首脳は私の意思を知っている」とし、参拝する考えを示唆した。

 来年9月で切れる自民党総裁の任期延長論については、「(残り)1年でやめると言ってきている」と述べ、改めて退陣する考えを示した。ポスト小泉の能力があると見ているのは何人かを尋ねられ、「4人ないし5人だ」と答えた。
(読売新聞) - 9月28日21時42分更新


 靖国参拝の時期に関し、「いつ行くなど、こちらの意志は公的に発言しないほうがいい。それを(公的に表明しないこと)については、中国側もそう理解している」という部分を、私は興味深く読んだ。

 とりあえず、以下が全部の訳。微妙かもしれない部分は英語を残した。ご参考までに。

――

(インタビューは火曜日に官邸で行われた。)

―(総選挙は)驚くべき勝利になりましたね。これほどの勝利ですから、ひと夏で辞任するということはないのでしょうね?

小泉:もちろん、だれもこれほどの勝利を実際には予想していなかった。しかし、これまでにも、ずっと、私は1年で退陣する、と言ってきた。だから、最善を尽くし、任期の終わりまでつとめて、来年の9月には辞任するつもりだ。

―改革を行う、という使命があるのなら、あと1年では必要なことをすべてやり終えることはできない、とは思いませんか?

小泉:私が思うに、これはどの首相もそうだと思うが、首相が達成するべき仕事に終わりはない。しかし、私の任期終了までには、必要なことを終えることができると思う。

いつも言ってきたのは、私の最優先事項は、私の内閣の最高のゴールは、郵政の民営化だった。 これが改革の最後のよりどころだと言ってきた。もし実行できれば、政治の奇跡だと思う。その奇跡が今起きようとしている。

 首相に就任したとき、郵政は民営化しなければならない、民営化されるだろう、と言ったが、多くの人が(実行に)疑いを持っていたと思う。こうした疑いの念を持つのは理解できないわけではない。民営化に反対したのは野党だけではなかったし、実際には、与党の中でも反対があった。民主主義国家で、国民が(民営化の)実効性に関して懸念を持ったとしても驚くにはあたらない。

政治家になって30年だが、政治的現象として、みんなが反対した法案が、突然法案の支持に回る、といった瞬間があると思う。この瞬間が今まさに来たのだと思う。実際、8月8日、この法案は死んだのだと思う。まさか生き返るとは誰も思わなかったんだ。

―自分の歴史上の位置を意識しますか?

小泉: 衆院の解散に関して言えば、参院で法案が否決されたからといって解散になったことは、過去なかったと思う。この点からは、これは非常に歴史的な解散とも言える。

また、ある法案に反対していた人が、同じ法案を後で支持することに変わった、ということもあまりないだろうと思う。 そういう意味では、これは歴史の記録に残るような現象とも言えるし、小泉という名前は時の首相として残るかもしれない。

―郵政の改革というのは、行政上の話というよりも、象徴だったのではないですか?

小泉: : かなり複雑な様相があると思う。自民党が勝ったのは、私の過去4年間のやってきたことへの評価と、これまでに私が進めた改革への国民からの支持、それに郵政民営化への支持だったのだと思う。こうした要素がすべて影響したと思う。

日本を景気後退から抜け出させ、景気回復を実現していった私のやり方が、与党の中で摩擦を引き起こしたと思う。例えば、銀行業界の不良債権の処理で使った方法や、景気後退の時期に公共事業を減らしたことで、これは過去からの完全な決別だった。

 自民党総裁、日本の首相になる、ということは、与党内から強い支持があったことを、慣習として、意味していた。私の場合は、大きな与党の派閥の中の摩擦の中で、首相になった。この点で、私は非常に珍しい首相だと思う。

欧米では、「これが民主主義なのか?」と問う声があるのは事実だ。結局、首相になり、党首になる人物がその地位を得るのは、自分の政党からの強い支持があって、そうなる。野党ばかりか与党内とも闘いながら首相であるというのは、何かおかしいのではないか、というわけである。

私に反対をする人たちはいるし、与党内の指導者たちは、私を独裁者、「ヒットラー」とも呼ぶ。私は選挙で選ばれたのだから、これは非常に奇妙だ。現職についたのも、選挙を経た後だ。

 選挙戦中、私は、郵政民営化に反対した参院議員たちは日本国民がこの法案に反対していると信じて、法案に反対したのだ、と言った。「もし私が勝てば、参院の反対議員たちは、国民も法案を支持していると分かり、立場を変えるだろう。だから、勝たせて欲しい」と言った。最後には、総選挙の結果を見て、反対をしていた参院議員たちは、驚くべきスピードで支持に回った。

 この選挙は、国会での結論を、国民が変えてくれるよう、頼んだ選挙だった。結果、そうなった。この点から、非常に歴史的選挙だったと思う。

―もし、来年の6月、世論調査で、80%の人が首相の座にい続けて欲しいと願うとき、こうした声を無視するのでしょうか?

小泉:(笑い。)世論調査がそんな結果を出すわけないよ、70%や80%の人が私に続投して欲しい、というなんて。

ー過半数以上がそう言えば、考えますか?

小泉:そんな可能生に私が頭を悩ませる理由は全くないと思う。その頃になれば、9月には自民党総裁選挙になるので、6月には、候補者が選挙キャンペーンを開始している。

―女性が次の首相になる可能性は?

小泉:近い将来、首相候補になる可能性のある女性を本当に考え付かない。

―候補者は何人ぐらいいると思いますか?

小泉:4人か5人だと思う。

―日本は第2次世界大戦(での行い)に関して謝罪をしましたが、海外では、日本がまだ謝罪していない、と未だに見ている人もいます。第2次世界大戦における日本の立場を世界に明確にするために、何らかのセレモニーを行うことは考えていますか?

