英国内で失業者が増えていて、この間、職を失った若い女性がBBCラジオで取材されていた。彼女は18歳から働いてきて、今まで失業したことがないので、現状を恥だと思って生きている。両親以外には失業したことを誰にも伝えていない。「現在の心境は?」と聞かれて、泣き出してしまう。
サミット開催で、巨額・莫大な税金が使われる。開催するだけのお金があったら、どれだけの人を救えただろうかと思う。
英国の経済はさらに悪化するそうだが、サミットが将来役に立つ何かを生み出すことを願っている。1930年代にもロンドンでサミットがあったそうだが、大失敗だったそうである。二の舞にならないと良いのだが。投資家ジョージ・ソロスが昨日BBCに語ったところによれば、今回のサミットには意義があり、それはこういう金融危機では一つの国あるいは二ヶ国間の合意ではなく、国際間の取り決めが効果的だからだそうだ。
「新聞協会報」3月24日号にFTの有料化の話に関して書いた。以下はそれに付け足したものである。
FTは常に一歩先を行くように、経済危機に対応した動きをしているようだ。それにしても、通常ウェブサイトで見ているFTを紙で買うと、サイトでは見えなかったトピックが見えてくる。紙媒体のレイアウト構成とサイトの構成は全く違う、別物なのだということを改めて感じた。(追記:それと、スポーツクラブの会員になった方は経験があるかもしれないが、先払いでやってしまうと、意外とあまり使わないというか、全体の一部しか使っていないことがある。FTにしろ、エコノミスト・サイトにしろ、有料購読者になっても、それほど読まない人が結構多いのではないか?また、たとえ頻繁に読む人でも、なかなか全ては読めない。これはほぼ全員がそうであろう。休眠状態の人ーーお金だけ払って実際はサービスを使っていない人ーーが結構いるだろう。有料購読者の数だけで競っても、あまり意味がないことになるが。このあたり、広告を出す側はどう考えているのだろう。)
英FT、有料化強める
英米主要紙で模索の兆しも
英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が、無料で閲覧できるニュースサイトの記事数を次第に減らしている。2007年のサービス開始時には月間30本を無料閲覧できるようにしたが、現在までに十本に減少している。未曾有の不景気で広告収入増加が見込めない中、タイムズなどの他の英紙も有料モデルを模索する。米紙ニューヨーク・タイムズ幹部からも、再度の有料化を示唆する発言が出てきた。
FTは07年10月、FTは、利用者の拡大のため、有料で提供していたサイトの記事を月間30本まで無料で読めるようにした。しかし1年後には20本に減り、現在は10本程度までになった。利用者登録をしなければ、3本しか読めない。FTは近年、広告収入への依存を減らし、デジタル化された金融経済情報の有料提供に主力を傾けるようになっている。無料で閲覧できる本数を減らすことは、有料購読者拡大に向けた戦略の強化を示す。
FTの親会社で教育・情報大手ピアソン社が2日発表した08年決算によると、FTグループ(新聞、サイト、インタラクティブ部門)に占める広告収入の比率は2000年の52%から25%に減少した。これに対し有料のデジタル情報サービスによる収入は28%から67%に上昇している。
金融機関やテクノロジー企業がマーケティング費用を削減したため広告収入は3%減となったが、FTグループの収入、営業利益は景気後退にも関わらず、共に前年比8%増を記録した。
好業績の理由は徹底した合理化と有料化モデルの推進だ。紙とネットの編集部門の統合、非中核事業の外注化などの費用削減に加え、スポーツ面の廃止、頁数の減少、人員削減、一定額以上の給与の賃上げ凍結、希望者を対象とする夏季週3日勤務制度の推進など、広範な手段を講じている。過去1年半で平日版販売価格を1ポンド(約138円)から1・8ポンドまで急上昇させ、08年の販売収入を前年比16%増加させた。
サイトの有料利用者は前年比9%増の10万9609人となった(実は、この約10万という数字はここ1-2年、あまり変わっていない感じがするので、「増えた」のは事実としても、沢山増えているとは思えない)。財務情報の提供や記事に利用権を販売するなど企業向けサービスにも力を入れる。3月からは、月2回中国に関する投資・経済情報をこれも有料で提供する「チャイナ・コンフィデンシャル」を始めた。
