小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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 野党保守党党首デービッド・キャメロン夫人のサマンサさんに注目が集まっている。今月上旬開催された保守党党大会では、著名小売店の水玉のワンピース姿を披露。名門家庭の出身でリッチなサマンサさんが庶民が買える値段の洋服を選んだことで、国民に親しみやすい印象を与えることに成功した。次の総選挙で保守党政権が成立すれば、サマンサさんは首相夫人となる。一体どんな人物なのだろう?「英国ニュースダイジェスト」(10月29日号)に掲載された原稿に、一部補足したのが以下である。

 
 来年、首相夫人になるかも?
 ーサマンサ・キャメロンさんの魅力


―サマンサ・キャメロンさん(38歳)のこれまで
1971年4月18日:サマンサ・グウェンドリン・シェフィールドとしてロンドンで生まれる。ノース・リンカンシャー州の大邸宅で育つ。ウィルトシャー州の名門私立校マルボロ・カレッジで学ぶ。芸術専攻の学生時代、イタリアでの休暇中、デービッド・キャメロン氏と出会う。1996年、キャメロン氏と結婚。
2001年、夫が保守党議員に当選し、05年保守党党首に。子供を3人(男児2人、女児1人)を出産するが、障害を持って生まれた長男イバン・レジナルド君が今年2月、死亡。高級文具「スマイソン」社のクリエイティブ・ディレクター、高級インテリアグッズの店Okaの共同経営者でもある。夫と一緒の写真を撮られることは多いが、メディアを通じて発言することはほとんどない。カジュアルかつ清楚なファッションで夫のイメージ・アップに貢献。通称「サム」。

―その家柄は

 サマンサさんは両親(父レジナルド・シェフィールドさん、母アナベル・ジョーンズ・シェフィールドさん)の長女。名門私立校イートン出身の父は子爵で、リンカーンシャー州の土地所有者。約1キロ平方に広がる邸宅「ノーマンビー・ホール」は16世紀からシェフィールド家が所有してきた。先祖の1人はヘンリー8世(1509-1547年)の時代の下院議長だった。両親は結婚から5年後離婚した。母はウイリアム・アスター氏(アスター準男爵、メージャー政権で大臣職に就任)と再婚し、アスター準男爵夫人となった。母は高級インテリアグッズの店Okaを娘と共同経営している。

―一方、サラ・ブラウン(ブラウン首相夫人)さんは

1963年、バッキンガムシャー生まれの45歳。父は出版勤務で母は教員だった。ブリストル大学で心理学を学び、友人とPRコンサルティング会社を立ち上げる。2000年、ゴードン・ブラウン氏(現首相)と結婚。生後10日目で亡くなった1女と2人の息子を出産している。07年、夫が首相に就任する。それまではあまり表舞台に出なかったが、08年の労働党党大会では舞台上で夫の素晴らしさを賞賛。ブラウン首相の明るいイメージ作りに大きな貢献をした。今年の党大会では夫を「私のヒーロー」と呼んだ。ツイッターでは英国で最大数となる約77万人のフォロワーを持つ。いつの間にか首相よりも人気が高くなった。

―他の政治家のパートナーたち

*ミッシェル・オバマ米大統領夫人
 元弁護士。ファースト・レディーとして夫の外遊に随伴したり、学校を慰問するなど、公的行事にかかわることも多い。米「ピープル」雑誌の2008年ベストドレッサー賞受賞。訪英の際には女王の背中に手をやり、英国では物議をかもしたが、でしゃばらず、かつ影に隠れることもなく、その評価は今のところ上々だ。

*カーラ・ブルーニ仏大統領夫人
 モデル、歌手、実業家。愛くるしい顔にスレンダーな肢体で世界のファッション・アイコンに。今月上旬、自分のチャリティー活動などを紹介するために開設したウェブサイトへの訪問者があまりにも多く、クラッシュする羽目に。夫のサルコジ大統領へのダイエットのアドバイスやジョギングのトレーニングが厳しすぎるという意見も。

*シェリー・ブレア元首相夫人
 弁護士というキャリアを持ちながら、チャリティー支援、首相の妻として公務など、忙しい毎日を送ったシェリー夫人。1997年の政権取得の翌日、寝起き姿でロンドンの自宅のドアを開け、これがメディアを通じて世界中に報道された。「でしゃばり」「一言多い」「ファッションセンスが最悪」などさまざまな悪評が出た。「こんな妻を持ってブレア首相はかわいそう」感を引き起こしたという意味では、妻として成功?

*故デニス・サッチャー氏(サッチャー元首相の夫)
 英国初の女性首相となる妻マーガレットを影で支え続けたのが夫の実業家デニス氏。妻が弁護士資格を得るまでの勉学を金銭的に支援したほか、生涯を通じて政治家としての妻をサポート。「ゴルフとジンの好きな愚か者」という役を世間的には演じた。サッチャー夫人は「首相としての11年間はデニスが側にいなかったら実現できなかった」と自伝で書いた。1991年、準男爵に。2003年死亡。政治家のパートナーのかがみと目される。

                  ***

 10月8日、英野党保守党大会で、デービッド・キャメロン党首がスピーチを行った。この時、観客席には、熱心にスピーチに耳を傾る妻のサマンサさんがいた。水玉の半そでワンピースにグレーのパンプス姿で、ワンピース(65ポンド、約9600円)は小売店マークス&スペンサー(M&S)のもので、靴は若い女性に人気のZaraのセール品の組み合わせだった。別の日にはジーンズに手ごろな価格帯のブランド、ユニクロのグレーのセーターを着ていた。

