「バスラに行ってみませんか?」
・・・というメールが、英外務省から来たのは昨日だった。
イラクのバスラから撤退するオランダ軍を引き継ぐのが英軍。この引継ぎの様子とバスラ市内の見学を含んだ取材旅行だ。英軍と常に行動を共にし、来月頭から9日間ほど滞在する。
戦争は終わっているものの、一種の「従軍記者」状態となる。必要な保険は自分で加入しておくこと、防弾用具は「もし持っていないなら」、貸します、とのこと。
英外務省と国防省のジョイントのプロジェクトだが、宿泊費他の費用は全て国防省が持つ。つまり、英国民の税金だ。
在英外国人記者の中から、オーストラリアから1名、オランダから1名、日本からは2名(そのうち1名は在中東の日本人記者)で、日本からは読売と共同の2社が選ばれたことを、新たなメールで知った。「失望させて申しわけないが、競争が激しかった。またの機会を作るので、待っていて欲しい」と、している。
・・・しかし、国民の税金を使って、他国のジャーナリストのために、どうしてここまでやるのだろう?
考えて見ると、やはり対外宣伝というか、プロパガンダなのだろう。
といってしまえば、見もふたもないように聞こえるかもしれないが、選挙も終わり、現状がこうなっている、ということを外国メディア自身の言葉で語ってもらいたい、と。
日ごろから、英外務省は、こうしたことに力を入れていることを、前に書いた。省内に外国メディア担当課を作り、頻繁に様々なプログラムを提供し、ブリーフィングや取材旅行を企画・実行している。広い意味でのプロパガンダ、願わくばイギリスのいい面を世界に広く知らしめて欲しい、というのが狙いだと聞いた。
しかし、今回、参加する記者・メディア側にとっても、かなり利点があるだろう。やはり実際に見る、体験するのと、本やネットだけで情報を得るのは、違う。いわゆる「従軍」待遇で取材をすることに批判があるのは承知しているが、あらゆる機会を利用して、数多く見ておくことは、どんなことでも重要だと思う。
イギリスの場合、こうした取材の後でかなり批判的な記事を書いても、それによって仲間はずれにされるということがない。
この点でイギリスは太っ腹だなと思っていたが、上がいた。
フィンランドに取材に行ったとき、官僚が、フィンランドの教育システムの悪い点を私に話す。「どうして自分から欠点をジャーナリストに話すのか?」と不思議に思って聞くと、官僚は、担当する分野に関してジャーナリストに取材されたとき、良い点だけでなく、悪い点に関しての情報も公開することが法律で決まっている、という。
話が飛んだが、本当に様々な考え方の国があるものだ。