景気後退が続く中、他の英紙もニュースサイトの課金モデルを模索中だ。ガーディアン紙(2月23日付)は、「ニューズ・インターナショナル社筋の話」として、同社が発行するタイムズの経済記事をその親会社が所有する米ウオール・ストリートジャーナル紙の有料サービスの抱き合わせとして提供する案を紹介した。しかし、英国の場合、BBCの無料ニュースサイトの存在が大きいと記事は指摘する。これが無料化維持の圧力になる、という見方だ。
有料のオンライン・サービスだった「タイムズセレクト」を07年に無料にしたニューヨークタイムズ紙も、再度の有料化を念頭に置いていると言われる。3月9日の同紙サイトの記事で、ニセンホルツ上級副社長が有料化の可能性を示唆した。
サルツバーガー会長は否定したものの、景気低迷で広告収入が減少し、08年決算で赤字転落した同社にとり、タイムズセレクトが生み出していた年間約1千万ドル(約9億8000万円)の収入が大きな魅力に映っているのは間違いない。
グッディのことをまとめたものとしては、「英国ニュースダイジェスト」の3月12日号のウイークリーアイ・コラムがある。サイトから、電子ブックでこの号を選ぶと5頁めにある。
グッディが著名になったのはドキュメンタリー番組「ビッグブラザー」に2002年出たのがきっかけだ。上のコラムによれば、「驚くほどの一般的教養の欠如を露呈し…他の出演者と口げんかをしたり、酔っ払って裸になるなどの行為で、タブロイド紙から嘲笑と憎悪の対象」として書きたてられたそうである。
私が彼女の存在に気づいたのは2007年の「セレブレティー・ビッグ・ブラザー」という番組で(有名人などの数人が共同生活を送る様子をカメラが追う)、インド人女優のシェルバ・シェティーに人種差別とも受け取れかねない発言をして、大きなニュースとなった時だった。他の番組参加者とともに、シェティーに罵声を浴びせる様子がニュース番組で何度も繰り返して放映された。見るのがつらい感じがした。
コラムによれば、グッディは「特に芸才はないが、『ビッグ・ブラザー』同様のいわゆる『リアリティーTV』と呼ばれるテレビ番組に出演したり、自身の名を冠した香水や自伝などを発表するかたわら、芸能雑誌に自分の生活について語り」、彼女は有名人であることで有名な人物になっていった。
また、BBCによれば、多くの人にとっては、グッディは「知的レベルの低い英国、テレビ出演で自分でも認めた無恥、悪い言葉づかい、いじめ」の象徴だったが、「自分の名声から財をなし、勇敢な笑顔で病気と闘った素晴らしい女性」と見る人もいる、という。
がんにかかって余命いくばくもないことを知ったのは、昨年、インド版「ビッグ・ブラザー」に出演している時だった。それからは自分の闘病の様子を描くドキュメンタリー番組に出演し、今年に入ってボーイフレンドと結婚した時は、結婚式の独占報道権を芸能雑誌「OK」に、独占放映権をデジタルチャンネルのリビングTVにそれぞれ巨額で売って、またまた注目(批判も)を集めた。グッディには二人の子供がいる。父親はテレビ司会者。2005年、麻薬の過剰摂取で実父が死亡している。
グッディのPRは超有名人のPR管理で著名なマックス・クリフォードが担当している。これだけでもう、すごいなーと私は思っていた。ここまで来ると、かわいそうにもなってくる。
人の死まで娯楽にしているという批判が出るもの避けられなかった。がんにかかっても黙って死んで行く人もいるのだし、「利用して大金をもうける」のはどうか、という声も出た(コラムより)。
・・そういう人が亡くなったのである。子供たちの将来のために、なるべくたくさんのお金を稼ぎたいとグッディは生前語っていた。すごい人生だったが、子供たちが幸せな人生を送れることを祈りたい。
また、グッディのおかげで、子宮がん予防のためのテストを受ける女性たちが増えたそうである。
以下参考記事
http://www.news-digest.co.uk/news/index.php
http://news.bbc.co.uk/1/hi/entertainment/7957852.stm
http://news.bbc.co.uk/1/hi/entertainment/7928596.stm
http://news.bbc.co.uk/1/hi/technology/7954596.stm
ストリートビューは米国で2007年に始まって、日本、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、スペイン、イタリア、オランダの映像が公開されている。
グーグル側は「リクエストがあればすぐに取り下げる」としているが、黙っていて気づかなければいつの間にか情報が出てしまうわけで、一体これでいいのだろうか?昨年、データ保護を監督する「情報長官事務所」は、画面の一部をぼやかせば、プライバシーは守れると判断した、とBBCは伝える。