小泉: 考えていない。実際のところ、戦後の日本の過去60年の軌跡を見れば、日本が過去を反省し、後悔していることを、人々は理解していると思う。

中国や韓国との関係を言っているのだね。しかし、これまでにないほど、日本とこの2国との間では、すべての分野において交流が起きている。

中国が私の靖国参拝に反対をしているのは、政治的な理由だろうと思っている。
I would assume that it’s for political reasons that China is opposing my visits to the Yasukuni Shrine.

―中国内部の政治的事情でしょうか、それとも外部に対する政治的事情でしょうか?

小泉:国内の事情だ。それに、中国は、日本が政治的に影響力を増すことを歓迎していないのだろうと思う。例えば、中国は日本が国連の常任理事国になることに反対だ。それは、中国は国際的な舞台での日本の影響をチェックしたいからだ。 Internal reasons. In addition I would assume that China doesn’t welcome a growth in Japan’s political influence. They are opposed, for example, to Japan becoming a permanent member of the UN Security Council because they want to check Japan’s influence on the international stage.

―何故、靖国参拝に関する意向をはっきりさせないのですか?

小泉:実は、中国側は、私の考えを既に知っている。本当に、中国の指導部は、私の意向を認識していると思うし、しかし、もちろん、他国の立場も考慮にいれないといけない。従って、公にするようなことじゃないと思う。常に、他国との関係を考慮にいれることを心に留めるべきだ。
Actually the Chinese already do know my thoughts. Indeed I believe Chinese leaders are aware of my intent, but then of course you have to be considerate of the others’ position as well. So I think it’s not something that we should make public. We always have to bear in mind relations with other countries.

―今年中には靖国を参拝するのですか?

小泉: そういったことは、言わないでおいたほうがいいと思う。これは、中国側も理解してくれると思う。 I think that sort of thing is best left unsaid. That [is something that] the Chinese also understand.

―時として、日本の国粋主義と、戦後の国としてのアイデンティティーの発達とを混同する人がいますね。気になりますか?

小泉:それは誤解だ、本当に正しくない。今私たちが目にしているのは、全く国粋主義というようなものではない。日本国民は、過去について非常に深く反省をした。第2次世界大戦について遺憾に思っているし、世界中の誰よりも強く、日本人は、絶対に再び戦争を起こしてはいけない、と思っている。他の何よりも平和を愛している。

―景気は回復したのでしょうか?

小泉:景気回復の時期は、過去最長だ。しかし、インフレを克服していないし、正式にインフレを克服するまでは、正式に景気が回復した、とは言えない。

―前にお会いした時、夜は4-5時間眠るとおっしゃいましたね。今は選挙も終わり、もっと長い時間、もっと心安らかに眠っていますか。

小泉:(笑い。)長さは変わらないかもしれないが、多分、選挙の時と比べて、もっと深い眠りだし、それほど頻繁に途中で起きなくなった。

―退任したら何をやりますか?ガーデニングですか、それとも音楽をきいたり?

小泉:そんなことを考えるところまで、まだいっていないよ。今いえるのは、来年の9月までは首相としてベストを尽くすことだ。一旦やめたら、きっとたくさんやることがあると思う。

首相としては、音楽を聞くのが楽しいが、ベッドでCDを聞くぐらいだ。やめたら、コンサートや映画に行ったりするよ、DVDで映画を見るんじゃなくて。それと、首相でいるうちは、やることすべてが公務になる。首相でないと、自分を楽しませる方法はたくさんある。

―今、何を読んでいらっしゃいますか。

小泉:約400年ぐらい前の、戦国時代の歴史に関する本を読んでいる。

―現代に通用するような教訓はありますか?

小泉: 厳しさについてかなり学んでいる。戦国時代のサムライがどんなに厳しい生活をしていたか。毎日、死と直面している。教訓はたくさんある。

―どの人でしょうか。

小泉;織田信長、豊臣秀吉、徳川家康のことだ。この3人は、当時の歴史上、複雑な混乱を作り出した。

―イギリスの与党・労働党が日本の自民党に似ている、という人がいます。本当の野党が党内にいるからです。そう思いますか。

小泉: 日本では、与党は与党で、野党は野党だ。

私の内閣で難しかったのは、与党の中で私の政策に心の中では反対していても、その政策を支持するように強制しなければならなかった点だ。小泉は自民党の総裁で首相だし、日本の国民が(郵政民営化を)支持した、という現実に直面している、心の底では私に反対している与党内のメンバーのことだ。こういった人たちの気持ちを変えるように、かなりのエネルギーを使ってきた。この点で苦労した。

(以上・言葉の分かりやすさのため最後のコメントをやや意訳。他はほとんどそのまま。)



ータイムズ・トムソン編集長の戦略

 次に入れたいと思っているが、タイムズのロバート・トムソン編集長は、今、東京に来ている。28日開催の読売メディアフォーラムというイベントのパネリストの一人だった。このインタビューも東京特派員とともにやった、ということだ。

 これまでにも、何かのイベントに出席しながら、独占インタビューを東京特派員とともに行う・・・というパターンをやっている。イベント出席は別としてもファイナンシャル・タイムズのアンドリュー・ガウアー編集長も(日本に限らずブッシュ大統領インタビューなど)、似たようなことをしている。

 読売の英字紙「デイリーヨミウリ」にも、しばらく前から、サプルメントとして、タイムズの紙面が入っている。

 実際のトムソン編集長は、ひょろっとした感じで、物静か。非常に恥ずかしがり屋に見える。ちょっと赤面しながら、パネリストとして冗談などを言っていた。

 タイムズはメディア王ルパート・マードック氏が所有しており、トムソン氏は、マードック氏のあやつり人形、とも言われている。もともとは、ファイナンシャル・タイムズの敏腕記者だった。

 「競争が激しい」とトムソン氏が機会あるごとに言う英新聞業界で、やっていくー。やはり相当な人なのだろう。

 

 
by polimediauk | 2005-09-29 00:23 | 日本関連

「お金を稼げないなら、何故ブログジャーナリズムをやるのか?」

 米国のネット業界、ブログのことに詳しい人なら超有名らしい米国のジャーナリスト、ダン・ギルモア氏が、今日本に来ている。

 26日の夜、銀座のビルで、氏の、We the Media という本の邦訳版「ブログ 世界を変える 個人メディア」(朝日新聞社)の出版を記念して、セミナー・トークのイベントが開かれた。

