小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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ロンドン無料紙とゴミ 

 いよいよ、ロンドン市長選が明日に迫った。ボリス・ジョンソンが世論調査では僅差で上回っているようだ。しかし、世論調査と実際の投票とには必ずギャップがある。まだまだ分からない。

 東洋経済掲載分の最後はロンドンの無料紙の話だ。(一部カットと加筆してあります。)もてはやされる無料紙だが、「本当にこんなに出していいの?」という思いを実はしている。

毎週20トンのゴミ

 ロンドンを悩ます無料紙のゴミ問題は洒落にならないくらいすさまじいものだ。連日、ロンドン市民は無料紙の渦に巻き込まれる。

 朝は、駅構内のスタンドに置かれるメトロ(約70万部)、金融専門無料紙のシティーAM(約9万部)、午後にはロンドンライトとロンドンペーパーの2紙(あわせて約90万部)が続く。市内の道路、電車やバスの中、新聞スタンドの脇などいたるところに、新聞が捨てられるようになった。

 ロンドンの繁華街、金融街を管轄するウエストミンスター自治体によると、2006年にロンドンライトとロンドンペーパーの2紙が無料紙市場に参入してから、紙のゴミが年間1000㌧分も増加したという。焼却炉で燃やされるか、埋め立て処理される紙のゴミは毎週20㌧にも上る。

 一挙に増えた紙のゴミの回収に悲鳴の声を上げたのが、無料紙配布が多い場所の地方自治体だ。「新聞社側がゴミの回収やリサイクル費用を負担すべきだ」、「いや、ゴミの回収は地方自治体の責任だ」という押し問答の後、昨年、新聞社側が目立つ場所に紙のリサイクル用のゴミ箱を設置し、自社が出した紙のゴミに責任を持つことで合意が成立した。

c0016826_16335170.jpg ピカデリー・サーカス駅付近でロンドンペーパーの配布をしていたロニー・パテロさんに聞くと、午後4時から8時の終了時間までに1人で1000部を配布すると言う。雨の日だったが、どんどん新聞がはけてゆく。「ロンドンペーパーのスタート時からやっている」というパテロさん。同じ場所に立っているというので、知り合いも多いようだ。時折、挨拶を交わしたり、短いおしゃべりをするために話しかける人がいる。結構楽しそうな感じがした。

 少しして、小型コンピューターを抱えた男性がやってきて、パテロさんと話し出した。友達かと聞くと、「いや、僕の上司だ」。コンピューターの画面に、パテロさんがサインする。こうやって、配布場所に現れたことを「証明」する。おしゃべりを続ける上司に聞くと、彼が管理するのは16人。何時に誰が来て、配布具合はどうだったか、どれ位残ったかなどをチェックするのが仕事だそうだ。

 話を聞いていた30分ほどの間に、100部ほどの手渡し配布が終わった。同じ通りの両側にはパテロさんを含めて6人ほどの配布員がおり、その内の半分はロンドンライトの配布員だった。この通りは人通りが非常に激しいうえ、多くの通行人が受け取っていく。そのため、6人いてもかなりの量を配布できるようだ。

 今度は地下鉄とサウスウエスト鉄道駅が隣接するボックスホールに行ってみた。地下から出て、サウスウエスト線に入るところに、「ロンドンライト」と「ロンドンペーパー」の配布者がそれぞれの制服を着て新聞を配っている。ライト側は黄色の制服、ペーパー側はブルー。「写真を撮らせて欲しい」というと、ライバルのはずのライトとペーパーの配布員がよりそい、カメラに向かってにっこり笑ってくれた。時々、短い会話を交わしながら、リラックスした様子で新聞を配ってゆく。ライバルでなく、配布現場では仲間なのだ。

c0016826_16342125.jpg ボックスホール駅構内に入ると、手渡されたが棄てられた新聞が既に隅に置かれていた。悲しい光景だ。やっぱり多すぎるのだろう。広告主からすれば、非常に魅力的な広告媒体。広告需要がある限り、無料紙の洪水はしばらく続きそうだ。しかし、私は環境保護には詳しくないけれど、それでも紙の洪水は気になる。非常に複雑な思いがする。お金の論理が色濃くでたのが、これほどの紙の洪水なのだろう。
by polimediauk | 2008-04-30 16:35 | 新聞業界
 英国の携帯電話料金の請求にどうも納得がいかないと思ったのは、欧州他国に出かけて使った時だった。私は買いきり・プリペイド(Pay as you go)の電話を使っているが、あまり電話をかけていないのにあっと言う間に残金がなくなってしまう。電話を受け取った時も多額の料金が取られていることに後で気づいた。

 英国の携帯を欧州他国で使った時の電話代が高すぎるー(場合にはよっては英国内でかける金額の400倍)。こんな思いをしたのは私だけではなく、とうとう欧州委員会がこれを取り上げ、一定の制限をする規則が決められた(昨年)。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/business/6683139.stm
http://news.bbc.co.uk/1/hi/business/7020368.stm

 しかし、それでも高すぎる額に設定されていると言われる。こうした状況を、28日放送(チャンネル4)の「ディスパッチ」が詳しく報じていた。この番組が明らかにしたのは、電話通信会社と政府が一体となって、金額を下げないようにしている、という「事実」だった。

http://www.channel4.com/news/articles/dispatches/the+mobile+
phone+ripoff/2081247

 将来的に文字よりも動画を沢山見せる携帯電話を中心にしたい、そのためには英企業の基盤を強くしておきたい、という政府+企業の考えが背景にあることを番組は示唆していた。

 通話に加え、短い文字情報を送る「テキスト・メッセージング」が英国では人気で、1つのメッセージを送るのに大体5ペンス(10円)かかる。番組が小学生に聞いたところ、教室の中で半分ぐらいが携帯を持っており、「テキストは安いから」とほとんど全員が言っていた。そして、英国では毎秒5000のテキストメッセージが送られているという。これが携帯電話・通信会社の大きな利益源の1つでもある。

 テクノロジーへの投資などの諸理由から、はたから見れば「高すぎる」料金設定をしているのかもしれないが、結局のところ、消費者が犠牲になっているというか、消費者がこうした会社の投資のためのお金を肩代わりにしている構図なのか。一社が急に安くしたら、どうなるのだろう、例えばボーダフォンが?番組は「競争が十分に起きていない」状況を明らかにした。

 英国は大陸欧州からは「アングロサクソン的ビジネス=市場原理至上主義」と見られることがあるようだ。そこで摩擦が起きることもあるらしい、というのが、「ミニ・マードック=メコム」の例である。(以下、「東洋経済」4・12号の筆者記事に加筆。)
 

嫌われる”アングロ・サクソン流”

 「メディア王」ルパート・マードック氏のミニ版とも言えるのが、欧州大陸の新聞を次々に買収するデービッド・モンゴメリー氏だ。1990年代に大衆紙のミラー・グループ最高経営責任者を務め、サンの編集長だったこともある。2000年に自ら設立した投資会社メコム・グループ(ロンドン上場)を設立。欧州地方紙の買収を開始した。

