小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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 英国在住日本人向け週刊誌「英国ニュース・ダイジェスト」の最新号に、前保守党党首イアン・ダンカン・スミス氏のインタビューが載っている。

http://www.news-digest.co.uk/news/component/option,com_wrapper/Itemid,25/

c0016826_18484345.jpg 「かつてブレア首相のライバルとして君臨した」ダンカン・スミス氏には、実は日本人の祖先がいた・・・という部分は話のきっかけとしても、英メディアで、今まともにダンカン・スミス氏に関して書かれた記事はほとんどなく、どんな信念を持って政治活動をしているのかが分かりやすく書かれている。政治に興味のある方、英国に興味のある方におすすめである。

 昨晩は、フロントラインクラブ Frontline Clubというところで北アイルランドの政治の将来に関する集まりに行っていた。前にもこのクラブのことは書いたが、もし英国のメディア(テレビ)の研究をしている方がいたら、おすすめの場所である。会合にはメンバーでなくても出られるが、2月から参加費が7ポンド(1500円ぐらい)になった。(ちょっと高くていやであるが。)普段大手メディアでは出ないような話を、現役あるいは元テレビのジャーナリストたちから聞ける。

 「北アイルランド」に関するパネル・ディスカッションは、ウエブで同時中継されたと聞く。司会はムスリム・テロの番組を近年作っているジャーナリスト、ピーター・テイラー氏。BBCのドキュメンタリー番組「パノラマ」(今は大分縮小した)の枠で北アイルランド問題をレポートしてきたジョン・ウエア氏、日曜紙「オブザーバー」の記者、北アイルランドのシンフェイン党(カトリック側)とDUP党(プロテスタント系)の代表が出席した。

 アイルランド半島の北の一部は「英領北アイルランド」となっているが、自治政府が2002年から停止している。再度立ち上げようと話し合いが続いているが、対立しているカトリック系対プロテスタント系のいがみあいはなかなかおさまらず、うまくいっていない。

 政党の代表の2人の話が全くかみ合わないというか、延々と堂々巡りをしているので、一瞬暗澹たる気持ちになった。そして、急に恐ろしくなった。それは、元はといえば英国というかイングランドがアイルランド半島に侵攻したことからこの対立の根があり、もう何百年も前のことなのに未だに続いている。

 しかし、話が進むうちに、会場にいた人のほとんどが北アイルランドの将来に明るい期待を抱くようになり、終了した。雰囲気が変わるきっかけとなったのは、「状況はずい分変わっている、良くなっている、もし12年前にIRA(カトリック側の武装組織)が武器を手放すといったら、誰も信じなかっただろう。今はこれが現実になりつつある」とウエア氏が言ったことなど、様々なポジティブな動きが指摘されたからだ。「氷河が溶けるスピードで」、物事は非常にゆっくりとだが、進んでいる、と。

 参加者はあまり多くなく、なぜか?という疑問も呈された。「1998年の和平合意が出てから、みんながもう問題は解決した、と思っているからではないか?」とテイラー氏。

 一つ、「みんなが知っているけど、あえてこじ開けようとしない問題」として、情報機関の関わりがあげられた。それは、1月頃、北アイルランドの警察オンブズマンが、一時期、警察側とロイヤリスト(急進プロテスタントたち、と言っていいだろうか)たちの「ギャング」との間で、癒着があった、という報告書をだしたのだけれど(警察がギャングを情報源として使う代わりに、犯罪をおかしても罰しない)、こういうことは、「北アイルランドでは誰もがやっている」という。そこで、ウエア氏が言うには、「北アイルランドで一番自由に活動ができて、すべての人の情報をもっているのは、MI5(英国情報機関)だ」と。「誰しもが知っていることだけど、あまりにも明らかなことなので、逆に気づかない」。

 そこでパネリストの間では、「警察との癒着の件で、正義が行われる、つまり違法行為をした人が投獄されるとか、裁判で裁かれるとか、そういうことは大規模では起きない(かもしれない)」というのが結論だった。つまり、最終的に一番悪いのは英政府である、ということで終わったのだった。

 北アイルランドでは自治政府再開のために3月7日選挙が行われることになっている。3月末から政府再開を目指している。パネリストの一人は「3月末というのは間に合わないかもしれないが、秋ぐらいまでには再開されるのでは」としていた。
by polimediauk | 2007-02-28 18:49 | 政治とメディア

 英兵が亡くなったことに涙していたら、alfayoko2005さんからタイムズの記事を教えていただいた。

http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/asia/article1437667.ece

 記事を書いたのはリチャード・ロイド・パリーという人だ。私からすると、この記者は何となく変な人で、「日本ってこんなに奇妙な国」というアングルでいつも記事を書く。記事を読むと間違ったことを書いているわけでもないのだが、微妙な視点が常に「こんな奇妙な・・・」なのだ。

 私がいやだなあと思うのは、おそらく英国にも日本に対する(及び他の国に対する)偏見を持った人がたくさんいるだろうし、無知な人もたくさんいるだろうし、そういう人におもねっているような点だ。つまり、「ね、ね、日本って奇妙だよね」という感じ。つまり、読者を馬鹿にしていると思うのだ。タイムズを読むぐらいだと知的読者も多いだろうし、FTを読んでいる人だっているかもしれない。すると、かなり等身大の日本を知っている可能性が高い。(編集長だって、知日派なのだ。)それなのに、読者の知識度を低く見ている感じなのがいやだ。