そこで以下のBBCのビデオがあるので、見れる方は見ていただきたい。先に挙げたBBCの記事のアドレスから、下に下がると、最後にビデオがある。また、以下のアドレスでは「ニューズナイト」の番組クリップがある。ニューズナイトでは、グーグルUKのトップと、グーグルの批判者であるシバ・バイディナヤサンSiva Vaidhyanathan教授がぶつかる。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/programmes/newsnight/7954812.stm
教授は、ストリートビューの悪い点として、「気味悪さ」を挙げている。実際グーグルが何か悪いことをしているわけではなく、また役に立つという見方があることに賛同した上で、である。「無批判に、知らないうちに使っている。どんな影響があるのかも良く分からないままに」。「ターゲットが細かすぎる。昔からテレビも視聴者に広告を売るためにターゲットを絞ってきたが、グーグルはもっとはるかに細かい。個人にターゲットを絞る」。
グーグルUKのマット・ブリッチン氏は、グーグルは「ユーザーが誰かは分からないが、どんなサーチをいつ、どれほどやったのかが分かるだけだ」、と説明する。「グーグルを使いたくなければ、他のサービスを使う自由がある」、と。
何故金融危機が起きたのか、金融行政はどうなっていて、これからどうするべきかを詳細につづった報告書だ。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/business/7950355.stm
骨子はそのうち日本語でも報道されると思うが(現時点ではすぐ見つからなかったが)、興味深いのは、現FSA経営陣が、過去のFSAの監督業制が間違いだった、としている点である。「ライトタッチ」と言われる監督は間違いだった、と。そして、「市場にまかせておけば何とかなる」という市場信奉主義がダメだった、と。
ターナー氏が「ここが悪かった」と、FSAのあるいは英国の金融業界の問題点を挙げるたびに、その「問題点」は実は、ついこの間まで、ロンドン金融市場の利点と言われていたのになあと思いながら、ターナー氏のスピーチを聞いていた。
ターナー氏は昨年9月、FSAの会長に就任したので、「悪い」FSAは自分がいなった時のことだ。でも、現在のFSAは果たして信頼できるのだろうか?つまり、エコノミスト誌の記者が聞いていたが、「クリスマスの時に(料理される=殺される)七面鳥に、クリスマスについて意見を聞くようなもの」ということになりはしないだろうか?監督団体FSAを監督する人がいなくていいのか、と。
自己資本率を高める、ヘッジファンドなど規制外の金融機関(「機関」と言っていいのかどうか?)も規制下に置く、など、金融業界以外の人からすれば「当たり前」とも言えるような提言が報告書に入っている。しかし、これをどう実行させるのかは他国との調整が必要になる。ターナー氏が言うように、「グローバル経済はあるが、グローバル政府はない(個々の政府があるだけ)」のだ。
一方、マンデルソン企業相が、先月、政府が株式を100%所有する郵便事業会社ロイヤル・メールの改革案を発表した。一部を実質民営化する提案が含まれていたことから、労働組合や政界、国民からも不安の声が上がっている。インターネットの利用が拡大して郵便需要が減少した現在、ロイヤル・メールは何らかの生き残り策を取らざるを得ないが、民営化でサービスの質が低下するのではという懸念は大きい。「英国ニュースダイジェスト」最新号(ネット版は火曜発行)に書いたものに加筆した。
―政府のロイヤル・メール改革案骨子
*民間企業と提携する。ロイヤル・メール株の最大30%までの放出を想定。
*60億ポンド(約8170億円)に上る年金債務を政府が肩代わり
*監督業務をポスコムから通信規制・監督団体オフコムに移動する
*全国で同一の水準の郵便サービスを提供するための基金を設置する
*郵便局の運営はこの提携とは無関係にする
―ロイヤル・メール・グループの子会社別収入比 2008年3月期決算
*ロイヤル・メール(72.8%):手紙、小包郵送事業。一日に8000万個の郵便物を3万台の赤い特性自動車や3万3000台の自転車などを使って、2800万の住所に届ける。切手のデザインと制作も手がける。
*ポスト・オフィス(9.7%):全国にある約1万4000の郵便局を運営する。年金や公共料金の支払いなどを扱う、英国最大規模の現金処理機関(毎年900億ポンド、約12兆円)。
