小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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 16日の夕方、2つのイベントがロンドンであり、重なってしまったので、1つは友人のジャーナリストに行ってもらう事にし、自分はEU関連のブリーフィングに出ていた。

 帰宅して、友人にコンタクトをとると、イベントはキャンセルされたという。ロイターが主催する、「ニューズメーカー」というシリーズのイベントで、政治家、外交官、作家、ジャーナリスト、弁護士、アーチスト、人権運動家など、様々なオピニオンメーカーを呼び、ジャーナリスト達の前でスピーチをしてもらい、その後でディスカッションに入る、というもの。午後6時半に会場があいて、7時からのスピーチのはずだった。

 キャンセルの理由は、その日の「ニューズメーカー」の駐英中国大使が、イベント開催の直前になって、出席を拒否したからだった。

 メールボックスを開くと、午後5時50分頃のメールが主催者側から届いていて、「中国大使館が、イベントの出席者のリストを見て、その中の2名のジャーナリストの出席に反対した。ロイターは、これまでに、どこの外交官、ジャーナリストに対しても、出席を拒否したことがない」という。

 友人に聞くと、この2名とは、台湾のジャーナリストだという。このニュースが伝わると、会場内にいたジャーナリストたちが、一斉に携帯をかけだし、様子を伝えたという。仕方ないので、出されたワインとつまみを食べて、ひとしきり集まった人の間で話し、帰ってきたという。

 大使館側はどうして事前にリストを見たい、といったのだろう?
 
 中国のこのすさまじい感じは、非常に強い印象を、集まったジャーナリストたちに(ほとんどが英国か他の西欧諸国のジャーナリストたち)与えたようだ、という。私自身、非常に驚いた。
by polimediauk | 2006-01-17 06:46 | 政治とメディア

「自分の猫の写真を出せる」

 タイムズオンラインのサイトでコラムニストたちがブログを開設している。その中の一人、デビッド・アーロノビッチDavid Aaronovitchというコラムニストが、何故ブログをやろうとしたかについて書いている。

――以下は大体の訳ですーー

「私のやや拡大した世界に、ようこそ」

 長い間、最良のブロガーたちの何人かは、私たちコラムニストの真似をしてきたと思う。日記をちりばめ、長いリサーチペーパーを掲載し、好きな音楽のコレクションや2行の格言などを書きながら、構成が上手な1000語のエッセーを作っていた。ブログ上のエッセーは関連資料にリンクされていたり、コメント欄ですばやい反応を受けたりでき、あっという間の双方向性が実現されていた。結果的に、私たち紙媒体のジャーナリストに対する、かなりの挑戦となっている。エッセーがよくできているものだった場合(本当によく書けているものもある)、双方向性を持つということは。私たちが持っていない特質を持っていることを意味するからだ。

 私たちコラムニストには二つの選択肢がある。誰もこんなものはどうせ読まないだろう、読者はどうせちょっと頭がおかしい中年男性たちだろう、ということができる。たいしたことじゃない、どうせすぐ消えてしまうだろう、と。一人コメントを残せば、後ろには10人の読み手がいる、と聞くけれど、他の人が読まなくても、私はどっちにしたってブログを読むのだから、と。

 もう1つは、自分でやってみることだ。他のコラムニストもやっている。オブザーバー紙のニック・コーエン、インディペンデントのジョハン・ハリ、デイリーメールのメラニー・フィリップス・・・。

 ブログをやることの利点は:
1.コラムニスト・ブロガー自身が若返ったように感じるし、トレンディーだ。
2.自分が書いたものを一箇所にまとめられるし、読者がどれかを見逃したとしても、ここにくれば読める。
3.印刷媒体に出したコラムの寿命がのばせる。
4。コラムニスト・ブロガーは、他の印刷媒体が絶対依頼しないようなことを書ける。どんなトピックかというと・・・それはここに時々来てもらえれば、分かる。
5・コラムニスト・ブロガーは、自分の猫の写真を出せる。何故猫なのか、私も分からないが。しかし、議論の後ろにいる人がどんな人間なのかが垣間見える、というのは、いいものだ。
――訳終わりーーー


 コメントも、通常のブログ同様残せるので、議論の場にもなって欲しい、と最後の方に書いてある。しかし、「悪意のある人々に良い議論をハイジャックされるというのは、心が沈むものだ」として、悪意あるコメントは削除する、と宣言してもいる。そのほかは、「自由」だそうだ。「ようこそ」が最後の言葉になっている。

 読んでいて、なんだかうれしくなって、早速、コメントを寄せてみた。タイムズオンラインは、読者が記事を読んだ感想・コメントを送れる様になっているが、まず名前を登録することになっている。ファーストネームだけやハンドルネームでもいいようだが、自分のメールアドレスや電話番号とか、何かしらこちらの身元が分かる情報を入れる。私は既に登録してあったので、Great!と、一言だけ、入れた。

 彼のブログに限らず、記者に宛てて送ったコメントでも、コメントの受け取り手の記者あるいはコラムニスト・ブロガーが「読んで、了解してから」、画面上に載ることになっている。タイムズが判断するのでなくて、記者なりブロガー・コラムニストなりの個人が良し悪し、掲載するかしないかを判断する。

 しばらくしてこのブログに行ってみると、確かに、私の一言だけのコメントが出ていた。やはり、コメントが出るとうれしいものだ。コラムニスト・書き手と、読み手の自分が同じ土俵にいる感じがする。個人と個人がつながっている感じだ。タイムズという新聞社のサーバーを借りてはいるわけだが。それでも、キーボードを叩く一人の自分が何十キロか先の場所に住むコラムニストと、直接向き合っているような感じがする。


アーロノビッチ氏のブログhttp://timesonline.typepad.com/david_aaronovitch/2006/01/welcome_to_my_s.html#comments
by polimediauk | 2006-01-16 08:55 | ネット業界

「他人の宗教に対する、許されないほどの無関心さ」? 