 名門家庭の出身である上に高級文具ブランド「スマイソン」(関連キード参照)で働くサマンサさんがリッチであろうことは衆目の一致するところだが、手ごろな価格のワンピースやセール品、カジュアル・ルックを装うことで、サマンサさんは、自分がそして夫が党首となっている保守党がテレビを見ている中流階級が抱える諸問題を共有できますよ、というメッセージを伝えていた。友人たちによれば、普段のサマンサさんはトータルで1000ポンド相当の洋服を着るそうで、党大会での格好は十分に吟味・計算して選択されたものだった。

 この10日ほど前に開催された労働党の党大会で、夫のブラウン首相のスピーチの前に壇上に上ったのは妻のサラ・ブラウンさん。私生活では手がかかるるが、いつでも国民のことを考えている夫は「私のヒーロー」とほめあげた。一方のサマンサさんは、スピーチ終了後、舞台に上り、夫とキスを交わしたが、一言も発言しないままに壇上から降りた。その代わり服装でさりげなく夫と保守党を支援していたのだった。

 複数の世論調査を見ると、保守党は労働党を20ポイント近く引き離しており、来年6月頃までに行われる総選挙で、保守党が勝利する可能性は高いと見られている。次期首相夫人と目される「控えめ」サマンサさんは、一体どんな人物なのだろう?

 サマンサさんは現在38歳。子爵の父を持ち、大邸宅で育った。13年前にキャメロン氏と結婚し、3人の子供を生み(一人は今年2月死亡)、スマイソンのクリエイティブ・ディレクターとして働く。趣味の1つはヨガだそうだ。夫は「もっとも信頼できる人物」と呼ぶ。
 
 2000年、夫が保守党議員候補者選定の演説会で、最悪のスピーチを行った時、これをはっきりと本人に指摘したという。政治に関する関心は大で、現在保守党が強調する「近代的な保守主義」の柱の一つである、社会福祉に重点を置く政策はサマンサさんのインプットに大きくよるもの。同性愛者の権利、多文化主義、環境保全問題に夫の関心を向けさせたのもサマンサさんの功績による。学生時代は緑の党に投票し、交際相手が保守党員であることを知って、「当初は交際を断られた」(キャメロン氏談)ほどだった。

 サマンサさんにとって痛恨の「事件」が2007年にあった。スマイソンのロス店舗開設を記念し、自宅で米雑誌の取材に応じたのだが、英メディアは「夫の立場を利用している」と批判した。サマンサさんは現在でもこの時の行動を「後悔している」と言われる。ますます、「政界と私生活を分けよう」と自分に誓ったという。

 サマンサさんの生の声がメディアを通して伝わることは、現在殆どない。私生活は外に出さないのがサマンサ流のようだ。サンデータイムズ紙の記者によればサマンサさんは「驚くほど温かく、気さくで、リラックスしている人物」だ。


―政治家の妻の役割とは?

  サルコジ仏大統領の妻で元スーパーモデルのカール・ブルーニさんやミッシェル・オバマ米大統領夫人など、近年、その国のトップの政治家のパートナーに注目が集まることが多くなった。

 ブラウン首相の妻サラさんは長い間陰の存在だったが、昨年の労働党大会で夫のスピーチの紹介役として壇上に上がったところ、首相のイメージアップに一役買った。その後は著名人とコンサートに出かけたりチャリティー活動に力を入れたりと表に出るような活動に従事するようになり、ソーシャル・ネットワーキング・サービスのツイッターでは国内最多のフォロワーを持つまでに至った。サラさんは首相よりも人気がある人物ともいえるまでになった。

 しかし、サラさんは夫のように政治家として国民から選ばれた存在ではない。果たして政治家のパートナーはどこまで相手の政治活動に協力・介入するべきなのか?議論は始まったばかりである。今のところ沈黙を通すサマンサさんは、果たしてどんな「首相の妻」となるであろうか?

―関連キーワード

Smython of Bond Street: スマイソン・オブ・ボンドストリート。ロンドンに本拠地を置く、高級文具、皮製品、ファッション・ブランド。フランク・スマイソン氏が最初の店舗をニューボンド・ストリートにオープンしたのは1887年。現在は旧店舗の真向かいに本店を置く。顧客には古くはビクトリア女王、女優の故グレース・ケリー、歌手マドンナなど著名人も多い。同社の手帳やノートには、創業者が発明した羽のように軽い紙が使われている。独特の薄い青色は「ボンド・ブルー」と呼ばれ、スマイソンのイメージカラーにもなっている。伝統的なブランドであるとともに若者層からはクールなブランドとしても人気で、名家出身で30代の働く女性サマンサ・キャメロン野党保守党党首夫人のイメージとも重なる。
by polimediauk | 2009-10-31 04:41 | 政治とメディア
 ロンドンの無料夕刊紙「ロンドンライト」が近く廃刊となる見込みだ。経営陣が27日、スタッフに伝えた。編集スタッフにとっては寝耳に水だったようだ。

 ガーディアンやプレスガゼットなどが伝えたところによると、

http://www.pressgazette.co.uk/story.asp?sectioncode=1&storycode=44526&c=1

http://www.guardian.co.uk/media/2009/oct/27/london-lite-associated-newspapers

http://www.guardian.co.uk/media/organgrinder/2009/oct/27/london-lite-closure-newspaper-market

 ロンドンライトの廃刊見込みのニュースは夕刊有料紙だったイブニング・スタンダード紙が無料になってからほぼ2週間後、そして、ライバルだった夕刊無料紙ロンドンペーパーが廃刊となってからほぼ一ヶ月後となった。ロンドンの無料紙市場は残すところ朝のメトロと夕刊のイブニング・スタンダードだけになってしまう。もともと、無料紙戦争はロンドンライト(アソシエーテッドニューズペーパーズ社)とロンドンペーパー(マードックのニューズインターナショナル社)との間の戦いを指していたので、無料紙戦争は事実上終えんにむかう。

