小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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 ロシアの富豪アレクサンドル・レベジェフ氏が、インディペンデントとその日曜紙インディぺンデント・オン・サンデーの買収をもくろみ交渉中であることが、先週、明らかになった。レベジェフ氏はロンドンの夕刊無料紙ロンドン・イブニング・スタンダードの75%を所有する。

 もしレベジェフ氏の傘下に入った場合、インディペンデント紙が無料(広告のみでコストをカバーする)になるのか、注目だ。ガーディアンはかなり前から、「インディペンデントは近く無料になる」といい続けてきた。レベジェフ氏がインディーを買うのは、利益を出す新聞に変える自信があるからだろう。

http://www.guardian.co.uk/media/2009/dec/18/inm-confirms-talks-lebedev-independent
 
 インディーは部数下落が激しい。ふっと思うのは、左派系の読者と言うのが英国では少ないのだろうかー?政治ブログも保守党系が強いようであるし。

 いずれにせよ、答えは来年にならないと出ないかもしれないー少なくとも公表するのは。何しろ、クリスマスが近づき、学校も雪のために先週の金曜ぐらいから休みに入ったので、英国全体が「仕事をしない時期」に入りつつある。テレビでも新聞でも、通りでも、クリスマス気分が一杯で、キリスト教徒ではない人にとっては、つまらないというか、孤立した気分になる時期でもある。

 まだ読んでいないのだが、「エコノミスト」で米国の新聞業界とネットの影響について語った記事が最新号に載っている。(購読していないと読めないかもしれない。)

Network effects
http://www.economist.com/businessfinance/displaystory.cfm?story_id=15108618

 おもしろいのは、ガーディアンのラスブリジャー編集長はツイッターで「すごい!」とこの記事をほめているのに対し、米大学の教授ジェフ・ジャービス氏は記事の中で、「誰も新しい環境でどうやってお金をもうけるのか分らない」
と書かれている部分を引用し、「bulleshit.多くの人が(知っているし・お金をもうけている)」というコメントを出している点だ。米ジャーナリズムの新しい動きを知りたい人は@jeffjarvis を追ってみるのはどうかと思う。

 今年もこのサイトに来てくださり、ありがとうございました!

 来年は新しいプロジェクトをいくつか考えています。

 日本から頂いたクリスマスカードに、メディアの状況は厳しいが「望みはすてていません」とありました。もちろん、同感です。(既存の大手メディア企業の存続がどうなるか、は別としても。)

 良い年末年始をお過ごしください。



 
by polimediauk | 2009-12-20 22:38 | 新聞業界
 今年もあと残るところ、2週間を切った。来年の英新聞業界の話題はやはり、現行では無料のサイト上でのニュース閲読を有料化するかどうかになりそうだ。

 今や、ウェブサイト上のニュースの話から発展して、携帯のアプリ(アプリ自体のインストールは無料)での競争が激化しつつある。先日、ガーディアンが有料アプリを出したばかり。ガーディアンのウェブサイトのQ&Aを見ると、携帯の「プレミアム」コンテツは有料化もアリとしているので、やはり、課金に向けて一歩踏み出したのだろう。

 マードック・プレスが来年からウェブサイトに課金すると宣言し、最初は衝撃だったが、今や、どんどん導入するところが出てきている。200以上の地方紙を発行するジョンストン・プレスが先月末から試験的に開始したし、他にもマイナーな新聞が開始している。マイナーな新聞だと、逆にやりやすいというのも、おもしろい。つまり、新聞販売店に行ってその新聞が見つからない場合、がっかりするが、紙の新聞代と同じ金額を払えば、その新聞がウェブ上で全部読めるので、「がっかりしない」という(これを書いた記事が今見つからないので、また後で)。

 おもしろいのは、今は無料でサイト上で読める一般紙の記事が、もし有料になったら、どうするか?と聞かれて、「読むのを止める・他の無料サイトに行く」と答える人がいたり、「お金を払って読む」と答える人がいたりすることだ。その割合が、ばらばらなのだ、誰が調査をするかによって。これは必ずしも意図的に調査を操作しているわけではなく、つまりは聞き方によって、答えがばらばらで、結局のところ、読者がどんな反応を示すかは「何だか良く分らない」ようなのだ。

 ・・・ということを、ガーディアンの記事(12月15日付)も書いていた。「誰がコンテンツにお金を払うだろう?」(http://www.guardian.co.uk/media/pda/2009/dec/15/digital-media-newspapers-studies-who-would-pay-for-content

 私の見方は、既に私たちはニュース情報を得るためにずい分とお金を払っていると思う。本当に無料というのは実は少ない感じがする。一旦、好景気下の広告収入が消えてしまったら、利用者が多額のお金を払って不足分をカバーせざるを得なくなったな、という感じ。