 自分も含め、外国のことは中々わかりにくく、それだからこそ自分なりに謙虚に物事を見ていかなければならないと思う。「どうせこんなもんでしょ」という態度で、読む側のレベルを低く見て書いた記事を読むのはつらい。(説明が難しいが・・。)

 ・・などとちょっと偏見+お説教がましいことを書いてしまったた。先日も、同じ記者が「日本人がカラオケのやりすぎで喉を痛め困っている」という記事を出していた。これにも嘘はないとは思うが、それでも書き方が微妙に変だなあと思っていた。

 そう思いながらもこの記事を読んでみて、驚いた。「何故今なのか?」という問題は置いておくとしても、第2次世界大戦中フィリピンで日本兵として戦っていた人の話で、生体実験をしていたことを告白したというのだから。かなり衝撃的だ。この人は現在83歳。昔の話を記者に語ったらしい。本人が「生体実験をした」というのだから、否定できないだろう。

 鍵コメントの方のご指摘の中にもあったが、記事の流れ、持っていき方が確かに反日っぽいのはあると思う。日本人として、読んでいて不快だし、この記事の目的は「真実を語る」というより「日本ってこんなにひどい国」を示したい、という部分はあるだろうと思う。

 しかし、タイムズのこの記者が「日本ってこんなにひどい国」とするトーンでショッキングな記事を出したとしても、それほど私は頭にこない。1つには、この告白をした人が大嘘を言ったならともかく、真実だとして、いやなことでも事実は事実として受け止めるべき、という部分がある。もう一つは(こちらの理由が大きいが)、ウエブを見ると、この記事についた読者からのコメントが秀逸なのだ。コメントが記事を補足しているというか、コメントを含めて見ると、いろいろなことを読者に考えさせてくれる、良い記事になったような気がする。

 コメントを紹介したい。

 「で、今になって私たちは日本を同等に扱えっていうこと?」(デーブ、ロンドン)

 「新しいものは何もない。本当はニュースじゃないよね。こういうことを報道するなら、ちゃんとやれよ。多くの中国人や韓国人たちが、同盟国側の捕虜だった時、拷問されて殺害されたんだよ。これは通常は忘れられているけどね。戦後、多くの日本の軍医たちは(ドイツのロケット科学者のように)学んだことの代わりに起訴されなかったんだよね。ところで、日本の帝国海軍がより狂信的ではなかった(勇敢で愛国的だった)って、誰が言ったの?戦艦ヤマトは?勝つ見込みが全くなくても米海軍と戦った場合もあったよね」(ケビン・ラックス、上海)

 「(オーストラリア人の)デビッド・ヒックスはテロリストの疑いで5年間、『ブッシュのホリデーイン』キューバ(つまりグアンタナモ)に拘束されていたよ。誰かを殺したわけでも、傷つけたわけでもなく、反米国人だっただけで。この記事の中で告白した日本人は戦争犯罪人だけど、誰からも処罰を受けていない。人類に対する犯罪や戦争犯罪が何らかの意味を持つものだとしたら、こうした犯罪に関与した人は、絶対に罪を問われるべきだ。普通の人が、戦争犯罪は悪いことだ、上司からの命令でも従ってはいけないんだということが分かるようにさせて初めて、このようなことが起きなくなるんだと思う」。(マーク・カーター、オーストラリア・パース)
by polimediauk | 2007-02-27 09:14 | 日本関連

 チャンネル4というテレビ局が、午後8時になる少し前の数分の時間を使って、短いドキュメンタリークリップを放映している。26日の分は(3 Minute Wonder: War Torn)、イラクに夫を送った女性の話だった。戦地から送られてきた手紙を一つ一つ、この女性が読む。他愛ないような淡々とした感じ。映像はデジカメで撮ったような、女性と娘一人の生活の様子の写真が数枚出る。動く映像でなく、写真。

 戦地(イラク)にいて、妻と娘のことばかりを考えている、何か起きていないかと気が狂いそうになるほど考える、と兵士は手紙に書く。「ここはあまり安全じゃない」。背景が、英国のいかにものどかな郊外の生活の写真だ。「暑くて仕方ない」、「ここはとても危険だ」、「誰が敵か分からない。(敵は)私服を着ているから」、「今日、米軍が英軍の戦車を誤射した。きっと何人も命を落としたと思う」-。

 「・・・これから任務に出かけるけど、危険な任務になりそうだ。これはさよならの手紙になる。だから、これを読んでいるということは何か起こったことを意味する。2人で幸せに生きていきなさい。誰か僕の代わりに良い人を見つけ、幸せに暮らすんだよ。娘を頼む」。

 まさか兵士が死んでしまったとは思わなかったので、涙がこぼれた。英国が軍隊を持っていること、兵士の死が心に実感として響いてきた。

 英国は、アフガニスタンに1700人ほど新たに兵士を送ることになった。当初から、目的がはっきりしない、成果をあげていないと多くの人が言っている場所である。非常に危険な任務と言われ(といってもタリバンのほうがもっと危険というか、殺されているが)ている。本当に英国は軍隊の存在が大きい。特にブレア政権になってからは少なくとも7回以上は外国に派兵している。戦争が好きな国というか、干渉主義というか、何とかして止められないものか(!)

