小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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1888年に創設された、ロンドンの外国プレス協会(FPA)が現在の場所から引越しをすることになり(家賃が払えなくなったので)、24日、最後のパーティーがあった。これまでの建物は、グラッドストーン元首相が住んでいた場所。地下鉄ピカデリーサーカス駅から歩いて数分である。イランの政争やウインブルドンのテニスの報道で忙しい人ばかりのせいなのかどうか、思ったよりは来た人が多くない感じがした。

 2005年から2006年ごろ、お金の管理をしていたインド人のウダイ・バジェカルという人が使い込みをなどしていたことが発覚し、これを最初に通報した(ウイッスルブローアー)人が辞め、バジュカル氏も4万ポンド(当時で800万円ぐらい)を払い戻す、という恥ずかしい事件があった。これがきっかけで、いったん、外務省が資金の支援をストップした。その後、財再援助は復活したけれども、前と同程度にはいかなかった、という説明が昨日あった。現在の場所の家賃は年間6万ポンドとも10万ポンドとも言われている。

 協会の会長はメンバーに向かって、「新しいオフィスでやっていこう。私たちはまだ死んだわけではない」と宣言したが、まだオフィスがどこになるか決まっていない。2つほど候補はあるようだが。もうすぐ出て行こうというのに、まだ次が決まっていないのだ。

 FPAは、何でも、外国記者のクラブとしては世界でも古い方に入るという。

 何故ここまでひどいことになってしまったのだろうと自問(自答も)。前に進むしかないわけだが、それでも、集まる場所がないのでは、それはもう「クラブ」とは呼べないと思う。

 何故英外務省が何もしなかったのだろう?外国記者の活動は一種の外交官的役目もあるはずだ。前に、ミリバンド外相がFPAに来た時、談笑だけしていて、スピーチを全くしなかったのが不思議だったが。仕事の内容こそ違え、広い意味では仲間であるし、外務省がお金を出しているのだからパトロンでもあるのだから、一声欲しかったが。気が入っていない感じがした。

 大手銀行・200年以上の歴史のある銀行=ベアリング=も、少し前に亡くなったジョージ総裁の時に、つぶれた。誰も助ける人がいなかった。日本でこれを知った時、驚きだった。銀行をつぶすなんて・・・。

 英国ではだれしもが(大雑把な言い方だが)、何らかのクラブに入っている。私が入ったのは7年前で、最初の日、恐る恐る重いドアを開け、カーペットを敷き詰めたらせん階段を歩いていったものだった。たくさんパーティーもあって、ネットワークを作り、好きなことをしゃべり、よく飲み、食べたものだった。いろんな人にも会った。「私は日本人は嫌いなのよ。でも、友達になりましょう」といって、にっこり笑ってくれた、中国のラジオ放送の女性キャスター。今は北京に帰った後、再婚して、サンフランシスコにいる。

 FPAは毎年秋に、「メディア賞」ということをやっていた。英国の最高のジャーナリズムに賞を与える、というもの。毎年、この発表会を大手ホテルでやっていた。そのとき、本当にたくさんの人がやってきていた。政界、メディア界、ビジネス界・・・。あの人たちは一体どこに行ってしまったのか?がらんとした記者会見室の写真を撮りながら、そんなことを考えた。
by polimediauk | 2009-06-26 08:03
 英「エコノミスト」が順調に利益を伸ばしているようだが、今後は好調が続かないかもしれないという。世界中の会社の業績がよくなく、これに影響を受けることが見込まれるからだ。FTに出ていた3月末決算の数字によると、営業利益は前年比26%増で、売り上げは17%増、税引き後の利益も18%増。

The Economist predicts challenges after record profit
http://www.ft.com/cms/s/0/bd0683de-5f86-11de-93d1-00144feabdc0.html

年次報告書
http://www.economistgroup.com/pdfs/Annual_report_2009_final.pdf

 平均発行部数(昨年7月から12月時点)は、毎週139万部で、6・4%の増。部数が大幅減の英新聞からすれば、うらやましすぎるぐらいの数字だ。

 エコノミストにやや気になる記事が6月18日付で出ていた。

Talk about that
http://www.economist.com/sciencetechnology/displaystory.cfm?story_id=13855374

