小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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 チルコット委員会へのブレア元首相の証人喚問の様子と、その感想を書いた。

イラク独立調査委員会ー先を急いだ男ブレア
http://www.newsmag-jp.com/archives/2912
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201001300948476

 これを機会に、他のサイトもブレア関係の記事を出しているようだ。以下は2007年、ブレア氏が首相を退任した時の記事の翻訳。

尊敬を強く求めたブレア首相、不要の戦争で尊敬失う――フィナンシャル・タイムズ
http://news.goo.ne.jp/article/ft/world/europe/ft-20070511-01.html

 ブレア氏の証人喚問を見て、最後は、がっかりしてしまった・・・。

 犠牲者への一言があればな、と。
by polimediauk | 2010-01-30 18:45 | 政治とメディア
 イラク独立調査委員会に、29日、ブレア元首相が呼ばれる。

 その前に、国際法上合法か違法かに関して、外務省の官僚・元官僚や、元法務長官が呼ばれている。その様子を日刊ベリタに書き、これの転載というかたちでニューズマグにも出した。ベリタの方はコメントを今受け付けないようになっているので、気づいた点などがあれば、ニューズマグかこちらのブログなどにコメントを寄せていただきたい。(気づかない点がたくさんあるかと思います・・・。)

 これは日本にも間接的に関係することで、結構重要なことだと思っているが、日本の新聞はそれほど詳しくは書いていないようだが、どうなのだろう?私はネットで知るのみだが。紙では大々的にやっているのかも―もしあったら、教えていただきたい。もしあまりないとしたら、東京から見て、あまりスペースをもらえないのかもしれない―欧州の話だから。つまりは、ネットであれば、十二分に展開できる話かもしれない、これこそ。・・とすれば、大手新聞がハイパーリンクや議論(著名者や読者など)との議論のコーナーを作ってガンガンやる、なんていうのもアリかも、と思う。人手とお金があればー。

 個人的には、イラク戦争の合法性の問題は非常に頭にくる問題だ。騙された感じ。

 力(軍事)と金のある国(米国)は、なんでも好き勝手なことができるな、と。ある意味、むなしくなるけど、「今度こそ、だまされないぞ」ということを今後、貫徹できればいいと思うが。


「イラク開戦は違法」-英外務省元法律顧問らが独立調査委員会で証言
http://www.newsmag-jp.com/archives/2863


英イラク独立調査委員会報告 -英元法務長官が「心変わり」をした理由とは
http://www.newsmag-jp.com/archives/2888
by polimediauk | 2010-01-29 07:27 | 政治とメディア
iPadが昨日、米国で発表され、ネット上で論評がたくさん出ている。

 ツイッター日本語で少し拾った感じでは、頭から誉めているものが多い感じがする。最初の立ち位置が「ほめる」、「すごい」という憧れ感。

 でも、実際どうなのだろう?もちろん、手にしてみないと分からない。スティーブ・ジョブズが手に持ってプレゼンテーションをしているところを見ると、思ったよりずいぶん大きくて、驚いた。680グラムだというけれど、あれを持っていろいろどこかに行く時、結構重いんじゃないだろうか。ホームページが一気に読めるのはいいのだけれど(これに一番感心した)。普通、カバンとかを持たない男性だったら、持ち歩く時、入れ物が必要になるだろう。英語のネット記事を見ると、「マン・バッグ」(男性が持つバッグ)が必要になるという表記がちらほら出ている。持ちにくい感じであるのは確かだ。

 そして、いったい誰が使うのか、誰のために役立つのか?と考える時、以下のチャンネル4のコラムニストが書くように、はた、と困ってしまう。

Apple iPad: what is it and who is it for?
http://www.channel4.com/news/articles/science_technology/apple+ipad+what+is+it+and+who+is+it+for/3518542

 もちろん、新し物好きの人、アップルのファンはすぐ買うだろう。IT関係者、新製品について原稿を書く人とか。

 しかし、実際のところ、上のコラムニストがいうように、短いメールやブログ+どこでもという意味ではアップルアイフォーンなど、スマートフォンがある。また、実際原稿を書くなどの場合は、小さいラップトップがある。なにしろ、アイパッドは大きなタッチスクリーンなのだ。「一体どんな時に使ったらいいのか」「これまでに自分が持っているスマートフォンや、ラップトップとどうやって組み合わせるのか」を自問するブロガーもいた。

 私が考えるに(私だけではないが)、最終的には、新聞記事や書籍が読める、ということが大きな売りになるのだろう。すると、やっぱりアマゾン・キンドルとの競争だ。アイブック・ストアが充実すれば、アマゾンストアに対抗できるようになるまで成長するかどうか。どちらが一体、読みやすいのだろう?