 チャンネル4では、英国の居住者のみに限るが、ソフトをウエブサイトを通じてダウンロードすれば、過去28日間で放映された番組をPCなどで見ることができる。日本でもこういうサービスは進んでいることだろう。

 チャンネル4はドキュメンタリー番組でおもしろいものが多く、好きな人には良いサービスかもしれない。自分でソフトをダウンロードして見ると、番組をダウンロードした場合無料なものと少額(400円から1000円程度)払うものがある。無料ユーチューブもあるので競争になっているのだろうか。

 話は変わるが、政府批判をした、エジプトのプロガーが逮捕され、有罪になった。よく、ブログやネットでは言論が自由だと言われていたが、実際はそうでもない、とどっかの新聞(ガーディアンだっただろうか)に書いていたが。(日本語ではベリタに無料記事アリ。)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200702260857461
by polimediauk | 2007-02-27 07:39 | 放送業界

c0016826_21101870.jpg 米国のソサエティー・フォー・ニューズ・デザインという団体が、第28回「世界の最優秀デザイン賞」を4紙に授与した。選ばれたのは、エストニアのアリパエブ紙(発行部数2万5600部)スペインのエル・エコノミスタ紙(2万部)、ドイツのフランクフルター・アルゲマイネ・ツアイトング紙(256,000部)、デンマークのポリチケン紙(17万部)。ポリチケンは、デンマークに出かけた昨年、丁度紙面改革中で、非常にきれいにできたのを見て感動していたので、やっぱり、という感じもあった。

 選出はニューヨークにあるシラキュース大学に審査員が集まって議論をして決めた。2006年に発行された新聞の中で、351の候補の中から選ばれた。また、1700人の個人にも、何らかの賞が与えられた。審査委員の声明によると、「発行部数が非常に高い新聞でも基本的なデザインをおろそかにしている場合があった。これが懸念だ」。4紙にはエレガンス、エネルギー、発明などの要素がみられたという。

 是非この団体のウエブサイトで紙面を見て欲しい。それぞれの新聞の画像をクリックすると、中面が出るようになっている。

http://www.snd.org/snd28/worldsbest/World%27s%20Best%3A%20The%2028th%20Edition.html

c0016826_2114351.jpg


(右上はアリパエブ紙、この上はエル・エコノミスタ紙)
by polimediauk | 2007-02-21 21:11 | 新聞業界

c0016826_9284140.jpg 先日、「ガーディアン」のComment is freeというブログのスペースに書いている人に会い、いろいろ話を聞いた。テレビ界に長年いたが、新聞業界にも詳しい。今60代に入るか入らないかという年齢の人だが、「もう紙の新聞はだめだ」、「ネットがおもしろくて仕方ない」と目を輝かせて語る。

 ネットの時代、と聞いても、もちろん新しくも何でもないのだが、いろいろ知るうちに私も心が明るくなった。

 まず、彼自身のブログ体験を聞いてみた。ある程度大きなメディアのオンラインのスペースを使ってブログを持っていると、中傷するコメントなどもどんどん載ることもあるだろうし、どうするのか?と聞いてみたら、「基本的にどんな悪口を書かれても気にならない」「読んだ人が、直ぐに、直接意見を表現できるのが、インタラクティブのメディアの醍醐味」と言われた。ただし、編集部の方で一定のコントロールはかけているようだった。

 ガーディアンは紙の読者よりも(約30万―40万)ウエブの読者の方が圧倒的に多く(確か100万単位だったように記憶しているが)、米国から読みに来る人が非常に多い。テレグラフやタイムズ(今月新しくしたばかり)も自社ウエブサイトに力を入れだした。

 ガーディアンの場合、過去記事も含め無料で記事が読めるが、読者登録をすることを奨励しているようだ。テレグラフも、「読者のパネル」のメンバーになると、いつ新聞を買うか、どこに旅行に行くか、など時々、読者調査に参加させられる。参加すると、どこかのデパートで安く買えるなどの「売り」がついている。

 ウエブサイトの内容を工夫し、読者情報をせっせと集める英国の大手新聞だが、私が会った上記の「筋」の人によると、「新聞社側は、せっかく集めたデータをどうしていいか分からないのが現状」だと言う。「どうやってデータを元にしてお金を稼いだらいいのかが、分からず、どこも暗中模索だ」。

 新聞からはちょっと離れるが、アマゾンのサイトではよく「あなたにお勧め」の商品リストが出るが、携帯電話がこれをもっときめ細かにやれば、もうかるのでは、という話をした。例えば、ある人がCDショップの前を通りかかりそうになると、その人の携帯電話にメールが来て、「xxさん、あなたの好きなアーチストのCDが今半額です」などと言う。「広告もここまでやれば、もうかると思うけれど」。

 「もう英国の紙の新聞は将来がない」というのがこの人の結論だった。

 数日後、既存メディアの枠を飛び越える、ネットを使ったオータナティブメディアのおすすめを聞いてみた。

 その1つが18 Doughty Streetというもの。

http://www.18doughtystreet.com/campaigns_hq

 行ってみると、ネットテレビ+ニュース+キャンペーンなどがいろいろ混じって、どこまでが本気なのか、ジョークなのか?という部分もあいまって、なかなか楽しい。既存メディアでは「ポリティカル・コレクトネス」(政治的に正しいことを言う)にどうしても縛られる。例えばそれは時には「新聞の中立性」かもしれない。新聞は一定のグループの肩を持ってはいけない、という縛り。