 両社の経営陣は、経営が成り立たなくなった、見合うだけの広告収入がないなど、やはり経営上の理由で廃刊を決めたようだ。プレスガゼットによれば、ロンドンライトの赤字は毎月1000万ポンド(約14億8000万円、ただし新聞が赤字と言うこと自体は珍しくないが)。

 ロンドンペーパーは約50万部を配布スタッフが路上で道行く人に配っていた。ロンドンライトは約40万部。まず先の50万部が消えた。次に40万部が消える。一方のイブニング・スタンダード紙は有料(1部50ペンス)では25万部ほど売っていたが、無料にしてからは60万部が配布されている。

 ロンドンのウオータールー駅でスタンダードの販売スタンドにいて、約1300部を毎日売っていた男性がいた。この駅に来るたびに売れ行き具合などを聞いていたが、ここ数週間で姿が見えなくなっていた。そして、無料になることが発表された。人員削減の対象になったのかもしれない。無料だから特に販売のスキルはいらないし、ただ手渡すだけなんだから、お金の管理がいらなくなった。こんな仕事では今までの販売員はいらないだろうし、有料で売ってきた販売員からしたら、おもしろくないというか、ただの配布人なんて、いやだろうな。

 イブニングスタンダードはまた有料になる・・・という噂(陰謀説)がツイッターで流れたらしいが。
by polimediauk | 2009-10-28 19:13 | 新聞業界

 時事通信湯川さんのコラムを見ていたら、テレグラフ記事の紹介で、「ツイッターを使って英経済は13・8億ポンドの損失」というエントリーがあった。
10月27日付。

http://it.blog-jiji.com/

 ツイッターを勤務時間に使っている間に、経済が損失を受けているという計算である。本当にツイッターが流行っている感じがするけれども、先の調査では十代の少年少女でなく、20代以上のいわゆる大人がやっているそうだ。

 その前のエントリーで「一般ユーザーってブログを読むものなんだろうか」も興味深い。以下は引用だが:

 ニューヨークのベンチャーキャピタリストのFred Wilson氏は、ブログが既にマスのメディアになった、とブログで書いている。
 でも本当にそうなのだろうか。どうも自分の周りを見渡しても、ブログから情報を入手している人などほとんどいない。RSSリーダーが何であるかを知らない人も結構いる。さすがにネットでニュースを読むようになったとはいえ、読むのは新聞社のニュースサイトの記事くらい。
 一般的な日本企業ってこんな感じなんだろうか。それとも自分の職場(報道機関のデジタル部門)が世の中の流れから取り残されているのだろうか。
(引用終わり)

 英国の一般ユーザーというか、自分も含めた多くの人がニュースに触れるのはラジオ、テレビが多い感じがする。放送局のニュースには信頼性が置かれている。私も、ツイッターでは目利きの人のフォロワーになることで、一歩先のニュースのネタを集めることができるという利点はあるものの、最も一般的な方法はテレビ・ラジオのニュース。生の声がでるし、分りやすい。特にラジオは何か別の作業をやりながら聞ける。BBCのラジオ4という放送局に周波数を合わせて、暇があればとりあえずスイッチを入れる・・・ということを多くの人がやっていると思う。私も定時のニュースにはよく耳を傾けている。ある種、楽である。ただ聞いていればいいのだから。テレビのニュースも、リラックスして見ているだけで刺激がある。

―キャドバリー

 「英国ニュースダイジェスト」(10月8日付)に書いた分に付け足した原稿が以下である。英国はチョコレートが好きな人が多い。何せ、駅のプラットフォームにチョコレートなどの自動販売機がある(壊れていることも多いけれど。)

 最大手キャドバリーが買収される話が最近続いている。調べてみると、大型買収がまた流行ってきている・・・という文脈で書いた分析が多かった。主にBBCやエコノミストを参考にした。また、10月上旬時点の情報を基にしていることをご了承願いたい。

世界製菓市場の覇権争い?
 英キャドバリーに買収提案


 チョコレート製品でおなじみの英大手製菓会社キャドバリーに対し、9月上旬、米食品大手クラフトフーヅが買収提案を持ちかけた。キャドバリーは提案額が低すぎるとしてこれを拒否。世界の製菓業界再編にもつながると見られる買収は果たして実現するだろうか?

―キャドバリー(Cadbury Plc.)とは

世界でもトップクラスの規模の製菓会社。1824年創立。2008年5月まではキャドバリー・シュウェップスが社名だったが、米国の飲料ビジネスをドクター・ペッパー・スナップル・グループとして独立させ、現在の社名に。デーリー・ミルク、ミルク・トレーなどのチョコ製品が特に著名。60カ国で約4万5000人を雇用。2008年の収入は53億84000万ポンド(約7700億円)。

ーキャドバリーの歴史

1824年:ジョン・キャドバリーが紅茶、コーヒー、チョコレート飲料の販売をイングランド地方中部バーミンガムで開始する。後,ロンドンでも販売。アルコール飲料を飲まないクウェーカー教徒であったジョンは、アルコールの代替物として紅茶などの嗜好品を販売したという説がある。
1854年:ビクトリア女王にチョコレートとココアを販売するメーカーに選ばれる。
1873年:ココア使用製品が好評となり、紅茶の販売を停止。
1915年:ロングセラーとなるチョコ製品ミルク・トレーが販売開始。第1次世界大戦中は衣服やチョコなどを前線に送る。
第2次大戦中:チョコレートはぜいたく品とされ、政府の管理下に置かれる。
1949年:チョコレートの配給制が解除される。
1989年:飲料会社シュウェップス社と合併し、キャドバリー・シュウェップス社となる。米国でシュウェップス・ビバレッジ社が設置され、キャドバリー製品はハーシー・ブランドで販売された。
2008年5月:米国の飲料ビジネスが本体と切り離され、ドクター・ペッパー・スナップル・グループ社として独立する。本体はキャドバリーPlcに。
2009年9月7日:米食品大手クラフト・フーヅが102億ポンド(約1兆5600億円)で買収を持ちかけるが、過小評価していると判断したキャドバリー側はこれを拒否。

