小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


by polimediauk
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

<   2008年 06月 ( 20 )   > この月の画像一覧

 マッドマンさんから、BBCに関する良い資料のことを聞かれましたが、成り立ちの経緯に関しては、前に、「XREFER」(今は別名http://corp.credoreference.com/index.php) という検索資料サービスの会社があって、調べものをしていた時、無料サービスで利用したことがあります。その時の説明が頭に残っているのですが、プロパガンダみたいな部分はずっとある感じがする、というと言い過ぎでしょうか。つまり、どこからどこまでをプロパガンダと考えるのか?パブリック・ディプロマシーという考え方がありますよね。ブリティッシュカウンシルも、決してプロパガンダではないけれど、広い意味でパブリックディプロマシーの一環と聞いたことがあります(取材にて)。BBCのとプロパガンダの関係、政府の関係はまた後日、書かせてください。

 調べ物をした時のBBCに関する資料を全部持っていなかったので、トライアルで申し込んで見ましたが、これがOKになれば、また見てみようと思っています。衝撃だったのは、放送の歴史そのものです。結局、米英が主導を取ったので、これが英語を世界中に広める役目を果たしたという表記がどっかにありました(記憶がたよりですが)。この箇所を読んだとき、驚愕したのを覚えています。

 BBCの発音ユニットに関して調べた時に、ずい分資料を集めたのですが、本が書棚の後ろにあって取り出せないので(!!)、また後で時期を見て書きます。BBCの資料はBBC Written Archives Centreというところが、ロンドンからは遠いですが、ありますね。なかなか使いにくい場所ですが、特定の調べ物がある場合は、申し込むと数週間先に資料を見せてくれます。

 BBCの成り立ちに関わる本で有名なのはAsa Briggsという人が書いたものがありますね。私は大英博物館でページをめくって、あまり参考にならない感じがしたのですが(政府との対立を調べていた)、それでも、The History of Broadcasting in the United Kingdom, 1996 OUP, A Social History of British Broadcasting Volume One 1922-1939 P.Scannell & D. Cardiff, Blackwell 1991, History of the BBC Engineering 1922-1972 Edward Pawlyer, BBC 1972, The BBC: The First Fifty Years, Asa Briggs, OUP 1995, The BBC: 70 Years of Broadcasting John Cain, BBC 1992 。これはアーカイブセンターの推薦です。私が読んだわけではありません。あと、スティーブ・バーネットという人が(ウェストミンスター大学教授)がいろいろBBCに関して本を書いていますね。

 BBCのウェブサイトでAbout the BBCというところなどからも、オフィシャルなものにはなりますが、歴史に関する情報が結構盛りだくさんです。

 ジョージオーウェルが書いたBBCに関する本というのは初耳でした!探してみようと思っています。

 9・11テロとBBCの関係はどうか?私は陰謀説よりも、BBCがへまをしただけ、間違えただけでは?と見ています。証拠はないんですが、英国でBBCにしろ、他の会社にしろ、政府にしろ、結構へまが目に付く感じなので。

 90年代とアングロサクソンの件ですが、資本主義の崩壊を書いた本がこっちでベストセラーになっていますよね。(確か米国人が書いたもの。)資本主義の考えだけではやっていけない、ということでしょうか。

マイマイさま

―毎日新聞の英文記事の件、すごいですね。こんなことになっているとは全く知りませんでした。バベルという映画も初めて聞きました。ここに再度貼り付けておきましょう。

http://www8.atwiki.jp/mainichi-matome/pages/1.html

 直感で???と思ったのは、「毎日新聞は一体どうなっているのだろう?」ということでした。なぜ新聞が?そして何故わざわざ英語で?私は週刊誌に載ったさまざまな情報が英語で発信されること自体に反対はしませんが、「何故毎日新聞なのか?」「なぜ苦情が来るまで何年も続いたのか?」「編集部内で、声を上げる人がいなかったのか?」が気になります。毎日新聞が日本語で載せられないものは英語でも載せるべきではないはずなのです。2重基準が気になります。一体どんな目的で載せていたのか?読者を増やしたかったのか?それほど困っているのかどうか?担当者は外国特派員クラブで、ぬいぐるみを着て会見をしたこともあったようですね。とすると、「欧米人の天国」という日本の側面を利用した動きだったのか?日本は悪用されてしまったのかどうか。

 英語での発信だったことで、海外での日本人に関する評判が悪くなる、悪くなったのではないかと心配する人もたくさんいるでしょう。残念ですが、ここまでどぎつくはないにしても、英国の新聞を読むと、奇妙な話、日本を矮小化する話は時々載っています。これは日本だけに限らないのですが、「外国の壁」かかも分かりません。知らないものに関しては、偏見が出ますからね。関心が低い国に関する報道を、多くの人に読んでもらうには奇妙でどぎつい記事を書かざるを得ない特派員もいるでしょうし。といってもこれは外国の新聞の話であって、毎日新聞の体制には大いなる疑問です。

庶民様

 英メディアの日本に対する扱いは厳しいのではないか?これを本当に証明しようとするとたくさんワード数が必要になるのかもしれませんが、私の見たところでは、そしておそらく多くの在英日本人が感じるように、一言で言えば厳しい、ということになるかもしれませんね。しかし、アイルランド、フランス、ドイツ、他の外国、およびEUに関しても厳しいというか、ステレオタイプ的記事が多いですよね。英メディアが好意的に報道する、英国にとっての「外国」はないかもしれません。また、少数民族に本当にフェアな報道もないかもしれません。書く側が知らない・情報が足りない場合や、デスクが「こういうアングルにして欲しい」と記者に要求することもあるでしょう。そのアングルは実際とはかい離している場合も。複雑な要素がからみあうようです。クールに対応したいものです。

 追加:それと、(1)外国メディアの報道だから日本に厳しいとは限らないのです。頭からそう決めてかかると、物事の本質が見えにくくなります。下のpfaelzerwein さんのコメントをご覧ください。私自身、「視点の相違」の件、失念しておりました。非常に重要な点です。(2)英メディアに関して言うと、一般的に、「ジャパン・パッシング」〔通り過ぎる)の現象もあるでしょう。でも、逆に言うと、何故ひんぱんに話題になる必要があるのか?経済大国でno2だから??地理的にも遠いわけだし、知的に遠くても仕方ないのかな、と思ったりします。べた記事をあわせると、結構話題にはなっているかもしれませんが、寂しいなと思うのは、知的な選択肢の1つになっていないというか、「じゃあ、日本のXXさんに、この件についてどう思うか聞いて見ましょう」というのがないのがほんとどないのが残念です。〔日本に関わる事柄を除いて、です。)

by polimediauk | 2008-06-30 07:32 | 放送業界
 ・・・と書いたからと言って、私が「(メディアが)ネットでどうやってお金をもうけるか?」の妙案を持っているわけではない。(最初にお断りしておきたいが・・・。)

 ロンドンのメディアクラブ「フロントライン・クラブ」で、26日、政治ブロガーやガーディアンとテレグラフのネット担当者が集まり、「これからのメディア(新聞)はどうやって、ネットからお金をもうけたらいいのか?」というテーマでしゃべりあう、というイベントがあった。(登録してログインするとビデオが見れるはずである。)

 http://www.frontlineclub.com/club_pastevents.php?startdate=2008-06-01&enddate=2008-06-27