 国際団体「国境なき記者団」(本部パリ)による、2005年の世界の報道自由度順位によると、トップはデンマークで、ノルウエーは6位。(ちなみに、世界167カ国中、日本は37位で、最下位は北朝鮮。)

 報道・表現の自由度が高いことが世界でも群を抜くと見られるデンマークで、昨年からイスラム教に関連する報道を巡る問題が起きており、ノルウエーもこの問題にやや関わる、という事態が生じている。「表現の自由」の観点からだけでは、割り切れない問題のように思えてならない。

 まずデンマークだが、「ユランズ・ポステン」(Jyllands-Posten)紙が昨年9月、イスラム教預言者ムハンマドの政治風刺画・漫画を掲載。その後、イスラム教諸国から抗議、及びデンマーク国内でのイスラム教徒のデモなどが起き、今年になっても波紋が広がっている。

 これに続き、1月10日には、ノルウエーのキリスト教系雑誌「マガジネット」(Magazinet)が、「表現の自由」を掲げて、同じ漫画を掲載した。

 イスラム教では、預言者ムハンマドの肖像を描くことは神にたいする冒涜だとされる。たとえ尊敬の念をこめての肖像でも、偶像崇拝に結びつく可能性があるため、許されないこと、とされている。

 ノルウエーの「マガジネット」誌の編集長(Vebjoern Selbekke)は、「目に見えない形で、表現の自由がダメージを受けている。ユランズ・ポステン紙同様に、私も、このような状況に嫌気がさしている」、と述べた。

 2004年、イスラム教を批判した短編映画を制作したオランダの映画監督テオ・ファン・ゴッホ氏がイスラム教徒過激派の青年に殺害されたが、この事件は「脅しが脅しだけにとどまっていないことを証明した。暴力を使うことを恐れない宗教が、私達が住む地域の表現の自由を脅かしている」。

 編集長は、漫画を出版したことで、デンマークのユランズ・ポステン紙の場合のように、怒りをかったりや殺害予告を受けるかもしれないことを覚悟している、としている。

 年末、預言者ムハンマドの漫画掲載問題をめぐり、一部のデンマークのイスラム教徒たちが中東諸国を訪れて漫画問題の抗議運動を行い、支持を求めた。デンマークのラスムスセン首相は、10日、この点に言及し、デンマークの名誉を傷つけた、、と述べた。デンマークの「イスラム教信仰コミュニティー」の指導者たちが12月、エジプト、シリア、レバノンを訪問し、「デンマークやデンマーク人たちへの否定的感情を扇動するような行動を行ったことに、驚いている。」

 このグループのリーダーのアーマド・アブ・ラバン氏は、デンマーク社会の中でイスラム教徒のコミュニティーは孤立しており、海外での支持を求めるために歴訪した、と説明。また、グループの広報官は、「海外で支持を得ようとしたこと、私達自身が表現の自由を実行したこと」は事実だが、これ自体は悪いことでない」、としている。

 問題の漫画は12あり、複数の漫画家が描いた。そのうちの1つでは、ムハンマドが爆弾の形をしたターバンをかぶっており、そのターバンの先には導火線がついている。

 デンマークのイスラム教団体はユランズ・ポステン紙に対し何らかの法的措置がなされることを要求してきた。

 ユランズ・ポステン紙が漫画を掲載したのは昨年の9月30日。掲載直後からイスラム教徒の団体から非難、抗議が表明された。10月上旬には、国内の16のイスラム教団体が抗議声明を発表した。声明文は、ユランズ・ポステン紙が、漫画の掲載を「イスラム教徒の感情、聖地、及び宗教上のシンボルを馬鹿にし、軽蔑する目的で」行い、「イスラム教の倫理上及びモラル上の価値観を故意に踏みつけた」、としている。

 ユランズ・ポステン紙は、表現の自由の観点から、漫画を掲載したことに関して謝罪を行わない、とする姿勢をとっている。

 1月5日、デンマークのムラー外相は、「アラブ同盟」の事務局長アマル・ムーサ氏に電話をかけ、国内のイスラム教徒と非イスラム教徒の間の緊張感の緩和に努めよう、と呼びかけた。6日付のユルゲン・ポステン紙(英語版)によると、2者は、漫画の掲載問題がこれ以上対立を増やすべきではない、という点で合意したという。

 漫画掲載問題は、駐デンマークの、複数のイスラム諸国の大使が、首相との会談を呼びかけるところまで発展した。首相は、メディアが何を報道するかに関し、自分は干渉しないという理由から、大使らとの会談に応じなかった。

 しかし、漫画問題が世界のイスラム教諸国でも報道され、イスラム教を侮辱したものであるとする見方が広がるにつれて、首相やデンマーク側が事態収拾のために何も行動を起こさないことが非難の対象になっていった。

 首相は、新年のスピーチの中で、イスラム教徒の考え方に理解を示すことを宣言した。このスピーチがアラビア語に訳された点も含めると、首相が和解のための姿勢を示した、と多くのイスラム教徒からは好意的に受け止められた、とユランズ・ポステン紙は伝えている。

 デンマークの全人口約540万人の中で、イスラム教徒は15万人ほどいると推定されている。人口の約2・8%にあたる。

 ・・・ここまでが通信社などの報道で目に付いたものをまとめたものだが、何故こういうことが起きたのか、デンマークのイスラム教徒の状況に関して、もっと知りたいようにも思う。「表現の自由」だけで、切り取れる問題ではないだろう。

 つまり、何故わざわざムハンマドの漫画を出したのだろう?全体で3%というイスラム教徒数は数字だけ見ると小さいが、順番的に言うと、デンマークでは第2の大きな宗教だという。なんらかの脅威と見られている部分はあるのだろうか?