 新聞サイトのニュースアプリでどきっとすることがある。今、非常に便利になっていて、フェースブックとか、ツイッターとかにニュースサイトの画面からつぶやきを飛ばせるのだけれど、何だか「全ての情報が相手=新聞社側=につかまれている」ようで、心落ち着かない。PCのウェブサイトでもフェースブックやツイッターにつながることができるとしても、携帯だとまた一味違う。PCよりも携帯は個人にぐっと近い。位置情報も取得されてしまう。その人(どこに住んでいるか)に合わせたニュースが入るようになっているからだ。

 逆に言うと、新聞社側から言えば、広告を出したり、何かを売るには格好の相手(=あなた)を捕まえたことになる。

 検索大手のグーグルが、独自の携帯電話を出すことの恐ろしさはここにあるのだろう。何から何まで、民間企業一社が独占してしまうことになるのだから。英メディア界で危機感は大きいと思う。

 テレグラフの携帯アプリ(無料)は、何かトピックを見つけたら、すぐりポートを送れる機能がついている。もちろん、ツイッターとも連携している。便利ではあるが、いやいや、テレグラフのお膳立てにすっかり乗るわけにも行かないぞ、と思うわけである。

 英国にいると、(米国のようには)新聞に対して高い期待を持たないようになる。それでも、常に「モノを販売するための相手」として、新聞社がこちらを扱うというのは、いやだし、つまらないし、さみしいと思う。

 便利だが、何だかいやな時代になってきた。便利さはいいように思えるけれど、実際、プライバシーを売り渡すのと引き換えになるのだから。
by polimediauk | 2009-12-19 08:39 | 新聞業界
 ガーディアンが、今朝、アイフォーン用の新しいアプリの提供を開始した。

http://www.guardian.co.uk/media/pda/2009/dec/14/guardian-iphone-app

 驚いたことに、有料だった。2・39ポンド(約345円)。金額だけ見ると高くないように見えるが(今時、英国で2-3ポンドで買えるものといったら、サンドイッチぐらいだろうか)、アイフォーンでニュースのアプリのリストを見ると、大体1ポンド以下。中東の衛星放送アルジャジーラ英語でも1・79ポンド。2・39ポンドは破格に高い金額と言える。

 このニュースを知ったのは、ツイッターで、ガーディアン編集長(アラン・ラスブリジャー氏)が「新しいアプリが出た」とつぶやいたからだ。その後で、同紙のデジタル担当のエミリー・ベル氏や毎週「メディアトーク」という番組を作っている同じくガーディアンのメディア記者、マット・ウェルズ氏も「すごい!是非使ってみて」とつぶやいていた。

 アイフォーンのアップ・ストアに行って、該当するアプリを探した。無料ではないことを知った時、私は裏切られたような思いがした。それは、ガーディアンはラスブリジャー編集長にしてもベル氏にしても、「ニュースは無料で行く。有料化を主張するマードックの考えには大反対だ」と常々、言ってきたからだ。また、テレグラフなどのほかの英大手紙のアイフォーン用アプリは無料なのだ。

 つまるところ、「ニュースは無料(民主主義の観点から、またインターネットはそういうものだから)」というガーディアンのスタンスを、取り下げないままに、実は有料の分野に堂々と踏み込んだ、という感じがしたのだ。マードックの動きを大批判しておきながら、である。

 ガーディアンはネットを通じて無料でニュースを配信することを捨てたわけではない。今でも、PCや携帯サイトから無料で記事のアーカイブや動画も含め、視聴・閲読できる。しかし、有料の道も同時に準備しているのだろう。

 新聞サイト、あるいはニュースサイトの有料化・課金制に関しては諸説あるが、見逃してはならないのは、「有料か、無料か」つまりは黒か白かの2者択一の選択ではない点だ。0かあるいは100、ではない。例えば、英インディペンデント紙はサイトの記事を印刷の際、一定の枚数以上では課金する仕組みをとっているし、タイムズはクロスワードパズルが一部有料となっていると聞いた。

 昔、インディペンデントは論説記事を有料にしていたが、今はそれはやっていないようだ。しかし、アーカイブなどの一部を有料、というのは「ニュースは無料」という看板を続けながらも導入が可能だろう。

 テレグラフの統括編集長ウイル・ルイス氏が、少し前の「メディア・ガーディアン」(ガーディアンの特集頁)インタビューで、「有料か無料かの議論は、ちょっと嘘くさい」と発言していたが、まさにそんな感じである。

 フィナンシャル・タイムズのウェブサイトでは、読み手が名前を登録しない場合、月に無料で読めるのは2本だけになる。名前を登録すれば、追加で8本、合計10本が無料で読める。これ以上は有料購読をしないと読めない。経済紙という専門領域を扱う新聞だからこんなことができる、という人もいるが、他の一般紙では、特別の価値のあるコンテンツ、例えばスポーツ、特定のコラムニストのアーカイブ記事などを有料にするのはおおいにありうるだろう。最初から、「一般紙のサイトの有料化は無理」という論理はあまりにも大雑把過ぎる。

