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以下、若干抜粋・引用したい。
まず、むのたけじさんというジャーナリストの人の話から始まる。
ーー以下引用ーーー
彼の姿勢は、常に”反権力”でした。それは、ジャーナリズムは常により強いものに対する批判者としてあるべきだという考えに基づいていたのではないかと思います。ジャーナリズムが権力に迎合したとき、それはより大きな使命を失うことになるのでしょう。メディアの経営者やジャーナリストは、政府の諮問会議などのメンバーになっては駄目なのでしょう。が、それがあたかも自分の出世であり、自分の能力を評価されたと錯覚するジャーナリストも少なくないのが現実です。
(中略)
最近のジャーナリズムや論壇の状況を見ていると、勇ましい議論や声高な議論が勢いを得ているようです。日本の社会は、不思議なことに”声が大きい人”が勝つ社会だという感じがします。相手の意見を聞かず、自分の意見を声高に主張し、相手を威圧することが、あたかも優れた議論の仕方であり、自分を誇張する手法になっているようです。企業社会にも同じような状況が見られます。冷静に議論を積み重ね、共通する場所を捜し求め、優れた妥協点を見出すという知的努力が軽んぜられているようです。国会の議論などは、その典型的な例かもしれません。「政治はあるが、政策がない」のが、今の日本の政治状況のような気がします。
もう1つ感じることがあります。それはジャーナリズムの役割です。このブログを昨年の10月に始めました。仕事の合間に調べたことを「備忘録」のように書き綴ってきました。大手のメディアが報道しないような小さいが、それでも重要な事柄を取り上げてきました。アメリカのジャーナリズムの状況を見ていると、大手メディアに対抗する「Alternative Journalism」 あるいは「Alternative Media」が大きな影響力を発揮しつつあることを知りました。アメリカでは、ブログも重要な表現手段、ジャーナリズムの手段になっています。大手のメディアも、ブログの影響を無視できなくなりつつあります。たとえば、大統領選挙の公開討論があったあと、「ニューヨーク・タイムズ」や「ウォール・ストリート・ジャーナル」などの大手新聞も、ブログがどのような評価をしているかを報道していました。
一人のジャーナリストでも、大手メディアと対抗しうる手段を持つことができるようになったのです。むのたけじが横手で出していた週刊新聞「たいまつ」は、おそらくわずかな読者しか獲得できなかったではないでしょうか。しかし、情報化時代の現在、個人のジャーナリストが自らの表現手段を獲得することができるようになったのです。
日本では、まだブログがジャーナリズムとしての地位を確立するには至っていないようです。もともとフリーのジャーナリストが少ない社会なので、書き手の数が限られているのでしょう。しかし、遠からず、ブログという表現を獲得したジャーナリストは、独自の立場で情報と分析を提供するようになると思っています。ブログは同時にフォーラムでもあります。その双方向性は大手メディアよりも優れた場所を提供するようになるでしょう。ただ、アメリカにも気になる動きがあります。セントルイスの有力紙「セントルイス・ディスパッチ」紙は、記者がブログに執筆したことを理由に停職処分にしました。大手メディアにいては表現できないこと、報道できないことがあります。しかし、企業に属す限り、様々な制約がかかってくることになります。
このブログには、1日に2000件以上のヒットがあります。1月5日には3000件を越えるヒットがありました。もちろんヒットした数だけ記事が読まれているわけではありませんが、記事が累積するにつれて、確実に読まれている件数も増えてきています。
日本にも良質な「Alternative Journaoism」あるいは「Alternative Media」が育つべき時期がくるでしょう。今までもアンダーグラント的な反メディアは存在しました。例えば廃刊になりましたが「噂の真相」も、そうした種類のメディアであり、それなりの役割を果たしてきたと思います。ジャーナリストも食べていかなければなりません。したがって、収入にならないブログに全力投入はできません。それでも、真摯なジャーナリストにとってブログは自分の発言の場所としては極めて有効な場であることは間違いありません。
日本でもアメリカの「Alternative Journalism」あるいは「Alternative Media」に匹敵するジャーナリズムが誕生することを願っています。本ブログが、その一翼を担うようになるというのが、今年の抱負です。
もう1つ、今年の目標は、英語のブログを開設することです。本ブログはアメリカの情報を日本に伝えることを目的としていますが、英語のブログで日本の状況を海外に発信する必要性も感じています。実は、私は1989年から1992年まで東洋経済の英語月刊誌「Tokyo Business Today」の編集長をしていました。当時から、世界第2の経済国でありながら日本には世界に通用する英語のメディアがないことに不満を覚えていました。常に翻訳でしか海外に情報を伝えられないというのは、決して健全な状況ではありません。「公式的見解」とは違った情報を、日本人のジャーナリストが海外に伝えることができれば一番良いと思っています。そんなことを夢見ながら、年初の抱負としたいと思います。
ーーー引用終わりーーー