 現在の版図はノルウェー、デンマーク、スウェーデン、オランダ、ドイツ、ポーランド、ウクライナなど広範。独高級紙ベルリナー・ツァイトゥング(約18万部)、デンマークのベルリンスケ・ティゲンゲ(約12万部)などを手中にした。モンゴメリー氏のターゲットは「家族経営、地元に密着、組合がない地方紙」で、大手メディア企業が狙わないような地味な企業が多い。07年12月期の売り上げは前期比3%増の14億ポンド(約2700億円)、営業利益は同22%増の1億2000万ポンド。所有する欧州の新聞の多くが定期購読制を取っていることが利益増に貢献した、とモンゴメリー氏は述べる。

 しかし、人員削減や、記者にマルチメディア体制に対応するスキル(英メディア界では常識)を求めるモンゴメリー氏に対し、外国企業に経営されたことがない欧州新聞紙の一部は反発を強めている。特に労使問題に悩むのはドイツで、「アングロ・サクソン的(=市場原理を追求)ビジネスを進めようとしている」と抵抗が起きた。05年、所有新聞の1つベルリナー・クリエ紙は1面でモンゴメリー氏の写真を上下反対に印刷し、「ノー」という言葉を添えた。07年秋には、傘下ドイツメディアの代表との集会で、ベルリナー・ツァイトゥング紙の記者に、「ドイツ語が分からないのにどうやって良い記事か出たかどうかが分かるのか」とやりこめられている。

 文化の壁は厚い。翻って英国では、テレグラフの前所有者はカナダ出身のブラック卿だし、サンやタイムズの所有者は豪州出身のマードック氏。外国人のメディア所有への拒否反応はすでにない。それに対し、欧州大陸では新聞を自国を象徴する、より高次元のものとして捉える傾向が強い。メディアを「ビジネス」と割り切るメコムは、確かに欧州大陸で忌み嫌われるアングロ・サクソン的なるものの権化なのかもしれない。

関連

http://www.guardian.co.uk/media/2008/feb/20/pressandpublishing.
mediabusiness
http://www.guardian.co.uk/media/2008/mar/26/pressandpublishing
by polimediauk | 2008-04-29 18:24 | 新聞業界
 5月1日、地方選とロンドン市長選がある。ロンドンのイブニング・スタンダード紙は反・現職リビングストン市長で、チャンネル4なども氏の疑惑を暴き出す番組を放映した。もう8年も市長をやっているので、「飽きた」と言う市民もいるだろう。保守党ボリス・ジョンソン議員が人気を博し、世論調査でも10%近く差をつけている。「ボリス」に投票すればクールである、リビングストンはちょっと・・・という「雰囲気」ができつつあるように思う。リビングストン氏は労働党中枢の支持があり、ブラウン首相を巡るマイナス要素(金融問題、スト、「ブラウンじゃ選挙に勝てない」とブレア氏がかつて言ったとか)も足を引っ張る。

 日曜紙を見ていると、オブザーバー社説はリビングストン支持、サンデータイムズはボリス支持。オブザーバーは、リビングストン氏のマイナス要素を挙げながらも、「ロンドンには良いマネージャーが必要だ」と最後には彼を推していた。

http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/apr/27/london08.livingstone

 雰囲気ではボリスが勝っているのかもしれないが、実際、リビングストン氏の本当の対抗馬がいない。ロンドン政治に関わっていた人、公共部門の経営に関わっていた人などがいないのだ。そういう意味では、政策面での本当の闘いではなく、何だかつまらない感じがする(個人的には、自由民主党の候補も含めて、3人の候補者がロンドン市内の難民・移民申請者に「恩赦」を与えるという項目に注目している。)

 問題は、記事の中でも指摘されているけれども、ボリス=保守党、リビングストン=労働党という感じで、中央の政治の戦い(ブラウン対キャメロン)が地方政治、しかも非常に大きな予算を持つロンドンで繰り広げられることではないか。ボリスは保守党を背負い、保守党首キャメロンに言われたように行動しているだけで、自分を背負っていない感じがする。彼自身がどうしてもロンドン、という感じがしない。良かれ悪しかれ、ロンドンにこだわる人に市長になってもらいたいものだ。

 ロイターとトムソンが合併し、「トムソン・ロイター」(Thomson-Reuters)が誕生したが、自社の株価を間違えるミスが起きたりなどし、苦戦のスターととなったようだ。サブプライム問題の影響が続き、金融機関が規模を縮小すれば、金融情報を売るトムソン・ロイターにとって、良い話ではない。

http://www.ft.com/cms/s/0/db7152aa-0cac-11dd-86df-0000779fd2ac.html


 以下は合併直前の話となる。(東洋経済4・12号掲載分に加筆。)トムソンのこれまでの情報(マードックとのからみに注目)を加えた。

トムソン・ロイター合併
プロ市場は2強時代へ


 19世紀半ば、ベルギーのブリュッセルと独アーヘン間で伝書鳩を飛ばして株価情報を伝えたのがその始まりとなる老舗通信社の英ロイター。世界130カ国に2400人ほどのジャーナリストを抱えるロイターは、自他共に認めるトップ通信社だ。しかし、現在のロイター・グループの収入源の90%は、証券会社や銀行に設置するロイター端末機が稼ぎ出すプロ向けの金融情報サービスである。

 世界の市況情報サービス市場は約126億ドル(約1兆2700億円)に及ぶ。業者間のシェア争いは激しく、巨大市場の33%を握るトップ企業は米ブルームバーグ。追っているのが2位のロイター(23%)、3位の加トムソン・フィナンシャル(11%)だ(市場規模、シェアとも「インサイド・マーケット・データ・リファレンス」調べ、2006年)。

 昨年5月、この市場に激震が走った。トムソンがロイターに対して買収を打診。拒否権を持つロイター株主がこの買収を認めたためビッグディールが成立したのだ。買収額は株式と現金を合わせて約87億ドル(約1兆8300億円)。これにより、ブルームバーグを超える世界最大の金融情報会社が誕生することになった。新会社「トムソン・ロイター」は4月中旬に発足する予定だ。(追記:4月17日より)

 2社は互いに補完的な役割を果たすことができる。トムソンは北米に拠点を置き債券に強く、ロイターは欧州やアジアで強く外貨取引や株投資情報に強みを持っている。新会社の売上高は110億㌦以上で、うち60%が金融情報・ニュース部門を集約させた「ロイター」、40%が法律関係の専門書出版などトムソンの既存事業を手掛ける「トムソン・ロイター・プロフェッショナル」という構成になる見込み。総勢5万人の従業員を抱える新会社では、相乗効果により約5億ドル(約490億円)のコスト削減ができる見込みだ。

―ブルームバーグの強み

 しかし、新会社は今後どれだけの間、業界トップを維持できるだろうか。金融情報サービス業界の競争は熾烈で、単純計算で「世界最大になった」として安閑としてはいられないはずだ。