 出席者は、司会役が写真家・ブロガー・ジャーナリストのベン・ハマースリー、テレグラフのイアン・ダグラス、ガーディアンのマット・ウェルズ、政治ブロガーのポール・ステインズ(「グイド・フォークスGuido Fawkes’ Blog」)、プレスガゼット誌のコラムニスト、ピーター・ケーウィン(敬称略)。

 メモ+記憶から一部を採録したいが、このイベントでは、ブログ(=自分のメディア)に広告を入れることで、本当の意味で自営となり、「来てくれた人が読みたいことを書くことに徹底し、大人気となり、怖いものがなくなってゆく・・・」とう、ブログ「グイド・フォークス」のブロガー+ジャーナリストのやり方・考え方に、結構触発された。

 最近、本を楽しんで読んでいる。紙の新聞もおもしろい。情報を取る、アイデアのヒントを得るにはネットが良いが、後で紙でまとまったものを読む、というのもなかなか楽しいものだ。これからのメディア(文字情報+絵+動画)はネットが主で、印刷物がその周辺にさまざまな形で存在する、ということになっていくのだろう(か)。自分の気持ちとしてはこの形がもっともしっくりするけれども、問題は、「さて、ネットだけになった時、それだけで生活費をカバーできるようにするにはどうするか?」だ。これは英国(だけには限らないだろうけれども)の新聞業界の大きな悩みでもある。

 いや、大きな悩み「だった」とも言えるかもしれない。どうやら、英新聞業界は(ライバル社には言わないようにしているようだが)、うすうすとだが、どうやってネット時代で生き延びるか、食っていくかの感触を得ているようだ。小さな成功例を、結構コツコツと集めている感じがする。近いうちに、インダストリアル・スタンダードというか、形がもっとはっきりしてくると思う。(読まれている方で、もう答えを知っている方もいらっしゃるかもしれない。)

                 ***

(以下記憶+メモ書きによる採録。正確にはビデオを参照のこと。)

 マット・ウェルズ(ガーディアン):印刷した紙(の上のジャーナリズム)が「聖なるもの」とする考え方はもはやなくなってしまった。(紙の)新聞産業に将来がないとみんな言うけれど、シリアスなジャーナリズムの必要性の余地はまだまだある。今日はプリント・ジャーナリズムの将来を考えるということだが、実は、将来は、今ここにある、と言ってもいい。もう将来が始まっている。

 将来がどうあるべきかということよりも、問題は、みんな(業界が)視聴者が何を欲しがっているのか分からないのだと思う。どんなジャーナリズムを欲しているのか、どのような形で提供するべきか、が。既に古いビジネスモデルは崩壊してしまったのだと思うが、新しい需要が何か、そしてどうやって新しい環境でお金をもうけてゆけるのかが、分からない。

 ジャーナリズムは盛んだと思う。何かを知りたいという人々の欲求は非常に強い。

イアン・ダグラス(テレグラフ):ジャーナリズムは最高の状態にあるという点に同意する。みんなが読みたい、関わりたい、知りたいと思っている。読者の要求は多様だ。その要求に全部応えられていない。テレグラフという媒体の地位はしっかりしていると思う。

ピーター・ケーウェン(プレス・ガゼット):ガーディアンはどんどんお金を失うばかりだ。お金を失うのは簡単だ。何故お金を失うのか?まず、英国には全国紙が多すぎると思う。市場が過剰サプライ状態なのだ。これはもう長年続いている傾向だ。今後、存在が消滅する新聞は出てくるだろう。例えばタブロイド紙のデイリー・エキスプレス紙だ。地方紙も大きく2,3のグループに統合・淘汰されていくだろう。全国紙がもっと地方ニュースをカバーするなど、吸収される場合も増えるだろう。新聞のウエブサイトは、ずい分動画(「テレビ」とウェブサイトは呼ぶ)を入れている。5年から10年ぐらいで、テレビのニュースと新聞のウェブサイトがやっている動画ニュースが対立するようになるだろう。統合・淘汰がここでも起きるだろう。

 そこで勝ち組になるのは、ガーディアン(スコットトラスト所有)やテレグラフ(バークレー兄弟所有)のように、プライベートで所有されている新聞だろう。つまり、もっとリラックスした経営、編集ができるからだ。

ポール・ステインズ(ブロガー):自分のブログは利益が出ている。ガーディアンのようにお金を失っていない。何故か?簡単だ。まず、コストを非常に低く抑えている。(利益は広告からと後で答えている。)もう一人、コンピューター関係の人に手伝ってもらっているけれど、編集は一人でやっている。

 テレグラフやガーディアンは1つのニュース・ブランドだ。一定の権威があって、物事を語っている。しかし、私のブログは、他に人気のイアン・デイルによる政治ブログ同様、負けないほどの大きなトラフィックがある。

 誰だって、私のように情報の発信者になれる。(自動車番組の人気キャスター)ジェレミー・クラークソンが自分のサイトを立ち上げて情報発信すれば、すごいトラフィックがあるだろうと思う。ガーディアンのトラフィックを軽く超えてしまうのではないか。

 私の予想では、個人のそれぞれがサイトを作って情報発信をすることで、いくつものユニークな場ができて、ニュース市場はバラバラになっていくと思う。それぞれ専門のサイトがたくさんできる。

司会:ガーディアンはウェブサイトでお金をもうけているかどうか?

ウェルズ:ウェブサイトではお金をもうけていない。でも、11月から紙部門とネット部門が統一する。今までは紙とネットの人が別々に働いていた。これからは一緒になる。どちらにも書く、というのが続くと思う。

司会:お金を失い続けてもいいのか?

ウェルズ:ガーディアンはニューテクノロジーにずっと投資を続けてきたので(これからも続ける、赤字でも)。新聞業はずっとお金を失っている。

ステインズ:ガーディアンは博物館になるだろう、そのうち。

ウェルズ:スコットトラストが最後まで際限なくお金をカバーしてくれるとは思わないけれども、今は利益を出さなくてもよい、と言われている。

ケーウェン:新聞業自体で利益を出すことができなくても、メディアグループの中に入っていれば(他の部門でお金を稼げば)大丈夫だ。しかし、会社の構造そのものを考える時、(ガーディアンやテレグラフなど)は新聞編集作業の周辺にいろいろお金がかかる構成要素がついている。例えば、(ロンドン市内の中心地に)オフィスは必要なのか、など。すべてを自社内だけでやるのではなく、将来的には、多くの業務をアウトソーシングするのは可能だと思う。例えばたくさんフリーランスを使うとか。ジャーナリスト自身が整理・レイアウトをやるとか。

ステインズ:新聞の将来というと、オンライン広告の可能性に関してよく考える。例えば、政治ブロガーのデール(先述)は、他の媒体にもコラムを書いたりしているし、他の収入源があるのだろうが、それでも、数十万ポンドの収入を得ていると聞いた。いろいろなトピックで他の人もできる、ビジネスモデルとして。例えばファッションについてのサイトでもいいだろう。既存の新聞だって、考えればもっとうまくやれる。

 私はジャーナリズムうんぬんよりも、一般大衆を対象に書いている。読者が読みたいことを選んで書く。これは、ニューヨークタイムズだって同じことをしていると思う。自分のブログもニューヨークタイムズもジャーナリズムだと思う。

司会:テレグラフがデイリーメールのサイトのような、極端なコラムを出せないのは何故か?何か妨げているものはあるのか?