 このサイトが自由で楽しい感じがするのは、そういう縛りがないからだろう。まだ詳しく見たわけではないが、この自由さ、楽しさ(軽さ)はネットだけに特有・固有ものでは決してないのだろうが、媒体(ネット)と内容が合っているように見える。

 BBC2で毎晩10時半から「ニューズナイト」という番組がある。ニュース解説番組だが、時々ひどくつまらない時がある。今週はあまりおもしろくないと思っていたが、上記のような楽しいネットサイトがあるなら、テレビを見なくなる人もいるに違いない。
by polimediauk | 2007-02-21 09:33 | 新聞業界
 
 もう大分報道されているとは思うが、ベリタでも今、無料記事で、「プリンセス・マサコ」の日本語版翻訳本の出版中止記事が出ている。

 http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200702171324256

 講談社の方からは、「信頼関係がくずれた」ということで出版中止を決めたと言うくだりがある。

 作者の方は、「これは日本政府のいじめ」と言っている。

 週末考えていたのだが、出版されたらされたで、読んで苦しむ人は多いだろうし、「そっとしておきたい」「見ないでいたい」「畏れ多い」「大切にしたい」と考える人、あるいはもっと強い感情を持つ人(それにおそらく雅子妃ご自身も??)などにとって、大きな衝撃になろうことは想像できる。また、「報道の自由」「表現の自由」が何よりも大事とは、私自身考えない。

 それでも、やはり、国民の知る権利というか、日本国民の中で知りたい人もいるだろうし、それを否定する形になったのは非常に残念だ。特に、外国語(英語)で既に出版され、世界中で興味のある人が読んでいる状態の中で、日本にいる人だけが蚊帳の外状態にあること、そんな状態にさせておく権利は、日本政府にはないのではないか。

 雅子妃のこと、皇室のことが気にかかるからこそ読みたいという人も多いはずだ。

 ある本が出版されたとして、もし私がその本を読みたくないと思ったら、私は読まない。でも、読みたくない私には他の人に「読むな」という権利はないのだと思う。他人の読む権利を取り去る権利はない。

 今回、日本政府と出版社が、(日本語で)読む権利・機会を国民から(=読み手から)取り去ってしまった。読み手(私かもしれないし、友人・知人もしれない)が何を読むかを、政府に決められたくはないものだ。他者に決められたくはない。まるで読み手(=私)に何を読むべきか、読んだことをどう咀嚼するかの判断能力がないとして扱われたようにも感じる。

 ナイーブかもしれないが、これは本当にまずいと思う。あまりにもアナクロな展開だが、これが現実なのだろうか?

 「妖怪さん」のおっしゃられるように、日本の皇室と欧州の王室は本当には比較できないのだろうと思う。それでも、様々な議論、本、説、話が出れば出るほど(議論は健全なものであると想定して)、免疫がついていくるというか、少々批判されようと過剰反応しないようになるのではないかと思う。(楽観的+欧州的考えかもしれないが・・・。)

 もう1つ気になっていて答えが出ないのが、日本国民が(私を含め)、日本の中で、どれほど「タッチできない(批判しない)聖域」を維持したいと考えるのか、だ。日本にはたくさん聖域がある。これ自体は悪いことではない。むしろ、貴重と言うか文化が深いようにも感じる。聖域は聖域のままでそっとしておくのか、それとも・・・・?

 それでも、どうも今回は、日本政府側が勝手に「これは聖域。国民の皆さん、見ちゃいけませんよ」と言われた感じで、後味が悪い。
by polimediauk | 2007-02-20 06:56 | 日本関連

 図書館で「エコノミスト」をめくっていたら、日本の痴漢裁判の(映画の)話が載っていて、驚いてしまった。何しろ、見出しが、「日本の正義(司法制度):自白しろ」とでも訳せるような記事だったからだ。

  この映画に関してはすでに会見が日本で開かれていて、ヤフーで以下を見つけた。

周防監督、海外メディアへ熱弁!「痴漢摘発する前に満員電車なくせ」

 最新映画「それでもボクはやってない」がヒット中の周防正行監督(50)と主演の加瀬亮(32)が1日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で海外メディア向けに会見を行った。同作で日本の裁判制度のあり方に深く切り込んだ周防監督は、「日本でこのようなことが行われているんだという怒りを伝えたかった」と力説。欧米各国の記者を前に約90分間熱弁を繰り広げた。

 「再審の決定を1度は下しておきながら、取り消す。裁判時の証拠・証言にある程度疑いがある場合は再審制度を適用するとした白鳥決定(昭和50年)以降、『疑わしきは被告人の利益に』と言ってきたではないか。この決定は本当に恥ずかしい!」

 三重県名張市内で昭和36年に女性5人が死亡した名張毒ぶどう事件。名古屋高裁が昨年12月26日に死刑が確定していた被告の再審を取り消した件に対し、周防監督は感情を隠さず声を荒らげた。

 監督の口から次々と飛び出す日本の裁判制度の実情に、驚きながらも真剣な表情でペンを取る外国人記者たち。「Shall we ダンス?」の世界的ヒットで知られるだけに、この日は英、米、仏、独、シンガポールの記者やAP、ロイターの通信社記者、同協会会員など約120人が参加。海外メディアからは「なぜ11年間も映画を撮らなかったのか」「なぜ裁判をテーマにしたのか」「裁判官からの反応はあったか」などの質問が矢継ぎ早に飛んだ。