 もともとロイターは、90年代半ば頃までは金融情報端末市場をほぼ寡占。敵はダウ・ジョーンズくらいだった。ところが、米ソロモン・ブラザーズの債券トレーダーだったマイケル・ブルームバーグ氏(現ニューヨーク市長、株式の約70%を保有)が80年代に創業したブルームバーグが急成長を遂げた。ブルームバーグ氏は現場を知るトレーダーとしての経験を生かし、使い易いシンプルな端末機を作り上げ、トレーダーからの支持を獲得したためだ。これにより、市場の構図は一気に塗り替えられてしまった。

 ブランド力、資金力に勝るはずのロイターが、この新興勢力の急成長を許し、トップの座を奪われたのは、なぜだろうか。たとえば、ブルームバーグは端末利用者同士で使えるインスタント・メッセージのサービス(「メッセージを送って欲しい」という時、「ブルームバーグしてくれ」という表現が流行ったという)など、新サービスを次々に投入している。それに対し、ロイターが素早く追随していればまだしも良かったのだが、後追いのペースも鈍かった。「ロイターはインターネットを十分に活用していない」との批判の声も上がった。

 端末の普及数ではブルームバーグを上回っていたものの、1台が生み出す収益はブルームバーグ機の3分の1(JPモルガン社調べ)以下になるなど、経営の効率が悪化。00年のネットバブル期には1株16ドル(約3150円)の高値をつけた株価は03年には1ドル(約197円)を切り、この年に収入でもブルームバーグに初めて抜かれた。

 対ブルームバーグ戦における危機に直面して01年にロイターのトップに就いたのが、テクノロジーに詳しいトム・グロサー氏(トムソン・ロイターの初代最高経営責任者に就任予定)だ。グロサー氏の頭にあったのは金融情報サービス部門で何としても首位を奪回することだった。事業の絞り込みと数千人単位の人員削減により02年12月期には税前で4・93億ドル(約1000億円)もの赤字決算を余儀なくされた。しかし、10億ドル相当のコストカットにより、04年12月期を底にして増収軌道に回復。3月6日に発表したロイターとしての最終決算(07年12月期)では、売り上げは前期比2%増の26億0500万ドルを記録した。

 しかし税引前利益は前期比1割減の2億7300万ドル。利益の伸び悩みが続いていた。ブルームバーグは未上場の合資会社で決算を公表していないため比較はできないが、ブルームバーグのほうが大幅に利益率が高いことは間違いない。単独ではトップ奪回の展望が開けず、ブルームバーグ独走を許しかねないと考え、トムソンとの合併に踏み切ったといえるだろう。

 しかし、トムソン・ロイターの出現で、ブルームバーグが黙ってトップの座を引き渡すはずもない。両社はがっぷり四つに組んでシェア争いを繰り広げるはずだ。プロ向け市場のトップを巡る攻防は、これまで以上に熱くなることは間違いない。


(補足)
―トムソンの英国でのプレゼンス

1953年:ロイ・トムソンが英国で初めて新聞を買収する:「スコッツマン」。買収価格は75万ポンド。
1957年:スコッティシュ・テレビのフランチャイズを40万ポンドで買う
1959年:サンデー・タイムズを買う。
1965年:トムソン・トラベル社を立ち上げ、ブリタニア・エアウエーズを買収
1967年:タイムズを買う
1971年:北海での石油・ガス採掘権を持つコンソーシアムに参加
1973年:パイパー油田が発見される
1974年:クレイモア油田が発見
1977年:スコティッシュ・テレビの利権を売却
1981年:ケン・トムソンがタイムズとサンデータイムズをルパート・マードックに1400万ポンドで売却
1987年:法律系出版社スイート&マックスウェル社を買収
1989年:北海油田利権を売却
1998年:トムソン・トラベル社を上場させる
2006年:AFXニュースをAFPから買収
2007年:デビッド・トムソンがロイターとの合併話を主導する
2008年4月17日:トムソン・ロイターが誕生
(資料:FT他)
by polimediauk | 2008-04-28 18:10 | 新聞業界
 英新聞業界の全体の流れを前回、ざっと追ったが、その中でFTの占める位置、その方向性を見てみたい。(週刊東洋経済4月12日号筆者記事に若干加筆したものです。)改めてFTを巡る状況やロイターとトムソンの合併の話を考えると、「とにもかくにも金」、「資金力」がメディア会社の動向を決めてゆく構図が浮かび上がる。どこも一企業であることを思えば当然なのだろうが。

―超然としたFT

 高級紙の2月の発行部数を見ると、テレグラフ、タイムズ、ガーディアン、インディペンデントがいずれも前年同月比でマイナスを記録しているのに対し、高級経済紙「フィナンシャル・タイムズ(FT)」のみが増加している。1%弱の増加は微増に見えるかもしれないが、高級紙平均が前年同月比で3・15%減っていることを考慮すると、むしろ非常に良好と言える。

 FTグループは昨年から「世界のFT」というマーケティング戦略を開始した。「世界」を意識せざるを得ないのは、他の高級紙の場合は基本的に紙の読者は国内にいるが、FTの場合は読者が世界に分散しているせいもある。2月の数字では、英国・アイルランド共和国分が13万7945部、米国が15万2240部、欧州他国分が12万3287部、日本を含むアジアやアフリカ他が3万4870部という構成だ。国内よりも米国での販売部数が多く、「国際的プレゼンス」がFTの売りだ。

 FTの親会社で教育・情報大手ピアソンは、3月上旬、07年度決算で増収増益を記録したと発表した。ピアソンの主な収入源は教育出版だが、売上高の16%、営業利益の24%をFTグループ(米IDC社含む)が占めた。

 かつて、広告収入減や部数減に見舞われたFTは、ピアソンの足を引っ張っており幾度となく売却の噂が流れたが、その度にピアソンのマージョーリー・スカルディーノ最高経営責任者は「絶対にない」と否定してきた経緯がある。手放さないと言う宣言の裏で着々と進めてきたのが、コスト削減、紙面刷新と共に、デジタル化された金融経済情報の有料提供の比率を増やし、紙媒体からの広告収入の比率を減らす戦略だった。FTグループの00年の広告売り上げ比率は52%あったが、07年には30%に減少しており、逆にデジタル情報サービスからの収入は00年の28%から07年には68%に増えている。

―企業買収も

 事業再構築の流れの中で、英語以外の言語の新聞の売却も進めている。07年末にはフランスのトップ経済紙「レゼコー」を仏高級ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンに2・4億ユーロで売却した。 また、年明けには、FTドイツ語版を発行する合弁企業の株式50%を残りの株式を保有するドイツのメディア大手ベルテルスマン傘下の出版社グルナー+ヤールに譲渡した。FTドイツ版は、ハンデルスブラット紙に対抗する目的で00年発行を開始した。昨年末で10万部を超えるまで成長したが黒字化せず、損失が膨らんでいた。金融情報のデジタル化とグローバル規模でのFT紙の拡大を目指す戦略の中では、ドイツ語版はそぐわない存在となった。

 デジタル化された金融情報を重視する戦略は米投資情報サービス会社マネー・メディア社を年明けに買収したことからも見て取れる。マネー社はロンドン、香港、ニューヨークに200人のジャーナリストを抱え、ファンド・マネージャーや機関投資家向けにオンラインで専門的な金融経済情報を流している。マネー社の収益は顧客からの情報購読料のみ。広告の増減に左右されない収入源を伸ばしていく――これこそがFTの望むところだ。