 これは私が時々不思議に思っていたことでもあるのだが、ネットやTwitter,あるいはアイフォーンでもいいのだが、ネットの世界あるいは新聞でもよく書かれているトピック・現象に関して、「果たして、社会全体で言うと、どれぐらいの比率の人が実際にやっているのだろう?」ということだ。大騒ぎする割には、である。

 ブログにしろ、ネット言論にしろ、これにアクセスできない(金銭的かもしれないし、時間かも、あるいは通信環境のせいなど)人はたくさんいるに違いない。アイフォーン一つを取ってみても、私も含め、「高いなあ・・・」と敬遠してしまう人は多いだろう。

 そこで、このエコノミストの記事になるのだけれども、ネットの世界が普及したといっても、実際には「読める・書ける」という能力を使い手が持っていることを前提としている、と。IBMのインドの研究者Guruduth Banavarという人が、「識字能力が低い人でも、ウェブサイト作れるようにするにはどうするか」と考えた。アドレスをタイプするのでなく、あるサイトに「電話」して画面上に出るように呼び出すと、声による指示と指でキーを押すことで、情報を取得できるようにする・・・。(おそらく、目が不自由な人向けに既にソフトがあるのだろうから、それを発展させたものなのか、どこが違うのかは??だがー。博士はまた、この「電話をかける」部分を無料にできないかということも考えているようだ。)
 
 elmoiyさんが教えてくれた、エコノミストに関するサイトです。エコノミストはどんな雑誌か?に関して、かなり詳しく載っています。外資系の投資銀行に勤めている方が運営されています。 
 http://www.the-economist.biz/
by polimediauk | 2009-06-24 19:41 | 新聞業界

アイフォーンと英語

 アイフォーンの3G版が米国では6月上旬、こちら英国では17日から販売になった。安い方が99ポンド(1万5000円ぐらい)と聞いて、心を動かされる。高いほうはその倍ぐらい。しかし、果たして思い切り使ったら毎月いくら払うのか、買い切り(英国ではこちらを利用する人も多い。私の現在の携帯もそうである)の方がいいのか、それに第一、PCのように外国語つまりは日本語を使えるようにソフトをダウンロードできるのだろうかー?誰に(英国では)聞いても分りそうになく、携帯販売の店に行っても、「え?日本語、いやー、それはちょっと」となるのがおちなので(すべてが日本語試用のブラックベリーを販売している広告はよく見るのだが)、困ったなあと思っていた。第一、ネットの使用料金がどうなるのかが、分らないー。日本でもたくさんアイフォーンの本があったが、日本にいる読者向けだしなあ、と。

 分らないことばかりなので、書店で「The Independent Guide to the iPhone 3G」という平積みの本を買った。電車の中で読んでいたら、非常に分りやすい。私のようなスマートフォーンの経験がほぼゼロのような人間でも分るように書かれてある。料金も、毎月どれだけのコースがあって、機器の料金も含めれば、年に(といっても1年半の契約)どれぐらいトータルでかかるかが分った。ネットも基本はワイヤレスで、BTオープンワールドというワイヤレスのサービスが無料で使えるそうだ・・・。やや安心。

 私は旅行、出張など家を一定期間はなれる時はACERというところから出ている、ネットブックという小型ラップトップをもっていく(「ラップトップ」かどうかは別として)。この春、日本でも量販店に並んでいた。何しろ、安いのだ。240ポンドぐらい(4万円?)で・・・買ったのは昨年ぐらいだったか、おととしだったか?後で外付けDVD・CD書き込みのデバイスを買った(1万円弱)ので、投資は300ポンド、つまりは5万円ぐらい。1・3キロぐらいなのだが、これでも私には重い。もって歩いていると肩が疲れる。ACアダプターもこちらはでかいし、バッテリーは2時間ぐらいしか持たないのだ。・・・なので、ちょっとやそっとでは外に持って出ないことにしている。出張の時でさえ、基本的に書くのはホテルを中心にしたい・・(と思っても日本語が使えるPCは会場にはないので、そうもいかないが)。