 そんな外国人記者の反応を1つ1つ確かめながら周防監督は、「この映画は海外の人に見てほしかった。世界の人が、人が人を裁くということをどう考えているのかを知りたかった」と熱弁。

 さらに外国と日本の考え方の違いにも触れ、痴漢対策の1つとして実施中の女性専用車両について「満員電車が走っている時点でおかしい。外国だったら(痴漢にあった女性は)そんな満員電車をつくる電鉄会社を訴えていると思う。痴漢を摘発しようとする前に、痴漢が起こらない努力を僕はするべきだと思う」と力説した。

 演説は度々ヒートアップし、「また長くなっちゃったね~」と苦笑いする場面も。周防監督は「(平成21年に実施予定の)裁判員制度は司法改革のチャンスだ」と日本の裁判制度が変わることを強く願い、「海外の人に、日本の裁判をどう思うかを伺っていきたい」と真摯に訴えていた。[ 2月2日8時1分 更新 ]

 監督は、「海外の人に日本の裁判をどう思うかを伺っていきたい」と語ったそうだが、エコノミストの記事を読んだ海外在住の人は、「日本ってひどいね」と受け取ったのではないかと思った。私自身、エコノミストの記事を読んで怖くなった。(裁判関係に詳しい方からすると、無知をさらけ出すようだが。) なぜ「自白」してしまうのか、なんとなく想像できるような気がしたのだ。エコノミストの説明が、何となく「やっぱり」みたいな部分があった。

 警察や司法だけでなく、こういう「自白へのプレッシャー」はいたるところにあるような気がするのだ。周囲からのプレッシャー。異議を唱えにくい雰囲気が。

 エコノミストの記事を読んだ人は、大部分の人が「日本ってひどいな」「日本人ってちょっとなあ」と思うのではないかと思う。

  少し話がそれるが、一般的に、「海外の人に」とか言うとき、気をつけなければならないのは、「海外」や「外国」が必ずしも正しいというわけでもないことだ。欧州あるいは海外の他の国に日本にはないような正義があるかというと、必ずしもないかもしれない・・・という思いを最近している。

 以下は大体の訳である。(もっといい訳を見つけたら教えてください。)

「日本の正義:自白しろ、次に進める」
2月8日付けのエコノミスト記事。

 富山県のタクシーの運転手がレイプとレイプ未遂で逮捕され、自白し、短い裁判の後、有罪となり、3年の禁固刑となった。一方、もう一人の男性がレイプ容疑で逮捕され、自白し、先の男性が告白した罪で有罪になった。この男性も禁固刑となる。

 これはボルヘスの作品か、あるいはスターリン時代のロシアの話か?いいや、違う。最近の出来事だ。そして、日本の司法制度の中では珍しくないことだ。

 1月26日、日本の法務大臣は、タクシー運転手を間違えて逮捕したことについて謝罪し、調査を開始すると述べた。この容疑者にはアリバイがあったし、罪を犯したのではない証拠もあった。容疑を否定もしていた。しかし、外部との接触を閉ざされて3日目、自白書類に署名するように説得された。

  間違った逮捕や有罪があまりにも多いので、法務省の調査から何かが明らかになるとは期待する人はほとんどいない。しかし、警察の尋問のやり方や裁判所のはじめに有罪ありきの姿勢に注目が集まってきた。 日本の司法制度の熱心さ(注:何としても有罪にしようとする、という意味と受け取られる)の無実の犠牲者たちが、だんだんと、警察や裁判所での取り扱いを明らかにするようになったからだ。

 日本の周防監督が間違って逮捕された人に関する映画を作った。この映画は「それでもボクはやっていない」というタイトルで、実話に基づいている。ある若い男性が、混雑した電車の中で痴漢に間違われる。この男性は自白書類に署名することを断固として拒否する。家族や友人の支援のおかげで、2年間抗議を続けた後で、再審の機会を得て、現在は自由の身になった。

 米国と英国で日本より先に公開されたこの映画は、有罪だろうと無罪だろうと容疑者たちがいかに日本の警察に残酷な扱いを受けるか、いかに裁判官たちが検察官と協力するかを明らかにしている。監督は容疑者が無罪と証明されるまで有罪とみなされている状態を描く。

 民主主義国家の中でも、日本がユニークなのは、逮捕された人の95%が自白し、裁判所に連れてこられた容疑者の99%が有罪となる点だ。検察官は、無罪放免となるケースに関わることを恥と感じ、もしそうなれば自分のキャリアに傷がつくと恐れる。裁判官はこなした件数で昇進が早くなる。陪審員は日本には存在していないー「裁判員」システムを導入しようという話はあるが。明らかに、一般大衆は、特別な知識が必要とされるような裁判事件に関しては、信用されないと日本では見られている。裁判事件で判断を下すのは裁判官だけなのだ。

 日本の憲法の第38条にも関わらず(この条項は疑いをかけられた人には黙秘権がある、としている)、警察や検察官は、証拠を基に立件するよりも、むしろ自白を得ることに力を入れる。公式見解は、自白書類は、法を犯した人をリハビリするための、欠かせない最初のステップなのだ。日本の裁判官は、自白が後悔の念とともに出された場合、刑を軽くする傾向がある。 さらに重要なことには、検察官は、嫌疑をかけられた人が特に協力的だった時、軽い刑を求める権利がある。