 ギルモア氏は1951年生まれ。94年から2004年までシリコンバレーのサンノゼ・マーキュリー・ニュース紙でコラムニストを務める。この本によれば、「ブログ用ソフトを開発した会社が、グーグルに買収される話をスクープして話題を振りまき、重要なネット関係の会議でも常にジャーナリストの代表として講演するなど、いまやブログの世界では欠かせない存在」ということである。

 「ネットは新聞を殺すかブログ」の湯川鶴章氏が司会。(いきなり、「時間があまりないので、英語だけで行きましょう」というのには、驚いた。いまどきのITの使い手たちは、英語がすごいんだなあ・・・と思う。しかし、ちゃんと適宜翻訳してくださった。隣では、ラップトップをカタカタとたたく音が。ビデオで撮る人も。果たしてどれぐらい早く、アップされたのだろうか?)

 ギルモア氏は、長身でやや銀髪。穏やかな感じの方だった。

 
以下はそのときの様子の抜粋。

 「マーキュリー・ニュースにコラムは今は書いていないが、今もジャーナリスト。ファイナンシャルタイムズにも月2回ほど書いている。

 既存マスコミとブログは協力していければ、と思う。1つのエコ・システムとして捕らえている。このエコ・システムの中に、既存の大手メディアもあれば、市民ジャーナリズムある、というような。

 グラス・ルーツのジャーナリズムが育つように、サンフランシスコのベイエリアを中心としたニュースなどを扱うサイトを運営している。

 以前、(無責任なコメントを残すような)人がいたので、ここでは、正規のメールアドレスを登録した人のみがコメントを残せるようになっている。結果的に、質が高くなったと思う。ここで市民ジャーナリストになりたい人は、きちんと振舞うことを約束することになっている。そして、記事が正確であり、フェアであり、バイアスがかかっていないようにする。他のサイトもこうしなさい、というのでなく、私はこれをやる、ということだ。私の運営の仕方が気に入らない人は、他のサイト・ブログに行けばいいのだから。

韓国のオーマイニュースと違うのは、オーマイニュースのような編集チームがいないことだ。米国の法律制度の下では、もし私が投稿された記事に手を入れると、私がその記事の責任を負うことになる。場合によっては、法に訴えられるのが私になる可能性もある。だから、編集はしない。自分で考えて投稿してもらう。

 ブログで書かれていることの信頼性に関して質問が出たが、私は、自分のブログに出た内容の信頼性を保障したりはしない。つまり、既存マスコミの場合もそうだが、すべてにおいて、人は自分が読むこと、聞くこと、に関して、それが信頼性に足るものかどうかを、自分自身で判断するべきだ、と思うからだ。
 
 ニューヨークタイムズを手にするとき、私は、新聞の中に信念、ケアがこめられていると思う。NYタイムズでは、ブレア記者による偽造事件、イラク戦争での(偏向報道)など、いろいろ恥ずかしいこともあったが、それでも、正確さを保とう、という気持ちがあると思う。

 とにかく、何が正しいのかを自分で判断することだ。すべてのメディアに対して、疑りぶかさをもって接すること。読者は、もっとアクティブにメディア報道に接するべきだと思う。

 ブログはジャーナリズムか?ジャーナリズムでなくてもいいと思う。いろいろ、楽しい内容のものなど、様々なバラエティーがあって、いい。でも、ブログの内容がジャーナリズムであった時は、通常、ジャーナリズムにあるべき原理が適用されると思う。例えば、内容が正確であること、フェアであること、事実がチェックされていることなど、だ。

 ブログ・ジャーナリズムには大きなポテンシャルもある。通常のメディアがカバーしきれない部分を追うことができる。ジャーナリストで、自分が担当の分野のブログを読んだことがない人は、情報を逃していると思う。

 5年後は、ブログが雑誌を追い越しているか?1つ1つのブログが雑誌だとすれば、そういう意味では、量的にそうなることもあるかもしれないが。

 ブログの現象を考えるとき、ネットユーザーの中のトップグループにいる人たちのことばかりでなく、その下にいるいくつものブログのことを考えて欲しい。たとえば、15人の読者しかいないブログでも、その人たちにとってものすごく切実で、非常に熱心に読まれているとすれば、人気があって(読者の数が多い)ブログよりも、情報の価値が高いと思う。

 ブログはコミュニケーション、人間の声、会話、という面がある。ますますこうした部分は重要になってくると思う。

 しかし、広告がどっちにいくかというと、話は別だ。雑誌は広告主にとって、大きなビジネスになっている。

 既存メディアは生き残るだろう。ジャーナリズムには大きな役割がある。ジャーナリストは競争をするものだし。

 しかし、ビジネスとして生き残っていけるのか?これに懸念を持つ。持続していけるのか?米国では特に、新聞や雑誌は広告でなりたっている。

 例えばアメリカの新聞はクラシファイド・アドが大きな収入源となってきたが、これが減ってきている。例えば、イーベイなどに流れている。こうした会社は、お金がベンチャーキャピタルから出ている。そして、プロフィット・マージンが小さくてもやっている。

 新聞は、ビジネスモデルの危機に瀕していると思う。

 テレビも広告で成り立つが、自分はコマーシャルをカットして見ている。

 結局、既存メディアが生き残れるのか?