 また、2004年の時点で、イスラム教の宗教関係者にデンマークでの居住を認めるプロセスが、これまではゆるすぎた、ということで、イスラム教の導師イマンが移住を希望する場合、教育を受けた人物であること、財政基盤があることなどの新たな条件を加えたい、と首相が発言したという。(2004年2月17日付、アルジャジーラ英語版サイト)。イスラム教徒に対する締め付け、という状況が起きているのだろうか?

 もしデンマークに住んでいらっしゃる方がいたら、ご教示いただけるとありがたいが、英「エコノミスト」1月7日号を読んでみると、ムハンマドの漫画には「外国嫌いのトーン」があった、とする見方を含めた分析があった。

―――以下はエコノミストの記事(Prophetic insults)の大体の訳です―――

 
予言的侮辱
 -表現の自由が宗教上の敏感さと衝突

(最初の3段落、繰り返しになるため省略)

「・・・ユランズ・ポステン紙の漫画は、疑いなく衝撃的なものだった。一つはムハンマドが爆弾の形をしたターバンを巻いており、別の漫画では、短剣を振るっていた。また、自爆テロをする人が増えたので、天国では処女の数が足りなくなっているというムハンマドの漫画もあった。(注:自爆テロをすると天国で処女に会える、とすることから。)

新聞社側は、風刺画で誰かを攻撃する意図はなかったという。報復を恐れて、ムハンマドに関する児童書に絵を描くことを拒否した一部の漫画家たちの自己検閲に抗議することが目的だった。しかし、結果は、デンマークの国境をはるかに越えた論争に発展してしまった。

国連人権委員のルイーズ・アーバー氏は、「他人の宗教に対する、許されないほどの無関心さ」に、「度肝を抜かれた」という。同様の非難が、欧州員会、欧州会議、アラブ連盟などからも発せられた。事件は、デンマークの首都コペンハーゲンやパキスタン・カラチでの抗議デモに発展し、デンマーク大使館にも抗議のメールが押し寄せた。

漫画は、デンマーク内のリベラルな知識層からも批判された。検閲を支持しての批判したのではなく、この漫画に、増大している外国人嫌いのトーンを感じたからである。

国会議員が、イスラム教徒のことを「ガンの細胞」と呼び、それでも議席が剥奪されず、特異なこととは受け止められないのがデンマークだ。他の国の多くの人同様、デンマーク人も表現の自由を支持する。しかし、政教分離の社会であるがゆえに、一部の人々の宗教に関する敏感さに対しては盲目になっているのかもしれない。

前外相のUffe Ellemann-Jansen氏は、デンマーク人がマナーの点で欠落していることを嘆く。「自分たちの気持ちを表現する自由がある。しかし、そうする義務があるわけではない」。

ラスムスセン首相は、無視することで漫画論争をトーンダウンしようとした。イスラム諸国からの11人の大使との会談出席を拒絶した。元駐在イスラム諸国のデンマーク大使だった22人は、首相が外交上の細かな点に関して無知だとして嘆いた。

こうした難しい状況が続いた後で、首相は、新年のスピーチの中で、「宗教あるいは人種を理由に、あるグループに属する人々を悪魔として見る」いかなる動きも非難する、と述べた。しかし、「いくつかの許されない攻撃」に言及したものの、ユランズ・ポステン紙の名前を直接はださなかった。また、デンマーク内の議論のトーンは「礼儀正しく、公正」だった、とした。

多くのイスラム教徒にとっては、このスピーチは、十分ではなく、時期も遅すぎた。コペンハーゲンのイスラム教徒のリーダーの一人であるアーマド・サード・カッセム氏は、ユランズ・ポステン紙に謝罪を求めており、政府はこの漫画問題に関与しないようにと、している。

今年、まだ波紋は広がりそうだ。一例として、今年の夏、デンマークで開催予定の「中東のイマン」という展示を、イスラム会議組織Orgnisation of Islamic Conferenceという団体がボイコットすることを表明している。イスラム諸国とデンマークの文化的つながりを祝うための展示だったが、デンマークの表現の自由の犠牲者になりそうだ。
(「エコノミスト」記事終わり)


 「政教分離の国」では、国民が宗教的敏感さに盲目であるのかも・・というくだりがあったが、欧州諸国内では、こうした面がどこの国でも多かれ少なかれあるような気がしてならない。



http://english.aljazeera.net/NR/exeres/B91FD4FC-0D75-417D-BAC5-085D8679EC3D.htm - Al-Jazeera.net

by polimediauk | 2006-01-14 00:32 | 欧州表現の自由

スクープ記事を出した新聞が調査下に

 CIAが「ブラック・サイト」とも呼ばれる秘密の収容所を世界中に設置し、テロ容疑者などを米国の法律が適用されない海外の国―東欧や中東などーに移送し、そこで拷問を含めた尋問をしているのでは?という疑惑が、昨年11月上旬、米新聞で報道されてから2ヶ月ほどが経った。

 米政権は自国の情報機関の活動は合法、としている。テロ容疑者を海外移送している点に関しては否定していないものの、拷問されているとする説は拒絶している。ライス国務長官は、米国の全尋問官は、米国内外において、国連の拷問禁止条約を遵守している、と述べている。