 来年は、英大手メディア(主に新聞)のサイトでは、「知らないうちに有料化」の部分と無料で読める部分が混在したものが増えるのだろう。今はアレルギーがある(ニュースの)「有料化」が、何の抵抗もなく受け入れられるようになるかもしれない。
by polimediauk | 2009-12-15 02:56 | 新聞業界
 少々前の話になるが、赤道ギニアでクーデターを画策したとして逮捕・拘束されていた英国人男性サイモン・マン氏が、11月上旬、大統領の恩赦により釈放され、英国に帰国した。男性はサッチャー元首相の長男マーク・サッチャー氏が大きく事件に関与していたと主張している。

 2004年に起きた赤道ギニアの政府転覆計画と関係者について調べると、様々な人が様々なことを言っている。とりあえず、「英国ニュースダイジェスト」(11月26日号)でこの件について書いた。以下はそれに若干付け足したものである。12月上旬放映のBBC4の「ストーリービル」という番組も、サイモン・マン氏を取り上げていた。(視聴は21日までできるが、英国内居住者を対象とする。) この番組で分ったことも若干、中に入れた。

http://www.bbc.co.uk/iplayer/episode/b00p5wl1/Storyville_20092010_Simon_Manns_African_Coup_Black_Beach/

―赤道ギニア(Republic of Equatorial Guinea)とは

面積:約2万8000平方キロ(北海道の約3分の一)
人口:67万6000人(BBC)
首都:ビオコ島にあるマラボ
民族:ブビ族、ファン族、コンベ族、ベレンゲ族
主な言語:スペイン語、フランス語
平均寿命:男性は49歳、女性は51歳
宗教:キリスト教(99%)、伝統宗教
通貨:CFAフラン(セーファーフラン、旧仏植民地を中心とする多くの国で用いられる共同通貨)
主要輸出品目:石油、木材、ココア
主な歴史:
1968年:スペインから独立
1972年:マシアス・ンゲマ終身大統領就任
1979年:クーデーターでオビアン・ンゲマ政権成立
1982年:軍政から民政へ。オビアン・ンゲマ氏が大統領に。
2002年:オビアン・ンゲマ氏が大統領3選(4期目)。
2004年:クーデーター未遂事件 
(資料:外務省、BBC)

―事件の主な登場人物

サイモン・マン氏:名門イートン校、士官学校サンダーハーストで学んだ、元SAS(英陸軍特殊空挺部隊)幹部。英国と南アフリカの2重国籍を持つ。赤道ギニア事件の首謀者として34年間の禁固刑が下るが、11月上旬、釈放された。自身が経営する警備傭兵会社Executive OutocomesやSandline Internationalはシオラレオネやアンゴラの紛争地域でビジネスを展開。

グレッグ・ウェールズ氏:英国の企業家でマン氏の旧友人。クーデター計画では米国防省の支援を得ようと画策し、50万ドルを集めたと言われている。本人は関与を否定。

マーク・サッチャー氏:サッチャー元首相の息子。クーデータ支援で有罪。計画に使われる予定だったヘリコプターを調達したことを認める代わりに減刑する「司法取引」の後、執行猶予。

ジェフリー・アーチャー氏:事件発生の少し前に、企業家エリー・カリル氏と電話で会話を交わした形跡がある。直前には、アーチャー氏の口座からマン氏の口座に13万5000ドルが送金された。本人は関与を否定。

オビアン・ンゲマ氏:過去20年間、赤道ギニアの大統領。2006年、ライス米国防長官(当時)は「よい友人」と述べた。

セベロ・モトヌサ氏:赤道ギニアの野党勢力の指導者。クーデーター首謀者たちは、成功すれば、同氏が政権を取ることを確約していた。1986年からスペインに亡命中。

エリー・カリル氏:英国とレバノンの2重国籍を持つ、在ロンドンの企業家。アフリカを中心にビジネス活動を行う。クーデーター事件の発案から資金繰りまでを指揮していたと言われているが、本人は関与を否定。

―政権交代を狙う?

 事件を振り返ってみよう。2004年3月、南アフリカから60人を超える傭兵を乗せた輸送機がジンバブエに向かった。ジンバブエで大量の武器を積み込み、赤道ギニアでオビアン・ンゲマ政権を転覆させる計画だった。

 計画の中心になったのは、元SAS(英陸軍特殊空挺部隊)幹部、傭兵会社の経営者、かつては映画に俳優として出演したこともあるサイモン・マン氏だ。また、当時南アフリカ在住のマーク・サッチャー氏は、計画に使う予定だったヘリコプターの調達費用を出していたという。