 分からない。しかし、ジャーナリズムは市民社会の中で、民主主義を実行するために必要なのだ。

 (質問:パブリックジャーナリズムは日本で成功するか?会場からの声:成功しない。例えば記者クラブがあるから。情報をとれないだろう。)

 記者クラブ制度が特に妨げになっているとは思わない。ある種の情報は記者クラブなど既存のグループに入っていないと書けないかもしれないが。しかし、使わなくても、情報はとれる。

 (ジャーナリズムとは?)
 特に定義のあるものではない。一般的には、ニュースだ。しかし、有名人のゴシップも、広い意味ではジャーナリズムだと思う。

 分析もジャーナリズムだと思う。

 しかし、自分で実際にレポートすること、聞いたことや読んだことだけでないのが一番だと思う。しかし、これだけ、というわけではないが。

 7月7日のロンドンテロを思い出して欲しい。地下鉄車内の様子は世界中で放映された。カメラ付き携帯があったから、そのときだけ、ジャーナリストになれた。ツールがあるからこうしたことができるようになった。

 (ブログでジャーナリズムをやるとき、お金を稼ぐのがむずかしいのではないか?)

 ブログのジャーナリズムで、お金を稼げないからだめ、とは思わない。生計を立てるという部分と、書いたものがジャーナリズムかどうかは、別。書いたものの中で、あるものはお金を稼げるだろうし、あるものは稼げない。しかし、大部分は稼げないだろう。お金を稼ぐからあるいは稼がないから、ジャーナリズムである、ないという考えには危険性があると思う。

(お金を稼げないなら、何故ブログジャーナリズムをやるのか?)
 よりよい市民になるため、とでも言っておこうか。私たちみんな、お金を稼がなくてもやることは、一杯あると思う。

 ブログには様々なコメントがくる。時々、こちらに挑戦してくるようなコメントも。事実の間違いを指摘してくれたり。今まで、こっちの間違いを指摘してくれるようなコメントからのほうが、ブログのことを誉めてくれる人よりも、多くを学んだ。私が間違っている、といってくるような人から、最も学んだと思う。

by polimediauk | 2005-09-27 01:29 | ネット業界
 「ガーディアン」が、夕刊フジなどのタブロイド判をやや縦に細長くしたような「ベルリナー」判になってから、約2週間が過ぎた。
http://digital.guardian.co.uk/

 ガーディアン東京特派員から本物を見せてもらった。ネット上で26日分まで無料で読めたのだが、やはりネットで見るのと、実際に手にした感じは違う。

 ネット上の方が、紙面(画面)のカラーが鮮やかで、きれいだったように思う。紙で見ると、全体的に、やや抑え気味に見える。センスが良い感じにも見えた。今日の紙面を若干載せてみる。

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 やや抑え気味でセンスがいい感じ・・というのは、目立つには、単純に考えて派手な色を使え ばいいのだろうが、そうしなかったのかな、と思ったからだ。やはりプロのデザイナーの人がやって、統一感を出したのだろう。これからも、おそらく変わっていくはずだ。(日本の編集デザイナーの人から見たら、ガーディアンの新紙面は、どう見えるのだろう?いつか誰かに取材させていただきたいものだが・・・。)

 さて、少し時間が経ってしまったが、ガーディアン新紙面までの経緯に関して、「エコノミスト」(9月10日号)が短い記事を出していた。以下は大体の訳。(Paper Tigersというタイトルの記事)

 
「・・・ブロードシート(日本の朝刊サイズ)から小型タブロイド判に大きさを変更した英タイムズ紙は、今月から価格を5ペンス(10円)あげて、一部60ペンス(120円)となった。さらに、CITY A.M.という名前で、経済記事を読む読者のための新しいフリーペーパーを発行している。

 表面的に見れば、タイムズ紙の値上げは自信の表れ、といえるかもしれない。ニューズ・インターナショナル社のレス・ヒントン氏は、タイムズはジャーナリズムに投資をしてきたので、価格をあげても、発行部数にはほとんど影響がないのだ、という。

 しかし、新聞の価格上昇は、メディア王(でタイムズを所有している)ルパート・マードック氏が、マーケットシェアを得るために巨額のお金をつぎ込んだ新聞の安売り競争が終焉したことも意味する。

 1993年、マーッドク氏はタイムズを一部30ペンス(60円)に値下げ。発行部数は2倍になった。犠牲になったのが他の2つの高級紙(クオリティー・ペーパー)インディペンデントとデイリー・テレグラフだった。

 その後、いわゆるクオリティーペーパーと呼ばれてきた新聞の読者は激減し、生き残っている新聞は、価格がいくらかなどあまり気にしないのかもしれない。それに、マードック氏は、新聞でお金を失う事にあきた、という点もあるかもしれない。ある内部事情を知る人の話によれば、「5ペンス(10円)価格をあげたからといって、損失がなくなるわけではない。しかし、収益をあげるための重要な一歩だ」。

 新聞を買って読む読者は減ったが、ただで読む読者は増えている。

 今年年頭、マードック氏は、アソシエーテッド・ニューズペーパー社が発行している日刊のフリー・ペーパー、メトロのせいで、氏が発行するタブロイド氏のサンが売れなくなっている、と不満を述べた。アソシエーテッド・ニューズペーパー社は、有料のタブロイド紙デイリー・メールを発行している。

 また、無料新聞を読む若者が増えているならば、こうした人々はそのうち有料の新聞を読むようになるのでは、と期待する人もいる。

 ほとんどのフリーペーパーは(通常の有料新聞のように)総合的トピックを扱っており、経済や金融に特化したフリーペーパーがビジネスマンなど専門職で働く人々の気を引くのはかなり難しい。

 CITY A.M.のチーフ・エグゼキュティブのジェンス・トープ氏は、ファイナンシャル・タイムズが失った読者をとりこみたい、としている。ファイナンシャル・タイムズはピアソン・グループの傘下にある。ピアソン・グループはエコノミストの所有者の一つでもある。

 トープ氏によれば、ファイナンシャル・タイムズは、総合的なブロードシート紙になりすぎて、経済や金融に集中しなかったために、読者が離れた、という。

 しかし、今のところ、CITY A.Mは、フィナンシャルタイムズどころか、どの有料高級紙の経済面と比べても、記事の深みや真剣さにおいて、まだまだ、といったところだ。

 世界中でフリーペーパー「メトロ」(英国のメトロとは別物)を発行している、スエーデンの会社メトロ・インターナショナルは、英国金融街向けに、無料の経済紙を発行できないものか?と、策を練っていると言う。CITY A.Mのトープ氏は、かつてメトロ・インターナショナルで働いていた。果たして、氏のかつての会社がCITY A.Mをしのぐような無料の経済紙を発行するようになるのだろうか?