*パーセルフォース・ワールドワイド(4%):宅配サービス。毎日15万個を顧客に届ける。
*ジェネラル・ロジスティックス・システムズ(GLS)(13.1%):パーセルフォースの欧州版サービス。本部をオランダに置く。中心となるのはビジネス用で、欧州内の34カ国に22万の顧客を持つ。一日に100万個の配送を扱う。
*その他(0.4%)
(資料:Royal Mail)
―手紙総数の減少率
国:成長率(2006年―07年)
英国:-3.2%
フランス:-1.0%
ドイツ:-1.4%
オランダ:-4.4%
イタリア:-4.4%
米国:-1.8%
(資料:Royal Mail、英国のみ2007-2008年)
―数百年の歴史
赤いポストでおなじみの英国の郵便サービス、ロイヤル・メールの元々の発祥は、16世紀、ヘンリー8世の時代にまでさかのぼる。1980年代にはサッチャー前首相が国営企業の民営化を大々的に行なったが、国民の愛着が格別に深いロイヤル・メールは対象にはならず、政府が株式を100%所有する郵便事業会社として今日まで生き延びてきた。
現在、週に6日、一日平均では2800万の住所に郵便物が配達されている。11万を超えるポストや1万4000余の郵便局がほぼ全国の地域をカバーする。手紙の総数の89%は企業が送付し、ビジネスにとってもかけがえのない通信手段となっている。しかし、近年はその存続の危機が叫ばれるようになった。
―郵便需要の変化
大きな原因はインターネットや電子メールの普及による、手紙利用者の激減だ。投函される手紙の数は2005年を頂点として減少中で、08年3月期では前年同期よりも一日200万-300万通の下落となった。今年はさらに減少する見込みだ。
手紙は時間的に余裕のある場合の通信手段として認識されており、通常配達までに2-3日かかるセカンド・クラスの切手を使う人が増えた(英国の切手は翌日には配達されるファースト・クラスと、これより遅いセカンド・クラスがある)。切手を値上げしても収入の落ち込みを埋め合わせることができなくなった。
2006年には郵便事業が自由化され、これまで独占してきた郵便業の20%を現在は同業他社が占めるようになった。
こうした諸処の要因により年間で7億6000万ポンド(約1000億円)の営業利益が失われている、とロイヤル・メールは分析している。
通信事業監督機関オフコムのリチャード・フーパー元副委員長がまとめた、郵政事業の将来に関する報告書「近代化か衰退か」(昨年末発表)によれば、ロイヤル・メールの問題点とは、デジタル化による通信環境の変化で①値上げでは収入の落ち込み分を埋められない、②欧州他国の郵便事業と比較して非効率、③英国最大規模の年金債務を抱えているために財務が改善しない、④経営陣と労働組合の関係が悪化状態にある、⑤監督団体ポストコムとの関係も悪化している、を挙げた。④や⑤のために、効率性向上のための改革が進みにくい。
―民営化法案へ
マンデルソン企業相は2月26日、ロイヤル・メールの改革案を議会で発表した。年金債務の税金を使っての肩代わり、監督機関をポストコムからオフコムに変えるといった案に加え、所有株の最大30%を民間企業に売却する案も入っていた。民営化によって全国通津浦らに郵便が届く現行体制が揺るがないよう、特別な基金を設定することや、郵便局(約2万局あったが、リストラで約3分の1が閉鎖されている)はこの改革案には関係しないと説明したが、民営化に難色を示す通信労働組合(CWU)や与党労働党議員を中心に、大きな反対の声が上がった。議員らの懸念は価格上昇、サービス低下、大規模リストラなど。また、CWUが、一部民間化が実施されるようであれば、労働党への出資を引き上げざるとしている点も懸念の材料だ。
オランダの物流大手TNTが参入企業の候補として噂されているが、国民の間にはロイヤル・メールが外国資本の手に渡ることへの拒否感もある。
マンデルソン企業相は「絶対に完全民営化はない」、「一部株放出で得られた資金はロイヤルメールの効率化に投資する」と労働党議員らに説明する。今後、欧州連合の認可や法案通過などの手続き後、夏までには外部からの出資を実現することを政府は望んでいる。今後数ヶ月で、ロイヤル・メールの将来が決まってくる。
―ロイヤル・メールのこれまで
1516年:イングランド国王ヘンリー8世が郵便サービスを創設
1635年:チャールズ1世が一般市民がロイヤル・メールを初めて使えるようにする。この時が、英国の郵便制度の事実上の始まりとされる。郵便代は受け取り手が払った。
1657年:郵便料金が定額制になる。
1660年:郵便局が設置される。
1661年:日付印の使用開始。