 しかし、計画は予定通りには運ばなかった。クーデターを察知したジンバブエ当局はマン氏と南アフリカの傭兵団を逮捕する(後で、南アフリカ政府と緊密な連絡を取り合っていたことが分る)。赤道ギニアではマン氏の友人で元南アフリカの兵士だったニック・デュトイト氏他十数人が逮捕された。赤道ギニア当局はデュトイト氏らがクーデターの先遣隊だったと見ていた。

 後の調べで、クーデーターの目的は赤道ギニアのンゲマ現職大統領を追放し、代わりに亡命中の野党勢力の指導者セベロ・モトヌサ氏を政権につかせることだったことが分った。

 マン氏らは「民主化のためにクーデターを計画した」と主張するようになるが、もし成功していれば、巨額報酬と石油とガスの利権を手中にできた。マン氏はBBCの番組「ストーリービル」で巨額報酬をもらえることが1つの目的だったと述べた。事件の顛末を著作「Wonga Coup」(Wongaとはお金の俗称)に書いたアダム・ロバーツ氏は、「純粋に利権目当てだった」と結論付けている。

 マン氏はジンバブエで拘束された後、08年、赤道ギニアに移送された。クーデーター未遂事件で34年の禁固刑が科されたが、11月上旬、恩赦により、釈放された(英政府と何らかの取引があったのかどうかー?)

―急にリッチになった国

 事件の背景にあるのは天然資源の利権争いだと言われている。赤道ギニアは、かつてはカカオのプランテーションや木材資源にたよる貧しい国だった。1980年代に油田探査の結果、開発が進み、1990年代半ば以降は毎年2ケタの急激な経済成長を遂げた。石油生産量はピーク時で日量40万バレル水準を達成し、サハラ砂漠以南では、アフリカで第3の規模を誇る産油国となった。

 しかし、資源開発技術が自国では不十分なため、米国など外国の技術力に頼らざるを得ない状況だ。先のロバーツ氏はBBCの番組の中で、石油利権を拡大しようとした米企業やスペイン当局の事件への関与を示唆した。「ストーリービル」などによれば、赤道ギニアをかつては植民地の1つとしていたスペインは利権取得から締め出された状態になっており、これを何とか打開しようとしていたという。

 事件の首謀者とされるマン氏は、自分は「管理をしていただけで、計画の提案者ではない」と言い続けてきた。また、スペイン政府と南アフリカの両政府の後押しや、マーク・サッチャー氏の深い関与も主張している(両政府、サッチャー氏ともにこれを否定)。「ストーリービル」は、英国(ストロー司法相)や米政府が、クーデーター計画を事前に知っていたにも関わらず、これを止めようとしなかったため、「後押ししていた」「了解済み」と解釈されても仕方なかったと指摘している。

 また、米国、英国、スペインに嫌気が指したと思われる赤道ギニアの大統領が天然資源開発のパートナーとして選んだのは中国。「ストーリービル」によれば、同国では人権抑圧がひどく、刑務所では拷問が日常化されているという。中国ならば、「米国・西欧諸国のように人権抑圧がどうしたこうしたとは言わない」点も現大統領にとっては「都合が良い」という。どこまでが本当なのかは分らないが、「ストーリービル」はずい分おどろおどろしい国として、赤道ギニアを描いている。
 
 ロンドン警視庁は、計画立案を巡り後日マン氏から事情聴取予定とされている。複数の政府の関与が明るみに出る可能性もある。事件の全貌の解明は終わっていない(というか、最後まで分らないかもしれない)。


―年表

2003年7月:クーデター計画の首謀者の1人とされる、英国の企業経営者グレッグ・ウェールズ氏が赤道ギニアの「政権交代への支援」を提案
8月:赤道ギニア出身の野党勢力指導者セベロ・モトヌサ氏がマドリードに亡命政府の設立を宣言。資本家エリー・カリル氏とサイモン・マン氏が支援。
2004年1月:マーク・サッチャー氏がマン氏が使う予定だったヘリコプターのチャーター費用27万5000ドル(現在のレートで約2450万円)を支払う。
3月:マン氏が60余人の傭兵らとともにジンバブエの首都ハラレで逮捕される。赤道ギニアではニック・デュトイト氏や十数人の傭兵らが逮捕される。
7月:マン氏がジンバブエで禁固刑を科される。
8月:サッチャー氏が傭兵活動を財政的に支援した罪で、南アフリカで逮捕、起訴される。
11月:デュトイト氏とセベロ・モトヌサ氏に大統領の失脚未遂で有罪判決が下る。デュトイト氏に34年、モトヌサ氏に64年の禁固刑。
2005年1月:反傭兵法によって、サッチャー氏が南アフリカで有罪となる。約50万ドルの罰金の支払いを命じられる。
2008年1月:マン氏が赤道ギニアに送還される。
7月:マン氏に34年の禁固刑が下る。
今年11月:マン氏、デュトイト氏、他3人の傭兵が恩赦により釈放される。
(資料:新聞各紙、BBC)