 2月にはメディアやテクノロジー分野の企業の経営陣を会員に想定したSNSサイトを開設した。このサイトの年会費は約2000ポンド(約40万円)。FTは必要な情報には高額を払う・払える層の取り込みに躍起だ。

 無料紙やネットの普及で「情報を無料で読む」感覚がまん延する中、FTは、米大手経済紙ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)のように、ウェブサイトの記事購読は有料だ。現在10万1000人の有料ネット購読者を持つ。入り口を広くする試みも続けており、昨年秋からは月に30本までは無料で記事を読めるサービスを開始。1カ月に訪れるユーザー数は約650万人になっている。また、「フェイスブック」会員の学生を対象に、1年間FTのサイトを無料で読める仕組みを3月から開始した。最長で4年間無料購読を延長できるため、大学生であれば在学期間中、無料で読むことができるわけだ。

 有料デジタル・コンテンツ提供サービスとブランド力強化に力を注ぐFTにとって、気になるのはWSJを手中にしたマードックの動きだろう。WSJの発行部数は約180万部。「WSJ・コム」の有料購読者数は90万人に及ぶ。FTの部数45万部、サイトの有料購読者数約10万人と比較すると圧倒的だ。

 しかし、WSJがアジア、欧州でそれぞれ発行する国際版の合計部数は17万に過ぎず、特に欧州ではFTの優位を崩せていない。もし、本気でFTを追撃しようとしたらどうなるのか。

 既にマードックがWSJ・コムを「無料にする」と発言しただけで(後、撤回)、FTも無料化を迫られる、との見方が広まった。80年代、FTを買収しようと試みたというマードックには、他紙を潰すために過激な安値戦争を挑んだ”前科”もある。

 アジアで焦点になるのは中国だ。02年にWSJ、翌年にはFTが中国版のウェブサイトを立ち上げ、それぞれプレゼンス強化を目指している。資本の力で勝るニューズ・グループがどのように挑んでくるのか。ピアソン経営陣にとっては頭の痛い問題である。

―FTの歩み

1888年:正直な資本家と尊敬すべき仲買人の友人」としてフィナンシャル・タイムズ(FT)が創刊。
1893年:ピンク色の紙に印刷開始
1919年:「サンデー・タイムズ」紙と「デーリー・テレグラフ」紙の所有者ベリー・ブロスがFTの支配権を握る
1945年:「フィナンシャル・ニューズ」社の会長ブレンダン・ブラッケンがフィナンシャル・ニューズとFTを統合するが、ピンク色の紙面とFTの名前を残す。
1953年:2万部発行記念。アート面を開始
1957年:ピアソン社に乗っ取られる
1959年:ロンドン・キャノン・ストリートにあるブラッケンハウスに本社移動
1961年:平均発行部数が13万2000部に到達
1979年:欧州版の印刷が独フランクフルトで開始
1985年:ニューヨークでの印刷開始
1986年:部数が25万部を超える。「ノーFT,ノーコメント」(FTを読んでいないので、コメントしない)を宣伝に使う。
1988年:仏レゼコーとスペイン・エクスパンシオン紙を買収
1989年:本社が現在の場所(1 サザク・ブリッジ、ロンドン)に移動
1990年:東京で印刷開始
1995年:マドリード、ストックホルム、ロサンゼルスで印刷開始。ウエブサイトのFT・COMが開始
1996年:香港で印刷開始
1997年:米国版の開始
1998年:ミラノ、シカゴで印刷開始。英国外の発行部数が国内の部数を上回る
1999年:ダラス、マイアミ、クアラルンプール、ソウルで印刷開始。欧州版の刷新
2002年:FT・COMの刷新。サイトの有料購読制を開始。月間固定ユーザーは320万人に。
2003年:ドバイとアトランタで印刷開始。英国版の紙面刷新。アジア版の紙の印刷とオンライン版を開始
2004年:インドの経済紙「ビジネス・スタンダード」に投資。シドニーで印刷を開始。
2005年:ライオネル・バーバーが編集長に。
2007年:「世界のFT」広告戦略を開始。紙面刷新
(資料:FTウエブサイト他)

(次回は「ロイターとトムソンの合併」)
by polimediauk | 2008-04-27 17:53 | 新聞業界
 日本は既にゴールデン・ウイークに入ったようだ。こちらはようやく春らしい、日差しに暖かみがある日が続いている。(今月上旬には雪が降ったことを思うと、本当に変わりやすい天候である。)

 「週刊東洋経済」4月12日号にいくつか英新聞にまつわる話を書いたが、ブログ転載の許可を得たので、その分を順に載せていきたい。若干カット、加筆した部分があることをご了承願いたい。私の記事は日本の新聞業界、特に日経を中心にした大きな特集の中の一部だった。非常に市場環境が厳しい中で生残り策をはかる米新聞業界の話も現地から報道されていた。米新聞業界はすさまじい市場原理との闘いの真っ最中にある、という印象を持った。日本の場合、どことなく、「読者」のことはあまり眼中にない感じがした、というと言いすぎだろうか?

 そう思ったのは、新聞社のネット記事の提供の度合いだ。自分自身、ほんのちょっとした原稿でも、作り上げるまでには手間と時間がかかるもので、まして大量の記者や宅配制度を維持するには、相当のお金が必要だろうし、一つ一つの記事にも手間・時間がかかっているだろう。自社体制の維持にまず考えが行くのはしかたないが、英国の新聞サイトの場合、何とか他のところで工面をし、無料・拡充化に向っているので(フィナンシャルタイムズは有料で別だが)、ある日本の大手新聞が「サイトへの記事の掲載期間を短くして、有料サービスに読者を向わせる」ことを語っていたので、寂しさを感じた。生き残りだから仕方ないのだろうか?

 日英の新聞サイトを比較すると、こまごましたことの差というよりも、背景になる考え方がどうも異なる気がしてならない。それはやはり宅配制度+販売店制度がある・なし(英国でも宅配はあるが、日本のようなシステムになっていない)の違いなのかもしれない。その「違い」というのは、英国の新聞では「読者のために」が強いような気がする。きれいごとでは決してなく、読者=新聞を買ってくれる人+広告を見てくれる人=読者の都合に合わせる・・というパターンではないか。この違いは文化や国民性によるかもしれないし、なかなか埋まらないかもしれない。(新聞とは何か、社会でどんな役目を果たし、国民はどう受け止めているのか、という要素も関わってくる問題だろうから。)

 (以下、東洋経済4月12号の筆者記事からの加筆・転載。)

「新聞はタダ」に克つ (上)
「世界のFT」戦略

 英国では「メトロ」などの無料氏が有料の新聞を苦境に追いやった。高級紙もタブロイドサイズに小型化。ほんの数年の間に、新聞業界は様変わりしたーー。

 この国ではすでに「逆転」が起きた。英国のインターネット広告市場(20億ポンド、約3900億円)は、2006年、新聞広告市場(19億ポンド)を凌駕。テレビ、新聞、ラジオなど、これまで主流となってきた広告媒体の人気が落ちているのとは裏腹に、ネット広告は前年比4割増と急成長だ。