 映画・DVDなんかは、実際、見にくいだろうな。手に持ったままで見るわけにはいかないだろうから、どこかの壁に立てかけるとか、そんなことになるのだろう。

 上のコラムによれば、アイパッドという名称は、富士通が持っているそうで、いずれ何らかの交渉がありそうだ。また、アップルは昔、ニュートンというアイパッドに似たものを出して失敗している。現在のアイパッドは次のバージョンではまたかなり変わりそうでもある。

 ・・・というわけで、期待大なのは書籍閲読である。
by polimediauk | 2010-01-28 18:10 | ネット業界
 日本ビジネスプレス(JBPRESS)というところが、あっという間にフィナンシャルタイムズの記事を翻訳してくれている。すごいものだ。FTのガッパー氏の記事だが、同氏は有料化は1つのビジネスモデルとして悪くないのではないか、意味があるのではと説いてきた。

ニュースに課金するか赤字を垂れ流すか
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2613

一部引用

 購読料を払って顧客になる読者の数はごくわずかだろう。しかし、それは必ずしも問題ではない。調査会社アウトセルが今週公表したところによれば、米国でオンラインの新聞を読んでいる人のうち、有料化されてもオンラインニュースサイトを利用すると答えた人の割合はわずか6%だった。

 もしこれを額面通りに受け止めるなら(筆者はそうすべきだと思わないが)、ガーディアンはオンライン版の購読者を210万人獲得できる計算になり、一気に黒字に転換できるだろう。そう、わずか1%が残るだけでも35万人の購読者を獲得できるのだ。(
引用終わり)


―チャンネル4に新CEO

c0016826_2011178.jpg 一方、長い間CEOのポストが決まらないでいたチャンネル4に、やっと人材が見つかった。有料テレビ(視聴料を払って見る:事実上はケーブルテレビのチャンネルの1つ)UKTVのトップ、デビッド・エイブラハム氏(46歳)だ。

 同氏の就任の時期は未定だが、前任者のアンディー・ダンカン氏が11月に辞任してから、なかなか次のCEOが決まらないでいた。

 この人事はチャンネル4にとって、一つの区切り的な意味を持つ。

 振り返れば、市場の激変(オンデマンド、ネット、広告収入の減少)への対抗策として、前CEOのダンカン氏はBBCとの提携をめざし、さまざまな交渉を続けてきた。BBCは自分のところのテレビライセンス収入を分けてほしいというチャンネル4の本音を拒絶し、提携はあっても実際にお金は出さない方向で結論を出した。

 一方、政府のデジタル制作の白書「デジタル・ブリテン」(昨年6月発表)で、何らかの支援策が明記されるのではないかとダンカン+チャンネル4側は期待したものの、めぼしいものは出なかった。

 一気にダンカン氏の去就が問題になりだし、最後には辞任に至った。ところが、代わりにチャンネル4のために頑張ろうという人がなかなかいなかった。広告収入は思うほどに増大しておらず、「沈みかける船」に飛び乗って、これを何とかしようという人、できる人はなかなかいないように見えたのだった。

 エイブラハム氏の就任で、チャンネル4にとって、新たな時代が始まることが期待されている。チャンネル4の会長職も来週には変更となり、ルーク・ジョンソン氏からテリー・バーンズ氏になる。

 エイブラハム氏の経歴だが、BBCの商業部門BBCワールドワイドと、ケーブルサービスのバージンメディアとの合弁ビジネスとして2007年できたのがUKTV。UKTVG2というチャンネルを「DAVE」と名称を変え、人気チャンネルにした手腕で知られる。推定年棒は49万ポンド(約7000万円)だそうである。(テレグラフ、ガーディアンより)
by polimediauk | 2010-01-23 19:40 | 放送業界
 イラク戦争に至るまでの政治過程を検証する、「チルコット調査委員会」(委員長の名前をとって「チルコット」)が、いよいよブラウン英首相も呼ぶことが分かった。ブラウン氏が調査会へ手紙を書き、「いつでも呼ばれたら出ます」と述べたという。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/8473790.stm