―関連キーワード

mercenary:傭兵。主権国家の軍隊の一員である兵士とは異なり、他国の軍隊の一員として様々な規模の地域の紛争で軍事活動に従事し、報酬を得る兵士。通常の兵士が得る給与よりは大きな金銭的報酬を得ることから、「大金目当ての職業」に従事するとして、否定的な文脈で語られることも多い。アフリカの複数の国では他国の内戦に傭兵として参加するケースが増えており、これを止めるため、南アフリカ共和国は海外での傭兵活動を禁止する法律を1989年成立させた。
by polimediauk | 2009-12-12 02:12 | 英国事情
  時事通信の湯川さんが、今月末で会社を退職されることを知った。

http://it.blog-jiji.com/

 湯川さんのブログ「ネットは新聞を殺すか」を読んで、様々なことを触発され、このブログを2004年に始めた。退職のニュースは驚きで、ショックだった。勇気があるなあとも思う。最初はフリーで働かれるようだが、何かまたおもしろいことに踏み出すのだろう。

 ***

 以下は「メディア展望」12月号(新聞通信調査会発行)に書いた原稿の転載(下)である。


英テレグラフ紙が議会のタブーに挑戦(下)―下院議員の経費乱用の実態、明るみに

―問われた「小切手ジャーナリズム」

 ディスクをテレグラフに託した元SAS隊員の条件は「一部の議員だけでなく、全ての議員を対象にして報道してほしい」「情報提供料として11万ポンドを支払ってほしい」だった。大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドの元編集長がガーディアンによる盗聴疑惑報道の関連で認めたように(前掲の記事参考)、大衆紙が情報提供者にお金を払う(小切手ジャーナリズム)行為は常習化しているようだ。しかし、高級紙は少なくとも表向きにはこうした慣習がない。現に、タイムズがアプローチを受け、3万ポンドの情報提供料の支払いを求められた後で、ディスクの受け取りを却下している。11万ポンドの支払いは金額自体が大きいことに加え、テレグラフでは通常情報を買うことがないため、記者は情報取得は不可能と思ったが、ウィリアム・ルイス編集長(当時)を含め、経営陣もこれを最終的に承諾した。

 4月末、ライバル紙に情報が漏れるのを防ぐため、テレグラフ紙では数人の記者を「研修」と称して一室に集め、他の記者や家族にも他言をしないよう伝えて、膨大なディスク情報の分析を開始した。原稿を書く前に情報の解読と確認に2時間を要したという。該当する議員のコメントを求めた後で原稿を作った。5月7日夜、ウェブサイト(紙媒体は8日付)で「内閣の経費にかかわる真実」と題した第一報を開始。翌日以降も、ブラウン首相をはじめとする閣僚や与野党議員の経費超過請求の実態を次々と暴露していった。

 別宅手当ては「議員の活動に必要」とされる経費(住居を含む)に支給されるが、あひるの家が建設された庭の維持代に1万2500ポンドを請求したり、夫婦両者が議員の場合、同じ住宅を別宅として経費を二重請求するなど、庶民の感覚では不当と感じる経費請求が目白押しとなった。他に超過請求の手口とは①「別宅」と「本宅」の定義を適宜変えるー本宅を別宅とすることで、別宅手当てを受け取る②別宅手当てで住宅を改装した後売却し、売却益を得る③住宅ローンを支払い終わっていても、ローン金利の支払いを請求する④退職直前に改装を行う⑤別宅用として購入した家具などを後で本宅に運ばせる⑥子供が住む住宅を別宅として届け出て、手当て収入を得る、など。

 ウェブサイト上に経費問題に特化したページを作り、それまでの経緯と共に議員の反応を動画に撮り、掲載もした。ディスクを持っていない他メディアは連日のテレグラフの報道を後追いする羽目になった。同紙の発行部数(通常は約90万部)は報道の初日5月8日には8万7000部増え、同月一杯は1日平均1万9000部増加した。6月21日(土曜日)は、経費問題を特集した小冊子を付録に付け、通常の土曜日発行分より約15万部多く売れた。

 テレグラフによる「問題経費」の請求者にはブラウン首相、ストロー司法相などの政府閣僚や、保守党、自由民主党など野党議員、無所属議員も含まれていた。報道に対し、多くの議員は「合法に経費を申請している」と反論したが、選挙民からの不信の高まりを察知し、経費の一部を返還する議員も続出した。手当ての内訳の公開を拒んできたマイケル・マーティン下院議長(当時)は世論の風当たりに耐えられず、5月19日、6月末での辞任を発表した。下院議長が辞任を強いられるのは1695年以来だ。

 来年5月までに行われる次期総選挙には立候補しないと表明する政治家も多く出ている。テレグラフの見込みでは、現行の下院議員646人のほぼ半数に当たる325人の議席が新たな議員を迎える。