 厳しい環境下、日刊全国紙13紙がひしめく英新聞業界の原動力は高邁なジャーナリズム精神というより、競争だ。競争相手には同業他社だけではなく、テレビ受信料を含む約30億ポンドの年間収入を元手にデジタル投資を続けるBBC(英国放送協会)やヤフー、グーグルなどのネット企業も含まれる。ネットでニュース情報を得る人の増加、広告主のネットへの移動、さらにスウェーデンに端を発した無料紙新聞の人気の影響など、変化するメディア環境の中でいかに収益をあげるかに苦心している。

 近年の市場再編のきっかけとなったのは、広告のみで成り立つ無料紙の席巻と小型化の動きだ。

 95年に発行を開始したスウェーデンの無料紙メトロは、政治、経済、国際ニュースが満載されており、内容は有料の新聞と変わらない。通信社電などを使った記事は短く読みやすいので20分もあれば最後まで読めてしまう。あっと言う間に欧州を中心に世界中に広がり、現在では19言語で世界23カ国で発行中だ。出版元のメトロ・インターナショナルによると、発行部数は約2300万部で、読者の74%が49歳以下だ。

 欧州には、メトロのアイデアを基にした無料紙が数多く生まれている。無料紙は、読者からすると、「新聞とはお金を出して買って読むもの」という概念を崩してしまった。

―大人気の英国版「メトロ」

 英国では新聞の名前は同じだが別会社が発行する無料紙「メトロ」が人気だ。本家メトロが英国に上陸するのを予想したアソシエーテッド・ニューズペーパーズ社が「メトロ」の名称を英国内で商標登録し、同名の無料紙の発行を遮断した。99年からロンドンで発行を開始した英版メトロは国内各地とアイルランド共和国の一部で約135万部が発行されている。スコットランドが中心の「レコードPM」,「ビジネス7」、ダブリンの「ヘラルドAM」など、メトロ以外のタイトルの無料紙も続々と発行された。

 ロンドン市内では金融・経済紙の「シティーAM」(05年開始)に加え、「ロンドン・ライト」(06年)、「ロンドン・ペーパー」(06年)も発行された。参入が相次いだのは朝の無料紙メトロの大人気が誘因だ。夕刊有料紙「ロンドン・イブニング・スタンダード」(メトロと同様のアソシエーテッド社発行)の最終版が出る夕刻までの時間に「すき間」が生じる。ここを狙ってアソシエーテッド社は、06年夏、ロンドン・ライトの配布を開始した。タイムズ、サンを発行するニューズ・インターナショナル社(ルパート・マードックのニューズ・コーポレーション傘下)も参入を決め、同時期にロンドン・ペーパーの発行を始めた。両紙とも朝のメトロよりはややライト・タッチで有名人に関するゴシップや料理、映画など娯楽系の記事が多い。

 これで割りを食ったのは、イブニング・スタンダードだ。発行の時間帯こそ違え、同じ発行元から出ている朝のメトロに足を引っ張られ部数が減少。さらに同じ時間帯に無料紙2紙が入ってきた。安値競争に走らず、逆に1部40ペンス(約80円)から50ペンス(100円)に値上げし、「有料で読み応えのある記事を出す」方針をとった。プリペイドカードの発行などにより危機を乗り越える努力を続けたが、今年2月の発行部数は約28万部。前年同月比では5・48%増だが、3~4年前の40万部からは大きく水準を落としている。朝のメトロから始まるロンドン無料紙市場での独り勝ちを狙ったアソシエーッテド社がイブニング・スタンダードを見限ったともいえる。

―小型タブロイドが流行

 03年、高級紙の中で歴史が最も浅く(86年創刊)、部数も最も少ない「インディペンデント」紙のサイモン・ケルナー編集長の主導で、タブロイド化旋風が起きた。同紙は創刊後、一時は50万部近くまで部数を伸ばしたが、ニューズ社が利益度外視の安値競争で攻撃。インディペンデントは大きな打撃を受けた。その後も他紙との絶え間ない競争から、部数は03年には20万を切ってしまった。

 起死回生策として、ケルナー編集長は、高級紙のインディペンデントを、それまでの大判(ブランケット判)から小型タブロイド判に変えた。タブロイドは大衆紙と同義語で、ゴシップ記事満載の新聞と見なされていたが、この概念を打ち破った。03年9月末のタブロイド判とブランケット判の平行発行(後、タブロイド判のみになった)は大成功となり、ライバルのタイムズ紙も同年11月末には小型化した。ガーディアンは05年、縦に細長い「ベルリナー」判を発行し、サイズ変更により各紙とも部数を伸ばした。メトロの人気でタブロイド判=質の低い新聞というイメージが崩れつつあったことも幸いしたようだ。

 ケルナー編集長は一躍業界の寵児となったが、次第にその効果も薄れ、現在では20万部を超えるのがやっと。編集長交代やインディペンデントが無料紙になる、などの噂が絶えない。既に地方紙「マンチェスター・イブニング・ニューズ」は都市中心部では無料配布し、他の場所では有料とする、無料と有料を組み合わせる方式を取る。高級紙も無料モデルの波に飲み込まれていくのかもしれない。

 一方で、英新聞業界の現在の主戦場は読者がニュースを読みに行く場所、つまりウエブサイトに移っている。サイトへの投資はガーディアンが最も力を入れてきた(固定ユーザー数は約1900万人でトップ)が、高級紙最大の部数を誇るテレグラフ紙も06年、マルチメディアを駆使した新編集室を構築した。翌日付の紙媒体での掲載を待たずにネットで適宜ニュースを報道する「ウェブ・ファースト」を実現し、記者はマルチメディア・プラットフォームで原稿の出稿や動画出演を求められる。「ネットと紙で区別をしない」、「常時報道する」方式は、他の高級紙でも常識になった。

 ウエブサイトでの動画クリップの使用は増える一方で、新聞社は放送メディアや動画投稿サイトと同様のサービスを提供する方向に向かっている。ライバルは世界中のニュースを拾うグーグルやヤフー、動画が豊富なBBCのニュース・サイト、近年急激に広がった「マイスペース」「フェイスブック」「ビーボ」などのソーシャルネットワーキング・サービス(SNS)のサイトや、無料の動画配信サイト「ユーチューブ」だ。

 ネットの重視で、存在をおびやかされつつあるのが日曜紙の存在だ。一週間に一度の発行のために人材を維持しておく、という体制はもはや通用しなくなっている。長年の日曜紙の伝統が近い将来消える可能性も指摘されている。
(「2」に続く。次回はFTの戦略)

ご参考:過去のケルナー編集長インタビュー

http://ukmedia.exblog.jp/114126/

日曜紙の将来に関する過去記事
http://ukmedia.exblog.jp/7632373/

by polimediauk | 2008-04-26 22:01 | 新聞業界
 マードック関連のニュースで一日が明けた。

 まず、5月1日のロンドン市長選を控え、マードック傘下の大衆紙サンが、保守党候補のボリス・ジョンソン議員を支持したというニュースがあった。私はケン・リビングストン現市長を心の中で応援しているが、スキャンダル報道などがあり、このところリビングストン氏は分が悪い。世論調査でもジョンソン議員がリードしがちで、接戦あるいは勝つのは難しいなあと思っていた矢先で、ドッキリしてしまった。