 12月13日、欧州各国が作る人権問題などの協議機関、欧州会議が、CIA運営の秘密収容所疑惑に関し、調査の結果、疑惑は信憑性を増した、とする見解を発表。このときの調査を担当したのがスイス人のディック・マルティー氏だった。スイスの右派急進民主党に所属する国会議員でもある。

 スイス放送協会の国際部門「スイスインフォ/スイス国際放送(SRI)」が、マルティー氏へのインタビューを試みている。http://www.swissinfo.org/sja/swissinfo.html?siteSect=105&sid=6364763 (日本語)

 この中で、氏は、CIA秘密収容所疑惑の調査結果をなるべく多くの人に知ってもらいたいと思っていると語っている。「無実かもしれない人が、違法に拘束され、移送され、拷問されているかもしれない状況をほうっておいて、何の法治国家の意味があるでしょう?」

 「人権侵害に関していえば、どんな理由にしろ、例外を認めるべきではありません。テロであれ、暴力であれ、法治国家の政府である限り、私達は法律に基づいて事を進めるべきです」。

 インタビューは、マルティノ氏の人柄も紹介している。

 一方、8日、スイスの日曜紙「SonntagsBlick」が、スイスの情報機関が傍受した、ある極秘ファックスの内容を掲載。これがCIAの秘密収容所がルーマニアにある「証拠」だ、としている。中身は、エジプト外相がロンドのエジプト大使館に、昨年11月送ったもので、海外から移送された「アルカイダ容疑者を尋問するためにCIAが運営している」、在ルーマニアの収容所に関して触れている。そして、同様の収容所がブルガリア、コソボ、マケドニア、ウクライナにある、としていた。

 この極秘ファックスに関し、スイス政府は情報局が取得したものであることを認めたようだが、日曜紙の報道の翌日となる9日、スイスの国防相が、極秘情報が何故日曜紙に漏れたのかに関して調査を開始することを指示した、という。APやドイツの通信社が報じた内容を、米国人ジャーナリストらが中心になって運営しているCommittee to Protect Jouranlsitsが、まとめてウエブ上に掲載した。http://www.cpj.org/news/2006/europe/switzer10jan06na.html

 これによると、スイス国防相の広報官の話として、国防相は極秘情報が公開された経過に関して調査を指示し、政府がSonntagsBlick紙を訴える可能性もある、としている。

 軍事上の機密を出版したとする疑いで、新聞のGrenacher編集長と記事を書いた二人のジャーナリストを調査中だ。

 在ワシントンのスイス大使館広報官によると、もしスイスの軍事法をおかしたということで有罪となれば、5年間の禁固刑もありうるという。

 編集長は声明文を発表し、ファックス内容の出版の責任は自分にあるとして、国家の安全保障の観点よりも公開することで大衆の利にかなうことを重要視したと述べた。
by polimediauk | 2006-01-11 20:37 | 欧州のメディア

「ネットでは何も言わないことはマイナス」

 続きになるが、同じく5日付のデイリーテレグラフのビジネス面によると、米国の経営者のブログで著名なものと言えば、サンマイクロシステムズ社のジョナサン・シュワルツ氏とゼネラル・モータース社のシニア・バイス・プレジデントのボブ・ルッツ氏のブログだ。

 シュワルツ氏がロンドンを訪れ、超多忙スケジュールの中でなかなか取材のアポイントがとれず、とうとう、帰国の途につくためにロンドン・ヒースロー空港に行くまでのリムジンの中でインタビューを試みた記事が掲載されていた。長髪を後ろに一本に結わえた髪型で、銀縁めがねをかけたシュワルツ氏の横顔が記事の横に大きく載っている。

 シュワルツ氏がブログを始めたのは2年前。多いときは一日に2万人が訪れるという。
http://blog.sun.com/roller/page/jonathan

 社内には、社員全体の10%ほどにあたる、3000人がブログを書いている。

 ブログを書くことは仕事の邪魔になるのではないか、という問いに、シュワルツ氏は、自分にとっては通常業務の延長だという。「指導力はコミュニケーションを意味する」ので、ブログはコミュニケーション能力を拡大するツールだという。38000人の全従業員一人一人に向かい合い、戦略を説明できればいいが、それは不可能。したがって、ブログを通じて自分が伝えたいことを伝えられる。

 3000人の社内ブロガーがいるということは、社内の秘密が外に漏れたり、などマイナス面がたくさんあるのでは?と聞かれると、電子メールや電話でのコミュニケーションで従業員としてやっていいこと、いけないことのガイドラインを設定する場合と、全く同じことをすればいい、という。

 基本的には、仕事を全うするように、と伝えているという。雇用契約などでの秘密保持義務を守る、といった点では他のコミュニケーションツールを使う場合と変わらない、というのだ。

 また、社の戦略としては、消費者がサンのブロガーが書いたブログを読んでくれていることは、一種のPRとも見なしているという。「インターネットでは、何も言わないこと」はマイナスに働く。氏によれば、例えばある社内ブロガーのブログを一般読者があるいはジャーナリストが読んでいるとき、その瞬間は、読者はライバル者の製品に関するブログを読んでいないー当たり前のようなことだが。どんなメーカーも自社製品を販売することに力をいれ、いかにして消費者の心をキャッチするか、目を引くかに心を砕いている。こうした点から、ブログが一定の役割を果たす、と見ている。