 先の「No Expenses Spared」によると、ルイス・テレグラフ編集長は当初、ディスクを入手した件で自分自身や記者が警察の取り調べを受け、逮捕あるいは禁固刑が科されるのではないかと非常に心配していたという。同紙は記者やデスクが自宅や編集室で逮捕される可能性を考慮して、弁護団を手配した。しかし、マーティン下院議長辞任宣言の日、報道には「公益性がある」として、ロンドン警視庁から捜査を行わないとする声明文が届いた。

―黒塗りだらけの経費情報

 6月18日、下院は、7月に公表予定だった議員の経費情報を繰り上げ公開した。大部分の書類は議員の住所などの身元情報が黒く塗りつぶされていた。テレグラフ紙はオリジナルの文書と下院が公表した文書を並べて見せた。議員の別宅・本宅の住所が塗りつぶされた場合、別宅手当ての乱用は国民の目に触れることはなかった。

 政治とお金にかかわる問題を吟味する公務員基準委員会は11月上旬、議員手当て制度を改革するための提案書を出した。この中で、今後請求対象に入らないものとして、別宅の住宅ローン金利、庭の手入れや清掃代を挙げ、別宅と本宅の定義を変えて利益を得ることや議員の家族を自分の事務所で雇用することを禁止する提案を行った。今後、経費の請求に関しては、新たに設立された独立議会基準局(IPSA)が管轄することになった。

 しかし、IPSAのウェブサイトは「オープンさと透明性が基本原則」であるとしながらも、経費情報すべてが公開されるかどうかに関しては、「どこまでの情報をどのような形で公開するかの詳細はそのうち」公表すると書かれている。はたして「秘密のディスク」を再度持ち出すことなく、広く情報が開放されるかどうか、不安が残るのが現状だ(私自身が最も懸念をしているのがこの点だ)。

―期待される調査報道

 テレグラフの経費請求報道は英メディア界、一般国民の間で高く評価された。当初批判された、情報をお金で買った点に関しては、「公益があった」としてその必要性を認める見方が大勢となった。

 ルイス・テレグラフ編集長はメディア業界雑誌「プレス・ガゼット」11月号の中で、これを機に「社内で長期的な調査ジャーナリズムに人材を配置する土台ができた」と語っている。1970年代、サンデー・タイムズ紙は睡眠薬サリドマイドの人体への悪影響を暴露し、調査ジャーナリズムの旗手として名声を得た。ルイス氏はテレグラフ紙にもそんな伝統を根付かせたいと願っているという。一方、同記事の中で報道チームの核となった二人の記者は「報道の本当の影響は、総選挙の結果に出ると思う」「まだこの報道は続いている」と語っている。(終)
by polimediauk | 2009-12-07 18:40 | 新聞業界
 今年を振り返った時に、英ジャーナリズムの快挙として、テレグラフ紙による下院議員の経費超過請求事件の報道をあげる人は多いと思う。その経緯を「メディア展望」12月号(新聞通信調査会発行)に書いた。以下はその原稿の転載(上)である。11月23日時点での話であることにご留意願いたい。

http://www.chosakai.gr.jp/index2.html

英テレグラフ紙が議会のタブーに挑戦(上)―下院議員の経費乱用の実態、明るみに

 今年5月上旬、英高級紙デーリー・テレグラフが下院議員の経費超過請求にかかわるスクープ報道を開始した。「別宅手当て」と呼ばれる制度を利用して、完済している住宅ローンの金利の支払いを請求したり、経費を使って家を改修後売却し、その売却益で私腹をこやすなどの実態が明るみに出た。税金を私利私欲に使う情けない議員の姿に国民は怒り、落胆した。テレグラフ紙は姉妹紙のサンデー・テレグラフと共に連続35日間、一面トップで経費問題を扱い、複数の閣僚の辞任が生じた。報道開始から2週間後、下院議長までも辞任の意向を表明せざるを得なくなった。年内か年明けには一部議員が窃盗・詐欺法違反で起訴される可能性も出ている(11月23日時点)。

 同紙による議員経費報道については、本誌9月号の筆者原稿(「電話盗聴疑惑、英新聞界を揺るがす ガーディアンとニューズ社対決の構図」、ブログは以下)の中で

http://ukmedia.exblog.jp/12238230/
http://ukmedia.exblog.jp/12250665/

 短く紹介した。その後、テレグラフ担当記者による、報道の顛末をつづった著作「No Expenses Spared」(「どんな経費も逃さない」の意味)が出版され、映画化も予定されているという。

 ドラマ化されても不思議はないほど迫力ある一連の報道は、昔ながらの新聞ジャーナリズムの復活を思わせた。ネットはあくまでツールであって、最後は独自のジャーナリズムが決め手となるー筆者にそんな思いを抱かせた。