18世紀:郵便を運ぶ専用馬車ができ、配達員は制服を着用するようになる。
1852年―53年:郵便ポストが英国全土に設置される。
1870年:電報サービスを開始。
1912年:電話サービスを開始。
1969年:国営企業になる。
1981年:通信業務がブリティッシュ・テレコムとして分離・独立し、残された事業は「ポスト・オフィス」と名づけられる。
1990年:小包配達部門が「パーセルフォース」と名づけられる。
2000年:ポスト・オフィスが「コンシグニア」に改名。
2001年:政府の全額出資で株式会社化される。通信監督団体ポストコム、郵便に関する利用者からの不満を処理するポストウォッチが発足。
2002年:「ロイヤル・メール・グループ」として組織化され、グループ内はロイヤル・メール、パーセルフォース、ポスト・オフィス(コンシグニアから再改名)に分かれた。
2004年:配達が一日に一回に減少する。
2006年:郵便事業が完全自由化される。
2007年:賃金、労働条件、年金問題を巡り、従業員がスト。
2009年2月:企業相が議会でロイヤル・ポストの一部民営化法案を発表する。
(資料:英文ウイキペディア、BBC他)
―関連キーワード
TNT:オランダに本部を置く、グローバルな郵便配達・宅配事業会社。オランダ国内ではTNTポストの名前で郵便事業を行なう。宅配事業はTNTエキスプレスが行なっている。ロイヤル・メールが一部民営化された場合、TNTが放出株を取得するのではないかという噂がある。2007年の収入は年間111億ユーロ(約1兆3800億円)。1990年代からリストラを始め、西欧諸国の郵便会社
―参考資料
ロイヤル・メールの一部民営化に関して、主な参考資料として利用としたのが、ロイヤルーメールのウェブサイトから現状やこれまでの歴史、年次報告書など。また、上にも出てくるが、オフコムのリチャード・フーパー元副委員長がまとめた、郵政事業の将来に関する報告書「近代化か衰退か」(昨年末発表)は欧州他国との比較があって参考になった。ただし、この報告書は(嘘をついているというわけではないが)、「このままではダメだ。改革しないといけない」という、政府が欲しい答えを満足させるように作られている、という面も頭に入れておいた方がいいかもしれない。
”Modernise or decline”報告書
http://www.berr.gov.uk/files/file49389.pdf
この報告書で驚くのが非効率な働き方、あるいは手厚い勤務体系だ。後者の例になるが、ある郵便配達員が朝7時から午後2時までのシフトで働いているとする。午前11時にその日の担当分が終わったとしよう。すると3時間時間があくので、他の配達員で配達物が多い場合、これを手伝ったとする。すると、この3時間勤務分は、「超過勤務=オーバータイム」として計算されるのだ。シフトの時間帯での仕事にも関わらずである。そして、午後2時までのところ、早く終わった場合、そのまま帰ってしまうことが常だったとも書かれている。過酷な労働をさせないための慣習、あるいは組合の労働闘争の勝利だったのかもしれないが、やはり、他業種の人からすれば普通とは言えない。
・・・と言ったのは、アフガニスタンにここ数年関わってきた、ローリー・スチュワート氏。ロンドンの王立国際問題研究所で、11日、講演があった。会場には中東問題に関心のある人が多数集まり、元外務大臣(サッチャー政権時)だったダグラス・ハード氏も話を聞いていた。
スチュアート氏は元兵士、外交官で、イラク戦争前後のイラクで、開発などのアドバイザーとして働いた。仕事以外でも、イラク、パキスタン、アフガニスタンなどを旅した経験がある。書いた本はベストセラーになり、現在はカブール在住で、アフガニスタンを再開発する非営利団体を運営している。
http://en.wikipedia.org/wiki/Rory_Stewart
氏によれば、米国はイラクでの経験をもとに、増派して安定化させることを狙っているが、「目標が壮大すぎる」、「アフガニスタンではうまくいかない」と述べる。
また、具体的には、アフガニスタン南部(ヘルマンド)に集中している米英の駐屯を「思い切ってあきらめ、開発が進む北部に集中する」、「リアリスティックな目標を立てる」などを提言した。つまるところ、「アフガニスタンをちゃんとさせないと、私たち(米英)の手で何とかしないと、世界は大変なことになる」という、かつての帝国主義的な考えを捨てることを勧める。
しかし、果たして、「アフガンをあきらめる」こと、つまりは英兵の「緩やかな死」を止めて、基本的には撤退策(あるいは大幅削減)をとるというのは、果たして実現するのだろうか?