 サンマイクロシステムズ社のブログのガイドラインは
www.sun.com/aboutsun/media/blogs/policy.html

 例えばこんな表記が

 ―社内機密は漏らさない
 常識を駆使して欲しい。自分の仕事に関して書くのは100%OKだ。しかし、会社の秘密のソースの料理方法を書くのは良くない。

 ―おもしろく書くこと
 書くことは難しい。もし読む人がいなければ書いても意味がない。幸運なことに多くの人が使っているあるいは待っている製品に関して書けば、そして自分が何を書いているか分かっていれば、きっとおもしろいものが書ける。自分の個性を出すのもいい。人気ブロガーの殆どが、プライベートな部分を書いている。例えば、家族、映画、本やゲームについてだ。読者は、書き手がどんな人物かを知りたがる。バランスをとることは必要だが。ブログは公の場所であり、読者や会社を困惑させるようなことは避けるべきだ。

 ―結果を考える
最悪のケースは、会社の営業員がある製品を会議でプッシュしようとしているときに、誰かがあなたの書いたブログを印刷したものを出してきて、このサンのブロガーがその製品は最低だと書いている、と発言する事だ。単に「この製品は最低だ」と書くのはリスクがあるだけでなく、直接的過ぎる。全ては判断の具合だ。ブログを使って会社、顧客、同僚を酷評したり、困惑させるのは危険であるだけでなく、ばかげている。(この項一旦終わり。)
by polimediauk | 2006-01-09 18:25 | ネット業界

「グーグルの死刑」

 1月5日付デイリーテレグラフを読んでいたら、オックスフォード大学で初の「インターネット・ガバナンス」を教える教授の話が出ていた。
http://www.telegraph.co.uk/money/main.jhtml?xml=/money/2006/01/05/ccoxf05.xml

 ジョナサン・ジットレイン(Jonathan Zittrain)教授(35歳)は、以前はハーバード大学で教えており、米国のIT業界では有名な人のようだ。政府、ロビー団体、企業が、検索エンジンを 「検閲」しようとしていることを、指摘してきたからだ、という。例えば、「グーグルの死刑」とでも呼ばれる現象は、自分が知らない間に、検索エンジンのリスティング、インデックスから消されている状態を指す。

 「政府やロビー団体が、グーグルに圧力をかけて、インデックスからアドレスを消させていることに、人々は気づいていないようだ」。

 「消された」とは言っても、ウエブサイトは存在している。しかし、検索リストに入らなくなるので、検索しても出てこない、つまりサイトの存在がユーザーに知られなくなる。「どうにかしなければならない問題だと思う。著作権や独占化の問題もそうだが」。

 グーグルは、こうした点をーーつまり、政府や個人の訴訟当事者からのリクエストでリスティングに何らかの変更を行っているのかいないのかーー、検索結果に表記していない。教授は、これが「グーグルの死刑」が行われている、まさに証拠だと見ている。

 教授は、学生達とともに、意図的にリストからはずされているケースが何らかの法的問題に発展していないか、あるいはそうした恐れがないかどうかを検証するためのウエブサイトを立ち上げている。www.chillingeffects.org ハーバード、スタンフォード、バークレーなどの米大学やElectronic Frontier Foundationという団体が関わっている。

 教授は、何らかの規制がネットの世界に必要だ、とする考えの持ち主だ。「ネットの能力は巨大で、現在のところは、コンピューターさえあれば誰でも何らかの貢献ができる、という、連邦民主主義のようになっている。しかし、ネットがもっと使われるようになれば、創造性が危険におかされることになると思う」。

 「規制がなければ、大企業が市場を独占するようになり、事実上の王様のように振る舞い、競争を取り除いていく。ある種の『哲学の王様』のような人、あるいはこれに該当するような団体が、誰が知識の特許を取得し、どのようにこれを使うのかを決める必要がある」。

 ジットレイン氏は、政府が何らかの境界線を決める役割がある、と考えているようだ。

(次回:サンマイクロシステムズの社内ブログのルール)
by polimediauk | 2006-01-08 22:51 | ネット業界

 (昨日書いた、英自由民主党の党首の件だが、とうとう、7日午後3時、辞任表明をした。BBCオンラインに寄せられた意見や、選挙民などからは圧倒的支持があったように思うが、同じ自民党の議員らから辞任コールが高まってしまい、もうやめざるを得なくなった。辞任会見は、リベラリズムという党の基本をこれからも継続していって欲しいと演説し、会見に集まった人々を感動させた。私はBBCオンラインが同時放映をしたので、コンピューターの画面から、見た。)

「MSNは国家の回し者」?

 これから数回にわたり、ネット上の規制関連のトピックを取り上げてみたい。あまりテクノロジーには詳しくないので、特に米IT業界に詳しい方には、既に熟知されている話題になるかもしれないが、目を引いたトピックだったので。

 まず、中国人ジャーナリストの人気ブログをマイクロソフトが閉鎖した、というニュース。http://news.com.com/Microsoft+censors+Chinese+blogger/2100-1028_3-6017540.html?tag=cd.lede  

 1月4日、米CNETニュースで出た記事だが、1月5日(木)15時50分 にヤフージャパンでCNET記事の翻訳の形で紹介された。アメリカと日本の時差から考えて、翌日掲載は自然だろうと思う。

 この後、それが米新聞ニューヨークタイムズなどで、6日、報道されたようだ。これを読売新聞が7日、報じた。この間の時間差は、殆どの読者にとってどうでもいいほど瑣末なことなのだが、何となく、あれ?随分伝わるのが遅いな、と一瞬思った。

 しかし、オリジナルのヤフーの翻訳記事を読むと、「当局」に協力していたのはマイクロソフトだけでなく、ヤフーもそうだったこと、そしてマイクロ・ソフトの従業員=ブロガーからコメントを取っているところが、なかなかおもしろい。

