小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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 世界中のコンテンツ媒体から情報を集積して、独自のニュースサイトを作るグーグル・ニュース。新聞や雑誌などのコンテンツ制作側は、グーグルから対価を得る権利があるのではないだろうかー?

 そんな意識が強い欧州出版界では、昨年末から今年にかけて、グーグル側から一定の譲歩を引き出す事例が発生している。

 昨年12月、グーグルによる記事利用をめぐり、ベルギー新聞界とグーグルが合意に達した

 これによると、グーグルは記事を利用した際にベルギーの発行元や著者にお金の支払いはしないが、ベルギー側がそれまでの交渉に要した法律上の費用(500万ユーロ=約6億3000万円=といわれている)を負担し、「発行元の媒体にグーグルが広告を出す」という。

 今月1日、グーグルはフランスの出版界と歩み寄りの姿勢を見せた。グーグルが6000万ユーロ(約75億6000万円)に上る「デジタル出版イノベーション基金」を立ち上げ、同国出版社の広告戦略を支援することになったのだ。


 グーグルのエリック・シュミットCEOのブログによると、この基金は「フランスの読者のために、デジタル出版の開始を支援する」もので、「グーグルの広告テクノロジーを使って、フランスの出版社がオンライン収入を増やす」ように、協力関係を深めるという。

 ベルギーとフランスの例では、「記事をリンクしたことに対価を払う」という形にはなっていないので、これに反対してきたグーグルにとっては方針を曲げなかったともいえるし、フランスやベルギー側は資金援助を引き出すことができたので、一定の成果が出たともいえる。互いに自己の主張を曲げなかったように見せながらの、玉虫色の結果となった。

 一方、強気の姿勢を崩していないのがドイツだ。

 ドイツ新聞発行社協会の広報担当者アンヤ・パスキー氏がニュースサイト「ザ・ローカル」に語ったところによると、フランスのようなグーグルとの和解策は拒絶するという。

 パスキー氏は、フランス型の良い点は、「第3者が作ったコンテンツのアグリゲーションというビジネスモデルにはお金がかかるものだ」(ただではできない)ということが周知された点だという。

 残念な点は、合意がグーグルとの間でのみ締結され、ほかのニュース・アグリゲーターには適用されるようになっていないことだ。

 ドイツの国会では、著作権法の一部を強化し、ニュース・アグリゲーターが出版社が作ったコンテンツを利用するときに対価を払うよう、審議が続いている
by polimediauk | 2013-02-04 21:48 | 欧州のメディア