 重さの関係と外に出た時ぐらい目を休めたいので、PCを持ち歩かない私だが(電車は本や新聞などを読むのにすごくよいのである)、アイフォーンは自分で使ってみないといろいろ分らないこともあって(私の場合、ありすぎて)、いよいよ・・・・買ってみることになりそうである。

 ・・・というのは長い前置きだったのだが、私が心の師としている、時事通信の湯川鶴章さんが、ブログ上で、「英語を学ぼう」という試みを開始した。その1つの方法がアイフォーンなどを使って、英語でメール(TWITTER)や動画を送りあうなど。「アイフォーン3Gは過去最高の英語学習ツールになる」、という6月18日付のエントリー。

http://it.blog-jiji.com/

http://it.blog-jiji.com/0001/2009/06/post-3012.html


 こういうことをどんどん行動に移すのがすごい!こういう風に、どんどん、やるべきなのだ、いいことは。

 「英語をどうやって勉強するのか・したのか?」と、最近良く聞かれる。このテーマは日本人にとっては、深い(だろう)。書店に行って、本棚を見れば分る。こういうことを、本気で考えてもいいのだろう。つまり、「お金をかけずにやるには、どうするか?」

 英語力(外国語力)は、本当に機会があれば、やっぱりその言葉を話す国にいくか、友達を作るか、仕事でやらざるをえなくなるか・・・そんな状況に身を置くのがいいだろうけど、私の昔の大学の先生で超有名な翻訳家の柳瀬尚紀さん(ルイス・キャロル、ジェームズ・ジョイス他)は、著書の1つの中で、「あせること」と書いていた。3回ぐらい、「あせること」とあって、段々,字が大きくなる。

 外国語を学ぶ、上達するには、さて、どうするか?

 私が考えるには、すごく簡単に言い過ぎるかもしれないが、非常に、非常に、本当に単純な話―。勉強することしかないと思う。時間を費やすことしかないと思う。ダイエットと同じだ。やせたければ、普通は、食べ過ぎない+適度の運動。ただただ、やるしかない。

 ただ、世の中にはもっともっと大事なこと、おもしろいこと、必要であろうことが山のようにあるのだろうし、「やりたい人+必要のある人が、ただただ一生懸命やる」-。これしかない感じがする。それ以上でもそれ以下でもない。時間を費やしただけ、上達すると思うー普通は。

 ・・・とここまで書いて、私がぺらぺら+すっごい英語力がある・・と思われても困るのだけれども。(自慢ではありませんが、英検はせいぜいが2級ですーー中学時代は英語が3で、がんばっても4--大学でやっととったぐらいです。その後はがんばって1級もと思いましたが、何故か、年をとってくると、そういうことがばかばかしくなりました。テストで何級とか、いくらのスコアというのが。それと、今も日本語英語の発音です・・。)また、英語力や英語自体に価値を置きすぎる傾向は、むしろ、世界からなくなってほしいと思っている。一般的な話だが。

 「しかし」、英語を学習したいという気持ちを持っている人同士が助け合うというのは、絶対+絶対必要だと思っている。まさに「草の根」である。(私たちは今まで、語学学校の先生などにお金を払いすぎていたのではなかろうか。)
by polimediauk | 2009-06-23 06:27 | ネット業界
日本から帰る直前、銀行がさらに大きくなるニュースがあったと思ったけれども、確か英国ではもう大きくしないという話が出始めていた頃で、「英米と逆の動きになるのかなあ」と思ってみていた。

 6・19付けのFTでジリアン・テット記者が、銀行の大きさに関して触れている。

When it comes to global banks, size certainly does matter

http://www.ft.com/cms/s/0/2070af96-5c6a-11de-aea3-00144feabdc0.html

 昔は大きくなるのがトレンドで、金融業界の垣根を取っ払って、グローバル・バンクとして通常の預金者を相手にする小売もインベストメントバンク業務もすべてやる・・・という感じだったけれども、例のリーマンの破綻や、それ以前のベアスターンズの危機から、「大きくなりすぎて、破綻でもしたら、もう収拾がつかない」と米英の金融当局あたりが考えるようになった・・・という話。スイス・ナショナル・バンクの次期トップが、国内の銀行に対し、サイズを小さくするようにと指導するかもしれない、といったそうだ。