 警察の自白書類の取り方が、人権運動家たちを悩ませる。警察は容疑者を弁護士の接見や外部とのコンタクトなしに48時間拘束できる。この後、検察に身柄を引き渡され、24時間拘束される。裁判官は、この後で、10日間の拘束を可能にし、その後さらに10日間の拘束延長を許すことができる。

 日本の憲法は、強制、拷問、脅し、あるいは長期の拘束の後で得られた自白は、証拠として認められない、としている。それでも、脅しや拷問さえも、拘置所では広く行われている、特に尋問官が尋問を録音する必要がないときは。拘留中の事故死はしばしばだ。 強く非難されたり、それ以上の悪いことが23日間も続くかもしれないと思うと、間違って逮捕された人の多くは運命だとあきらめ、自白書類に署名することが、すべてを終わりにする最も早い方法だと思ってしまうのだ。


 ・・・こういう書き方をされてしまうと、すごいと思ってしまうだろう。

 英国の政治や法制度も、悪いように書けば書けるのである、ということもとりあえず指摘しておきたいが・・・。例えば、イスラム教徒の人がひどい目にあっている。テロ計画に関する「重要な情報が得られた」ということで、何人もが逮捕され、取調べを受ける。自宅で拘束され、警察官に肩を撃たれた青年もいる。謝罪は現在のところ、ない。最終的に、証拠なしということで、その多くが釈放されている。イスラム教徒の人からすると、いつ何時、事情聴取でひっぱられていくのか、分からない状態となっている。びくついている人も相当いるのではないかと思う。

  いずれにしろ、この映画が公開されているとは気づかなかったが、ぜひ見てみたいものだ。
by polimediauk | 2007-02-16 22:12 | 日本関連

雅子妃の本と謝罪

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 昨日、ベリタで雅子妃のスクープが!と書いたが、雅子妃のことをオーストラリアの作家が本にし、外務省が謝罪を要求したという一件だったが、日本の新聞では出ているのだろうか?今朝ヤフーなどでみた限りは見つからなかったのだが。(追記:後で見つけました。毎日新聞など。共同でも出たと聞きました。)

 グーグルの英語版を見ると、ロシア、インド、オーストラリア、英国、などなど世界中のメディアが報道している。

 ベリタの記事は筆者に取材した貴重なものだったが(ご興味のある方はご覧いただきたい)、15日付テレグラフにも特派員伝で概要が載っていた。

 
それによると、日本政府は作家の出身国オーストラリア政府に抗議文を送った、とある。雅子妃の本は「尊敬の念を欠き、歪曲している」として、謝罪を要求した。

 オーストラリアにある日本大使館を通じての干渉に、オーストラリア人の作家で元東京のジャーナリストだったベン・ヒルズ氏は、謝罪をすることを拒否し、日本政府が自分の著作を検閲しようとしている、と述べたという。

 雅子皇太子妃は、43歳で、うつ病に悩み、2003年12月から皇室の公務にほとんど参加していない。

 ヒルズ氏は、本のサブタイトルで「菊の王座の囚人」と書き、1993年、皇室に入ってから雅子妃が受けた扱いのおかげで病気になった、としている。

 オックスフォード大学やハーバード大学で教育を受けた雅子妃が皇太子とともに行うことを願っていた、目立つ公務を行うことを皇室側は否定したという。その代わりに、ほんの2,3の海外訪問や後継者としての男の子を産むための圧力に苦しんだ、と。

 日本のジャーナリストたちは、伝統的に皇室を畏敬の念に満ちた口調で報道する。非常に敬語や丁寧な言葉遣いで記事を書く。エリザベス女王を描いた英国の映画「ザ・クイーン」でのような描写は考えられない。皇室の物まね芸人もいない。

 オーストラリアと米国で出版されたがまだ英国では出版されていないヒルズ氏の本は、雅子妃の結婚の「悲劇的な」物語は、「ダイアナ妃の試練をまるでピクニックであるかのように思わせる」。

 日本版は現在準備中。日本のアマゾンのウエブサイトで、輸入英語版がベストセラーになっている。

 王室について批判的な・抽象的な・プライバシー侵害の報道が出て、王室側(広報)が何らかの抗議をする、異議を唱える、というのは、英国でもある。しかし、王室側はよっぽどでないとこうした行動をとらない。テレビ番組を見ても、私自身驚くほど失礼な解釈がたくさんあるが、次第に英国民はこういう事態に慣れていったのではないかと思う。(私自身は度を越していると感じるけれども、これは私が日本人のせいか。)

 日本の場合は皇室の位置が英国や欧州の王室の位置とはずいぶん違うように思う。それにしても、政府(外務省)が抗議・・・というのは、どう考えたらいいのだろう。

 この件は日本の関係者にとっては非常に重い事件かもしれないが、海外からすると、本が何を書いたか、というよりも、日本では皇室に関する報道や表現の自由度が少ないこと、一種のタブーになる面があること、そのタブーに触れられたと感じた日本政府側が行動を起こしたことが、興味の焦点になっているように思う。政府側の行動自体が興味を引いている。「それほど、こだわることなのか」と。