 本稿では、今年、英国の様々なジャーナリズム大賞を受賞することが予想される、同紙による報道の経緯とその影響に改めて注目する。

―「別宅手当て」とは

 話を始める前に、ここで問題にする「経費」とは主に「別宅手当て」(通称、正式には「追加費用手当て」)であることにご留意願いたい。議会があるロンドンから遠い場所を選挙区とする下院議員は、議会開会中、ロンドン近辺のホテルに泊まるか、選挙区にある自宅とは別に「別宅」としての住居が必要となる。別宅維持にかかる費用は手当てとして支給され、住宅ローンの金利や賃貸料、地方税、家具代、光熱費他必要経費が対象となる。議員の申請で支払額が決まる。請求最大金額は年間約2万4000ポンド(約350万円)。領収書なしで請求できる金額は昨年までは最大で250ポンド(現在は25ポンド)で、食費も毎月最大400ポンドまで請求可能だ。

 別宅および本宅の区別は年間で宿泊日数の多い方が通常は本宅となる。しかし、複数回、本宅・別宅の区別を変更しても構わない。また仮に本宅を別宅として申請すれば、別宅手当てを本宅での経費を負担するために使える。別宅手当ては乱用しやすい仕組みになっていたともいえる。

―情報公開に向けての戦い

 テレグラフ報道につながる動きとして、議員経費の情報公開を求めてジャーナリストたちが立ち上がったのは、2004年だ。ロンドンに住む米国人ジャーナリストのヘザー・ブルック氏が、下院に対し議員の経費情報の公開を求めたところ、別宅手当ての総額と使途の要約が取得できただけだった。米国で調査報道にかかわった同氏は、国民に選ばれた議員にかかわる公的情報が簡単には入手できないことを知り、愕然とした。

 翌年、政府省庁や公的機関にかかわる情報の公開を国民が要求できる情報公開法が施行となった。これを利用してブルック氏が下院議員全員の経費情報の公開を要求したところ、「実行には費用がかかりすぎる」として拒絶された。同年、高級日曜紙サンデー・タイムズや夕刊紙イブニング・スタンダードの記者らも数人の議員の経費情報の公開を要求し、いずれも拒絶されていた。ブルック氏を含むジャーナリストたちは、情報公開を進めるために設置された「情報コミッショナー」の事務所に窮状を訴え、コミッショナーは情報公開をすべきだと結論付けたものの、下院側がこれを拒否。情報公開をめぐる争いは裁判沙汰にまで発展した。

 紆余曲折の後、今年1月には、すべての下院議員の経費を7月に公開することをブラウン英首相が確約した。3月ごろ、全議員の詳細な経費情報が入ったディスクが何者かの手によって下院の外に流出し、大手媒体の買い手を求めているという噂が出るようになった。テレグラフが経費請求の実態を細かく報道できたのは、このディスクを入手したからだった。

―秘密のディスク

 3月末、テレグラフ紙の政治記者がPRコンサルタントから連絡を受け、英陸軍特殊空挺部隊(SAS)の元隊員の男性がディスクを持っていることを知った。交渉の末、4月、タバコのケースほどの大きさのディスクを受け取ってみると、中には過去4年間にわたる、全下院議員の経費請求にかかわる領収書やメモなど膨大な量の書類が保管されていた。

 ディスクは何故作成されたのだろう?

 先の「No Expenses Spared」によれば、下院内では、7月の経費情報公開に向けて議員の住所、その他の個人情報や外に出せない情報を「編集する」(黒塗りにする)作業が行われていた。一定の人数の人員がこの作業に配置され、作業室から秘密が漏れないよう、英軍兵士たちに入り口を警備させていた。

 兵士たちは2003年のイラク戦争に派遣された経験を持っていた。現地では、政府が十分な機材や装備を与えなかったために無駄に兵士が亡くなったと兵士たちは感じていた。今度はアフガニスタンに派遣されるに当たり、安全度が高い装備を自前で購入するには低い給与では不可能で、アルバイトをして追加収入を稼がざるを得なかった。そこで作業所で警備員として働くことになったのだった。兵士たちの悔しい感情や、黒塗り作業をしながら議員の経費乱用に怒りを募らせる作業員たちの姿が「No Expenses Spared」の中で描かれている。ディスクを作成し、これを元SAS隊員に渡した人物の名前を著作は明らかにしていないが、作業にかかわった人物の中のある男性が、英兵の置かれている状況と議員の経費乱用ぶりに義憤を感じ、元SAS隊員にディスクを渡したことになっている。(「下」に続く。)
by polimediauk | 2009-12-03 19:05 | 新聞業界
 ニュースの有料・無料の話がこちらではもちきりになっている。ルパート・マードックが一言発言をするたびに、「議論」が始まってしまう。

 グーグル・ニュースが、有料新聞サイトに載る記事へのアクセスに一定の制限をつけることにした、というのが最新のニュースの1つだ。これはマードック・ニューズ社とマイクロソフト・ビングとの交渉(グーグル・ニュースに拾われないようにする話)とにいささかでも関係しているのだろう。