 イングランド銀行のキング総裁も、金融監督行政は銀行が「大きくてつぶせないように」気を配るべきではないか、といったと。(キング氏はイングランド銀行にもっとパワーが欲しい、とも言っている。銀行を監督するパワーがないのに、インフレを抑えたりすることはできないよ、と。1997年以来の三位体制への文句?BBCのロバート・ペストン記者は「最初は支持していたが、次第に考えを変えたのでは」と分析。)

 テット氏は、今回の金融危機を分析した本を書いている(Fool's Gold)。今読みかけたばかりだが、具体的でとてもおもしろいー今のところは。資本市場のエディターになった時、実はいろいろなことが全く分らなかったのだけれども、自分とは全く風習が異なる世界の場所に行っていろいろな風習を学んでいった時のように、段々と学んでいったそうだ。彼女は長銀から新生銀行への転換を本に書いて、これは日本では評価されなかったと思うのだけれど、今度の新しい本はどうなるだろう。

 日英で金融危機に関する本がたくさん出ていて、すこしだけ私も読んだが、あるとき、日本の新聞社がまとめた本を読んでいたら、突然気づいた。「これは日本を中心にして、書いているな」と。当たり前かもしれないが、「世界の・・・」とかつくと、「海外の話かなあ」というイメージがあった。世界で起きる事象をトピックにして書いていても、それが日本の読者に向けて書く場合、日本のことを中心にして書いているーー例えば、アメリカの経済の話を伝えるとき、日本で読んでいてびっくりしたのは、「円」で表記がまずあること。普通、「ドル」でそれから括弧で「円」かなあと思ったのだが。アメリカの話で、円・・・となると、いつも頭に??がついていたものだった。視点が違うのだ。その点、おもしろかった。
by polimediauk | 2009-06-21 08:24 | 新聞業界
 英国では重大な刑事事件に関し陪審制度をとっており、国民の間でも陪審制に対する支持率は一般的に高いが、このほど、この制度を使わずに裁判を行ってもよいというケースが出て、大きなニュースになっている。なんと、イングランド・ウェールズ地方(スコットランド、北アイルランドは別の法体制を使っているため)に限ると、過去400年ではじめてのケースだそうである。18日、控訴院が出した判断。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/8106590.stm
http://business.timesonline.co.uk/tol/business/law/article6528322.ece

 これはどういう意味を持つのだろう?長い歴史を持つ陪審制度=普通の市民によって裁かれるーーの揺らぎということなのかどうか。(まあ、そこまではいかないのか?)

 この刑事事件とは、2004年、ヒースロー空港近くで起きた大規模な強盗事件。4人の男性による強盗団が、170万ポンド相当(約2億7000万円)を盗んだとして容疑者になっている。これまでに3回も(2005年、2007年、そして昨年)、裁判が行われたのが(陪審制度を使って)、最後の評決が出ずじまいで、その理由は、陪審員らに対する脅しなどがあったからだった。検察側は、これでは裁判がうまくいかないと、4回目の裁判は陪審員を使わずに裁判をして欲しいと訴えており、最終的にこれを認める判決が出た。

 「リバティー」など、人権団体は、「危険な先例ができた」とこれに異を唱える。つまり、陪審員がいなければ、裁判官だけで決めてしまう=「密室裁判」、何か不正が起きるかも、と。また、リバティーの代表がチャンネル4で昨日言っていたのは、「こんなことをすれば、証言者として裁判に出る人が、出にくくなる。陪審員の身柄も保護できないなら、証言者としては怖くて参加できない」と。

 陪審制度なしに行われた刑事裁判は北アイルランドやスコットランドでは珍しくない。リバティー代表によれば、「北アイルランドではカトリック系住民とプロテスタント系住民の間の溝が大きく、陪審制を使ってもうまくいかないという想定での特殊な状況がある」。

 タイムズが先月、ある裁判の陪審団長が裁判の行方に疑問を呈した記事を掲載した(2007年)ことを巡り、「法廷侮辱法違反」として、罰金をかされている。(タイムズは現在、控訴を申請中。)