 ただし、時期は2月か3月になる見込みーBBCの予測によれば。

 これまでに様々な元・現役官僚、外交官、政府閣僚(元・現)が出席して、当時の経緯について語っている。しかし、うそをつかないと宣誓して話しているわけではなく、委員会が「事情を聴く」という形をとっているので、言いたいことを言いたいように(自分の都合の良いように脚色して)話しても、別になんということはない感じである。また、特に新しい事実が出たというわけでもない。

 それでも、当時外務大臣だったストロー議員(今は司法相)や、元国防相のフー-ン氏の出席は大きな注目を浴びた。ストロー氏は最後まで(新たな国連決議なしの)開戦に抵抗していたようだー。「フセイン政権を倒す」(レジーム・チェンジ)には賛同しなかった、と。ブレア元首相がこの委員会に出席するのは、丁度来週の金曜日(29日)になる。おそらく、開戦が「正しいことだと思って、そうした」というこれまでの言を繰り返しそうだ。

 ちなみに、オランダでも同様の調査委員会が開催され、新たな決議なしのイラク戦争開戦は違法であったという結論を出している(12日、BBCより)。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/europe/8453305.stm



 
by polimediauk | 2010-01-22 18:56 | 政治とメディア
 米ニューヨークタイムズが、今まで無料で読めるウェブサイト上の記事に有料制を導入することになった。同紙が21日、正式発表した。

http://www.nytimes.com/2010/01/21/business/media/21times.html?src=twt&twt=nytimes

 読んでみて、何だかがっかりである。鳴り物入りで期待大だったが(どうやるのかと)、導入は2011年の予定なのだ。詳細は読めば読むほど、消え入りそうになりそうなぐらい、漠然としている。

 年が明けたばかりなのに、来年の話をされても困る、という感じである。その時までに状況は様変わりしているかもしれない。何しろ、米ニューズ社の傘下の新聞、たとえば英国のタイムズなどが、今年中に(一時は、上半期内とも言っていた)有料制の導入を宣言しているのだ。

 上の記事でがっかりするのは、まず、最初に「しばしば訪れる読者に」お金を払ってもらうことにした、という書き方だ。ただの表現なのかもしれないし、単に正確に書こうとしたのかもしれないが、何だか嫌な感じである。「熱心な読者に」課金します・・と読めなくもない。そして、課金の手順はほかのすべての大手の新聞が怖がって手を付けようとしない、一つのステップだ、と続けている。つまりは「英断だ」とでもいいたのだろうか?
 
 やり方は基本的に一定本数を無料にし、それ以上は有料となる。ただし、その本数が何本なのか、また金額はいくらになるのか、「まだ決まっていない」のだ。「本当に完全に正しいやり方で」やろうとしているので、決まっていないようだ。

 NYタイムズのウェブサイトは米国でも最も読まれている新聞サイトだそうだ。毎月の読者数が米国のみで1700万人。

 過去の歴史を振り返ると、1990年代は海外から読みに来る人に対しては有料だった。2005年から2007年にかけては、社説やコラムを「タイムズセレクト」というサービスで有料で提供した。21万人の購読者があり、年間49.95ドル(約5000円)が購読料だった(ずいぶん安い感じがするートータルでどれぐらいの本数がカバーされていたのかは分からないが)。しかし、オンライン広告が伸びていたので、これをやめてしまったのだった。

 昨今は不景気のあおりで広告収入が思わしくなく、紙の発行部数も厳しいようだ。

 現在、NYタイムズのサイトに来る人の大部分が「時々やってくる利用者」であるそうだ。タイムズを頻繁に読みに来る人の中で何人がお金を払うだろう?紙のNYタイムズを購読している人は、オンラインでもすべて今後も無料となる。

 それにしても、2011年からの導入なんて、随分と及び腰だなと思う。今発表する必要があったのだろうか?こんなに先のことであれば、状況が変わったという理由で、「やっぱりやめます」と言えてしまうかもしれない。英タイムズなどの有料化計画が実施されて、失敗したにせよ、成功したにせよ、その結果を見て判断したいと思っているのかもしれない。

 随分とナーバスになっているようなNYタイムズ。経営の厳しさを反映しているのだろうか?繰り返すが、「がっかり」である。とりあずはタダでしばらく読めるわけだがー。お金を払いたくない人は、読むなら今のうちであるー・・・と考えると、そうやって、「今しかない!」と思って読む人も結構いるだろう。読みだして、「これならお金を払ってもいいかな」と思う人もいるかもしれない。