―買収をもくろむクラフトフーヅ(Kraft Foods)とは

1903年、米イリノイ州でチーズの卸売り業者として設立。1988年にフィリップモリス社に買収される。同社が2000年、ナビスコ社を買収し、クラフト・フーヅと合併させる。クラフトチーズ、フィラデルフィア、ナビスコ、リッツ、オレオなど著名ブランドが多数ある。食品・飲料会社としては、ネスレ、ペプシコに続き世界第3位。世界中に約170の製造工場があり、約9万8000人が勤務する。

ー5億ドル以上の大型買収の件数(資料:エコノミストより)

―2002年:15
―2006年:81
―2009年7月末時点:21

―最近の大型買収

 -8月31日:米ディズニー社がマーベル・エンタテインメント社を買収
 -9月1日:米eBayがスカイプ社の株65%を投資家集団に売却
 -9月8日:仏ビベンディ社がブラジルの携帯電話会社GVTを買収
 -同日:独テレコムと仏テレコムが傘下にある英国の携帯電話会社(Tモバイルとオレンジ)の合併を発表

 駅のプラットフォームにもチョコレートの自動販売機が置かれているほど、チョコ好きの国民が多い英国。紫の包み紙でおなじみのキャドバリー・チョコを販売する、世界でもトップクラスの菓会社キャドバリー社が米食品大手クラフトフーヅ社から、先月、買収提案を持ちかけられ、大きな話題となった。

 オレオビスケットやケンコー・コーヒー、フィラデルフィア・チーズで知られるクラフト社の提案額は102億ポンド(約1兆5600億円)。1株あたり745ペンス(提案直前の株価と比較すると30%増)の買収となる。しかし、キャドバリーは自社を「過小評価している」として、この提案を拒否した。

 クラフトの買収提案の背景にあるのは、世界の食品・製菓市場の覇権争いだ。もし同社とキャドバリーが一緒になれば、合計売上高が500億ドル(約4兆6600億円)に達する巨大食品企業になれる。クラフトはキャドバリーが独占的位置を占める英国の製菓市場への進出はほとんどしておらず、逆にキャドバリーが弱いスカンジナビア諸国やブラジルなどでビジネスが繁盛している。キャドバリーが強い、欧州やラテンアメリカのチューインガム市場をクラフト社のビジネスに加えることができる点も大きな魅力といわれている。

 また、ガムを製造するリグリー社を昨年買収して世界の製菓市場の14%を占めるようになった米マーズ社(マーズ・チョコレートが著名)に対抗できるのも、クラフト社の狙いとされる。マーズ社とリグリー社の提携で製菓市場のトップの座を奪われたキャドベリー側も、これを機に奪回をもくろむ。

 9月30日、英国の買収に関する規制機関「買収委員会」は、クラフト社に対し、11月9日までに、正式な買収提案をキャドバリー側に提出するよう促した。期日までに提出されない場合、クラフト社はキャドバリー社に次の6ヶ月間、買収案を持ちかけることができなくなる。クラフト社は以前の提示案よりも高額の数字を提案するか、今回は買収をあきらめるかの二者択一を迫られている。どのような展開になるのか、予断を許さない状況だ。

―大型買収が戻ってくる?

 今回のクラフト社によるキャドバリーの大型買収提案劇で、好景気時代に続いた巨額買収ブームが戻ってきているのではないか、とする見方が一部で出ている。キャドバリーは提案を拒否したが、他企業も提案を出す見込みを察知した株式市場は同社の株価を上昇させる反応を示した。

 最近の注目買収・売却案件では、米プロクター&ギャンブル社が31億ドル(約2780億円)で薬品部門を売却、ディズニー社がマーベル・エンタテインメント社を40億ドル(約3590億円)で買収などがある。「現金が豊富な企業にとっては関心がある企業を買う最高の時」(英コンサルタント会社役員)ともなり得るのだ。

 クラフト社が期日までに新たな買収額を提示できない場合、ライバルの製菓会社ネスレやハーシーズが買収額を提示してくる可能性もある。チョコレートをめぐる熱い戦いの行く末が見逃せない。
by polimediauk | 2009-10-28 02:04 | 英国事情
 前に英広告の話を書いたが、朝日の「Journalism」という月刊誌(私も時々書かせてもらっている)の9月号で、「広告はどこへ行った」という特集があった。ネットに広告が流れている、そして新聞テレビなどの既存メディアが広告収入の減少で悩んでいるというのは、米英そして日本でトレンドになっているけれども、その理由が具体的に分りにくかった。つまり、広告業界側の本音が見えにくかった。これを解明したのが、この特集だった。

 新聞・テレビメディアにいる人にとってはかなり手厳しいコメントが入っている。でも、本当にこれが広告業界の本音なのだから、こういう現実を前にどうするか?という頭で動いていかないといけないのだろう。

 最初の記事が日本アドバタイザーズ協会専務理事の小林昭さんの話だ。新聞広告に対して否定的な理由は、単価が高く、かつその効果が良く分らない点だという。「800万部、1000万部出ていますからといわれても、それでは納得できません」。マスメディアの広告料が高すぎると指摘して、「テレビも新聞広告も、ビジネスモデルというか商売のやり方がまったく変わっていません。これだけ世の中が大幅に変わっているのに変わっていない。変えようとしない広告会社も悪い。変えないほうが楽だからです。いいかげん、広告主もバカじゃないから気づきますよ」。
 