ダグラス:私たちは幅広いトピックを扱おうとしているものの、特に何かが妨げになっているということはない。視聴者(オーディエンス)との双方向性を重視している。

ウェルズ:ジャーナリズムが1つのメディアだけの独占である時代は終わったと思う。いろいろなプラットフォームを通して語る、というのが成功するジャーナリズムだと思う。

ダグラス:テレグラフは読者にブログサービスを提供している。双方向性。意見をシェアし、互いに評論しあう。人々が何を読みたがっているのか?広告主も関心がある。ブログサービスを通して、核となる少数の読者と長い関係を持ちたいと思っている。

ウェルズ:シリアスなジャーナリズムはやるのが難しくなっていると思う。BBCは大体できていると思うし、「エコノミスト」もそうだけれど。まあ、エコノミストは評論だが。ジャーナリズムでお金儲けはできない。基本的に利益は出ない。といって、ガーディアンがシリアスなジャーナリズムをやめることはないけれども。

ステインズ:「シリアスなジャーナリズム」?それって、人を見下ろした感じがするけど?自分はジャーナリストだと思っている。(BBCの政治記者マイケル・クリック)と全く同じアプローチで取材する。ただ、自分は、人が受け入れやすい形でアウトプットするだけだ。人気がある、調査報道をしている。これの何が問題なのか?

ウェルズ:ジャーナリズムっていうのは、1つの行為として誰でもできる。誰かが、「自分は(本当の)ジャーナリスト、あなたは市民ジャーナリストって考えない方がいい」って言っていた。

ステインズ:私はコストを低くし、読者のターゲットをしぼっている。スーパーマーケットみたいにすべてをやろうとはしていない。

司会:紙で印刷するのをやめてしまったらどうか?

ダグラス:うーん・・・。今までずっと続いてきたからなあ・・。

ステインズ:ウェブサイトの動画でもうけているのは、フィナンシャルタイムズだけなんだよ。ビデオに広告を載せているからだ。

ウェルズ:テレグラフは動画を作るのをITNに任せているから、ITNに制作費を払っている(だからもうからないんだ)。

司会:毎週の「メディア・トーク」(オーディオクリップ)を作るのにどれくらい時間をかけているのか?

ウェルズ:20時間―30時間ぐらいだろう。でも、将来的にこのクリップでお金をもうけることができるだろうと思う。今度、広告を入れるからだ。動画はクリックすると広告が入るが、オーディオに入れるのが難しかった。

ダグラス:テレグラフも動画に広告を入れているが、実はこの広告費が結構いい。プレミアム価格をつけるビデオもある。

ケーウェン:2-3年前にビデオを見たとき、これは伸びるなと思った。これから、大きな収入源になっていくと思う。

ステインズ:ビデオは自分はやらない。15分のまともな動画を作るのに、8時間はかかるから。時間がかかりすぎる。

ケーウェン:今後は、プライベート・エクイティーなど、さまざまな投資家が市場に参入してくると思う。もっと企業家も出るかもしれない。

(質問:ガーディアンはネットと紙を本格統合するということだが、例えば整理担当者を減らすとか、テクノロジーの発展で、人員削減をするという話はないのか?)

ウェルズ:整理をはずして、ジャーナリストが作る、ということは今のところはない。ただ、いちいちデスクに見せずに、チーム内だけで完結して載せてしまおうと思っている。(司会:そんなことしていいのかな?法的な問題に発展しないのか?まあ、いいけれど。)

                    ****

 感想:ニュース制作場所としては非常に大きな組織になっているガーディアンやテレグラフ。もし「本当に困っているなら」、プレスガゼットのコラムニスト、ケーウェン氏がちょっと言及したように、「整理部をすっとばし、ジャーナリスト自身が面を作るところまで」行ってもいいのではないか?アウトソーシングのことも含め、まだまだできることがありそうだ。昔、自分自身が記者でありながら、紙面も作っていた経験を考えると、やればできる感じがする。本当の昔の話からすれば、紙面デザインも考えるのは「邪道」とも言われそうだけれど。でも、簡単な写真なら記者自身が撮影するのは今は当たり前だし。私はテクノロジーに強くないが、それでも、デザイン・紙面制作は非常に役に立った。

 それと、共同電(産経新聞ウェブより)だが、フランスの動きも気にとめて起きたい。国営放送でもコマーシャルがあったこと自体、英国の感覚からすると、驚きであるが。

http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080626/erp0806261011004-n1.htm

仏国営テレビCM廃止へ
2008.6.26 10:11

 フランスのサルコジ大統領は25日、国営テレビ「フランス・テレビジョン」のコマーシャルを2009年1月から段階的に削減し、11年12月に全廃する方針を表明した。商業主義に左右されない質の高い番組制作の実現が狙いとしている。

 年間6億5000万ユーロ(約1098億円)の代替財源として、電話事業者やインターネット接続業者、民放から新税を徴収する意向。法律改正案の国会審議は秋に始まるが、電話事業者や国営テレビの職員組合、野党などが反発しており、審議は予断を許さない情勢だ。

 1世帯当たり年間116ユーロの受信料とコマーシャルからの収入の2本柱で成り立つ国営テレビの財源に関し、サルコジ大統領は1月「公共放送に求められるのは質の高さだ。商業主義に流されるわけにはいかない」と強調。国会議員らでつくる諮問委員会に検討を委ねていた。

by polimediauk | 2008-06-29 08:59 | 新聞業界
 ブラウン政権の発足から、27日で丁度1年となった。「英国ニュースダイジェスト」の最新号「ウイークリー・アイ」のコラムが、これまでを振り返る話を書いている。英国の政治にめちゃくちゃ詳しい「福」さんが執筆。注目です。
http://www.news-digest.co.uk/news/component/option,com_wrapper/Itemid,25/


 私自身も、ベリタに26日ロンドン市内であった会見の模様を書いた。こちらは現況と今後どうなるかに関しての、BBCの政治記者ニック・ロビンソンとブレア政権時の経済アドバイザーだったデレク・スコットの分析だ。ご関心のある方はごらんいただきたい。(現在のところ、無料記事:)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200806270055465

 でも、今面白いのは保守党の動きかもしれない。26日、今はロンドン市長になってしまった、ボリス・ジョンソン氏が下院議員だった選挙区ヘンリーで、補欠選挙が行われた。27日には結果が判明する。また保守党が勝つかどうか?
by polimediauk | 2008-06-27 06:51 | 政治とメディア
 通信団体オフコムが、一般市民や業界などから意見を聞き、将来の公共放送のあり方を取りまとめ中だ。通信法(2003年)の下、約5年ごとに公共放送の見直しをするのが役目の1つとなっている。デジタル化が進み、テレビの視聴行動も変わってしまった。そこで、2011年までに新しい公共放送のあり方(例えばBBCのみがテレビライセンス料を受け取り、これを全額自社のために使っているが、これでいいのかどうか)を提言する予定だ。
  
 英国の公共放送はどうあるべきか?これが今、放送業界での大きな話題の1つになっている。そんな中、今年年頭から文化、メディア、スポーツ大臣となったアンディ・バーナム(Andy Burnham)氏(38歳)が注目の的だ。バーナム氏は2001年が議員初当選。元文化スポーツ大臣クリス・スミス氏の特別アドバイザーの一人として、通信法成立までの過程に関わったこともある。