 深読みかもしれないが、今回の発表は、内容があまりにも「未定」(本数や有料の金額自体を決めていないのでは話にならない)であり、かつ先の話である点を考えると、マーケティング戦略の一環なのだろう。後1年はタダで読めることをアピールし、読者を有料に誘導するための。

 
by polimediauk | 2010-01-21 07:42 | 新聞業界
 数日前の話になるが、BBCジャーナリズム学校(BBC College of Journalism)のトップ、ケビン・マーシュが、BBCのジャーナリズムを変えた大きな要素として局内のスタッフによるブログを挙げた。

 ロンドンで14日開催された「ジャーナリズム・リワイヤード」という会議での発言による。「プレスガゼット」より。

http://www.pressgazette.co.uk/story.asp?sectioncode=1&storycode=44903&c=1

 ラジオ、テレビ、ネットと幅広い媒体で情報を伝達するBBCは、2008年8月、報道部門を「マルチメディア・ニューズルーム」として一つにまとめた。局内のベテラン記者や編集者はBBCのサイト上でブログを書く。記者たちはスクープを出す時でも、自分の名前がついたブログを使うようになったという。BBCの夜の10時のテレビ・ニュースは、NHKの夜のニュースのような重要な役目を持つのだが、記者たちはこのためにスクープを抑える・・ということをしなくなった。

 BBCニュースの人気ブロガーといえば、政治記者のニック・ロビンソン(Nick Robinson)や経済記者のロバート・ペストン(Robert Peston)がいる。

 2007年9月、ペストンは大手住宅金融ノーザン・ロックの経営危機を、自分のブログ上でスクープ報道している。
 
 マーシュによれば、大手メディア企業だからと言ってそれだけでダメと考えるのは早い。BBCのジャーナリストたちはマイクロソフトのメッセンジャー機能を使って情報を交換・収集する方法やデータの探し方、使い方、ビデオの利用など、さまざまなスキルを学んでいるという。(ただし「もちろんマルチメディアのスキルだけではストーリーは作れず、あくまで最善の方法で報道するための手段」、と付け加えるのも忘れない。)
 
 BBCがソーシャル・メディア、マルチメディアに力を入れるのはいいのだが、BBCという大きな傘の中でやる、というのはどうかなと個人的には思う。スピンオフというか、まったく別の企業・構造にしてしまったらどうだろう。どんなに素晴らしい技術・考え、それに例えばおいしい食べ物でも、常に「頼りになる父親」から、口元まで運ばれるという構図を想像してみてほしい。自分で選んで自分でスプーンを口に運びたい、と思うのが自然ではないか。「父抜き」で情報を利用したいと思う。ソーシャルメディア(+ニューメディア?)とBBCはどうも最終的には相いれない感じがする。

 …本題から外れたが、自局のジャーナリストにブログを書かせ、ブログでテレビやラジオより先にスクープを出せる、というのは本当にすごいと思う。昔は、ラジオのニュースを読むのに、アナウンサーはタキシードを着ていたらしいので、随分変わったなと思うし(フォーマルからインフォーマル)、記者個人の声が直接出る・直接視聴者と結びつける仕組みを作っているのは、「中抜き」(途中のもろもろの編集過程をすっ飛ばす)でもある。ある意味では自己否定(制作・編集過程を無視し、記者個人をミニ・メディア化している)ともいえるかもしれない。
by polimediauk | 2010-01-20 21:10 | 放送業界
 放送批評懇談会が出している月刊誌「GALAC」の2月号に、元娼婦だった女性が書いている「Belle de Jour」というブログについて原稿を出した。ニフティ―の雑誌サイトに掲載されているので、ご関心のある方はご覧いただきたい。

c0016826_18574036.jpg海外メディア最新事情:元娼婦のブロガーの正体発覚 「よくやった!」と評価は上々だが
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/galac-20100119-01/1.htm

 この女性は、学生時代、学費と生活費の工面のためにエスコートサービスに登録し、高級コールガールとして働いた経験をブログに匿名(ブログ名とその匿名がBelle de Jour)で書いた。長年、このブロガーの正体がわからないままだったが、昨年末、本人からサンデータイムズ紙に連絡があり、ブルック・マグナンティーさんという女性であることが分かった(右写真、サンデータイムズ紙より)。

 インタビューが記事になって英国中があっと驚いたのは、「男性が書いているのでは」などという憶測を解消し、美しい女性究者だったことだ。こんな賢い女性が・・・・というわけである。