 マスコミへの注文として、「まずは単価を下げてほしい」という。「フレキシビリティーをもって対応してしてほしい」そして「できれば、伝わった相手のプロフィルまで分るデータがほしいですね」。

 次にあるのがトヨタの宣伝部長の話。ウェブが安いから、ウェブで広告を出す(自社サイトの拡充を含め)という。

 他にも、私自身が目からウロコのコメントがたくさんあった。

―十代のユーザーとネット

 前に、投資銀行ゴールドマンサックスに、15歳の英国人少年が自分たちの世代のネットの利用についてレポートを書き、これが話題になるという事件があった。多くのメディア関係者にとって驚きだったのは、ツイッターを十代の少年・少女たちがあまり使っていない・興味がないと言ったことだった。日々の出来事に関してつぶやきあうなんて、つまらないと。書きたいことがない、と。

 オブザーバー紙(25日付)のJohn Naughtonの「Surprisingly, parts of cyberspace are teenager-free zone」もこの点に注目した。この記事によると、米コムスコア社の調べではツイッターのユーザーの中で17歳以下の人は11%のみ。また、米ニューヨークタイムズの調べではSNSのマイスペースの14%、フェースブックの9%がティーンエイジャーたちだそうだ。

 ちなみに、オフコム(英国通信庁)が定期的に出す「通信市場レポート2009」によれば、2008年5月から2009年5月の間に前年同期比で73%利用者が増えたのがフェースブックで約1900万人へ。ツイッターは同時期で約150万人から260万人へ。SNSは25-54歳の利用者が特に増えているそうだ。

 さらに基本情報を付け足しておくと、英国のデジタルテレビの普及率は89・2%、インターネットのブロードバンド普及率は2009年第1四半期で68%、ロンドンではこれが78%に上昇する。(「英国ニュースダイジェスト」9月10日付ウイークリアイコラムを参考にした。)

ーダン・ギルモア氏によるメディア救済とは?

 少し前に、米コロンビアジャーナリズムの教授と元ワシントンポストの編集者が米国のジャーナリズムの将来に関して、100ページに渡るレポートを出したことを紹介した。このレポート、まだ最後まで読んでいないのだが、米ブログジャーナリズムの先駆者ともいえるダン・ギルモア氏が論評を書いている。(別件だがDan Gillmorは、ダン・ギルモーとやったほうが近い感じがするけれども・・・。)

http://www.guardian.co.uk/commentisfree/cifamerica/2009/oct/19/leonard-downie-newspapers-local-journalism

 「ニュースに救済策はいらない」・・・という題のコラムだ。ギルモア氏が反対しているのは政府のお金を救済に使うこと。報告書は「地方ニュース基金」を作ることを提唱していた。通信業者やテレビ、ラジオの放送免許保持者、ネットプロバイダーなどからお金を集めて、これを地方ニュースの拡充に使う。「地方自治体にお金が流れ、自治体から特定のメディアにお金が配られる」・・・こんな展開にギルモア氏は反対だ。「一体誰がどの自治体にお金が行くべきと判断するのか、最終的には中央政府が決めることになるのでは?」とギルモア氏は問う。

 市場に任せる方を同氏は好むのだろうなあと思う。また、新しいタイプのジャーナリズムはもう既に作られつつある、というのが同氏の持論でもある。

 ギルモア氏は、どうせ政府がお金を出すならば(税金を使うなら)、光ファイバーを全米の隅々にまで走らせることに使ったほうがいいのではないか、と提案する。

 ここ2-3日、ギルモア氏の「光ファイバーをどこにでも」案が頭から消えない。例えば英国の家は殆どの場合、セントラル・ヒーティングがついているのが当たり前になっている。光熱費をどこまで払えるかにもよるが、非常に心地良い住空間ができあがる。メディア環境に目をやれば、どこの家庭のテレビもデジタル・・・というまでには行っておらず、BBCアイプレイヤーも見れない家庭だって多い。アイフォーンなどのスマートフォーンも誰でも持っているわけではない。ネット環境・住環境・一定のレベルの食生活とある程度の収入・健康・・こんな基本部分があるかないかでずい分と人の幸福度や思考の広がり具合が変わることがいくらでもある。いろいろ、考えさせられるコラムだった。
 
by polimediauk | 2009-10-26 20:50 | ネット業界
 インターネットで調査をするYOUGOVの世論調査(テレグラフ紙の依頼)によると、22%がBNPに投票することを「真剣に考えている」という。BBCの番組「クエスチョンタイム」放映後の調査だが、放映で見方が変わったのかどうかは聞いてないそうだ。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/8323638.stm

 しかし、調査に参加した約1300人の中で、「たとえどんな状況でも投票しない」と答えた人は三分の二に上った。実際に明日選挙があったら、投票すると言うのはほんの3%。ただし、以前は2%だったという。また、半分ほどの人が、英国の「先住者、あるいは白人」(BBC)のためにBNPが主張していることには道理があると考えていた。

 特に白人人口が高く、BNPの支持者が多いと思われている地域でのBBC記者の取材では、多くの人がグリフィン党首の出演自体は認めているものの、ナイジェリアからのある移民は子供たちを外で遊ばせることに不安感を感じながら毎日を過ごし、また白人らしい住民の1人は「自分は人種差別主義者ではない」とする一方で、先住の英国人たちが「脇に押しやられている」思いをしていると語っている。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/8322626.stm