 以下、二つの記事をまとめてみる。

米MS、中国人ジャーナリストの人気ブログを閉鎖
 【ニューヨーク=大塚隆一】米マイクロソフト社が、中国紙「新京報」の記者らのストライキを取り上げた中国人ジャーナリストのブログを昨年末に閉鎖していたことが分かった。

 ストに神経をとがらせていた中国当局からの要請に従った措置という。米紙ニューヨーク・タイムズなどが6日報じた。

 閉鎖されたのは、同社が中国で運営中のブログサービスを利用している人気ブロガー、趙京氏(30)のサイト。マイクロソフト社側の責任者は、「国際的な法にも現地の法にも従わなければならない」と釈明しているという。

 インターネット人口が急増している中国には米国の情報技術(IT)企業が次々と進出し、当局の検閲に協力するケースが相次いでいる。マイクロソフト社は昨年もブログサービスで「民主」「人権」などの単語の書き込みを禁止していることが分かり、国際的なジャーナリスト団体などから批判された。(2006年1月7日12時54分 読売新聞)


 ヤフージャパンの記事は(注:アルファベットをこちらでカタカナに変えた):

マイクロソフト、中国人記者のブログをMSN Spacesから削除(1月5日(木)15時50分
 
 米マイクロソフトは、歯に衣着せぬ発言の目立つ中国人ジャーナリストのブログを、同社の「MSN Spaces」サイトから削除したことを認めた。各国の国内法を遵守するのが社の方針だと、マイクロソフトは述べている。

 調査報道記者であり、以前はCNNのレポーターも務めていたレベッカ・マッキノン 氏によると、マイケル・アンチの名でも知られる趙京氏のブログが、2005年12月31日にMSNサーバから削除されたという。マッキノン氏は、MSNのスタッフが中国当局に強制されたわけではなく、自ら進んで同ブログを削除したと主張している。

 マイクロソフトの関係者は米国時間4日、ZDNet UKに対して、MSN Spacesにあった中国人ジャーナリストのブログを閉鎖し、中国国内法における同サービスの合法性を維持したと話した。

 「MSNでは、製品およびサービスが、国内外を問わず法律や規範、業界慣行に沿うよう配慮している。大半の国が、オンラインサービスを提供する企業に法律や規制を適用し、国内ユーザーが安全にインターネットを利用できるよう図っている。そうした中には中国のように、独特な事柄に関する法規制を運用している国もある」と、同関係者は述べた。

 だが、米国内でホスティングされていると考えられるサイトを、中国の法律に遵守させる必要があるのかという点については疑問が残っている。この件についてさらにマイクロソフトに尋ねたところ、同社は次のように回答した。「マイクロソフトは多国籍企業である。それゆえ世界の国々の実情を考慮していく必要がある」

 マイクロソフトのレポートについて、マイクロソフトの社内ブロガーロバート・スコブル氏 は、今回の報道に「失望させられた」と述べ、自身のサイトで中国人ジャーナリストがブログを執筆できるよう取りはからった。

 「MSNで働く仲間には悪いが、彼らが国家の回し者と化している現状には賛成しかねる。アルゴリズムを用いてブログから一定の用語を抽出することと、政府の手先となりブロガーが執筆した全記事を検閲することは、まったく別物だ」(スコブル氏)

 スコブル氏は、マイクロソフトが2005年6月に、中国のMSNポータルで「自由」や「民主主義」といった言葉を検閲していたことを認めた件についても言及している。一方マイクロソフトは、ZDNet UKの姉妹サイトであるSilicon.comに対し、「検閲用語リストは公開しないが、われわれは必要に応じてこうしたフィルターを変更/更新し、中国の法律/規制/規範に従っていく意向だ」と説明した。

 2005年9月には、ヤフーが中国当局に情報を提供し、これがある中国人ジャーナリストの投獄につながったことが明るみに出て、ヤフーに批判が集中した。(この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。)

――貼り付け終わりーーー

 マイクロソフト社の社内ブロガーが自分の意見をこのように発表していることに、私はまず驚いた。

 また、サーチエンジンなどの運営者側がユーザーに対して、様々な理由からコントロールをかけていることは認識していたが、このような形の「自己検閲」があったことには、驚いた。いいことなのか、悪いことなのか?

 ・・と思っていたら、デイリーテレグラフの1月5日号に、今度はグーグルの話が出ていた。社内ブロガーの話も別記事で見つけた。(続く。)

 **追記
 
 ヤフーを見ていたら、香港でもこのニュースが,7日報道されたことが分かった。

中国の人気ブログを閉鎖 米マイクロソフト

 【香港7日共同】中国でブログ(日記風インターネットサイト)の開設サービスを行っている米マイクロソフト(MS)が、鋭い社会分析や当局批判などで知られる中国人ジャーナリスト、趙京氏の人気ブログを昨年末に閉鎖していたことが分かった。7日付香港紙、蘋果日報などが伝えた。
 趙氏は、「安替」のペンネームでブログを主宰。昨年末、北京の人気大衆紙「新京報」幹部が更迭され、記者らが一時ストを実施した際には、更迭をブログ上で厳しく批判、同紙の不買などを呼び掛けた。(共同通信) - 1月7日20時38分更新

by polimediauk | 2006-01-08 01:46 | ネット業界

c0016826_22535246.jpg 6日、ガーディアン紙上で明らかにされたところによると、来週の月曜日から一部70ペンス(約140円)に値上げ予定だという。現行は60ペンス(120円)なので、10ペンス分の値上げだ。2004年の秋以来の価格上昇となった。