 FTによると、15日の紙面でサンはジョンソン支援に回ったという。1992年以降、サンが保守党を支持したのはこれで初めてだという。サンは発行部数が約300万部。たった一つの新聞が特定の候補者への支持を表したからといって、勝つのかどうか?様々な議論があるが、結構、英国ではサンの威力が伝説・神話となっている。

 本当に勝つかどうかは別にしても、「時代の空気」を読むのがうまいのがサン=マードック。少なくとも、次回(2009年か10年)の国政選挙に向けて保守党に追い風が吹きつつあるのを反映した、という見方が正しいのだろう。(記事ではシラキュース大学のジョン・カーティス教授がそう言っている。)

 次に、ニューヨークタイムズのトップ、アーサー・ザルツバーガー氏が、株主に対し、「最近NYTの売却が噂されているが、売るつもりはない」と明言した。一時、金融情報提供会社ブルームバーグが買うのではないかと言われていたが、ブルームバーグ氏(ニューヨーク市長でもある)は、これを否定した。

 しかし、売却の噂が出るのは株価が下がり、広告収入も減り続けているからだ。根拠があるのである。(この件、追記もご覧ください。)

 ニューヨークタイムズをさらに落ち目にさせようとしているのがルパート・マードックだ。

 FTの記事に戻ると、WSJのマネジング・ディレクターのマーカス・ブラウチリ(Brauchli)氏が辞めたという。マードックのニューズ社がWSJを発行するダウジョーンズ社を正式に購入してから4ヶ月経ち、マードックが影響力を強めていた。

 自分が買った新聞はマードック色にしてしまうため、これを防ぐためにWSJは、5人の構成員による独立編集委員会のようなものを作っていた。昨日は、この会議が開かれるはずだった。辞任に関し、何らかの正式発表がある模様だ。

 ブラウチリ氏がマネジングディレクターになったのは11ヶ月ほど前で、WJSの伝統を重んじるスタッフとマードック側(発行人を英タイムズの編集人にするなど、人を自社から呼んできた)との間を調整する役割を果たしてきた。両方の溝は大きくなるばかりだった。

 特に抵抗があったのは、新スタッフが長い特集記事を減らし、短いニュース報道を増やそうとしたこと、さらに、ニューヨークタイムズの対抗馬として、これまでの経済・ビジネス・金融の記事よりも、政治やライフスタイルに関する記事を増やそうとした点だったと言う。WSJの22日付紙面では、マードック氏自身の記事が論説面に出ていたと言う。

 この件で、FTのジョン・ガッパー氏が書いているところによると、「WSJのスタッフは、ニューヨークタイムズから読者を奪おうというマードック氏の考え方に居心地の悪さを感じているのではないか」と指摘している。そして、WSJの独立編集委員会が骨抜きになるのではない、と懸念もする。と言うのも、1981年、英タイムズを買ったマードックは時の編集長ハリー・エバンスと対立し、1982年エバンス氏は辞職したが、この時に存在していた、そして今でもあるタイムズの「独立取締役」たちは何の抗議もしなかったそうである。

 WSJのブラウチリ氏の辞任は米新聞界の、そして金融出版物にとっても大きなドラマだと述べるガッパー氏は、「金融出版物」にはこの新聞、つまりFTも入る、としている。米英の新聞業界に揺さぶりをかけ続けるマードック。立ち向かえる人+もっと資金のある人はいないのだろうか?米英両国で紙の新聞はビジネスとしては苦戦しており、ここをうまく利用して、新聞を買いあさっているようだ。ニューヨークの「ニューズデー」紙も、ニューズ社が購入する直前までいっているようだ。

 (追記:NYタイムズの業績の件に関しては、「メディア・パブ」ブログの23日付に詳しく出ています。ご参照を。21日付にはロンドン市長選でのネットの活用に関する言及があるなど、他では読めないトピックが載っています。すごい!!)

http://zen.seesaa.net/

 
by polimediauk | 2008-04-23 20:54 | 新聞業界
 住宅価格が下がり出し、このところ、新聞やテレビが騒いでいる。今日から読める「英国ニューズダイジェスト」(電子版)用にこの件について書いたのだが(以下はそれに書き加えた)、本当に大騒ぎするほどのことなのかどうか?

 丁度「大幅下落」という数字を出したハリファックス社のレポートをチャンネル4で見ていたが、「下落、不景気」という、一種の懸念そのものは大きいが、実際はまだまだたいしたことはないんじゃないか?という雰囲気だった。その後のBBCのニュース番組も同じだった。

 そこで21日付のガーディアンも、「メディアが不安感をあおっているのではないのか?」という論旨の記事を出していた。

 これを読んでいる方でもっと詳しい方がいるかもしれないので教えていただきたいくらいだが、とりあえず、11日ぐらいまでの新聞報道を基にした「現況」とは以下のようであった。

 住宅金融大手ハリファックスが8日発表したところによると、3月の平均住宅価格は前月比2・5%の下落で、月間下落率としては1992年以来最大の数字となった。数日前には同業他社も住宅価格の連続下落を発表しており、いつか起きると予測されてきた住宅市場の下落が本格的に始まったとする分析が出ている。果たして住宅市場の停滞や不景気につながってゆくのかどうかーこれが最大の懸念である。

 「HALIFAX HOUSE PRICE INDEX」とは、住宅金融大手ハリファックス社が計算した住宅価格指数で、1983年を100とする。英国では1970年代頃から、政府や不動産業者、住宅金融会社が住宅価格指数(HOUSE PRICE INDEX=HPI)を発表してきたが、ハリファックス社の指数は1984年から開始され、国内の住宅市場の動向を査定する重要な指標と見なされている。不動産売買の対象になった約12000の住宅の購入価格、場所、住宅の種類、部屋数、車庫や庭の有無など複数の要素を加味して計算されるが、指数自体よりも標準住宅価格に注目が集まるのが恒例となっている。

 そこでハリファックス社の計算によると、英国平均では2008年第1四半期の平均住宅価格が194,893ポンド(約4000万円)。前年同期比では1.1%増で、前期(つまり2007年の最後の四半期)比では-1%。

 地域によって、増減にばらつきがある。例えばスコットランドでは、第1四半期平均住宅価格が145,531ポンドで、前年同期比で5.3%増、前期比は0.2%増。ウェールズでは158,707ポンド、前年同期比が5.3%減、前期比が4.7%減。グレーター・ロンドンでは304,781ポンド 前年同期比が2.0%増、前期比が1.6%増。北アイルランドでは 214,266ポンド、前年同期比が3.5%増、前期比が-1.5%減となった。