 日本に限らず、どの国の人でも、海外・外国の人から、自国内で大切に思っていることをネガティブに語られたら、いやだろうな、と思う。それでも、出てしまったものをとめることはできないだろう。(カザフスタン共和国や米国人が「ボラト」という英映画で散々馬鹿にされたことを思い出す。)いずれにせよ、日本語版が無事出ることを願っている。

 BBCでも報道されていた。

http://www.bbc.co.uk/worldservice/learningenglish/newsenglish/witn/2007/02/070214_japan_princess.shtml
by polimediauk | 2007-02-15 19:24 | 日本関連

難しい局面にあるBBC


 ガーディアンの2月12日付に「誰もなりたがらないチェアマンの職」と題する記事が掲載された。

 これは、BBCのことで、昨年まではBBCの番組の質が一定の水準に保たれるように監視する経営委員会というのがあったのだが(実際の経営陣とは別)、これが今年からBBCトラストになった。このトラストのトップの職になる人がいない、ということなのだ。

 話は昨年の11月末にさかのぼるが、当時BBC経営委員会の委員長(チェアマン)だったマイケル・グレード氏という人が、突如、ライバルとなる民間テレビ局ITVに移籍する、という報道が出た。グレード氏とITVのつながりは深く、何でも、叔父さんがITVの創立に関わったということで、さらに自分も過去ITVで働いていたことがある。

 広告収入が激減し困っているITVの再建のため、やりがいのある仕事を求めて移籍することにした、とグレード氏は報道陣に語ったが、BBCの経営陣にとっても寝耳に水の移動だった。経営委員長の仕事は週に4日で、名誉職的な部分もある。それよりも実際の経営に関わりたい、という本人の意思があったのだろうが、ITVのトップとなれば給与が何倍にも上がる。それと、グレード氏はBBCの会長(ディレクター・ジェネラル)のマイケル・トンプソン氏とともに、BBCの受信料収入の値上げ交渉をしてきたが、政府側から「希望通りには上げられない」といわれていたようで、これ以上いてもあまり成果をあげられない、と見て移った、という見方もあった。

 グレード氏とトンプソン氏のコンビはBBCにとってある種特別の意味があった。2003年のイラク戦争開戦をめぐる政府の情報操作疑惑を、あるBBCのジャーナリストが報道。これがきっかけになって、政府側の一人が自殺し、このジャーナリストは自ら辞職。最終的に「政府側がイラクの脅威を誇張した事実なし」という報告書が出た2004年、当時のBBCのトップ二人が引責辞任した。

 この後で、心機一転ということで就任したのがグレード氏とトンプソン氏だった。

 グレード氏に去られたBBC側は、どうにも格好がつかないことになった。受信料の額の交渉の大詰めで、去っていくとは!しかも、ITVでの仕事のやりがいをグレード氏が強調すればするほど、「BBCのチェアマンの職はそれほどつまらない、やりがいのないものなのか」という印象を人々に与えてしまった。グレード氏が赤い靴下をはいていたことに注目して、「赤い靴下とともにとっとと消えろ」というのがBBC職員の本音だ、と書かれた記事がガーディアンに出ていたことを思い出す。

 情報操作疑惑を反省して、経営委員会は「経営陣に近すぎた」として、今度は「BBCトラスト」を今年から発足させ、このトラストのトップにグレード氏は就くはずだった。

 さらに悪いニュースが1月、BBCを襲った。

 まず、1月18日、文化大臣がBBCの受信料収入の値上げ幅を発表したが、これは予測よりもはるかに少ないものだった。

 BBCはそのほとんどの運営資金を日本のNHKのように国民からの受信料に頼っている。BBCの運営・活動内容はほぼ10年に一度改定される「BBC憲章・BBCチャーター」によって規定されている。受信料をどれぐらい上げるかに関しては、BBCがあらかじめ希望額を出し、これを政府が(国会で)承認する、という形を取る。

 これまでのところ、ほとんどの場合、BBCが希望する額をそのまま政府が承認する形となっていた。もちろん、その前に両者間で交渉はあるのだが、BBCにとっては心配のない時期が続いていたと言っていいだろう。

 特に、ここ20年間の恒例となっていたのが、インフレ率と連動させることだ。インフレ率プラス何%という形をとる。

 1月18日の政府発表で、これまでにない動きになったのが、まず、今回の発表以前に決まっていたことだが、2007年から実行されている現行のBBCチャーターが10年間というのは変わらないのだが、「視聴者から一定の受信料を集め、これをBBCに」という形の受信料制度の維持は今後6年だけのもので、それ以降に関しては、「未定」としている。

 したがって、10年間のチャーターが更新されたからといって、受信料収入も10年間安泰・・・という状況ではなくなっている、ということだ。

 そして、今回、20年間で初めてインフレ率との連動がなくなった。変わりに、最初の2年は3%、その後の4年は最大で2%の値上げとした。「インフレ率」を何と考えるかだが、例えば消費者物価指数とすれば、これが今約3%で、来年も大体同じだとしたら、「3%の値上げ」といっても実質ゼロに近い。その後はインフレ率がいくらになるかにもよるが、実質ゼロ増加あるいはマイナスの可能性もある。

 BBC側は当初インフレ率プラス2・3%を希望していたが、ライバル社からの反対で1・8%と低くした。それでも、インフレ率を入れると4-5%の上昇を希望していたので、3%の引き上げというのは、がっかりを通り越して、怒りに近いものだったに違いない。