アフガンで働いた経験を持つ、中東専門家ピーター・マースデンという人が会場にいたので、聞いてみると、「あと1-2年で、方向転換はあり得る。理由は、戦死者が増え続けるので、世論が派兵反対になる。これを政府は無視できなくなる」と。本当にそうなるだろうか?
もちろん、米英兵の死と同時に、タリバンも100人あるいは千人規模で、殺されているわけである。
先週、中東から帰還した英兵が街を行進したが、これに異を唱えるムスリムたちがデモを行い、ひんしゅくをかった。「せっかくお国のために戦った人を、どうして批判するのか」、「抗議をするなら、政治家にすればいい」、と。私も最初そう思ったが、デモ参加者のプラカードを見ると、イラクで殺された人に思いをはせた文面だった。BBCの深夜のニュース番組「This Week」で、元保守党議員のマイケル・ポーティロ氏が、殺された側の視点に触れていた。この点を取り上げた数少ない(唯一の)コメンテーターだったと思う。
BBCとITVが地方ニュースの報道で協力することになった。前に「BBCの1人勝ち」に少し触れたが、やはり、そういう面がどうしても出てくるように思う。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/wales/wales_politics/7940063.stm
ビデオジャーナリスト、神保さんのウェブサイトを見ていたら、中谷教授という人が、「転向」宣言をしていたことが分かった。
http://www.jimbo.tv/videonews/000507.php
金融危機は確かに大事件だが、それにしても、いとも簡単に「転向」してしまったかに聞こえたので、「??」と驚いた。転向の経緯を本にしているそうなので、早速買って、読まないといけないが。
今回の金融危機は規模はでかいが、似たようなことはこれまでにも何度も起きているし、唯一大きく違う面があるとすれば、金融テクノロジーの発展ではないかと思う・・・・ということをFTのジリアン・テット記者が書いていた。テット氏は前からそう言っている。
しかし、アメリカ礼賛(もしまだあるとしたら)は、私のような年代(50代を回ったばかり)にとっては、何だかなあ・・・と思うことだった。丁度5歳から10歳ぐらい年上(つまりは55歳とか60歳以上)の年齢の人の一部が、これに(過度に)染まっていたような気がする。
「ニューズ・マグ」で、元毎日新聞編集委員の永井浩氏が、「アメリカかぶれ」について、書いている。ご関心のある方は・・・。
http://www.newsmag-jp.com/archives/531
また、村上春樹に関して、知人が「世界は村上春樹をどう読むか」(文藝春秋社)を送ってくれた。2006年に発行されたもので、村上氏に好意的で、真摯な内容だ。その中のほんの一部だが、四方田犬彦氏の文章が心に残った。「・・・『中国行きのスロウ・ボート』という短編には、どうしてお洒落な在日中国人への言及はあっても、日本社会にとってより悲惨でより深刻な問題である、在日朝鮮人の問題は登場しないのだろうか。わたしはこの問いに対する答えをまだ見い出してはいない。・・・」とあった。また、氏は90年代から村上氏の本を読まなくなったのだが、ハルキ本を書くと売れるという編集者の誘いにも乗らず、それは、「ひとつには80年代に、アメリカという社会と本格的につきあうようになったからである。彼が描いているある種のアメリカが、急速に陳腐で凡庸なものに思えてきたことを、わたしは率直に告白しておきたいと思う」。小説の中のアメリカの姿に関して、私もそういう風に感じたことがあったので、なるほどなと思った。
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200903112259223
こういう事件が起きると、「何故」?を人を探したがるが、なかなか答えが出ない。ターゲットになるのはビデオゲームだが、やはり他になかなか原因が見つかりにくいからかもしれない。
10代、男性(少年)、暴力、孤立・・・。社会学的な理由ではないのかもしれない、こういう事件が起きるのは。