 バーナム氏は自他共に認める「イングランド北部の出身者」(北西部リバプール生まれ)で、ロンドンに集中しがちのメディアに「もっと地方を取り入れる」ことを願う。ブレア前政権がビジネス寄り、ロンドン寄りだっとすれば、やや違う感じの政治家だ。テレビで前に見た時は、当たり障りのないことを繰り返すだけに見えたが、文化相になってから、独自の意見を述べるようになったようだ。例えば、広告費が減って苦しむ民放最大手ITVは、あらゆる面でのコスト削減に力を入れており、できれば地方ニュースを減らしたいと考えている。ところが、これをバーナム氏は否定。英国の公共放送(地上波放送ITVもチャンネル4も基本的にこの中に入る)は地方ニュースの分量など、さまざまな規制がつくが、ITVに課せられた比率を「今年も達成できていないのは遺憾」と述べていた。それと、テレビ番組の中にスポンサーとなる広告主の商品を入れる、「プロダクト・プレースメント」には「絶対反対」という立場を取っている。

 そんなバーナム文化相が、放送関係の市民団体VLVのメンバーと24日、下院でじっくり質疑応答に応じた。VLVは1980年代、時のサッチャー首相がBBCの民営化を画策した時、これを止めようと奮闘してできた団体で、今も当時の運動の中心人物が会長だ。

 2つ前の文化相(テッサ・ジョウエル氏、現在はオリンピック担当大臣)もVLVとの会合を持ったが、ほんの20分ほどで、「自分の言いたいことだけ言って、帰った」とは正反対で、バーナム氏は約束の6時半から15分ほど遅れて姿を現したものの、スピーチの後は15―20人ほどの参加者からの質問を受けた。途中、投票をするために議会内にいったん戻ったが、ほんの10分で会場に戻り、8時ごろまで質問に答えた。「放送業界はものすごいスピードで進化している。一回限りにせずに、年に3回くらいは、VLVの人たちと質疑応答の時間を持ちたい」と述べて、うるさ型が多いVLVの参加者を喜ばせた。

 どんなに口頭でいいことを言っても、自分の主張を最後まで実現する能力とは必ずしも同一ではないかもしれない。それでも、1時間半ほどの会合は熱気を持って終わりを告げた。

 スピーチでバーナム氏が述べたのは、「公共放送の行方に関して、オフコムやBBCなどが報告書を出しているが、いわば業界の人の議論が中心に物事が進むことに違和感を感じる。視聴者、市民の声がもっと入るべきと思っている」

 「公共放送メディアで重要なのは、その放送の水準(の高さ)と質だと思う。これからしばらくの間、これをどうやって維持するのか、(デジタル化が進む)新しい時代にどう発展させていくのかがテーマになるだろう」

 「放送業界の人と話すと、ニューメディア(=デジタル、ネット)からの挑戦でプレッシャーを感じている、と言う。利益をあげないといけないし、プレッシャーは大きいと。しかし、私が言うのは、もし商業的な利益をもっと上げたいなら、公共放送の質や水準の高さ、ニュースの公平さが強みになり得ることを考えて欲しい、と。英国の公共放送のこうした特徴を簡単に捨ててはいけない。公平な、バランスの取れたニュースを提供するという、公共放送の義務は、公共放送の枠にはない放送局(注:たとえばスカイニュースなどの意味)にも適用されるべきだと思っている」

 「広告主の商品を番組内で使う、プロダクト・プレースメントには反対だ。この方針は変えない。英国の番組の品位にかかわることだ。民放はお金がもうかるからこれを実行したいというが、長期的には悪い影響があると思う。編集の品位が失われてしまう。広告販売の手が番組内に入ってくるべきではない。視聴者がある番組を見ていると思っていたら、実は広告を見ていた、ということになってはいけない。番組を見るという行為の意味が変わってしまう」

 「何故ここまでこだわるかというと、調査を見ると、国民が伝統的なメディアに大きく依存していることが分かっているからだ。例えば、オフコムの調査によれば、83%が公共放送によって、何かを学んだと言っており、高い質、水準を評価している。信頼度が高い。86%はテレビのニュースに信頼を置いている」

 「英国の新聞はそれぞれの独自の見方を表に出す。読者は承知で読んでいる。しかし、公共放送は違う立場にある。公共放送のニュースは民主主義を維持する重要な役目がある」

 「もし英国に、米国の(右派)フォックス・ニュースのような存在ができてしまうと、公共放送全体の質を落としてしまうと思う。もっと一定の見方を強く出した方がいいのではないか?、など他の放送局にプレッシャーを与えるかもしれないからだ」

 「地方ニュースというのも民主主義社会の維持には非常に重要で、民放ITVはこれを削減したがっているが、私自身、ITV系列で(昔あった)グラナダテレビで育った人間の一人だ。地方ニュースはITVのDNAなのだから、削減してはいけないと思う」。

 「1999年の地方分権以降、政治状況は変わったが、放送局もこれに応じて分化するべきとは思わない。オフコムの調査では30数パーセントがBBCのニュースは自分たちに関係ない(ロンドン中心だから)と感じている、という結果があった。自分たちの住む場所以外のニュースを見たくないというのではなくて、地方のさまざまなニュースが見たいということなのだと思う」

 反商業主義をあらわにしたバーナム大臣。新鮮だった。良い方向に向かってくれるといいが。
by polimediauk | 2008-06-25 06:47 | 放送業界
 日本の青少年を対象にしたネット規制で、状況が未だ全部つかめていない。英国に住んでいると、何故反対なのかがはっきりしない。つまり、「青少年を対象にした、(児童ポルノなどの)ネット規制が、今日本では全くない」のだろうか?

 もし答えが「ない」だとしたら(驚きだが)、規制をする・しないが大問題になっているのだろうか?それとも、「規制する」に関しては社会の中で同意・コンセンサスがあって、「いかにやるか」でもめているのだろうか?

 さっと見た限りでは、「規制するか・しないか」でもめているようにも見える。私の間違いかもしれない。

 いろいろな論点が交じり合っている問題、ということなのだろうか?(それぞれの関係者が、それぞれの観点から反対あるいは賛成している、とか?)

 日本の「青少年を対象にした有害情報のネット規制」が、いわば「パラダイス鎖国」というか、「ガラパゴス」というか、そういう類のことでないことを願っている。日本独特の論理で賛成・反対になっているのかどうか?(ガラパゴス現象の意味に関しては、コメントのまうまうさんの説明をご参考ください。非常によくまとめられています。)
 ・・・ということを、これから調べたいと思っている。(すぐには答えが出ないかもしれないが。漫画の歴史とかを調べないと理解できないかもしれない。私は小学校2年ぐらいで漫画を読むのをやめてしまったので、詳しくはない。)何故これが重要と思うかというと、最近、「ジャパン・パッシング(日本を通り過ぎる)」という状況がある、といろいろな人から聞いた。何だか知らないうちに、日本だけで物事が完結してしまうという現象が生じているのかどうか?他国に日本が合わせる必要はないかもしれないが、世界のほかの地域ではこうなっている・・・ということを、知っておいてもいいかもしれないと思う。

 日本の携帯電話業界が「ガラパゴス状態」にある、という件で、フォト・ジャーナリスト神保さんがインタビューをしたビデオがある。この件を紹介したブログの内容もぜひ一読をお勧めしたい。