 陪審制がすぐなくなるわけではもちろんないが、紆余曲折しながら続いているのだろう。
by polimediauk | 2009-06-19 19:45 | 英国事情
 ブロガーのプライバシーはどこまで守られるのだろうか?16日、今後の英ブログ界の一つの規範になってしまいそうな判決が出た。

 ランカシャー州の警官、リチャード・ホートンさん(45歳)――もう報道されてしまっているのだから、ここは実名でーーは、NightJackという名前で、自分の仕事に関わるエピソードなどをブログに書いてきた。約50万人の固定読者がいたという。今年4月には、優れた政治の著作に送られる「オーウェル・プライズ」という賞を受賞したぐらいで、大変人気があり、かつ内容も優れているというお墨付きがついていたといってよいだろう。

http://en.wikipedia.org/wiki/Orwell_Prize

 ところが、タイムズ紙の記者がホートンさんの個人名をブログの内容から割り出し、これを紙面で報道しようとした。報道を止めるため、ホートンさんは出版社に報道停止令を出すように依頼したが、裁判所の判断で、この願いは却下された。理由は、「ブログは基本的に、個人的な活動というより、公的な活動であり」、ホートンさんには匿名のままでいることへの(報道停止令が出せるほどの)「合理的な期待」はないと判断されたからだ。

 ブログの中で、ホートンさんは自分が関わった事件の捜査に関して(ただし具体的には分らないように)書いたり、政治家の数人を嘲笑したり、警察から捜査を受けている市民は、「司法体制や共に働く仲間に尊敬の念を見せない警察官には文句を言うように」などと書いた。もし実名が出れば、懲戒処分にあうことを理由に、ホートンさんはタイムズの報道停止を願っていた。

 今回の事件は、官庁や警察、病院などに勤務し、仮名を使ってブログを書くブロガーたちにとって、厳しい警告となった。

 現在、ホートンさんのブログは削除されている。また、ホートンさんは、書面での警告を上司から受け取ったという。これ以上の処分などはないと伝えられている。
 
 それにしても、こんなことがあっていいのだろうか?表現の自由に関わる問題ではないのだろうか?裁判官は頭が固いのではないか?タイムズの関連記事を見ると、「何で、報道したんだ?」、「おかげでブログが閉鎖された」など、怒りのコメントが多い。「何故?」といわれたら、やはり・・・お金か?どんな記者もスクープが欲しい。発行部数を増やしたい。オーウェル賞を取った人の実名なんて、かなりのスクープだ。しかし、下品なスクープでもあるだろう。おそらく、メディアの一部では、タイムズ以外に知っている人もいたのだろうから。あえて書かない、と。こういうことをすると、タイムズ=「やっぱり、マードックの新聞だなあ」と言われてしまう。

 実際のところ、一体、今後、お役所や政治家秘書で働いている人たちが、匿名でブログを書こうとしたら、やりにくくなるのではないか。既に匿名でやっていて、かなり人気のあるブログのいくつかが、これまた実名報道の後、閉鎖されるのでは、という懸念もある。

 もっと詳しく知りたい方は・・・。

http://www.guardian.co.uk/media/organgrinder/2009/jun/17/nightjack-blog-times-silenced

http://www.guardian.co.uk/media/2009/jun/16/anonymous-work-blogs
by polimediauk | 2009-06-18 18:03 | ネット業界
 イランの選挙の結果が混迷で、こちらでは大ニュースになっている。

 同時に、16日には、将来の英国のデジタル政策を決める「デジタル英国」という報告書(240頁以上)が出た。その中で、ニュースの重要性が語られており、多様な視点を持たせるためには、BBCだけがあるのではダメで、完全デジタル化移行のために使われるテレビライセンス料を、将来的に(デジタル化が終わったら)、民放ITVなどのニュース制作にまわそうではないか、という案が示された。