グーグルがニュースに閲覧制限を設ける話
http://www.ft.com/cms/s/0/b9fb1a2a-dec9-11de-adff-00144feab49a.html

 前回の英編集者会議の(下)の原稿を新聞協会報12月1号に書き、以下にそれに若干追加したものを出そうと思うのだが、1つ、この原稿の中の「最後のセッション」には、グーグルニュースのUK代表の人が出ていた。他の新聞の編集者から、「タダでニュースを新聞から取ってくるなんてずるい」という話が出た。この編集会議の出席者は新聞社、特に地方新聞社の人が多いので、「そうだ、そうだ!」という雰囲気があったと思う。

 そこで、グーグルのUK代表の人が結構責められる雰囲気になった。このとき、「何故、グーグルはそもそもニューサイトを作るのか?」と聞かれた。

 私自身、実は最近これが気になっていた。というのも、このUK代表の人が言うように「読者が便利なように作っているだけ」で、「ほとんど利益は出ていない」と言ったからだ。「利益拡大のためにやっているわけではない」と。「なぜやっているのか」と聞かれて、一瞬、答えに詰まる場面があった。

 そうか・・・と私は思った。「それほど大事というわけでないなら、ほかの検索サービスに先を越されるか、このサービスを他の会社が担当するとか、そういうことにしてしまってもいいのではないか」「ニュース媒体と、協力してよりよいプラットフォームを作る、という作業を率先してやってもいいのではないか」とも思ったのだった。何でもかんでも自分でやらなくても良いのではないか、と。その後で、マードックとビングの交渉の話が出て、何となく、自然なつながりに聞こえたのだった。

 また、原稿の中に出てくる、タイムズ編集長のスピーチ(課金について)は、プレスガゼット誌のウェブサイトから読める。

http://www.pressgazette.co.uk/story.asp?sectioncode=6&storycode=44656


 英編集者会議(下)課金の行方は?


 11月15日から3日間、英南部スタンステッドで開かれた英ソサエティー・オブ・エディターズ(編集者会議)の年次大会では、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「ツイッター」など新たなインターネットサービスを使って読者を引き込む方法や、今年になって議論が沸騰しているサイトの課金の是非が注目を集めた。ロンドンの地方紙とも言えるイブニング・スタンダードの無料化の影響も話題となった。

 英ウェールズ地方で複数の新聞を発行するNWNメディアのマーティン・ライト氏は2日目のセッションで、140文字で短いつぶやきを共有するツイッターをいかにサイトで利用するかを報告した。巨額の投資が財政的に許されない中で導入できたのは「無料だったからだ」と述べた。

 当初はウェブサイト上にブログパーツとして載せ、その後、つぶやきをSNSの「フェースブック」にも同時に載るようにしたところ、サイトへのアクセスが急増したという。現在は速報を伝えると同時にニュースのネタを拾うための情報収集手段としてツイッターを使用。「読者のコメントに対応でき、サイトの双方向性が増した」と語った。

 遺体が発見された時、ツイッターで情報を募ったところ、間もなく身元が判明。翌日のトップ記事となり「投資額がゼロでスクープ記事を作れた」。ツイッター情報の信ぴょう性は利用者に電話番号を尋ね、編集部が確認しているという。

 最終日のセッションでは、高級紙タイムズのジェームズ・ハーディング編集長が2020年の業界図を聞かれ、「ニュースは無料とする文化を打破したい」と述べた。「質の高いジャーナリズム」を今後も維持するため、来春からサイトに課金制を導入する予定だ。

 1本の記事ごとに課金するマイクロペイメント制は「ゴシップ記事が増える可能性が高い」ので採用せず、「24時間、サイトを読めるなどの購読料制」を導入する方針。「サイトの有料化は生死を賭けた戦いの一手段だ」と述べた。

 有料化とは逆の方向に向かったのが、発行部数が毎年約10%減少していた夕刊紙ロンドン・イブニング・スタンダード。無料夕刊紙のロンドンペーパーとロンドンライトに押される形で、1部50ペンス(約80円)だったのを無料にした。ロンドンペーパー、ロンドンライト両紙が広告市場の悪化で廃刊となったため、スタンダード紙は無料夕刊紙市場を独占している。

 ハーディング氏と同席したセッションの中でスタンダード紙のジョーディー・グレーグ編集長は「無料紙化は唯一の生き残り策だった」と振り返った。駅構内や小売店内のスタンドなどで新聞を配布する形になり、発行部数を約3倍の60万部近くに引き上げた。
 
 同氏は「無料紙といえば質が低いと見なされたが、質があるのに無料である点が読者や広告主に好評だ」という。「28歳以下の若者は定期的に新聞を読む習慣がない。有料ではさらに足が遠のく。無料のスタンダード紙でまず、新聞を読む習慣をつけてほしい」。有料か無料かの議論は年が明けてもしばらく続きそうだ。
by polimediauk | 2009-12-03 07:17 | 新聞業界