 ゲストは総務省総合通信基盤局事業政策課長谷脇 康彦さん
 以下は一部引用。神保さんのブログより

http://www.jimbo.tv/videonews/000460.php

 実際、日本の携帯電話料金は他国と比べてとても割高だ。もともと通話料金が高い上に、高価な高性能端末を安く販売する代わりに、毎月の通話料金でこれを回収することを可能にする販売奨励金分が上乗せされているからだ。日本では極端な場合端末は無料で購入できるが、これはキャリアから販売店に販売奨励金が支払われているためだ。この奨励金のために、販売店は本来の端末原価より安い価格で販売でき、キャリアは月々の通話料でそれを回収する仕組みになっている。販売奨励金のおかげで実際は高価な高性能端末が売りやすくなっている反面、ユーザーは高い通話料金を払わされることになる。同じ端末を長く使う人ほど、また通話の多い人ほど、損をする仕組みでもあり、不公正との指摘も根強い。
 こうした日本独自の「携帯文化」が、海外のメーカーが日本でシェアを伸ばせない原因であると同時に、日本のメーカーが日本で培った技術を世界で活かせない理由にもなっている。しかし、総務省でモバイルビジネスの振興の旗振り役を努めてきた谷脇康彦氏は、日本のこの特殊な携帯文化こそ、これから日本にとっては大きなチャンスになると語る。高速でネットにアクセスできる3G携帯がこれほど普及している国は他にはなく、海外の企業は日本で成功することが、明日の世界の携帯電話ビジネスの成功を約束すると見て、日本進出の機会をうかがっていると指摘する。見方によっては、日本が世界から取り残されているのではなく、世界の一歩先をいっているというのが、谷脇氏の見立てだ。
 しかし、日本がその技術的な優位性を確たるものにするためには、一層の規制緩和と競争が不可欠であると谷脇氏は指摘する。谷脇氏も参加する総務省の研究会「モバイルビジネス研究会」(通称モバ研)は、販売報奨金の見直しや各キャリアがユーザーの囲い込みのために行っているSIMロックの解除、MVNO(ネットワークを持たないサービス業者)の新規参入の促進などの提言を行っている。
(引用終わり)

by polimediauk | 2008-06-24 08:36 | 日本関連

英国のストーカー事件

 今このブログを読んでいる方で、ストーカー行為に悩まされた経験のある方はいらっしゃるだろうか?もしいやなことを思い出させてしまったら申し訳ないが、心当たりのある方は少なくないかもしれない。レスター大学の調べでは、英国人の女性の5人に1人、男性では20人に1人が何らかの形のストーカー行為に一生の中で一度は遭遇する、と言う。統計は数え方にもよるだろうし、役に立たない場合もあるのだが、実感として「やっぱり」と思う方も多いのではないだろうか。

 日本では、2000年の「ストーカー規制法」でストーカー行為は犯罪となった。英国では「嫌がらせ行為からの保護法」(1997年)が主になるが、「ただの嫌がらせではないか」としてあしらわれてしまう状況は100%解消されたわけではないようだ。

 今月上旬、15歳の少女がストーカーと思われる男性に刺殺された。少女の家族から被害状況の報告を受けていたにも関わらず、具体的な対策を講じることがなかった警察には多くの非難が寄せられた。容疑者は逮捕されているが、この男性が本当にストーカーだったのかどうかはまだはっきりしていない。それでも、これを機に、英国のストーカー行為に関する情報を集めてみた。(「英国ニュースダイジェスト」6月19日号掲載に加筆)。

英国のストーカー事件
15歳の少女が犠牲に?


 ある人物に執着し、執拗に追い掛け回すストーカー行為に苦しむ有名人のニュースが、今年に入って、続々と報道されている。米俳優ニコラス・ケージ、ジョン・キューザック、女優ユマ・サーマンに続き、英国でも、BBC1の人気コメディー「リトル・ブリテン」に出演したコメディアン、デービッド・ウオリアムズにストーキングをしていた女性がいたことが明るみに出た。ウオリアムズのファンの女性は2004年頃から撮影現場やウオリアムズの自宅付近にひんぱんに姿を見せ、性的な文面をしたためた手紙を送るようになった。来月、量刑が確定するが、禁固刑になる可能性が高いと言われている。

―誰にでも起きる可能性がある犯罪

 ストーカー行為に苦しむのは有名人だけではない。英犯罪サーベイの調査によると、女性の8%、男性の6%が被害者となっている。ストーカーの殆どが男性で、女性の5人に1人は一生涯の中で一度はストーカー行為に出くわす。

 ストーカー行為は被害者に大きな心理的圧迫感を与えるが、その苦しみの度合いは、第3者には伝わりにくい。1990年代、元同僚によるストーカー行為に悩んだトレーシー・モーガン(Tracey Morgan)さんは、BBCラジオの取材の中で、「被害者には『傷』を示す証拠がないので、ストーカー行為は『精神的なレイプ』だ」と言う(この「精神的レイプ」というのは本当に、よくぞ言ってくれました!という感じがする。)。モーガンさんは、「自分自身、被害を警察に通報しても、「『パラノイアになっているだけでは』とよくあしらわれた」(しかし、モーガンさんのように警察に通報するのは勇気がある方ではないか。足がすくむ人は多いだろうと思う。復讐を恐れて)。

 モーガンさんは悩みを真剣に聞いてくれた警察官らの支援で、ストーカーを禁固刑に持ち込み、これが「嫌がらせ行為からの保護法」制定につながった。しかし、警察の対応は「十分ではない」と指摘する。現在でも「単なる嫌がらせ」と受け止められる場合があるのに加え、一挙に暴力事件にまでエスカレートするかどうかの見極めが難しいからだ。(モーガンさんの体験の詳細は、The Network for Surviving Stalking www.nss.org.uk をご参考に。)

 今月上旬、ストーカーと見られる男性に少女が殺害される事件が起きた。アフリカ北東部の国エリトリア出身のアルセマ・ダーウイット(Arsema Dawit)ちゃん(15歳)が、ロンドン市内でナイフで滅多打ちにされ、死亡した。逮捕されたのは21歳の男性で、アルセマちゃんと同じ教会に通っていた男性だ。アルセマちゃんに思いを寄せ、自宅付近にもよく出没していた。4月末、アルセマちゃんの家族は、ストーカー男性の存在を地元警察に通報した。警察が男性の身元調査に動き出したのはそれから約2週間後だ。アルセマちゃんを学校に尋ね、ストーカーと思しき男性のことを聞いたところ、この件についてアルセマちゃんが全面否定したので、捜査は事実上停止していた。アルセマちゃんの知人らは、「何故もっと早く警察がこの男性を捕まえなかったのか」と批判の声を上げ、メディアも警察を非難した。

 「ストーキング対策は、殺害予防の一環としてやるべき」と語るモーガンさんの言葉が重く響く。

 英レスター大学の調査によると、社会の中で成功する女性が増え、携帯電話やネットの普及で個人に関する情報収集がたやすくなったことから、女性に対する男性のストーカー行為が上昇中だ。現代社会に生きる女性にとって、ストーキングからどう身を守るかが大きな課題になっている。

―数字で見るストーカー行為

―200万人の女性が毎年被害に
―女性では5人に1人、男性では20人に1人が、一生の内に一度は被害にあう
―ストーカーの3分の1は元パートナー
―ストーカーの半分以上は犠牲者が知っている人
―ストーカー行為の逮捕者は毎年4万人
(資料:National Stalker Programme, BBC)
http://www.nationalstalkerprogramme.com/index.asp

―ストーカー行為とは

特徴:対象となる人をつけまわす、監視する、個人情報を徹底的に収集する、相手の家に侵入する、無言電話を繰り返しかける、困惑させるような手紙やメールを繰り返し送る、過度の嫌がらせ行為を続けるなど。