 インディペンデント紙も今週から値上げし、一部70ペンスとなっているので、肩を並べた格好だ。英新聞は月曜から土曜日まで発行する新聞と、日曜版新聞とに分かれるが、土曜日はページ数が増え、月曜から金曜日の分と比較すると、価格が高い。ガーディアンの場合、月―金は一部70ペンスで、土曜日はこれまで1・2ポンド(約240円)のところが、1・3ポンド(260円)になるという。(ちなみにガーディアンの日曜版にあたるのは、オブザーバー紙となる。タイムズの日曜版はサンデータイムズ、インディペンデントはインディペンデント・オン・サンデー、デイリー・テレグラフはサンデー・テレグラフ。)

 来週以降、ガーディアンとインディペンデントは、デイリーテレグラフやタイムズよりも一部につき5ペンス分高いことになる。

 英国の高級紙は長い間低価格競争を続けてきた。転機は昨年で、タイムズを発行するニューズインターナショナル社が価格値上げを実行し、過去12年の安売り競争に終止符をもたらした。これ以降、値上げはタブーではなくなったようで、昨年11月にはデイリーテレグラフが5ペンス値上げで一部65ペンス(130円)となった。

 経済紙のファイナンシャルタイムズは、一部1ポンド(200円)で、最も高い日刊紙となっている。

 以上、ガーディアンの記事をもとにした。

 もう1つ、昨日から気になっているのが、野党第2党の自由民主党の党首チャールズ・ケネディ氏(写真)の進退問題だ。彼のアルコール依存症が問題となってきた。

c0016826_22531585.jpg 野党第一党の保守党に若い党首が先月誕生したあたりから、自由民主党も党首交代が必要なのではないか?という話が少しずつ出てきた。5月の総選挙では自由民主党は決して悪くない闘いをしたはずで、一時は、英国は2大政党でなく、3大政党の政治になったのでは?とさえ言われたほどだった。

 ところが、保守党にハンサムな(といわれている)デビッド・キャメロン氏(39歳)が選出されてから、急激に自民党のケネディ党首批判が強まった。

 いやな展開だなあと思っていたが、とうとう、彼の辞任を党内の数名が求めるところまできてしまった。

 そんなところへ、ケネディー氏のアルコール依存症問題がでた。「問題」と書いたが、本当に問題なのか、どうか。

 アルコール依存症で仕事に支障が出ていたのなら、これを理由に党首失格という理論ならば分かるのだが。どうも、どんな支障があったのか、あまり見えてこない。それに、もし支障が出るようならば、何故今まで党首だったのだろう?

 先にケネディー氏を辞めさせるという目的があって、後で理由を探しているのではないか、と私は疑っている。だとしたら、随分めちゃくちゃなことになるのではないか。(しかし、6日午後5時現在、辞任コールがますます高まっているようで、明日ぐらいまでに辞任の可能性も否定できなくなっている。)

 それはそれとして、アルコール依存症、というのは、英国では非常にマイナスのイメージとして受け止められる。もし依存症であったら、これを隠そうとする方向に人はかなりの神経を使う。タブーといってもいいくらいかもしれない。一方、チャーチル元首相のアルコール好きは有名ではあるけれど。(朝9時30頃から薄めたウイスキーを飲んでいた、と、チャーチル博物館で説明されたことがある。)

以下、産経の記事です。――

アルコール依存症告白、信任問う 英自民党首

 【ロンドン=蔭山実】英国の第三党である自由民主党のチャールズ・ケネディ党首(46)が五日、アルコール依存症で専門家の治療を受けていたことを認めた。これまで依存症との指摘を否定してきただけに、同党内では党首としての信頼性に欠けるとの批判が噴出。このため同党首は自らの信を問う党首選の実施に踏み切ることを決めた。
 ケネディ党首は飲酒問題で過去一年半の間に専門家の治療を受けたことを明らかにし、「最近の二カ月間はアルコールを口にしていない。これからも酒を飲むつもりはない。これまで公にしなかったのは自分の力で治療したかったからだ」と告白し、依存症からの完全回復をアピールした。
 だが、依存症を否定してきただけにBBCテレビは「ウソをついていた」と批判。党内でも不満が噴出。ケネディ党首は党首選という賭けに出たが、それが吉と出るかは微妙なところだ。 (産経新聞) - 1月6日15時36分更新

by polimediauk | 2006-01-06 22:55 | 新聞業界

 オランダのマーストリヒトに本部を置く、「欧州ジャーナリズムセンター」(European Journalism Centre) http://www.ejc.nl/ のウエブサイトに登録すると、欧州を中心としたメディアのニュースが自分のメールアドレスに配信される。無料サービスだ。欧州が主だが英語でのメディア・ニュースを拾うので、米国、中国を含むアジア、アフリカ、中東など世界の国の情報が入る。ニュース収集に一日を割き、次の日に送るようになっているのか、例えば英国に住むならば、英国ニュースは一日遅れで入る。それでも、意外なニュースも入ってきて、参考になる。欧州時間の午前9時から11時ごろまでに入ってくる場合が多い。過去記事も検索できるようになっている。

 その中から、随時紹介していきたい。

 
1月3日付

 中国が世界最大の新聞発行国に

 チャイナ・ラジオ・インターナショナルの報道によると、中国は世界で最大の日刊新聞の発行国になった。世界の発行数の15%を占める。2005年の中国の新聞業界の報告書は中国政府当局が発表したものだが、政府が国内の新聞業界の発展に関して詳細な報告書を出したのは、今回が初めてだという。