 「ガーディアン」が全ページがカラーのベルリナー判を発行することにしたのは、若者にアピールすることがねらいだ。若者、特に女性たちは、ブロードシート紙のかさばる大きさ・厚さを嫌うといわれてきた。小型タブロイド判になったインディペンデントやタイムズ紙は、見事発行部数を伸ばすことができた。

 しかし、「同じ方向に進んだとしたら、1面を侮辱するような事につながっていったと思う」というのは、ガーディアン・ニューズペーパー社のキャロリン・マッコール氏だ。「1面に入る記事や見出しが減るから」だ。(注:1面に1-2本の記事をセンセーショナルな見出しで載せる、というのが大衆紙・タブロイド紙のやりかた。ガーディアン編集長ラスブリッジャー氏は、タブロイドにはなりたくない、という点を繰り返し表明している。これは効果的1面を作っているインディペンデント批判でもある。)

 新たな印刷機械を入れ、マーケティング費用を入れると、ガーディアンは新フォーマットに8000万ポンド(約159億円相当)をかけた。ベルリナー型への移行を成功と呼ぶには、かなり部数を伸ばす必要があるだろう。
(終わり)(最初と最後にややカットあり。)


ー忘れてはいけないこと
 
 ガーディアンの判型変更で、忘れてはいけない重要な点があった。

 それは、ガーディアンは発行部数が落ちる一方で困っていた、という事情だ。インディペンデントとタイムズに押され、発行部数上昇をどうしても実現できないでいた。

 日本新聞協会が出している新聞協会報9月20日号の記事が、英誌プレスガゼットからの情報を紹介している。

(引用)
 一方、英誌プレスガゼット電子版は「ガーディアンは、2003年9月、11月にタブロイド化したインディペンデント紙、タイムズ紙との競争下、過去10年間で最悪の部数減を経験したところで判型変更を迎えた。今年8月には、1978年以来最低の35万8345部(前年比3.44%)にまで落ちていいた」、と伝えている。
(引用終わり)

by polimediauk | 2005-09-26 18:12 | 新聞業界

イラクのこれから


(以下、若干追加します。26日午後5時)

 イラクから英軍がいつ撤退するのか、それは来年の5月頃らしく(英オブザーバー紙25日付け)、予定策定が進んでいる、といった報道を、ロイターや産経、読売などで見た(ヤフー・ジャパンより)。それに関し、ブレア首相が、26日のBBCテレビで「いつとは決まっていない」というようなことを言ったようだ。

 本当はどうなのか?

 オブザーバーのスクープ(=真実)という可能性はあるし、「いくつかあるプランの中の1つ」というケースもあるようにも、思う。(何も考えていない、策定していないわけがない、というのが常識と見たほうが正しいだろうから。イラク戦争の時も、開戦するには、戦車、人、物資を動かすわけだから、実際に動き出すXデーがあったであろうし。すぐには全部動かせないので、数ヶ月前に決めていた「はず」・・・・。)

 繰り返しになるが、「いくつものプランをいろいろなレベルで考えている」という要素も、私自身は心に留めていたいと思う。以前にも、何度か撤退時期が噂され、報道されてきたので。(つまり、全ての報道=いくばくかの真実)

 新聞には新聞の事情もあり(後で間違ってもいいから、とにかく先に出したいーー英国の場合)、また「そのときは正しかったんだけど、後で事情が変わった」という展開もある。

ーー以上追加分終わり。---


 雑感になるが・・・・。

 日曜日(25日)の朝の政治・時事番組(黒岩さんというキャスターの方がいらしたと思う)だったと思うが、この中で、イラクの自衛隊を引き上げることについての質問に、政府高官らしい人が答えていた。12月に現在の派遣の基礎となる法律の期限が切れるので、これをどうするか?と。(他のことをやりながら見ていたので、恐縮だが、この高官の名前を記憶していないのだが。)構図として、キャスター・ジャーナリストが、政府高官を問いただす、論理のつじつまがあわないような部分をつく・・といった感じだったように思う。それに対し、高官がやや苦しそうに答えていたように記憶している。

 見ていて、高官はつらいだろうな、と思った。日本の意向だけでは決められないのだから。英国でさえも、イラク駐留の英軍の規模縮小及びいつ撤収させるか、に関して、自国では決められない、という状況があると思う。つまり、決めるのは米国だ。日本政府の高官が、「(いつ撤収させるか)そんなこと、知らない。分かるわけないだろう。アメリカに聞いてくれ」というのが、本当は一番正直な答えになるのかもしれない。

 BBCオンラインによると、ブレア英首相は、「イラク政府が望む限り、英軍はイラク駐留をする」と述べているそうである。http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/4279618.stm (約30分ほど前のニュース)

 一方、21日ごろ、英南部バスラで英国人二人がイラク人警察らに捕まり、後に拘留されていた刑務所を、英軍の装甲車が攻撃。150人の受刑者が逃げた、数人が負傷・・・という項目を書いた。装甲車も攻撃にあい、火だるまになったような英兵の一人が、装甲車から飛び出して逃げ出す様子がカラー写真で世界に報道された。

 そこで、事件のもともとの部分、つまり英人二人が何をしていたのか?を疑問に思っていたが、日刊ベリタwww.nikkanberita.comで、斎藤力二郎さんという、アラビア語ネットを専門にチェックしている人が、その「真相」を報じている。

 以下はその一部抜粋(無料掲載部分。ベリタは購読システムをとる)

2005年09月22日掲載  

英人秘密工作員2人が巡礼者に発砲 マハディー軍の警官が拘束

 【東京22日=齊藤力二朗】日本のメディアは詳しい報道を行っていないが、イラクでは今、英国人2人が一時拘束される事件が発生、関心を集めている。21日付のイラク・パトロールが信頼できる筋から得た情報として、バスラで起きた同事件の真相を報じた。 
 
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 残念ながら内容は有料購読者のみへの公開になるが、ここで明らかになったのは、この英国人二人が、イラクの対立するシーア派とスンニ派の亀裂を深くするために、何らかの工作をしていた、という疑いだ。

 つまり、わざと、紛争を起こさせ、いつまでも暴動が治まらないようにして、結局はイラク政府が、英米軍の駐留をいつまでもお願いする、といった形を仕組んでいる、というものだ。

 これを信じるか、信じないか?