犠牲者への影響:怒り、ストレス、無力感、罪悪感、パニック感、疲労感、心理的圧迫感、高血圧、食欲減退、通常の社会生活を送ることが困難になる、プレッシャーからタバコ、麻薬、飲酒、薬の過剰摂取、暴力被害(究極には殺害される場合も)。

取締り:「嫌がらせ行為からの保護法」(1997年)の下、略式起訴犯罪(治安判事裁判所で扱う)で最長6ヶ月の禁固刑。正式起訴犯罪(刑事法院が扱う)となれば最長5年の禁固刑。嫌がらせ行為を止めさせる命令を裁判所が出せる。

―もし被害にあったら・・・

―地元警察に通報する。
―友人、隣人、家族などに事情を説明し、1人で抱え込まない
―ストーカー行為の日付、内容などを記録につけ、警察あるいは裁判での証拠を作る
―電話会社の悪質電話係に連絡する
―外出には携帯電話、防犯ベルなどを携帯する
―ストーカーに対しては出来る限り無感情で接する。会おうという誘いには同意しない。通りで出くわしたら、人ごみの多い場所に移動する。
―家のセキュリティーを強化する
―気持ちを強く持つ。被害者は自分だけではないことを思い出す。

―ストーカーのタイプ
The Network for Surviving Stalking www.nss.org.uk の定義によると:

関係を拒絶されたタイプ:男女のあるいは友人関係が終わった後でストーカーになるタイプで、最も数が多いと言われる。ストーカー自身は関係が終わったことを認めようとせず、和解あるいは復讐を望む。元職場の同僚、上司、部下の場合も。ストーカーは悲しみ、喪失感、不満、怒り、嫉妬心を持つ。相手に過度に依存していた場合は、関係の終わりで自分が犠牲者と思うようになる。最もしつこく、最も暴力的になり易い。ドメスチック・バイオレンスの過去を持つ人も。

親密さを求めるタイプ:相手との親密さや友情を求める。相手から否定されてもひるまない。対象は有名人などが多く、相手に大きな恐怖感をもたらす。暴力行為を働く場合、過度になり易い。社会的に孤立した生活を送っている人が多く、精神的障害を持つ場合もある。愛情あるいは性的満足感を相手から得ようと熱望し、最後には相手が振り向くと信じる。嫌がらせ行為停止命令などは効き目がなく、精神治療を必要とする場合もある。

不完全人間タイプ:社会不適応の人物で、通常の方法では他の人間と付き合えない。相手に対する情熱を受け止めてもらえないだろうと認識してはいるものの、いつかは相手と親密な関係になることを望む。相手の感情にはお構いなしで、自分の思いは報いられるべきと信じている。相手を自分にふさわしいパートナーと見る。複数の人物にストーカー行為を繰り返す。

嫌われ者タイプ:相手に恐怖と苦しみを与えることで認識してもらう、あるいは復讐することを望む。自分自身が犠牲者と感じている。医者、企業の経営者などが患者あるいは従業員からストーキングにあう、など。長期間続き、何らかの建物あるいは機材などの破損につながる場合もあるが、対象相手個人への襲撃は比較的少ない。パラノイア症、精神部列に悩む人が起こしやすい。自分勝手な正義感が強い。

捕食者タイプ:殆ど全員が男性で、ストーキングによって相手をコントロールする、権力を得る、性的満足感を得るなどがその動機。注意深く相手を選び、性的攻撃の幻想を抱く。性犯罪の過去を持つ場合が多い。性に対する考え方を変えるなどの医療的治療が必要

ー関連キーワード
PROTECTION FROM HARASSMENT ACT:嫌がらせ行為からの保護法。1997年施行。英女性トレーシー・モーガンさんのストーキング被害をきっかけに成立した。ストーキングは最長6ヶ月までの禁固刑を含む刑法違反となった。この法律を使って、裁判所はストーカーの行動を制限する命令を出すこともできる。もしこの命令を破れば最長5年の禁固刑が下ることもある。この法律施行以前には、悪質通信法(1988年)や通信法(1984年)の下で、わいせつな、叉は攻撃的あるいは脅しの電話をかけたり、この趣旨の手紙、メールなどを送る行為は犯罪とされていたが、新法によってストーキング行為の違法性が明確になった。ただし、「ストーカー」あるいは「ストーキング」という言葉は使われていない。

ー他の主な参考資料
http://www.bbc.co.uk/radio4/womanshour/03/2008_23_thu.shtml
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/6300291.stm
(レスター大学には、forensic psychologist Dr Lorraine Sheridanという方が研究をしている、という表記がニュース記事の中にある。)
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/6234247.stm
by polimediauk | 2008-06-22 00:51 | 英国事情
 カンヌにいるルパート・マードックによると、所有する米ダウジョーンズ社からのデジタル収入が、「あと2,3年ぐらいで」75%ほどになると言う。(確か、FTグループもデジタル情報からの収入が今75%ほどになっているはずである。次第に紙からデジタルに比率を移動させたのである。)

「ウオールストリートジャーナルを最高の新聞にしたい」とも述べている。今、WSJを出版するダウのデジタル収入は既に50%だそうだ。WSJを買ってから驚いたことは「WSJの記者が驚くほど協力的だったことだ」。これは大きな皮肉かもしれない。(宣伝会議に出てカンヌにいたそうだが、こうしたコメントの全てが宣伝なんだろうな。)

一方、別の報道によると、WSJの編集長が前に辞めたので(ほとんど抗議をしてだろうが)、今は元タイムズの編集長トムソン氏が牛耳っているが、編集業務の体制を19日、いろいろ変えたという。編集部門のNO2だった、ローリー・ヘイズという人が同時に辞めたことを明らかにした。ヘイズはWSJに23年間いたのだが。トムソン氏は、ダウ社のニュースとWSJのニュースの全てを見る統括者になっている。ずい分出世したものだ!

http://ap.google.com:80/article/ALeqM5jsSed2x8i60lzHfofu42DqhUMECgD91DBGI01

http://www.reuters.com:80/article/industryNews/idUSL1936983520080619
by polimediauk | 2008-06-20 06:52 | 新聞業界
 17日、英ジャーナリズムの未来を語る、というテーマで「メディア・ソサエティー」(メディア関係者の親睦団体)主催の集まりがあった。場所は「グルーチョ・クラブ」Groucho Clubというところだった。ここは非常に有名なクラブで、有名人+リッチな人でないとメンバーになれないと聞いた。

 3人のパネリストがいて、一人は「フラット・アース・ニュース」(地球は平らニュース)というメディア業界の暴露本を書いた(今読んでいるところだが、爆弾的内容があちこちに。しかしやや偏っている感じがする、ものの見方が)、「ガーディアン」に書いてきたジャーナリスト、ニック・デイビーズ氏。「新聞業界は危機にある。商業主義がばっこして、真実を語るというジャーナリズムの本来の使命がおろそかになっている」と語る。「しかし、これに何とか対抗し、がんばっているのが、ガーディアンの編集長アラン・ラスブリジャー氏だ。ガーディアンでは新聞のことを、『死んだ木』(紙のこと)を使ったビジネスだ、と言う。全くそのとおりだ。読者はどんどんウェブに移っているし、ガーディアンも紙の編集部門とネット部門を完全に統合させようとしている。しかし、ウェブにみんな移ってしまったら、お金はどうやって稼ぐのか?これが問題なのだ」と指摘。