 現在のところ、中国内で使われている13ヶ国語で90紙が発行されている。外国語の新聞は13紙で、主に英語とロシア語だ。

 発行部数としては世界最大だが、人口との割合からいくと、世界一ではない。1000人あたりの発行部数は世界平均からはかなり下であるという〈注:残念ながら平均がいくらか、数字が入っていないのだが〉。また、政府当局は、質の面からはさらに改善が必要だ、としているという。

Source: http://en.chinabroadcast.cn/2238/2006-1-3/138@291222.htm

by polimediauk | 2006-01-05 20:07 | 新聞業界


 自国像を自分たちの手で伝えたい

 最後に、今年から本格的な放映開始予定の新たなニュース専門局の状況を紹介したい。

 中東諸国を中心に世界で四千万の視聴者を持つといわれる、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは、2006年春をめどに英語放送を開始する。このために立ち上げられたアルジャジーラ・インターナショナル社のナイジェル・パーソンズ社長は、NEWS XCHANGEの場で、9年前に始まったアラビア語放送のアルジャジーラが英語放送を開始するのは「自然な流れだった」と説明。「異なるプリズムから世界の事象を見るテレビ局」としてのアルジャジーラは、アラビア語のみであるがゆえに、アラビア語を理解しない多くの視聴者層を逃している、という現実があったという。アラビア語放送とは異なるスタジオを使い、カタールの首都ドーハに本社を置きながらも、ロンドン、クアラルンプール、ワシントンの支局を通じて番組を制作していく、と述べた。

 英語放送の特色としては、欧米メディアとは「異なる視点」を提供できる、とした。

 衛星放送でリンクした画面からは、新設予定の英語でのテレビ放送ロシア・ツデーのトップ、マルガリータ・シモニャン氏が参加(注:2005年12月放映が開始)した。テレビ局の特徴は、アルジャジーラの英語版の特徴と重なるが、やはり「既存メディアとは異なる角度から見たロシア」を出したい、ということだ。シモニャン氏は、「西欧のメディアで描かれたロシア像には、いつも驚く。実像とはかなり違う」という。「客観的に見たロシアを見せたい。反体制ではなく、政府寄りでもない。客観的な立場を維持する」。

 会場内からは、メディア抑制策をとっているといわれるプーチン・ロシア大統領の下で、真に客観的な報道ができるのか?という質問が続いた。ロシア・ツデーは、資金の半分は民間からの投資だが、残りの半分は政府からのローンでまかなうため、ことさら報道の客観性に関しての疑問の声が上がったのだった。シモニャン氏は、「編集上の自由は完全にある」とし、政権に都合の悪い情報は隠されているとされる、2004年9月のロシア南部・北オセチヤ共和国ベスランの学校占拠事件など扱う際にも、良い面も悪い面も同時に報道すると、述べた。

 ロシア・ツデーの潜在視聴者はロシアに興味を持っている人やビジネスに関わる人々だ。

 ラテンアメリカでも同様の動きがある。ラテンアメリカの4カ国が資金を出して設立された、ベネズエラに本拠を置くテルスールだ。70%の資金は政府からくるが、「1つの政権からの支援ではないので、編集上の独立は保てる」とアンドレス・イザーラ氏は、電話インタビューの中で語った。ここでも、政府が資金繰りに関わっているため、「報道の独立性がないのではないか?」との質問が会場内から出た。在ベネズエラであるため、反米なのか、と聞かれた。

 イザーラ氏は、「テルスールの視点は、反米ではない。ラテン・アメリカ全体の視点を伝えること、市民に十分な情報を与えることが目的だ。他の国のメディアを通してでなく、自分たちの目で見て、自分たちの現実を自分たちが伝えることだ」。

 政府の編集権への介入が議論の中心になっていく中でメディア報道を分析する米「メディアチャネル」を主催するダニー・シェクター氏は、「政府ばかりを問題にするのはどうだろうか」と疑問を呈する。2003年のイラク戦争開戦までの過程で、大企業がメディアを運営していた国では、十分な検証が行われなかったのではないか」、と述べ、暗に米国メディアを批判した。

  フランスでも米CNNのフランス語版ともいういべきニュース専門のテレビ局「仏国際情報チャンネル」(CFII)が発足し、2006年末までに放映開始予定だ。公共のフランステレビジョンと民間テレビ局とが共同で設立。目的は「米英メディア以外のもう一つの視点」を出すためだ。フランス語、英語、スペイン語での放送となる。

 ナイジェリア出身で映像提供会社カメラピックスの代表でもあるサリン・アミ氏は、「アフリカで自分たちの現実を自分たちで伝える人はいない。自分たち自身のことを自分たちで仕えるテレビ局を作りたい」と、設立準備のためのグループを結成することを述べた。

 インドのニュース・チャンネルTV18の設立者ラジディープ・サルデサイ氏によると、 「現在、インドには32のニュース専門のテレビ局がある。おかげで、毎日のように『スクープ』が目白押しだ」。10年ほど前までは、インドでは政府がニュースの統制をしていたという。「現在はたくさん新しいチャンネルができているので、政治家は毎日のようにメディアに質問を受ける。メディアが大きな力を持ってきた」。

 チャンネルTV18では制作スタッフの平均年齢が20歳から30歳代で若く、インドのニュース・チャンネルが「新たな、若いメディア」となって大きくなっている、と報告した。

 CNNやBBCなど、他国のメディアによる自国像ではなく、自分たち自身で自国の現状を伝えたい、という思いが、どの新規参入テレビ局からも感じられた。いずれも米英系メディアがカバーしきれていない「自国の本当の姿」を出すことを目玉にしているが、会議中に幾度となく浮かび上がった「米英メディアの限界」を、ある意味では裏付けるようにも思えた。〈終わり〉
by polimediauk | 2006-01-05 04:03 | 放送業界