 そこで昨日の夜(16日)の時点の話だが、何でも、イランでは外国報道陣に行動制限がかせられている、という。特にBBCの記者陣は動けないようだった。BBCの放送をイラン国内では自由に聞けないように、スクランブルがかかっている・・・ということをBBCの編集者などがブログに書いていた。そこで代わりに現地から送ってきた、市民の携帯で撮った映像や、TWITTERのつぶやき、それに、マイクを持ったままのジョン・シンプソン記者の推測・聞いた話の報道があった。

 ところが、チャンネル4、ITVなど、ITNというところが作っているニュースには記者が取材した映像が出ている。詳しく比べたわけではないが、いささかショックである。つまりは、「BBCを含めた外国報道陣は取材ができない状態」というよりも、「BBCができない」ということか、とも思う。

 しみじみ、BBCだけが英国の取材陣ではなくて、良かったなあ・・・と思うわけである。英国のニュースがBBCだけになってしまったら・・さぞ窮屈、さぞお上の放送ばかりになってしまうことだろう。BBCは時として、自分=世界、自分=すべて・・・と論理をつなげることがある。これがつらい、と思う。

 イラン・・・。市民の怒りや不満が爆発しているようだ。最終的によい方向に行けばいいが。選挙の見直しになるなんて、よっぽどである。

 (それにしても、英国って中東の一部だっけ?と思うほど、中東のニュースが多い。歴史的なこともあって、濃いつながりがあるのは分る。アフガニスタンに人を送っているせいもあるし。それにしても・・・である。「中東で勢力を拡大しようとしているんでしょ?」とイランの人の一部がかんぐるのも無理はない・・・。)
by polimediauk | 2009-06-18 01:10 | 放送業界
 ネット・プロバイダーにしろ、電話通信会社にしろ、放送局にしろ、どんなサービスをどうやってネット上で提供するかで熾烈な競争が起きている。

 ケーブル・サービスあるいはネット・プロバイダーの1つ、バージンメディアが、ユニバーサル・ミュージックと提携し、無制限に音楽ダウンロードができるサービスを提供する。

http://www.ft.com/cms/s/0/509ee3a8-59c3-11de-b687-00144feabdc0.html

 ネット上での違法音楽ダウンロードが横行しており、これに対抗するための、1つの方法ともいえる。このサービス自体は有料だ。ただ、今のところ、金額がいくらになるか、バージンメディアは明らかにしていない。バージンメディアのネットサービスを使って、違法ダウンロードを繰り返す契約者にはネットへのアクセスを遮断するという措置もとるそうだ。

 ユニバーサル・ミュージックでダウンロードできるアーチストは著名な人がたくさんいて、例えば、こちらで大人気のエイミー・ワインハウス、それにボブ・マーリーやエルトン・ジョン。バージンの契約者は追加料金を払い、このサービスを利用する。

 バージンの新サービスの発表が今日になったのは、「デジタル英国」という、デジタル時代の英国の通信サービスのあり方の枠組みを定める最終報告書が、明日発表される、というタイミングがある。報告書には違法コピー取締りの方策などが入る見込みだ。

 FTによれば、バージンは他の音楽レーベルとも交渉中で、クリスマスまでには新サービス開始を予定している。やや先の話だが、他のプロバイダーかあるいは他の企業もこれに追随するかもしれないな、と思う。

 一方、BT(英国最大の電話・通信会社)だが、BBCの大人気アイプレイヤー(見逃した番組などをオンデマンドで無料で見れるサービス)やユーチューブなど、ネットでテレビ番組や映画を観る人が増え、これがネットプロバイダーのサーバーに負担をかけるとして、BBCなどに対し、料金を負担するべきだ(プロバイダー側にお金を払うべき)、とBT小売部門の幹部が言ったそうだ。

 http://www.ft.com/cms/s/0/28c07ae8-55ec-11de-ab7e-00144feabdc0.html

 また、明日発表の「デジタル英国」では、BBCのテレビライセンス料を、ITVに一部回すべき、という案が入る模様。BBCはどんなに怒るだろうか。BBC始まって以来、他の放送局とライセンス料を分けたことはないはずなのだ。チャンネル4とBBCの商業部門BBCワールドワイドが提携・・・という案は入らなさそうだ。BBC側からの反対論が強かったらしい。
by polimediauk | 2009-06-16 06:38 | ネット業界
 チャンネル4が、過去に放映した4000時間分の番組を無料で見れるようにするそうだ。試験版は6月25日開始で、本格的には7月上旬から。