 2003年のイラク戦争の開始直後のあたり、米政府高官らが、「イラクには必要とされるだけ、いる。10年、20年、30年・・・」といっていたのを思い出す。事態をあおるわけではないが、「わざと紛争を引き起こしている、分断を大きくしている」という説をいちがいに否定もできない気がしている。
by polimediauk | 2005-09-26 00:55 | イラク

NHKとBBC

 NHKの「新生プラン」が発表になり、受信料を払わない人には民事手続きによる支払い督促の導入が盛り込まれたという報道を昨日読み、BBCを思い出した。

 BBCの年次報告書などに詳しく書いてあり、今それを見ないで書いているが、大体のところでは、BBCの受信料を払わない人は罰せられる。人手をさいて、支払い督促、罰金、場合によっては刑務所送り、といった手段を用意している。実際に、何らかの形で罰せられる人は確実にいる。ある程度年のとった人は、罰せられない。

 電車に乗っていると、駅の構内などに、「テレビ受信料を払わないということは、犯罪です」「後で大金の罰金を払うか?それとも今受信料を払ってしまうか?どっちがいい?」といったような要旨のポスターが貼ってあり、読むたびに、どきっとした。随分厳しいなあ、と思ったからだ。

 今問題になってきたのが、BBC以外のテレビ局の番組を主に見る人、衛星放送のスカイテレビなどで十分に足りていると思う人、などが増えてきた点だ。「ほとんど、あるいは全く見ていないのに、何故受信料を払うのか?」と感じる人がいるのだ。

 BBCの受信料は、テレビ・ライセンス料と呼ばれ、BBCを見ていようといまいと、テレビの受信機があって、何らかの番組を見ていたら、払わないといけない。年に約24000円ほどだ。

 確実に、BBCの番組を見ている人は減り、他のテレビ局に流れており、デジタル・チャンネル化がさらに進めば(2012年にはすべてがデジタル放送になる。日本では2011年)、ますますその傾向が強まる、と見られている。

 一方、BBCとの比較、という側面とは全く別の問題として、NHKの受信料不払いを考える記事が、私も時々書かせてもらっている「日刊ベリタ」(www.nikkanberita.com)に出ているので、ご参考までに。

 
2005年09月21日掲載  無料記事

検証・メディア
不払い問題の原因「考えていない」 「停止運動の会」がNHKを批判

  【東京21日=ベリタ通信】有識者や市民がNHKの受信料支払い停止を呼び掛けている「NHK受信料支払い停止運動の会」は20日、NHKが「新生プラン」として民事手続きなどを通じて受信料を督促する方針を示したことに対し、「不払い問題の根本的原因を考えていない」と批判した見解を発表、橋本NHK会長にも送付した。 
 
 同会は8月にNHKが公表した視聴者の受信料不払いの理由は「不祥事・経営陣への批判」が34%とトップとなっており、受信料を支払わない人がいる「不公平感・制度批判」(33%)を依然上回っていることを指摘。「『不払いをいかに止めるかが信頼回復につながる』のではなく、不信の原因を取り除く改革を実行することが不払いを止める力になる」と訴えている。 
 
 そのうえでNHK再生のためには、朝日新聞などが報じた「番組の政治家に対する事前説明」について「通常の業務の範囲内」とした見解を撤回し、番組の事前説明を禁止する旨をNHK倫理・行動憲章に明記することなどを求めている。 
 
 
 同会は、NHKの番組に対する政治介入について、再三、NHKに質問しているが、「政治の介入によって番組を改変したことは、これまでもなかったし、今後もありえない」という回答を繰り返しているという。 
 
 同会は一方で、受信料支払い停止運動が、受信料の「不払い」ではなく、「停止」であることも強調。「双務契約の相手方であるNHK」が、公共放送に求められる自立した公正な放送の提供を履行すれば、受信料の支払いを再開することも示唆している。 

by polimediauk | 2005-09-22 08:01 | 放送業界

産経の衝撃


いよいよ、日本の新聞が本格的にネットで配信?

 新聞報道で知ったのだが、今日非常に衝撃的だと思ったのが、産経新聞が「産経Net View」というサービスを始める、というニュースだった。産経新聞の紙版に書いてあるのが一番詳しいが、新聞紙面がレイアウトそのままに読めるのに加え、紙面に収容し切れなかった写真やニュースの動画などを見られるのが大きな特徴。
 
 これで、月額315円だという。

 最初、3150円と読んでしまい、もう一度読み返した。他紙によると、2001年、1900円ほど(月)でやっていたが、十分に読者が集まらず、いったん断念していた。今度はこれをかなりバージョン・アップしたものになりそうだ。

 基本的には、通常の紙の新聞にプラスした内容となるようだ。大手新聞社のサイトには紙にのった記事が全部は載っていないが、産経新聞記事によれば、「全部載って」しかも、それにプラス、ということだ。(世界地図、記事検索、動く天気図などなど。)

 大手ネットプロバイダーを通じて申し込めるということで、早速申し込んでみた。(申し込みプロセスにはやや手間取った。現在のところ、提携プロバイダーに問い合わせができた段階だ。)様々な評価があるとは思うが、「315円」というのは、どう見ても安い。どんなことができるのかを、見てみる目的だけでも、安い。以前の携帯電話i-modeの、コンテンツサービスを思い起こさせる。3万人の購読者を予定しているというが、意外と広まるのではないか?

 日本の他の新聞はどうするつもりだろうか?