 私の親戚のおばさん(白人、70代後半)が、2年ぐらい前に、BNPに投票したいと言っていたことを思い出す。BNP自体を支持するからというよりも、「他に自分たちの生活のことを考えてくれる政党がないから」。

 グリフィン党首の生の声を伝えるインタビューを、「英国ニュースダイジェスト」が昨年掲載している。関心のある方はご一読を。

http://www.news-digest.co.uk/news/content/view/3091/120
by polimediauk | 2009-10-24 18:26 | 政治とメディア
 極右で白人主義の英国国民党(British National Party, BNP)の党首が、昨晩、BBCのクエスチョン・タイムと言う番組に出演し、昨日から今日にかけて、メディアが大騒ぎとなっている。この番組は政治家や著名人がパネラーとして出演し、会場にいる聴衆から質疑応答を受ける、というもの。普段はあまり話しかけることができない大物政治家などに直接声をかけることができる。一般市民が何を考えているのかを測ることができる番組でもある。これにパネリストとして出られたら、とりあえずは一流と言うか、ある程度功績が認められたことにもなる。

 この番組にBNPのニック・グリフィン党首が出る見込みとなった時、BBCは批判の矢面にたった。「あんな人種差別主義者を出演させるなんて」と。BBC側は、政党として合法な団体であることや、実際に国民がこの政党に投票し、6月の欧州議会選挙では2議席を獲得している(党首もその一つを得た)ということを指摘し、「いつかは呼ばないわけにはいかない」とした。

 私自身、何故これほどまでに反感・出演に対する反対の声があるのかなとやや不思議だった。「言論の自由」をよく話題にするメディアらしくないな、と。私の察するところ、人種差別主義的言動(白人しか党員になることを認めていないなどー近いうちにこの部分を変えるそうだが)が特に反感を呼んでいるようだ。人種差別をしないように、という社会全体としての意識は私の想像をはるかに超えるほど強い。

 実際の番組を見ていたら、パネリストたち及び司会者がグリフィン氏に対し、怒り+叫ぶように問いただす場面が続いた。司会者は普通中立であるべきなのだろうが、少なくとも番組の前半では反BNPという態度があらわだった。「グリフィン氏=悪者=みんなでやっつけよう」という感じ。会場全体が左派に傾いているようで、目に余る感じがあった。一種のリンチにも見えた。それもこれも、やはり人種差別やBNPが主唱していることを憎むという感情が強いからだろう。それにしても・・・という感じではあった。

 グリフィン党首は最後のコメントで、出演できたのは「左に傾いたBBCが、バランスの取れたメディアであることを証明しようとして、出演させざるを得なくなった」というような論評をしていた。やっぱりなあという感じである。
 
 そして、私が唯一おもしろい質問だと思ったのは、参加者の1人が、「BNPに国民が投票したのは、他の大手政党が移民問題に関して失敗したからではないか?」と聞いた時だ。保守党の代表者のパネリストがこれに基本的に賛同したが、ストロー司法相はしどろもどろの答え。注意深く他のパネリスト(主に政治家たち)の声を聞いていると、あまりよい答えになっていない。ほとんどが「移民の流入を抑える」などの話に。

 移民の流入を抑える話を政治家が言うと、ほとんどの場合、つじつまの合わない話になる。つまり、英国は欧州連合の一員であるから、原則としては流入を抑えることができない。2004年、EUが東方拡大した時、流入を限定することが可能だったのだが(雇用などでモラトリアム期間を設定するなど)、それをしなかった。EU以外の人の流入を抑える・・・というと、まさに有色人種の人の流入を抑えるようなことになってしまう可能性がある。保守党パネリストは「最も才能のある、頭のいい人だけが入れるようにしたい」と言っていたが、他の国から「才能ある、頭のいい人」をどんどん集めてしまったら、他の国が困ってしまうのではないか?(困ることはないだろうけど、それでいいんだろうか?)それほど才能がない国民は、ますますジリ貧になるのではー?などと思ってしまう。

 どことなくバイアスがかかったBBCの番組報告

http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/8321683.stm

http://en.wikipedia.org/wiki/British_National_Party
by polimediauk | 2009-10-23 19:25 | 政治とメディア
  いよいよ、明日、ウインドウズ7が発売になるというので、マイクロソフト対クラウドコンピューティング(グーグル)という構図の報道が続く。

 チャンネル4の7時のニュースを見ていたら、元BBCにいて、アイプレイヤーの立役者だったアシュリー・ハイフィールド氏(今はマイクロソフトに)が出ていて、「ビスタの反省をいかし、もっと早く、もっとマルチメディアに力を入れた。ユーザーの声をよく反映している」ということで、自信作だというようなことを言っている。一方、大手でクラウドを使っている具体例として大学やテレグラフが紹介されていた。テレグラフはクラウドを使うことで、「かなりの経費が節約できた」と言っていた。(セキュリティーはどうなるのだろうなとちらっと思った。)

 しかし、マイクロソフト対グーグルの戦争というは、業界(ITなど)の人にとっては楽しいだろうし、私もきっとそういうことを書くのが専門だったら(書くことがあるかもしれないが)おもしろいのだろうけれど、やはり一ユーザーとしての自分から言えば、テクノロジーの世界がどんどん変わるのは理解できるが、それにしても、「XPと思ったらビスタ、と思ったら7か・・」というのが本音だ。ころころ変わられると困ってしまう感じ。つまり変わったら、やはりタダでアップデートされるのがいいのだけれど。7がいくら使いやすくても、「またお金を出して買ってください」というのは、何だかなあと思う。