20代で村上氏を読み出して、彼がいなかったら、多分今こうやって文章を書いていない位、影響を受けては来たのだけれど、ここ数年、もしかしたら、村上春樹はどこかがずれているのではなかろうか?と思ってきた。
私は文学に関してうとく、映画を観ても、人とは全く違う視点で見てしまうこともあるので、「私のほうがおかしいのだろうな」と思って過ごしてきた。
あれ?と思ったことの最初は「ノルウェーの森」だった。「ハードボイルドワンダーランド」がとても好きだったのだけれど、どこか「違う」感じがした。「ノルウェー」は大ベストセラーになった。
地下鉄サリン事件のことを書いた「アンダーグラウンド」を買おうと思って立ち読みしていたら、本当にほんの小さなことなのだけど、ある欧米系の人が中に出てきて、その人が「ジョン(ジョナサンかもしれないが、とにかく英語系の名前)さん」として表記されていた。ずい分前のことなので、記憶に間違いもあるかもしれないが、この時私は、「違う」と、また思った。この時の思いを上手に説明できないが、ジョンは「ジョン」であって、「ジョンさん」(ファーストネーム+さん)としてしまうと、日本語体系の中にこの人を引きずりこんでしまうというか、「日本人が想像するところのジョン」になってしまう感じがした(本は買わなかった)。
それ以降、氏の非常にこなれた日本語の翻訳本が出る度に、これはいわゆる「村上化したフィッツジェラルド」、「村上化したトルーマン・カポーティー」なのではないか?と思い、違和感を感じるようになった。
その後もいくつかあったが、最近のケースでは、英国でも彼の文学が人気になり、昨年ぐらいに、BBCが特集を組んだ。プロデューサーが村上氏にインタビューをするのだが、何と、声を出すことに合意が出ず、ある声優がインタビューで村上氏が言ったことを読み上げた・再生したのである。
これはかなり変わっているな、と思ったけれども、「作家として、自分のイメージを大切にしたい」ということなのだろうという解釈も出来る。それだけ自分の仕事に真摯な人なのだ、と。
先日、「海辺のカフカ」を読んだのだけれど、最後まで読んで、頭は疑問符で一杯になった。作家としては何度も読んで欲しいのかもしれないし、読者に結末や意味するところを自由に想像して欲しいのかもしれない。思い起こせば、昔の「ねずみ男」の存在も含め、常に読者に想像の余地を残しておくことがあったようだった。だとすれば、今回もそうなのだーそれにしても、ここまで疑問符が一杯つくようだと、これはひょっとしたら、村上氏は別世界に飛んでいってしまったのではないか?あるいは、あまりにも人気作家なので、「ここをこうしなさい」という人がまわりにいないのだろうか?つまるところ、カルトの作家なのだろうかー?
思いは乱れたが、最初にも書いたが、私は文学作品を殆ど読まないので、きっと経験や想像力が足りないのだろうなあ・・・と思ってまた日が過ぎた。
そして、イスラエルの文学賞でのスピーチのことを知った。
この件に関しては、既に日本語に訳していらっしゃる方がいるし、また、一部ブログでは称賛されているらしい。称賛・・・というのが本当に不思議だった。
というのも、一部では、村上氏がイスラエルに行って、「ガザ空爆を批判した」という解釈があるらしい。しかし、私にはどう見てもそうは読めないのだ。
私がこのスピーチのことを知ったのはエルサレムポストの記事だったが、「卵と壁」に例えて話す・・というのがどうもこそばゆい感じがした。途中まで読んで、どうしても読む気がなくなってしまうのだ。
私がこのスピーチがおかしいと思うのは、まず、何を言おうとしているのか、殆どよく分からないこと。何十年も続く紛争を卵と壁に例えるのも、ぴんと来ない。村上氏は英語が分かり、米国で教えていたこともあるぐらいだから、イスラエルのことも知っているだろうし、紛争のことも十分知っていると思うのだが。
読んでいると、airy, fairy・・つまり「ふわふわ」(非現実的・空想的)としていて、意味がないように聞こえる。リアルな思い、リアルな痛み、怒り・・なんでもいいが、リアルな感情が伝わってこない。
言葉を使って書く人が何故?と思う。英語を知っている人が何故?