  産経の新サービスは紙版をネットで読める、というものなので、時間的に早い、ということはないのだろうが、2年ほど前に、英タイムズ紙の編集長が、「タイムズのライバルは時間、つまりネットと24時間ニュースだ」と言っていたことを思い出す。

 

 
by polimediauk | 2005-09-21 23:49 | 新聞業界

テロの下見?

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 7月7日のロンドンでの同時爆破テロの実行犯の男性たちが、6月末、予行練習、あるいは下見をしていた様子を監視カメラ(CCTV)がとらえ、これがネットやメディアを通して公開された。BBCオンラインのUK版の今トップ記事だ。http://news.bbc.co.uk/

 (やや別件だが、この動画をオンラインのネット上で見ることができるようになっているが、無料は英国内だけで、英国外は、年に約8000円分を払わなければいけない。以前、「ビデオが見れる」と何度か書いてきたが、そのとき、英国外では料金を払わなければならないことが分からなかった。国外でも無料であるような印象を与えてしまったことを、お詫びしたい。BBCでは、国内の視聴者、つまりテレビ受信料を払う人と、国外の視聴者・読者へのサービスの差別化が目立つ。実現していないが、国外からBBCオンラインにアクセスする人に対して購読料を要求する、という案も、週に一度の「マガジン」というコーナーで話し合われた。国外からアクセスしたユーザーはもちろん大反対し、実現はしていない。)

 英南部ルートン駅に集まった様子、切符を買おうとしているところ、爆破を起こした地下鉄駅を歩いているところなど、音はなく、動画のみが続く。不気味さを感じざるを得ない。8万本分のテープを分析して探し出した映像だという。
by polimediauk | 2005-09-20 21:56 | 英国事情

イラク 現場の記者の声


状況はひどくなるばかり。解決策・・・いまのところ、なし

 バグダッドからみた国内の状況はどうなっているのか?

 9月17日の英時間朝7時から始まった、BBCラジオ4の看板ニュース番組「TODAY」が、イラクの内情を二人のジャーナリストから聞いている。両者ともにバグダッド在で報道を続けている。

 文章にすると雰囲気が伝わってこないが、後半、インディペンデント紙の特派員との一問一答になると、あまりにも状況が悪いので、トーンが段々暗くなってゆく。質問をするほうは、驚き、だんだん落胆してゆく。答えるほうも、やや間をおきながら言葉を発するようになり、「かなり絶望的な状況」であることを伝えている。

 以下はその内容:

 ニュース・プレゼンターのジョン・ハンフリーズ氏が聞く

ハンフリーズ:今週もイラクではたくさんの死傷者がでています。250人が亡くなったことになります。なくなったのはほとんどがシーア派でした。いよいよ、最も恐れていた「内戦」がイラクではじまったのでしょうか?安全保障問題の特派員ゴードン・コレラが報告します。

コレラ特派員:毎日様々な名前のもとで戦いが続いていますが、シーア派の住民による、スンニ派にたいする聖戦、というゴールはかわりません。少なくとも、(スンニ派の過激派「イラク聖戦アルカイダ組織」を率いる)ザルカウィ容疑者はそういっています。ザルカウィ氏は、アメリカのハリケーン・カトリーナに触れ、あのハリケーンで米軍がうまく機能できなかったのは、イラクで疲れ果てたから、と言っています。そして、イラク国民の大部分であるシーア派に対する全面的な戦いを開始する、としています。

先週から続いている惨事を見ていると、(イラク国民の間で)内戦が起きているともいえるでしょう。しかし、それは必ずしも正確ではないかもしれません。第一、ザルカウィ氏はヨルダン人であって、イラク国民ではありません。自爆テロを行う人々の多くも外国人です。しかし、目的は内戦を起こすことなのです。イラクを分裂させ、スンニ派をとりこむことです。イラクの反乱者たちの中で、ザルカウィ氏をはじめとする外国人は、数の上では10%ぐらいと見られています。残りの90%はイラク国民です。主にスンニ派で、米軍の駐留に抗議する人たちです。しかし、こうした人々の暴力の度合いは限られています。

ザルカウィ氏はスンニ派をとりこみたいと考えていますが、まだそうなってはいないようです。政治と暴力は密接に関連しています。ザルカウィ氏は交渉には応じません。しかし米政府やイラク政府が望んでいるのは、スンニ派の住民たちを暴力から切り離し、政治の場に組み込み、ザルカウィ氏を孤立化させることです。今後の新憲法草案への国民投票で政治的高まりを作ることができれば、反乱を抑えることができるのです。終わらせることができなくても。

しかし、政治が失敗すれば、ザルカウィ氏は宗派の違いによる偏狭さを表に出してコミュニティーを分断化し、暴動も激化し、本当に内戦になってしまいます。多くの内戦は国家をコントロールするための政治の戦いの果てに起きています。ザルカウィ氏のこれまでを見ていると、国民同士の対立はかなり激しいものになりそうです。

ハンフリーズ:さて、1978年からイラクを報道してきたのがインディペンデント紙のパトリック・コッコバーン記者です。現在はバグダッド特派員です。BBCの記者の分析はあたっていると思いますか?

コッコバーン:そう思います。状況は毎日悪くなっています。全面的な内戦とはまだいえないかもしれませんが、バグダッドの一部では、内戦と呼んでいい状態になっています。そう感じます。

ハンフリーズ:内戦の定義は、市民が他の市民と戦う状態ですね?

コッコバーン:そうです。戦う、というより、互いを殺しあっている、という意味ですが。バグダッドでは、特に西や南のバグダッドでは、暗殺だけでなく、シーア派住民が、住んでいる場所から追われたりなどといったことが起きており、スンニ派が固まって住む地域ではそういうことが起きています。

ハンフリーズ:民族浄化のようなことですか?それともこの言葉は強すぎますか?