 私自身が驚いたのは、娼婦になって学費を稼ぎ、博士号を取って今は研究職にいる女性を「えらい!」とする論調が結構出たことだ。

 ブログを何冊かの本にもしているので、早速買って読んでみた。最初の本を読んだところ、途中で、段々読むのがつらくなってきた。クライアントとの性にかかわる描写があったからではない。人間関係の描写の場面で、「つらいなあ・・・」と。

 この女性にはボーイフレンドがいて(現在もいるが、この時とは別の人)、多額のお金を比較的短時間で稼げるようになった彼女は、誕生日で彼氏と出かけた後、自宅まで戻るのにタクシーを使って帰りたいという。「近いし、もったいないから歩こう」と彼氏がいうのを、聞き入れず、確か運転手に20ポンド札かを渡すー。ボーイフレンドは一人で歩き出す。この場面の描写が非常にリアルで、何だか彼氏がかわいそうになってしまった。

 タクシーで自宅まで帰るかどうか自体が問題ではなく、お金の使い方の変化、彼氏との人間関係という「リアルな」部分への影響、ボーイフレンド(ストリッパーレベルの仕事だと思っていたようだ)の気持ちの踏みにじり方は何だか痛々しいものを感じた。

 彼女の正体が発覚した頃、BBCのラジオで「モラル・メーズ」という番組があり、この番組は様々な倫理上の問題に関して、パネリストやゲストが議論する。この中で、コールガールになることも、1つの自己表現あるいは「生き方の1つ」であるとする考えがあって、また、「娼婦=いけないことをした人」と言わないように(女性差別になるから、つまり生きる上で、どうしてもそうしないといけない人もいるなど)という了解があったように思う。右派の論客でメラニー・フィリップスという人がいるのだが、「私たちは、女性が性を売ることも批判できないようになった」=フェミニズムの行き過ぎ・・・というような趣旨のことを(録音したわけではないので、記憶のみ)言っていた。それにしても、学費工面のために娼婦になるとはずいぶん突飛な感じがどうしてもしてしまうー。という私の考えは、ここ英国では保守的すぎるのだ(実際、私は保守派だと自覚はしているけれども)。

 この女性は一体どんな感じでしゃべるんだろう?と思われる方は、以下のサイトから、スカイテレビによるインタビュー動画が見れる。英語のみだが、雰囲気をつかみたい方のご参考までに。

http://www.lovereading.co.uk/blog/?p=1181
by polimediauk | 2010-01-19 19:00 | ネット業界
 ニューヨークタイムズがいよいよ、あと「数週間後」に自社ウェブサイトに課金制を取り入れることにした、という報道が出た。(「ビジネスインサイダー」サイトなど)

http://www.businessinsider.com/new-york-times-will-have-a-paywall-announcement-in-weeks-2010-1?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+typepad%2Falleyinsider%2Fsilicon_alley_insider+%28Silicon+Alley+Insider%29&utm_content=Google+Reader

 これによると、月額定期購読制ではなく、無料記事と有料記事を組み合わせる、「メーター制」(使用量のメーターによってお金を払うー水道のメーターのイメージ)をとる。原則購読制のウオールストリートジャーナル型ではなく、同じくメーター制をとるフィナンシャルタイムズ型になった、と。FTの場合、無登録で無料で読めるのは月2本。名前をサイト上で登録すればこれに追加で8本読める。それ以上(都合11本目からは)有料購読を勧められる。

 ウェブサイトの課金制の英国での状況に関しては、メディア幹部向けの出版物「NSK経営レポート」の最新号にも書いたのだが、新聞社がやるニュースサイトを有料閲読にするか無料にするかの問題を論じる時、気をつけねばならないのは、たとえば米国、あるいは英国と日本の状況の違いだろう。

 ・・・ということをこれまでにもブログでちょこちょこ書いたが、見出しだけ拾うと、「有料か無料か」の一元的な見方がネットで多く出ているようなので、改めて、自分の考えを整理するためにも書いておきたい。

 ①日本の新聞サイトと英国の新聞サイトを比較すると、一見やや気づきにくいが、私から見て大きな違いがあると思う。それは、英国の新聞サイトは、FTを除き、原則すべての記事が閲読無料である。現在のニュース記事だけでなく、過去記事、論説記事など。また、BBCのニュースサイトという巨大な無料サイトが存在している。さらにグーグルニュースも含めたもろもろの英語の無料ニュースサイトがある。もちろん、たくさんのおもしろいブログもある(この点は米英日もほかの国も同様)。