このエアリー、フェアリーな感じは、平和の大切さを叫んでいれば、世界に平和が訪れる・・と考える人にどこか似ている。
・・・と私は思っている。
英領北アイルランドで、7日夜、英軍基地の英兵が撃たれて死亡し、9日には警官も撃たれて亡くなった。先ほど、BBCで、17歳と37歳が捕まったという報道が出た。英兵の殺害は「リアルIRA]によるもので、警官の方は「コンティニュイティーIRA]がやったものらしい。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/northern_ireland/7935734.stm
正直、まだ英兵が北アイルランドにいたことに〔不覚にも)驚いた。
北アイルランドの政治は一見ずい分進んだように見えるが、人々の心の面ではまだどろどろしたものが相当残っているのだろう。
北アイルランドのことを非常に詳しく追っている方がいらっしゃる。情報がとても早いようだ。
http://nofrills.seesaa.net/
私自身は「ベリタ」を中心に何回か、書いてきた。背景として、もしご関心がある方は、「北アイルランドは今」ブログをご覧いただきたい。
http://niinfo.exblog.jp/7057070/
昨年夏、アイルランド・ダブリンと北アイルランドのベルファースト、それからデリー(ロンドンデリー)を訪れたルポも入っている。
第3者からすれば、子供たち・次世代のために、アイルランド〔南)と一緒になりたくない人は、英国本土に移住するとか、そういうことでもしないと、なかなか争いが消えない感じがする。何度か取材して、悪感情が消えるには相当の時間がかかるな、というのが印象だ。
女性は、政府+マンデルソン氏が進めようとしている、ヒースロー空港の新滑走路建設に抗議をするための行動だった、と説明した。マンデルソン氏は上院議員で、任命されて議員になったので、国民からの信任を受けていない、とも言っているようだ。
顔にカスタード・ソースがぶちまけられた瞬間や、顔を洗ってきれいになったマンデルソン氏のインタビュー、女性へのインタビューが全てBBCサイトで見れる。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/7928946.stm
女性は、他に選択肢がなく、民主主義も役にたたないからカスタード作戦を起こした、と述べている。その昔、女性が選挙権を得るために身をなげうった事件(1913年、エミリー・デービソンが、当時の王が所有していた馬が競馬に参加中、馬の前に身を投げ出して、抗議の意を表明。4日後に死亡)などを例としてあげた。しかし、選挙権を持ちたいと願ったデービソン女史は自分の身体を抗議のために捧げたーー一方この女性は相手にカスタード・ソースを投げつけた・・・。
どうもこうした「一歩踏み越える」部分が、危うい感じがしてならない。まあ、カスタードだったからいいが・・。これが危険な物質だったら「テロ」になっていた。
http://www.houkon.jp/galac/index.html
英テレビ界では景気の悪い話が続く。民放最大手ITVが600人規模の人員削減を発表し、ファイブも87人ほどを削減する、という報道があった。
http://www.houkon.jp/galac/index.html
http://news.bbc.co.uk/1/hi/entertainment/7923563.stm
チャンネル4も苦しんでおり、資金不足を埋めるために、BBCの受信料の一部をもらえるようかなりロビー活動を続けていたが、今のところ、BBC側の拒絶で実現していない。
問題は、BBCの1人勝ち状態になりつつある点だろう。受信料の値上げ率がBBC予測よりは低かったとはいえ、とりあえず、毎年、一定の額が入ってくる。この中で、安心して予算を組めるのだ。
ITVはどうもBBCと比べて低所得あるいは低クラスの視聴者をターゲットにしているように見える。切り裂きジャックをテーマにした刑事ドラマ「ホワイトチャペル」(1月放送)は、お堅い、アッパーかアッパーミドルクラスの上司と、ワーキングクラスの部下(年上)との確執を描いて見せた。あまりにもある意味では戯画化されていて笑ってしまうほどだったが、古臭い階級闘争をちらりと入れて、この年上の部下と同じクラスに属する人々(=大多数の人)を引き込みたいと思ったのか。
BBCのプレスリリースによれば、日曜の夜放映されている、「Lark Rise To Candleford 」というドラマの3回目のシリーズの制作が決定されたそうだ。やや退屈な昔の田舎町のドラマだが、日曜の夜にはぴったりで、じっくり、かつくつろいで見れる。地味なドラマで、最初は人気が出るまでに時間がかかったが、今は評価が高くなっているようだ。最初は視聴率が取れなくても、地味なドラマでも続けられるのは、やはりお金があってこそ、だ。
http://www.bbc.co.uk/pressoffice/pressreleases/stories/2009/03_march/06/lark.shtml
ITVもチャンネル4も、数年後には経営者が交代している可能性が高い。
不況でBBCの1人勝ちという状況がエスカレートするのは、多様な視点を提供する、良い意味の競争という点から、良くない傾向だと思う。