コッコバーン:いいえ(強すぎるということはありません)、もし該当する地域に住んでいる人だったら、確かに民族浄化でしょう。自分の友達が殺されて、自分も出て行け、といわれるといった状況ですから。民族浄化、といっていいでしょう。大げさなことは言いたくはありませんが、これはほんの始まりだ、ということです。たくさんの死体がでてきていますし、多くの人が、生まれ育った土地から、追い出されています。

ハンフリーズ:現地に住んでいるということで、私たちより状況が分かっているでしょうけれど、状況は悪化している、ということでいいですね?それ以外にいいようがない、と。

コッコバーン:はい、残念ながら、亀裂は深くなっています。他の勢力も活動しています、最も影響力があるシーア派最高権威アリ・シスタニ師が、宗派の違いによる争いを止めるような発言をしています。例えば、「もしシーア派の人口の半分が殺されたとしても、復讐をしてはいけない」といっています。こういうことを言うのは重要です。しかし、バランスは日を追うごとに変わっています。

ハンフリーズ: 政治的盛り上がりがあれば、状況は変わるんですよね?BBC特派員が言っていたように?

コッコバーン:変わればいい、とみんなが望んでいます。もうすぐ、10月15日に、新憲法草案の国民投票があります。もしこれが承諾されれば、国内に約500万人のスンニ派アラブ住民を怒らせることになります。もし承認されなければ、クルド人やシーア派住民が怒ります。従って、この国民投票で国全体が一つにまとまることはない。国家的な和解が達成されるようなことも入っていませんし。

ハンフリーズ:つまり、新憲法には、両グループを統一させるようなことが書いていないわけですか?そうおっしゃっているんですか?

コッコバーン:憲法自体には、そういうものはありません。スンニ派のアラブ人たちは、憲法の中の連邦制の概念に反対しています。スンニ派は投票しないかもしれない、投票すること自体が憲法を認めたことになるから、など言う人もいますし。でも、これもどうなるか不透明です。全体的に、市民に話を聞き、また政治家などに話を聞いても、この憲法が何をもたらすかに関し、うんざり感があるようです。

ハンフリーズ:気がめいるような質問ですが、何ができるんでしょうか?できることはあるんでしょうか?解決策はあるのでしょうか?

コッコバーン:今のところ、完全な解決策、というものはありません。人々ができる最善の道は、これ以上事態が悪化しないようにすることです。これ以上地上で起きるひどい自爆テロをなくすこと、仕事がのどから手が出るほど欲しい日雇いの人がやっているのが自爆テロです。政府も、今朝、南西バクダッドで、200-300メートルおきにチェックポイントを作るなどやっていますが、自爆テロ犯をとめるのは、非常にむずかしい。

ハンフリーズ:ということは、かなり悲観的な意見を持っているということですね?

コッコバーン:残念ながら、かなり悲観的です。悲観的になりたくないのですが。死体の数を毎日見ていますし、その数が増えているのですから。


http://www.bbc.co.uk/radio4/today/listenagain/ の9月17日分より (7時33分から始まるクリップ。若干言葉の補足、省略あり。)

 なお、参考として、時事通信の記事を。

 英、イラク駐留軍削減計画棚上げ=内戦突入を懸念-日曜紙

 【ロンドン18日時事】18日付の英日曜紙サンデー・テレグラフは、イラクが全面的な内戦状態に入るのではないかとの懸念の高まりを受け、英軍がイラク駐留兵力を来年、大幅に削減する計画の棚上げを決めたと報じた。
 英軍はイラク情勢をにらみながら、状況が許せば、治安維持任務をイラク側に段階的に移管し、約8000人の駐留部隊を3000人程度まで削減する計画の策定を内部で進めていた。 
(時事通信) - 9月18日9時0分更新
by polimediauk | 2005-09-18 20:46 | イラク

 7月中はまだ英国にいたので、ロンドンテロの後で地下鉄にも乗ったし、連日のテレビやラジオの報道はかじりついて見たり聞いたりしていた。「現地にいた人の目」で、書店に出ている幾冊かの月刊誌に掲載されている、ロンドンテロの分析・解説記事を読んでみた。

 特にあたっているように思った記事の1つが、「諸君!」10月号の、「自由世界はテロリストに勝てるか」(古川勝久氏と池内恵氏の対談)だった。非常によく情報をチェックしているようで、古川氏の方は7月中旬にはロンドンにいた。英国・欧州の文脈の中で今回のテロがどういう意味を持つのか、日本との関連付けは?という点が入っており、これを読むだけで、全体の状況がよくわかる。ロンドンテロが、欧州の民主主義の戦い、思想の戦いである点、「対話による相互理解の傲慢」さの指摘など、網羅されている。

 古川氏は、最後の方で、「ともすればテロの温床となりうるインフラが日本にもある」としている。

 「論座」9月号では、朝日新聞ヨーロッパ総局長の外岡秀俊氏による「欧州サイドミラー、自爆新世代の衝撃」という記事が現地の雰囲気を非常によく伝えている。「自国で生まれた人が自爆テロ犯だった」というのが今回のロンドンテロのポイントで、英国民にとっては大きな衝撃になっていたのだ。

 もう1つは米フォーリン・アフェアーズ誌の翻訳記事で、「ヨーロッパで誕生する新ジハードの戦士」(ロバート・S・レイケン氏」が、テロを欧州移民というキーワードから解き明かしている。「アルカイダがテロ要員のリクルートの標的にしているのは、ヨーロッパのイスラム系移民二世たちだ」と前置きに書かれているが、「異なる文化を持っている移民、その二世、三世をどうするか?」が欧州では大きな問題になっている。「ヨーロッパに同化しないイスラム系移民」が何故問題とされているのか?レイケン氏は「煮え切らぬヨーロッパのテロ対策」も指摘。何故ヨーロッパに出現しつつある新ジハードの戦士が欧米世界全体にとって脅威なのか?が、読むと分かる。

 (他にもたくさんあったが、全部に目を通したわけではなく、あくまで特にこれは!と思ったものを書いた、と理解していただきたい。)
by polimediauk | 2005-09-18 15:36 | 英国事情