 チャンネル4の番組は、4ODというソフトを使って、放送局のウェブサイトからダウンロードできるが、放送日からxx日・・と区切らずに、過去の番組=アーカイブとして開放することにした、というもの。4ODはウインドウズのコンピューターのみで使えたが、今度はどのコンピューターでも使えることになる。

 4000時間(約1万の番組)というのは、チャンネル4のこれまでの番組数から言えばほんの一部だが、チャンネル4によれば、放映権などに関わる問題がクリアになったものをこれに追加して、どんどん増やしていくという。無料で見れる、というのが太っ腹である。

 民放最大手ITVは番組アーカイブをどうするのか、まだ計画を発表していない。メディアガーディアンによると、である。ITVとBBC,チャンネル4は、「カンガルー」というプロジェクトを立ち上げて、共通のサイトを通じて無料あるいは有料で過去の番組を見れるようにしようとしたが、今年2月、競争防止委員会から「やってはダメ」ということなって、あきらめざるを得なくなった経緯がある。今は、BT,BBC,ITVで「プロジェクト・キャンバス」を計画しているのだけれども。

 BBCのアイプレイヤーは過去7日間に放送された分のみに限っている。これ以上やるには、BBCトラストという経営委員会のお許しが出ないとできない。しかし、BBCのアーカイブプロジェクトも今進んでいる最中で、今のところいつ公開になるかは未定だ。

 チャンネル4のアーカイブ4000時間にどこまで過去のものが入るのかは分らないが、NHKの過去の番組視聴サービスが額は大きくなくても有料と聞いているし、チャンネル4が「無料」というのは、いいなあと利用者側からすると思う。無料+広告入り、ということになるのだろう。無料にしないと・・・・やっぱりやっていけないのだろうなあと思う。

http://www.guardian.co.uk/media/2009/jun/07/channel-4-back-catalogue-online-free
http://www.guardian.co.uk/media/pda/2009/jun/10/channel4-bbc
by polimediauk | 2009-06-14 05:21 | 放送業界
 ロンドンでは48時間の地下鉄ストがようやく終結したもようだ。

 今週、久しぶりに夕刊「ロンドン・イブニング・スタンダード」紙を買ってみると、ずい分きれいになったのに驚く。編集長(富裕層向け雑誌の元編集長)を変えた成果があがっているようだ。前のスタンダード紙は色合いがあまりよい感じでないように思っていたが、無料紙「ロンドンペーパー」やガーディアンのウェブサイトを思わせるような色使いや線の使い方をしている。一言で言うと、きれいな感じ。中味も、確かに少しレベルをあげた感じ(どこがどうというのが難しいのだが)で、より給料を高くもらっている、過分所得の高い人、より知的な人にターゲットをあわせたようだ。まさに新たな大株主でロシア人のアレクサンドル・レベジェフ氏がやろうとしていた方向性となる。こんなきれい紙面の新聞を売るのだったら、販売員も少しはハッピーに違いない。買うとき、販売員がとても丁寧で、「サンキュー」と笑顔で言っていたのも、これまでの違いだ。新たな社員教育をしたのかもしれない。良い人だけを残したのかもしれない。

 このレベジェフ氏が、インディペンデント紙とその日曜版インディペンデント・オン・サンデーを買う、というニュースが「メディア・ウィーク」で報じられていた。

http://www.mediaweek.co.uk/news/912498//

 その筋の話によると、交渉は最終段階に入っており、今月末にでも合意、発表がありそうだという。両紙を所有するインディペンデント・ニューズ&メディア社の大株主デニス・オブライエン氏は、かねてから、所有新聞の数を減らすようにと経営陣に言っていたそうだ。社の税引き前利益は昨年、前年比で99%減。これは発行部数と広告収入の減によるものだそうだ。

 ジャーナリストたちが立ち上げた新聞、インディペンデント。創始者の記者たちは今どんな思いでいることだろう。よりによって、ロシア人富豪に買われるとは。
by polimediauk | 2009-06-12 04:03 | 新聞業界