 トンプソン会長は、政府が値上げ率を発表した後、失望感を隠さなかった。そして、予定した額よりもかなり少ないことになるので、今後6年間の予算では約20億ポンド分(約4500億円ぐらい)が不足する、と発言した。このため、さらなる人員削減もあることを示唆している。

 インフレ率+アルファなんて、考えてみれば、もらいすぎだったのかもしれないけれど、BBCにとっては「希望額を政府が自動的にOKしてくれる」という時代は去ったのだろうし、頭の切り替えが必要となったようだ。

 BBCや主要新聞のサイトを見ると、「BBCはすでにたくさんお金をもらっているんだから」という声が多かったようだが。

 BBCトラストのトップの職は公募で決められる。どれくらいの人が応募したかは不明だが、先の12日付のガーディアンによると、23人ぐらいのようだ。しかし、「断った人」のj話が話題に上っている。

  その一人が、元映画のプロデューサーで(「メロディー」、「キリング・フィールド」「炎のランナー」)今は上院議員のプットナム卿だ。なぜ映画のプロデユ―サーだった人が上院議員(政治家)になるのか、???と私は最初思ったものだ。いずれにしても、いったんは心を動かされたらしいプットナム卿は、「個人の生活を大事にしたい」ということで、候補になることを取りやめたと報道された。

 個人生活を大事にしたいということで取りやめ・・・。なんだか聞いていて悲しい話である。つまり、プットナム卿自身がどうこうではないのだが、BBCトラスト(元経営委員会)のトップといえば、なりたい人がたくさんいて、たとえお金は少なくても、一肌脱ぐ・・という人がいてもいいのではないか。

 著名な人がトラストのトップの職につきたがらないという報道が出るたびに、ますます、BBCはつまらない、誰もなりたくほどつまらない職なのだろうなあ・・・という思いを人々が抱いても不思議はない。そういうことがあって、書かれた記事だった。

 3月にはいよいよ面接が開始されるという。早く誰かいい人がトップについてほしいものだ。



 
by polimediauk | 2007-02-14 22:42 | 放送業界

 「プレスガゼット」紙によると(世界新聞協会WANのデータ)、世界の日刊新聞の数は1万紙になったそうである。

 「WAN世界プレストレンド」の調査では、過去5年間で世界の新聞発行部数は約10%上昇したそうで、昨年は2・36%の上昇。WANのティモシー・ボールディング氏によると、「新聞が終末を迎えている話とは全く逆の結論だった」。

 無料新聞の発行部数も増えており、過去5年間で2倍になった。2001年では1200万部だったが、2005年では2900万部に。欧州の有料及び無料新聞の発行部数は過去5年で15%、2005年では3・31%増加。世界の新聞業界は1800億ドル相当の規模で、200万人を雇用しているという。

http://www.pressgazette.co.uk/article/060207/world_association_of_newspapers_booming_circulation

 一方、仏ル・モンド紙とフランスの実業家Vincent Bolloréとい人が今週新しい無料新聞を発行開始。「マタンプリュス」MatinPlus はパリ近辺で発行され、バタービスケットと共に35万部が配布されたという。(オランダ紙他による。)

 パリ近辺の無料紙は他に2紙で、メトロと20 Minutes。

 ボロレ氏はメディアの売買会社イージスの役員になろうとして失敗。新無料紙「マタンプリュス」の70%を所有。残りの30%はル・モンドが所有する。ル・モンドは、姉妹雑誌「クーリエ・インターナショナル」と協力しながら、4ページ分の内容をマタンププリュス紙に毎日提供している。マタンプリュス紙はルモンドと印刷設備を共有する。

 無料紙と有料紙がますます入り乱れる状況が欧州では続いている。

 ロンドンの無料紙というと、メトロ(欧州のメトロは別物)に加え、ザ・ロンドンペーパー、ロンドン・ライトがしのぎを削っているが、最近は道路にごみとして落ちていることが問題となっている。ゴミ収集費用を誰が負担するのか、と。また、ホームレスの人が販売している「ビッグイシュー」(週刊)の売れ行きが、無料紙の販売で落ち込んでいると言う。ロンドンの地下鉄駅近辺では、本当に複数の新聞を手渡そうとする人で一杯だ。限界ぎりぎりか。

(追加)

 読売によると(2月7日付。ヤフーより)

 
フランスの高級夕刊紙ル・モンド(発行部数約30万部)は6日、無料朝刊紙「マタンプリュス」を創刊、発行した。

 広告収入などで、部数低迷に悩む本紙の経営健全化を図る。仏主要日刊紙で無料紙発行に踏み切ったのは初めて。

 マタンプリュスの発行部数は約35万部で、同日朝、パリ市内と首都圏で通勤、通学客らに配られた。

 紙面は全部で28ページ。ル・モンドの6人の記者をはじめ、計約80人の記者が編集に携わる。AFP通信などの内外通信社電も活用する。

 現在、仏では「メトロ」と「20ミニュット」の無料紙が人気。同日会見したル・モンドの幹部は「ル・モンドの豊富な経験を生かし、記事の質を高めることで、2つの無料紙との競争に打ち勝つ」と述べた。ル・モンドは有料紙を夕刊、無料紙を朝刊で差別化を図ったとしているが、無料紙の売れ行き増で、夕刊本紙が影響を受ける恐れもある

by polimediauk | 2007-02-07 20:55 | 新聞業界