 「どうやったらいいのか?誰にも答えは分からない。この本を書いてから、自分はいろいろな人から声がかかり、ビジネスマンに高価なランチをおごってもらったりする。新聞業界を救うためのアイデアを聞かされるが、1つもいいのはない。くだらないアイデアばかりだ」

 「今は、みんなヤフーやグーグルでニュースを読んでいる。あんなものはジャーナリズムじゃないんだ。ニュースを集めているだけだ。ブログだってジャーナリズムじゃない。人のプライバシーに侵入したり、日記をつけたり、市民記者がジャーナリストと名乗る時代なのだ。全くくだらない。きちんとトレーニングを受けて、真実を探る、分析できるジャーナリストが必要なのに」

 「これからどうしたらいいのか、ルパート・マードックにだって分からないのだ」。

 刺激的な発言が続いたが、言っていることがどうも古臭いなあと思った。「マードックにだって分からない」というのもおかしい。あれだけニューズコープをでかくしたのだから、ビジネスの才は人並みはずれている。紙の新聞でロスを出しても、映画(「タイタニック」など)やテレビで利益を出し、ロス部分に回している。メディアミックスや買ったり売ったりで「帝国」を大きくしているのだから。今のまま、ビジネスを続けようとするから苦しくなる。ビジネス自体のどこかを変えれば生き抜けるはず。新聞はテレビがあっても、映画があっても、ずーっと続いてきたのだから。

 ・・・と思っていたら、新聞社+テレビ局が加盟するソサエティーオブエディターズの代表ボブ・サッチェルが、「私はジャーナリズムに未来はあると思う」、「いろんなプラットフォームがあって、こんなおもしろい時代はない」とコメントしていた。

 次に演壇に立ったのは、シティー大学でジャーナリズムを教えるエイドリアン・モンク氏。「メディアを信じられるか?」という本を出している。「新聞業界が死んだ木のメディアという発言があったけれど、これは先進国の話。中国やインドでは伸びている。それに、私たちにはもはやデイビス氏が言うところの『信頼できる人=ジャーナリスト』は、これまでのような意味では必要ない。情報がたくさん出ているし、読者は自分で判断できる。情報があって、この情報の真価を検証できる別の情報があればいいのだ。信頼できる人物=ジャーナリストがいるかどうかは、あまりたいしたことじゃない」

 「例えば、24歳の青年が、シカゴの犯罪地図を作った。どこで何人いつ殺害されたか。これを見れば、一発で分かる。ロンドン市でもこれを参考に地図を作ったという。こういう情報がいい。これからは情報と、いかにこれを見せるかがかぎになる。こういう新しい世界に慣れていかないと。情報がもっと重要になると思う」。

 最後は、メディアのシンクタンク「ポリス」のチャールズ・ベケット氏。BBCやチャンネル4で働いた経験を持つ人である。「スーパーメディア」という本を出している。「将来は健全だと思う。これからは全く新しい形の情報のありかた、メディアのあり方ができてくると思う。その全貌を私たちはまだ見えていないのだろうけれども。本もあれば、新聞もあれば、ビデオもある。ジャーナリストは何でも使えるのだと思う。分析やコメントを知りたいという欲求は常に存在するだろうと思う。市民ジャーナリズムの存在やブログなどの人気で、一般市民と権力を持つ人の間の力のシフトが起きていると思う。これからは市民の方がもっと力を持つようになる。ジャーナリズムはジャーナリストの独占ではなくなる」

 「(保守党政治家)デービッド・デービス氏が辞任した時、僕はたまたまBBCにいた。辞任後、数分でBBCの政治記者ニック・ロビンソンがコメントを出していたけれど、同時に、ブログでもたくさんの意見、情報が出た。ロビンソン記者の報道とともに他の人が書いたブログを読めば、状況が、非常に立体的に分かった。メディア環境は非常に複雑でリッチなものになっていると思う。ジャーナリストの仕事は、報道し、調査し、理解し、今何が起きているかが分かるような(意味づけを与えるような)コメントを出し、かつそれを他の人とシェアすることだ。すべての人にたった一つの真実だけが提供される、という時代は終わったと思う。デービス事件で新聞を買ったり、ブログを読んだりする人がたくさんいた。ジャーナリズムに興味を持っている人がたくさんいることの証拠だと思う」。

 私自身はベケット氏の見方に賛同で、新聞やジャーナリズムの将来に関して悲観論が大分続いていたけれど、もうそろそろ、そういう議論は終わりに来ているのだろうと思う。これからどうするか?であろうし、おそらく、「現状を全く変えないで」ということを条件に考えるから悲観論になるのではないか。

 例えばテレビは通常広告で運営費がまかなわれているから、私たちは視聴料を(NHKは別だけれど)払わずに番組を見れる。見る人が多いあるいは広告費を高く請求できればビジネスが成立するとしたら、ネットに来てもらって収益を上げるには、広告をたくさん取れるようにするか、来る人を爆発的に増やすか。あるいは、英新聞はウェブサイト上での動画配信(テレビと呼ぶ新聞もある)に力を入れているが、いっそ、新聞がテレビとくっついてしまう、あるいはテレビ局が新聞も出す、つまり融合してしまってはどうかとも思う。テレビ、ネット、新聞の垣根をなくする。もちろん、メディア企業の経営に無知の私が言うことだから夢想だろうけれど、BBCやITV,テレグラフ(あるいはマードック)を見ていると、融合というか、垣根が低くなっている感じがする。それがいいことか悪いことか分からないが、テレビ局が実はネット企業だったり、新聞社が実はネット企業あるいは放送業者だったり、という事態が現実に起きている。境界線はなくなっていくのかもしれない。

 それに、新聞社は大幅値上げという手もまだ使っていないのだ。月に3000円―4000円というのは、私(=貧乏)からすれば安くはないが、携帯電話にこの何倍も使っている人はゴマンといるだろう。確かFTやウオールストリートジャーナルなどのネット購読料は月に日本円換算で5000円から1万円ぐらいではないか。これは高いような感じがするけれど、情報量や役立つといった要素を考慮に入れると、紙で3000-4000円(日本)、ネットで5000円―1万円(英語の新聞のネット購読料)は、本当はすごく安いのかもしれない。毎日読めるのだから。

 いつか、新聞の購読料(紙およびネット、それぞれ別)、テレビの視聴料、携帯電話の情報料、などなど、情報に関わる価格が「価格破壊」というか、価格の仕切り直し状態が出てくるかもしれない。何でもアリだな、と思う。

 私自身はメディア+ジャーナリズムの未来に非常に楽観的である。何だか新しいことがどんどん起きそうでおもしろい。
by polimediauk | 2008-06-19 06:53 | 新聞業界
 前に英国の広告費でネット広告が急増している(ここ2-3年特に)ことを書いたが、 http://ukmedia.exblog.jp/9024002/