 どうだろう?下がっているとも言えるが、上がっているとも言える。「伸びが鈍化した」、とは言えるのだろう。

 ところが、他の数字もあわせると、少々怖いことになってゆく。まず、去る3月、王立不動産鑑定士協会が、過去3ヶ月の住宅価格指数の大幅下落を発表した。住宅金融大手ネーションワイドも、3月の住宅価格が前月比5ヶ月連続下落したと報告。これに上乗せするように、(繰り返しになるが)4月8日には、同じく住宅金融大手ハリファックスが、3月の平均住宅価格が前月よりも約4900ポンド(約100万円)減少し、2・5%の下落となったと発表した。この比率の下落は1992年以降最大だ。

 ブラウン首相は、「過去10年間で住宅価格は180%高騰し、過去3年でも18%上昇している。広い視野から見ると、2・5%減でも住宅市場は大丈夫だと思う」と述べ、当初楽観的な見通しを示したが、、エコノミストには悲観論者が多い。金融情報会社「グローバル・インサイト」は、住宅価格は今年7%、来年は8%下落し、「ここ2-3年で20%下落の危険性もある」と予測する(ガーディアン9日付)。

―貸し渋りに苦しむ消費者

 住宅価格が下がったのは、平均年収の7倍ほどに跳ね上がった住宅価格が、もう一度購入可能な価格になるための圧力が働いたという見方がある。さらに、米国の低所得者層向け住宅ローン(サブプライム・ローン)問題がきっかけで世界的に生じた信用収縮で(クレディット・クランチ)が落ち幅を拡大させたと言われている。金融機関は貸し渋り状態となり、住宅ローンの拡大にもやや消極的だ。ローンがないので住宅が買えなくなった人が増え、買手が少なくなれば売れない不動産が増える。売り手側は価格を低くせざるを得なくなった(何故下落気味かは様々な説がある)。

 住宅ローンの貸付業界団体(CML)によると、2月、住宅購入のために組んだ貸付数は4万9000で、1年前と比較し33%減、1月との比較では3・5%減となった。また、初めて住宅を購入する人への貸付は1975年以来最低だ。CMLのトップは、「信用緊縮が下落の原因で、この傾向はこれからも続く」と予想する。10日、中央銀行が政策金利を引き下げ、5%としたが、金融機関がおいそれと住宅ローン貸付けを増やすと見る人は多くない。

 信用格付け会社エキスペリアン社によると、担保にしている住宅の価格よりもローン残高が大きくなってしまった家庭は、全国に8000戸以上あるという。もし住宅価格が10%下落すれば、その数は2万3000戸に増え、20%だと約78000戸となる。

 ここで現在の下落が一気に大きな政治問題に発展する可能性が出てくる。というのも、90年代の不動産暴落では、住宅ローンが払えず家を手放した人が多数出た。差押さえ件数の増加を止められなかった当時の保守党政権は、経済政策の失態を問われた。エキスペリアン社の調査では、全国で、差し押さえが出るリスクが大きい場所50地区の中で、47が労働党議員の選挙区だったと言う。住宅価格の下落は様々な社会問題につながる。5月1日の地方選挙を控え、ブラウン首相にとって非常に大きな、手ごわい問題になってきた。

 タイムズ紙が、1992年当時と現在の比較をしている。それによると、

*似ている点
―住宅価格の長期上昇が続いていたが、後に急降下した
―経済成長の鈍化
―住宅建設の鈍化。英国王立公認測量士学会の調べでは、建設業の成長率は1996年以来最低の伸び。
―米国の消費者心理が低下。ロイターとミシガン大学の共同調査によると、消費者心理が1992年2月以来最低。

*異なる点
-金利が当時よりはるかに低い。1992年、英国は欧州為替相場メカニズムに入り、金利は15%程になっていた。
―失業が減少した。1992年当時の失業者は300万人だったが、現在は約100万人。
―世界的信用収縮(クレディット・クランチ)が新たな危機になっている。国際通貨基金は世界経済に与える影響を10兆ドルと予測した。
―1992年当時、年間収入の3・5倍で家が買えたが、現在は6倍から7倍必要。

 最後に、住宅金融関連の最近の主な動きをアトランダムに拾ってみた。

2008年2月22日:ロイズTSB銀行が、2007年決算を発表し、サプライムローン(低所得者向け住宅ローン)をきっかけとした金融危機で2億8000万ポンドの評価損を計上。
2月27日:金融大手HBOSが2007年決算で、サブプライムローン問題の影響で2億2700万ポンドの評価損を計上。
28日:ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド銀行が25億ポンドの評価損を計上。
3月3日:国際決済銀行が2007年第4四半期の世界の純債券発行額が、前年同期比で45%減と発表。
12日:王立不動産鑑定士協会が、過去3ヶ月の住宅価格指数が大幅に下落したと発表。政府は、08年度国内総生産の伸び率が1・75%-2・25%とし、以前の予想を下方修正。
28日:住宅金融大手ネーションワイドが、3月の国内の住宅価格が前月比では5ヶ月連続下落したと発表した。
31日:国営化された金融会社ノーザン・ロックが、2007年決算の税引き前損益が1億6800万ポンドの赤字になったと発表した。英産業連盟(CBI)が、サブプライムローンをきっかけにした金融市場への影響から、5月末までに金融街シティーに勤務する従業員一万人程度が離職する見込み、と述べた。
4月4日:自由民主党議員が、住宅ローンの支払い滞りのために差し押さえとなる危険性の高い住宅が6万戸ある、とする調査を発表。
8日:金融大手ハリファックスが、3月の住宅価格が前月比2・5%下落と発表。住宅ローン貸付業者団体(CML)が2月の住宅購入用ローン貸付数が、過去16年間で最低だったと報告。
9日:国際通貨基金が、英国の08年の経済成長見通しは前年比1・6%になると予測。
10日:中央銀行が政策金利を0・25%引き下げ、年5%とすることを決定。 
11日:米、英、独、仏、スイスの金融監督当局は、サブプライム問題を防止するため、金融機関に対しさらなる情報開示を求める報告書を発表した。
(Source: BBC、政府資料他)
by polimediauk | 2008-04-22 04:35 | 英国事情
 サン、タイムズなどを発行するニューズ・インターナショナル社が、新しい印刷工場を建設し、4月中旬から稼動が始まっている。

 その「近未来」を思わせるような巨大工場の様子は、ガーディアンのサイトから動画で見れる。

http://www.guardian.co.uk/media/video/2008/mar/14/murdoch

 この工場の稼動で、22年間、印刷の拠点としてきたロンドン東部ワッピングに別れを告げたことにもなった。

 スコットランド、イングランド・リバプールの2つの新印刷所に加え、最も大きいのがイングランド東部ハートフォード州ブロックスバーンの印刷工場。これは世界最大の新聞印刷所と言われる。というのも、約8万7000平方フィートの敷地にはサッカー競技場が23入るほど大きいのだ。

 ビデオ・クリップの中で、ニューズ・インターナショナル社(NI)の印刷部門の担当者、ブライアン・マッディー氏は、「毎時100万頁の印刷が可能になった。世界中の人に誇れる」と語っている。

 NI社はサン(発行部数約300万部)、タイムズ(60万部)、サンデー・タイムズ(180万部)、ニューズオブザワールド(320万部)、無料紙ロンドンペーパー(50万部)を発行し、ルパート・マードックの米メディア大手ニューズ社の傘下にある。