 そこで、英新聞社サイト(たとえばタイムズ)が課金制や有料制について語る時、これは「無料セールを10年以上、惜しげなくやってきた」「巨大無料ニュースサイトBBCとの競争を継続してやってきた」上での、「これでは続かない」「有料にできないか」ということである。(日本の新聞サイトの場合、すべてをサイト上に載せていない感じがするのだが、どうだろう?特に国際ニュースを探すと、あまりにも情報が薄いので驚く。紙の新聞にはもっとたくさん載っているはずである。)

 ②有料あるいは課金制問題は、決して「白か黒か」の単純な二者択一の議論ではない。課金制にしたら、すべて記事がシャットアウトされる、というのではないのである。「プレミアムコンテンツ」として、一部を有料にする・・・というのは、どう考えても、一つのやり方としてアリであろうし、実際、そうしているサイトは既に多数あると思う。

 ③お金の取り方の考えの変化:今年、日本でも英国でも電子ブックがブームになりそうだ。アイチューンズももちろん既に定着しているし、未来は予想できないけれど、ネット上のデジタルコンテンツにお金を払う…というやり方はすでに現実化しているし、これは加速するのではないか?NYTの「メーター制」(もしそうなるとすれば)への見方も、後数か月で、ガラリと変わるかもしれない。

 ④現実を見る:実際のところ、私たちはすでにネット上のニュース閲読に随分お金をかけているー。そんな感じがする。

 ⑤「すべてが無料でなくなった時、NYTは読者を失うかもしれない+自分は読まなくなるだろう」=そういうリスクはある。しかし、「お金を払わず無料で読むだけの読者はいらない」とする経営者もいるだろう。FTなんかはそうである。FTを購読できるぐらいの余裕がある人を対象にしているようだ。

 …そして…いや、これ以上は私も分からないのである(もちろん、お金を余計に払いたくないのはやまやまである。)
by polimediauk | 2010-01-18 19:38 | 新聞業界

(最後です。)

―新聞社サイトにニュースを提供

 「1人勝ち」とされる批判を防ぐためか、BBCはライバルメディアとの協力体制を何度か発表している。2009年3月にはイングランドとウェールズ地方でITVと地方ニュース制作で協力するという合意書を出した。人材や機材を共有する合意だが、実施予定は2010年から。放送評論家スティーブン・ヒューレット氏は「限りなく実現が未定の事業計画」と評する。

7月にはテレグラフ紙、ガーディアン紙、インディペンデント紙、デーリー・メール紙のウェブサイトに英国の政治、ビジネス、健康、科学・技術に関する動画を提供すると発表した。ITVに向けてニュースを制作する会社ITNはテレグラフに既にニュース動画を提供している。ITN担当者はヒューレット氏の同月のラジオ番組「メディア・ショー」で「こちらには何の連絡もせず、発表があった」「民業圧迫だ」と不満を述べた。BBCの活動が民業を圧迫せず、「公的価値があるかどうか」を判断するBBCトラストは「問題なし」としてこの提携を承認していた。「十分な調査が行われなかったのではないか」とBBCのライバル他局から不信感が高まった。

 無料のアイプレイヤーから収入を上げることを望んだBBCは、ITVやチャンネル4にBBCの商業部門を組ませ、複合オンデマンドサービス(通称「カンガルー計画」)の開始を試みたが、英競争委員会が2009年2月、「競争を疎外する」という理由でこれを停止させた。現在はITV,ファイブ、BTと組んで、フリービューなどを通じてオンデマンドサービスを提供する「カンバス計画」を推進中である。その一方で、アイプレイヤーのサービスを技術面でチャンネル4やITVと共有する案は、BBCトラストが「公的価値という点で認められない」と却下した。ライバル他局から「自己の保身ばかり考えている」と批判を浴びる羽目になった。

 2010年春までに行われる予定の総選挙では、野党保守党が勝つ見込みが高いと言われている。複数の世論調査で保守党の支持率が与党労働党を最大で20ポイントほど上回っているからだ。デビッド・キャメロン保守党党首は政権取得後、ライセンス料の値上げを凍結するとしている。ライセンス料制度自体の崩壊も含め、BBCにとっては厳しい時代となるかもしれない。(この項終わり)(「新聞研究」2009年12月号掲載記事を転載。引用などご利用の際は出典を明記のこと。)
by polimediauk | 2010-01-18 19:35 | 放送業界