 米国のジャーナリズム(新聞)の行方に関して、20日付で研究レポートが出た。米コロンビア大学と元ワシントンポストの編集のトップだった人が書いた。全部で100ページはある大きな報告書だ。といっても1ページがA4でダブルスペースでタイプしたもの。途中まで読んだばかりなのだが、私の興味は、新聞メディア(あるいは既存メディア)が維持されるべきとする理論が成立する場合、どんな理由・理屈をつけているのかなーという点だった。結局、「独立した、質の高い報道を維持する」のが民主主義社会を守ることになる・・・というのがその理由のようだ。最後まで読まないとどんな展開かはまだ分らないのだが。

 ご関心のある方は以下から。

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/10/18/AR2009101801461_pf.html
http://www.cjr.org/reconstruction/the_reconstruction_of_american.php
https://stgcms.journalism.columbia.edu/cs/ContentServer/jrn/1212611716674/page/1212611716651/JRNSimplePage2.htm

 最近、英国のメディアの昔のことを調べていたのだが、年月が発つにつれて、昨日まで常識と思っていたことが段々変わってゆくことが分る。未来が見えているわけでは(もちろん)ないのだが、じたばたしても、無くなるものは無くなって、それでもまた別の形の新しいものが(100年ぐらいかかって?)できて、「ジャーナリズムの灯・魂」みたいなものは、今からでは考え付かないような媒体が背負っていって、続くような気がする。
by polimediauk | 2009-10-22 06:56 | ネット業界
 前回、ツイッターがこのところ情報源になっていると書いたけれども、どうもうさんくさい奴として見られるようになったのが、約80万人のフォロワーを持つ、俳優スティーブン・フライである。(ちなみにブラウン首相の奥さんのサラさんはこれより多いフォロワーを持つという。)

 彼が一声ツイッターでつぶやくと、これを実際の行動に移す人が大分いる、というわけである。大分前に、ある本が非常におもしろい!とつぶやいていたことがあって、その後、その本がベストセラー入りしたという記事を読んだ。なるほどと思っていたら、どうも一種の社会評論家的なコメントを残し、これをメディアが追う、というパターンができているのに気づいた。今月上旬の保守党党大会で、ゲストとして呼んだ欧州議会議員がゲイ批判者で「こんな人を呼んではがっかりだ」とテレビで話していた。他にもいろいろ。最近はトラフィギュラ社のガーディアン報道差し止め事件(これはこれでかなり大きい事件!!)で声を発したと思ったら、昨日ぐらいには、ゲイのミュージシャンで「自然死」した男性の葬式の直前に、この男性が亡くなったのはゲイだったからではないかとも読めるコラムをデーリーメール紙に書いた女性ライターのことを問題視していた(フライ氏はゲイ)。メールのウェブサイトから、広告主が広告を引き上げる騒ぎにまで発展した(フライ氏のツイッターと直接関連してないかもしれないが。)

 テレグラフ紙のコラムニスト、ジル・ホーンビーという人の記事(17日付)によれば、9月16日、ブラウン首相がコペンハーゲンの地球温暖化会議に出るべきだとつぶやいたそうだ。そして22日、首相が出席を発表したと言う。(ただし、これも本当にフライ氏のつぶやきのせいなのかは分らないが。)

―英広告収入はネットに移動

 英国のネット広告がテレビや新聞の広告費を本当に抜いた・もうすぐ抜くのだろうかー?という疑問を、前に「ネット広告がもうすぐ紙媒体をしのぐ」というような内容を書いたときに、読みに来られた方から指摘された。

 この関係(媒体別シェア)が多くの人にとって分りにくいのは、統計を取る団体によって若干比較する基準を変える、例えば新聞と雑誌をひとまとめにして「出版」として数字を作ったり、「案内広告」「ディスプレー広告」など広告の種類によって分けたりする場合があるせいかもしれない。また、お金を払わないと(報告書を買う)全部の数字が分らない場合もある。また、団体に電話して初めて教えてもらえる場合もある。どこの団体も、自分の都合の良い数字を都合の良い値段などで出したいのだろうなーと想像する。

 以下は13日付で「新聞協会報」に出した、ネット広告の原稿に若干加筆したものである。

 英ネット広告が新聞を抜いた

 デジタルマーケティングの業界団体、英インターネット広告局(IAB)が9月30日発表したところによると、2009年上半期(1~6月)の広告収入はインターネットが前年同期比(以下同)4・6%増の17億5000万ポンド(約2573億円)となり、テレビの16億3800万ポンド(2408億円)、新聞の16億3500万ポンド(約2403億円)を抜いて国内最大の広告媒体となった。ネットの広告別シェア(23.5%)がテレビ(21・9%)と新聞(同)を上回ったのは、主要国では初めてとみられる(注:デンマークでは既に抜いたそうである、ガーディアンによると)。

 調査は会計会社プライスウォーターハウスクーパース(PwC)と世界広告調査センター(WARC)との協力で行われた。テレビ界最大手のBBCは視聴者からのテレビライセンス料で主に運営されている点に留意したい。

 上半期全体の広告費(74億6600万ポンド=約1兆975億円)は、経済状況の悪化を反映して16・6%減少した。ネット広告の増加は、広告費用削減の必要に迫られた広告主が、消費者が移動した先の媒体であるネットに比重を移したためだ。「不景気がデジタル分野への移動を加速化させた」(PwC)といえる。

 広告効果の計測が他媒体よりも明確であること、ネットの動画サービスの人気(動画に付随した広告は195%上昇)、ネットショッピングの増加、高速ブロードバンドの普及といった要素もネット広告の伸びにつながった。景気動向に左右されずに伸びたのは、ネット広告の中でも検索広告で、上半期では全ネット広告収入の62・6%を占めた。

 英広告協会による08年の媒体別広告シェアは、出版(新聞と雑誌)が36・5%でトップ。テレビ(24・0%)、ネット(19・1%)がこれに続いた。出版とテレビの急落とネットの伸びを加味すると、同協会は「09年にはトップの座をネットが奪う」と予測する(―つまり、新旧メディアの交代が起きていることになる)。