 独印刷機メーカーに既存の4頁ではなく6頁を一度に印刷できる機材を発注し、5年かけて新印刷体制への準備を進めてきたという。ブロックスバーン工場と他二つの小規模の新工場で、総投資額は6億5000万ポンド。効率性は50%上がり、これまでの3分の2の人員で稼動が可能になった。この結果、締切時間が延長され、一部地域では掲載できなかった人気のサッカーの試合の最終結果を載せることができるようになったという。スポーツ面拡充は、販売部数増加に直結する要素と言われる。

 新聞業界の別名となるロンドン・フリート街だが、ここを英新聞社・通信社が根城にしていたのは二昔ほど前だ。1985年、マードックが、ストを繰り返し業界全体の悩みの種となっていた印刷労組の抵抗をよそに新印刷工場をワッピングに建設すると、他の新聞社もこれを追ってフリート街を離れた。

 ブロックスバーン工場は自社新聞ばかりか日刊紙では最大部数のデイリー・テレグラフ、その日曜版サンデー・テレグラフも印刷する。新聞の発行部数の落ち込みが止まらない英新聞業界で、効率性の高い新システムが業界スタンダードとなっていくのは必須だ。


 工場を視察したメディア評論家ロイ・グリーンスレード氏は、「紙媒体はもう先がない」と言うのが自論だが、近未来を思わせる工場には「衝撃を受けた」と語る。「これほど効率的な印刷工場を見たことがない」。6億5000万ポンドの投資には「新聞に非常に大きな信念を抱くマードックの思いが出た」
by polimediauk | 2008-04-20 21:39 | 新聞業界
 15日、チャンネル4の夜7時のニュースを見れた人は、メインキャスター、ジョン・スノーがブラウン首相をインタビューした場面を目撃したろうと思う。

 そこで意外だったのが、首相は、結構怒っていた。まじで。笑顔は絶やさなかったけれど。一つ、どうしても言いたいことがあるようで、それは、首相は北京オリンピックの開会式には行かず、閉会式にのみ行くことになっているのだけれど、チャンネル4がこれを「開会式のボイコット」というニュアンスで報道したということだった。

 この機会にはっきりさせておきたいが、と首相は言った上で、「どちらにも出るのは時間がもったいない。次はロンドンに来るわけだから、閉会式に出ることにした。これは最初から決まっていたことであって、ボイコットではない」と言って、その証拠は何かも説明した。

 ジョン・スノーはちょっとたじたじになった。他にも質問をしたけれど、首相の剣幕に驚いたようにも見えた。しどろもどろがち。最近、なんだかちょっと疲れているみたいだなとも思った。それは、時々、誰かに取材をしているとき、相手にこちらの言いたい言葉を無理に言わせることがある。「xxxと言いたいんですね?」と。スノーから言ってしまうのである。すると、テレビに出るのを慣れていない人は、「うーん。まあそうですね」となってしまう。これはまずいなあと思っていた。

 他のこともスノー氏はいろいろ聞いたが、なんとなく、変な感じがした。というのも、その番組は首相の宿敵ピーター・マンデルソン氏が出ていて、関係ないのかもしれないが、マンデルソンはブレア氏の友人なのである。スノー氏のいろんな質問とかが、どうもブラウン首相の敵側からのブリーフィングに頼った感じがしたのである。これは勘でしかないが。

 イラクの英軍撤退問題でも、「あなたたちは英軍を置いてますよね、これをどうするんですか」みたいな聞き方をした。「ユーYOU」と言ったのである。失礼とかそう言うことではなく、「私たちは・・・」になるべきでは???首相側を敵と見ている感じで、これはフロイドの深層心理の何かどうか。

 最後に、止めを刺すみたいに、「最後の質問ですが、一体あなたはどっちの側にいるんですか。税金改革でも困る人がたくさん出るのに」のようなことを聞いたのだが、首相の答えが、少し考えた感じで、「・・・私は恵まれない人、機会をつかもうとしている人の側にいるんですよ」と静かに、言った。考えながら、という感じで。聞いていて、言葉に打たれた。一瞬、誠実さがにじみ出た。この人は政治家として、あるいは首相としてパーフェクトじゃないかもしれないのだけれど(私が言うのもなんだが!!)、少なくとも、いつも「恵まれない人にチャンスを」と考えているだろうなあと思った。一緒に見ていた家族も、ジーン・・・。

 ころっとだまされたのかもしれないけれど、テレビってすごい。思わぬときにいろんなものが出てしまう。
by polimediauk | 2008-04-16 07:14 | 政治とメディア
 フィナンシャルタイムズが報じたところによると、BBCのオンラインデマンド・サービスの主導役だった、アシュレー・ハイフィールド氏(未来のメディアとテクノロジー部門のディレクター)がBBCを去り、BBC,ITV,チャンネル4が共同で立ち上げるオンデマンドサービス専門事業(通称「カンガルー」)の立ち上げに専念することになった。14日、BBCが正式発表する見込みだ。

 ハイフィールド氏が去ると、BBCのデジタル部門のトップの職があくことになる。約32億ポンドのテレビライセンス料の8分の1の予算を任されている職である。

  今、英国で多チャンネル放送を見ようとすると、スカイやバージンメディアの有料ネット専業者と契約を結ぶ方法と、「フリービュー」と呼ばれる受信機を購入する方法がある。フリービューは一度買うと、その後視聴料を払う必要はない。現在、フリービューは1500万戸の家庭にあり、多チャンネル放送の普及に大きな貢献をした。カンガルーはフリービューのオンデマンドサービス版とも言える(と、カンガルー側は言っているようだ)。

 ハイフィールド氏はBBCのオンデマンドサービスであるアイプレイヤーの開始から、現在の人気に尽力した人物。昨年のクリスマス時、本格的なサービス提供が始まったが、現在までに約4200万の番組がストリーミングあるいはダウンロードされたという。

 カンガルーのサイトを通じて、BBC,ITV,チャンネル4の番組がオンデマンドで見れるようになる。アイプレイヤーは英国のテレビライセンス料支払い者向けで、視聴とダウンロードは無料。しかし、カンガルーはBBCの商業部門BBCワールドワイドが担当し、有料サービスになる可能性もある。早ければ6月、遅くとも年内にサービス開始予定だ。

 ハイフィールド氏は元経営コンサルタント。バージンメディアが所有する有料テレビ、フレックステック社からBBCに入った。米NBCの欧州部門でも働いていたことがある。

 ・・・というのがFTに書いてあったことである。

 オンデマンドサービスが人気で、回線が混雑気味になっていると言われ、ネットプロパイダー側は特にBBCに大きな不満を持ち、非難の声をあげてきた。BBCアイプレイヤーは全てが無料になるので、このサービスの中心的存在になっており、プロバイダー側は処理容量が増えたための経費増加を、放送局側に負担して欲しいと言っている。BBCを始めとする放送局側はこれに応じず、対立となっている。
by polimediauk | 2008-04-14 17:59 | 放送業界