 6月3日付新聞協会報掲載分によると(オリジナルは時事通信記事)、ドイツの広告業連盟(ZAW)の報告書では、2007年の広告業界収入が前年比1・8%増の307億8000万ユーロ(約5兆1600万円、ちなみに日本の広告費は07年で7兆円ほど)の小幅増。広告媒体比率は、最大は日刊新聞の22%で、これにテレビ(20%)、ダイレクトメール(16%)と続く。インターネット(3%、前年は2%)に軸足を移す傾向は確認されなかったと言う。日本や英国と比較して、ネットの急速な伸び、というのはないのだろうか。ちなみに英国ではネット広告は全体の15-16%(2007年)を占める。

c0016826_2126198.jpg  フィナンシャルタイムズの17日付にフランスのル・モンド紙の経営分析が載っている。英国から見た分析で、フランスから見るとまた別の見方があるかもしれないが、紹介してみる。(以下は抜粋である。細かいところはオリジナルを見ていただきたい。)

http://www.ft.com/cms/s/0/637f144c-3c06-11dd-9cb2-0000779fd2ac.html

http://www.lemonde.fr/

 「中道左派のルモンドは1944年の創刊以来の最悪の危機状態にある。毎月200万ユーロ(約3億3500万円)の赤字で、2001年以降の累積損失が1億6700万ユーロに上る。ルモンドはフランス文化の文化的アイコンとなってきた。しかし、その編集の独立性はしばしば所有者からの干渉の憂き目にあってきた。ルモンドの場合、従業員が会社の支配権を持ち、編集長や取締役の任命に拒否権を行使できる」

 「129人が首切りになり、この内3分の2が編集部員となる見込みが出て、4月と5月にストを起こした。もし損失を減らすことができなければ、管財人が入り、緊急の資本注入が必要となる。フランスのメディアグループラガルデールやスペインのメディアグループ、プリサなど外部からの株主が支配を強める機会を作ってしまう」

 「問題は世界中の新聞の悩みー広告費の減少―と、これに加えて、第二次世界大戦後にできた産業形式の根を未だに維持している点だ」

 「フランスの新聞業界は、減少する発行部数、広告収入、コスト上昇、ネットや無料紙との競争に悩む。業界自体がそれほど大きくない。全国紙の発行部数を合わせると、フランスでは800万部だが、英国は1650万部、ドイツは2400万部になるのだ」

 「ルモンドはフランス最大の発行部数を持つ日刊全国紙だが、そうは言っても35万9000部だ。地方紙クエスト・フランス紙はその倍の部数を出している」

 「フランスの全国紙の広告費はフランスの国民総生産の0・08%で、これは英国の4分の1だ。一部の値段も欧州の中では高い。そこで、フランスの全国紙は国家補助に頼らざるを得なくなっている」

 「パリ大学Pantheon-Sorbonneでメディア史を教えるパトリック・エベノ氏によると、フランスの全国紙は郵便代や税金補助で総額15億ユーロの補助金を得ている。また、凋落の原因は、読者を無視し、社会や文化のトレンドの予期に失敗し、結果的に、国家や政治家がビジネスの問題を解決する事態に陥っている、と述べている」

 「経営の面で見れば、コスト高も問題だ。組合が雇用を支配し、高給、欠勤、低生産性などのために、印刷コストが高いのだという。新聞の配布や小売制度にも制限がある。収入が低いために新聞を売るキオスクが減っている。新聞を売るキオスクーニューズエイジェントーの数は、英国の半分、ドイツの4分の1だ」

 「打開策としてルモンドが手をつけたのがウェブサイトの刷新だ。ラガルデレ社と協力し、人気が出て、利益も出る。しかし、ウェブサイトは紙の新聞とは所有者が別で組合員たちは、紙のいいところ取っていると不満をもらす」

 「もしルモンドがラガルデール社に乗っ取られたら、ラガルデール社は防衛業界のつながりがあり、社のトップはサルコジ大統領の友人でもあるから、ルモンドの死になるだろう、とジャーナリストの1人が述べている」
by polimediauk | 2008-06-17 21:28 | 新聞業界
 秋葉原の例の事件で、ビデオジャーナリスト神保さんのトーク・ビデオが非常におもしろい。(一部はそのまま見れるが、全て見るには会員登録。しかし、一月ほんの500円であるのがすばらしい。)ゲストは若者文化やネット事情に詳しい批評家の東浩紀氏だ。

http://www.videonews.com/

 一部を神保さんのブログから引用すると:

http://www.jimbo.tv/videonews/000459.php

 今年に入ってから、土浦連続殺人事件や岡山線路突き落とし殺人事件など、若者が見ず知らずの人を殺傷する事件が相次いでいる。政治家や世の識者らは、動機が不可解なこれらの事件の原因を、若者が抱える『心の闇』に求め、ネットやゲームなど仮想現実の影響として、規制を加えようとしている。現に、町村信孝官房長官が、事件発生直後の記者会見でナイフの規制強化に言及しているほか、サーバーを管理する事業者にネット上の「犯行予告」の書き込みを事前に察知させ、警察への通報を義務づけようとする動きも出ている。

 しかし、そうした場当たり的な規制が、今回のような事件の再発防止に、僅かでも寄与するだろうか。今回の事件について東浩紀氏東(あずま ひろき)氏は「おきるべくしておきた」と語り、この事件の背景には、若者の怒りと不満が爆発寸前まで蓄積している現状があるとの見方を示す。

 東氏は、実際にこのような事件が起きるはるか以前から、いわゆるロストジェネレーションと呼ばれる20~30代の若者たちに、不満や怒りがたまっていることは目に見えて明らかだったと指摘する。だが、昨年、論壇誌で「希望は戦争」と語った赤木智浩が、社会からある種の驚きを持って迎えられたように、彼らの怒りのメッセージはマスコミに無視され、社会には届かず、政治にも反映されてこなかった。また、彼ら自身も、投票による行動やデモなどの政治行動が、彼らの状況を改善するとは到底期待できないと感じていた。政治的な表現の場を失った彼らが、怒りや不満を社会に訴える手段として、ネット掲示板があり、そしてその究極の形としてこのような凶行を選んだと考える方が、今回の事件はより正確に理解できるのではないか。それゆえに、東氏は今回の凶行を「テロ」と呼ぶべきだと言う。事実、ネット上では、加藤容疑者の犯行そのものは断罪しつつも、彼の置かれた境遇については、共感の声が多く寄せられているという。

以上引用終わり。

 このビデオでおもしろいのは、宮台真司氏との対談であることだ。今回の事件を一種の「政治テロ」と見る東氏と、社会学の立場から検証する宮台さんの意見の相違がおもしろい。宮台氏は、超有名だから私が何かを言うほどでもないが、このビデオの中では、独特の分析を披露している。

〈宮台さんのブログ)

http://www.miyadai.com/

 神保さんのブログにこんな表記があるー「あくまでここまで開示された情報を元に判断するしかないが、加藤容疑者のゲームやネット、携帯とのつながりは、現代の若者としては何ら特別なものは窺えない、標準的なものだった。むしろ加藤容疑者の発言を追うと、彼には、携帯サイトに書き込む以外の外界とのコミュニケーションがほとんど存在しない、絶望的な孤独状態にあったことが推察される。東氏は、コミュニケーションが苦手で仮想現実に耽溺していると非難されるオタクたちの方が、むしろ安全であり、今回の事件では、そういう代替物すら持たない状況にある多くの若者を、いかに社会が包摂するかを考えるべきだと指摘する」―。

 「・・・そういう代替物すら持たない状況にある多くの若者」-。こういう若者たちを一括して表現する言葉はあるのだろうか?世代や性差、趣味などによって、ある特徴を持った人々をある言葉で大雑把にくくってしまう作業を私たちはよくするが(それはオタクかもしれないし、ギャル、あるいはオヤジ、無数にあるだろう)、今回、どうもぴったりした言葉がないか、まだ出来ていない感じがする。「ワーキング・プア」に相当するような言葉が、そのうち出てくるのかもしれない。・・というようなことを考えるのにこのトークビデオが役立つ。
by polimediauk | 2008-06-16 06:47 | 日本関連