 一方、英大手広告会社キャラットによると、英国の広告市場は今年、前年比で約12%下落する。テレビ(12%減)、新聞(20%減)、雑誌(16%減)など大きな落ち込みが予想される中、ネットと映画広告だけが増加し、広告市場の本格的な回復は2011年になると分析している。

英インターネット広告局(IAB)
http://www.iabuk.net/
by polimediauk | 2009-10-18 04:49 | ネット業界
 自分の専門に関するあるいは興味のある事柄について情報を集める時、みなさんはどこから入手しているだろうか?専門誌(紙)の購読や業界内のネットワークからなどいろいろあるだろうが、私はこのところ、ツイッターから情報が入ってくることが多い。ツイッターは一つのツールであるだけなのだが、早耳の人からの情報をこれまでは紙媒体やニュースサイトなどから入手していたのが、ミニブログから入手するようになった。

 携帯(スマートフォン)から短い情報を取るのがだんだん普通になってくると、媒体自体がシンプルなつくりであること、情報(メッセージ)自体が短いほうが読みやすい。気持ち的にぴったりするようになる。情報の確認には既存のニュースサイトやテレビ番組、あるいは新聞、さらには書籍まで行くのだけれども、最初の情報の入手段階ではPCを開けるところまでの行為を段々やらなくなってゆく。PCを開けて立ち上げる(まで待つ)のが何だかまだるっこしい感じがするのである。

 ・・・というのを日本にいる多くの方が既に実感済みとは思うけれども。ゆったり時間が流れるようである英国で、シンプルな作り+短い文章でないとぴったり来なくなっている自分が、ずい分とせかせかしているようで、驚いた。

 湯川鶴章さんのブログをのぞくと、何と、ツイッターでのつぶやきを連ねていた。やっぱり、そうなってしまうのだろう。

http://it.blog-jiji.com/

 (私もツイッターで情報を出していったほうがよさそうである。)

 朝日の月刊「Journalism」10月号で新聞のスポーツ報道のあり方について、朝日新聞のスポーツデスク中小路徹氏が記事を書いている。個人のスポーツブログが社のサイトより人気を集めていることに衝撃を受ける。ネットと紙のバランスをとりながらもいかに紙面がどうあるべきかに氏は悩む。いろいろ発見がある記事だ。最後のほうで、ある参加者の発言として、「ウェブでブログを書いている人の年齢」についての言及がある。もし40-50代が中心とすれば、「文章自体が若い世代にとっての表現方法ではなくなっているということになる」-。

 短い文章がぴったりする(ネットで読むには)・・・という気分はやはり蔓延中なのかなと感慨深かった。

 中には東洋経済新報社の風間直樹記者が、人材サービス大手クリスタルに名誉毀損で訴えられ、これを退け、勝訴した経緯を書いている。ご関心のある方はご一読を。(同誌9月号の広告の話も目からウロコだった。次回英国の話と合わせて紹介したい。)
by polimediauk | 2009-10-17 19:47 | ネット業界
 保守党党大会で、影の財務大臣になるオズボーン氏がスピーチを行った。ツイッターでチャンネル4のキャスターが「なかなかすごい」と書いていたのでサイトに見に行った。私もすごいなーと思って聞いたが、やや地味でもあった(あまり笑わせたりしない)。聞いている聴衆(保守党員)がすごく暗い表情で聞いているのが気になった。

 しかし、まず年金の受給開始時を65歳から66歳に1年先延ばしにするとか、閣僚の給与5%カットとか、官僚の数の一割カットとか、何とか国の負債を埋めようと必死である。議員の年金も新たに議員になった人はこれまでの(無駄が多い?)年金よりも低いものになるようだ。本当に実現できるかな?と思ったけれど、つじつまがあう感じがして、「私たちはみんな同じ船に乗っているのだから」のような表現を繰り返して聞いていると、正直でいいなあと思った。しかし、BBCや他のコメンテーターの評判はあまりよくない。「ビジョンがない」「暗い話ばかり」など。

 今回のスピーチはBBCサイトで見たが、細切れでなく、フルスピーチが見れるようになっているところが素晴らしい。ガーディアンのサイトに行くと、政治記者マイケル・ホワイトのコメントが見れるが、数十秒でたいしたことを言っていないのに(経済は強くないのかもしれない、あるいは心底何も言いたいことがなかったのか)、何だかコマーシャルが長い。つまり、ホワイトのコメントのビデオをクリックすると、まずコマーシャルを見させられる。これが非常に長く感じた。短いコメントの場合、いちいちコマーシャルをこれだけつけられると、いやである。せっかく我慢してみた後のホワイト記者のコメントの中味がなくかつ時間が短いー。がっかりである。

 テレグラフのサイトに行くと、コメンテーターはもう少しまともなことを言っていた。コマーシャルがなく、即コメントに入るのが非常にいい。画面の右端に「テレグラフ」というマークが入っている。これぐらいならいい。ただ、やはりフルスピーチの動画はない。

 保守党のサイトでもフルスピーチはないようだった。

 BBCのライバル、ITVのサイトに行って、ニュースがどうなっているか見てみると・・・なんと、今工事中なのだった。何でも、新しくするらしい。それにしても、政党の党大会の今やるなんて・・・・。

 となると、やはりBBCしかない。サイトに戻るとたっぷりコンテンツがあって、タダだし、かつ記者のツイッターも入っている。やはりBBCの1人勝ち・・・。

クリップとフルスピーチ。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/8292680.stm
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/8292995.stm
by polimediauk | 2009-10-07 04:41 | 政治とメディア