小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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韓国-「ネットと新聞」

「新聞はただ」の国

 日本新聞協会発行の「新聞研究」1月号の中で、ネットと新聞という特集が組まれているが、韓国の状況の紹介が非常におもしろい。

 インターネットを使っていると、「情報はただ」という感覚が見についてくる。新聞もただで読むものという考えが広まっているのが、韓国だ。

 韓国のITジャーナリスト趙 章恩さんの「積極活用で生き残る」という記事を抜粋紹介したい。

 「・・2年前から韓国では毎朝駅でタブロイド判無料日刊紙が配られていて、2002年、METROを皮切りに、連合ニュース、ソウル新聞、文化日報などが創刊にかかわり、今では5紙に至っている。見やすい大きさに中身も充実しているため人気は高く、毎日合計320万部以上発行されている。無料新聞が登場してから当然、駅の売店では新聞が売れず閉店してしまったところもある」。

 「インターネットと無料新聞の影響ですでに韓国では『新聞はただ』という公式が成り立ってしまった。・・・紙新聞の購読率が下がっているのに、新聞社自らが作った無料新聞のせいでますます新聞が売れなくなった」。

 「日本の『2チャンネル』のような匿名サイトより、ブログのように誰が書いた文章なのかはっきりするサイトの方が人気を呼ぶ理由は、『これが私の主張だ、かかって来い』という自分の存在を強くアピールできるからである」。

 「新聞社も早い時期からインターネットでニュースを無料公開している。紙新聞への影響を考えネットサービスを抑え気味にする日本とは逆に、ブロードバンド強国らしくネットを利用して紙新聞の影響力と信頼性を高めようとしている」。

 「2002年、『すべての市民は記者である』をキャッチフレーズに登場した『オーマイニュース』は、読者意見欄から抜け出し、誰もが『――さん』でなく『記者』という肩書きをつけて情報を提供できる参加型新聞として新しい時代を切りひらいた」。

 「紙面の制約なく瞬時に韓国全土はもちろん世界のニュースを提供し、複雑に絡んでいるマスコミの利益に関係なく何でもニュースにしてしまう、本来のインターネット新聞に最も近い初めての媒体だった。『これがニュースだ!』と一方的に投げ出されたニュースを読むだけだった平凡なサラリーマンや自営業者、学生、主婦らを記者として囲いこみ、確実に『マスコミ』という高い壁を崩していった」。

 「もう何年も前から韓国の紙新聞には記者のメールアドレスが当然のように書かれているが、朝鮮日報は8月からメールアドレスの代わりに記者のブログアドレスを書いている」。

 「やはり、インターネット普及率75%、週当たり平均インターネット利用11.5時間、平均ネット暦4年5ヶ月という情報化インフラと、すぐかっと熱くなるユーザーがいなければ、インターネット新聞の成功もなかったろう」。

 「オーマイニュースのような・・・インターネット新聞創刊者らに、『どうしてインターネット新聞を作ろうと思ったのか』と聞くと、みんな口をそろえて、『言論改革がしたかったが、資本がなくインターネットを選択した』と答える。新聞の知名度より記事の質で勝負し、世の中の変化を包み隠さず明かし、本当の世論というものを反映する『進歩言論』を作りたかったというのだ」。

 「韓国の新聞社はあの手この手を使ってみた結果、生き残るためにはインターネットの特徴を生かした差別戦略しかないという結論を下している。速報性、利便性は当たり前で、写真もあれば動画もあり、記事に対する意見もあれこれ自由に言える。他の媒体の特徴をすべて持ち合わせながらも他の媒体にはない独特な個性のある新聞を目指している」。

 元気な新聞業界の様子が、伝わってくる!


# by polimediauk | 2005-01-10 08:41 | 新聞業界